レビュー
新型「レヴォーグ」と同じ、新開発の1.8Lターボエンジンを搭載

豪快な加速が魅力!スバル「フォレスター」で復活したターボモデルへ試乗

スバル「フォレスター」に商品改良が施され、新たにターボエンジンが搭載されたグレード「SPORT」(以下、フォレスタースポーツ)が追加された。今回は、フォレスタースポーツを350kmほど試乗したので、そのレビューをお届けしたい。

フォレスターの製品画像
スバル
4.41
(レビュー653人・クチコミ48859件)
新車価格:293〜330万円 (中古車:14〜352万円

グレードごとの違いがより明確になった

2018年に発売された現行フォレスター(5代目)には、2リッター水平対向4気筒DOHC直噴エンジンにモーターが組み合わせられた「e-BOXER」と、2.5リッター水平対向4気筒DOHC直噴エンジンの、2種類のパワートレインがラインアップされていた。そして、2020年の商品改良では、前述の2.5リッターエンジンがラインアップから外され、代わりに新開発の1.8リッター水平対向4気筒DOHC直噴ターボエンジンが投入されたのだ。

では、なぜいまターボエンジン搭載車が追加されたのだろうか。スバル広報によると、「歴代のフォレスターは、動的性能を高めたターボモデルを設定してきましたが、販売台数の大半はNAエンジン搭載車でした。しかし、より動的性能の高いターボモデルを求めるお客様が一定数いらっしゃることも事実です。現行フォレスターは、デビュー当初はターボモデルの設定はありませんでしたが、新型レヴォーグの導入にあわせて新開発していた動的性能と環境性能を高い次元で両立した“CB18”エンジンを、今回のフォレスターにも追加搭載したのです。CB18エンジンは、トルクフルなエンジンで、フォレスターのキャラクターにもマッチしていると捉えています」と説明する。

ターゲットユーザーは、「40〜50歳代で、走りを大切にしつつ、活動的(アクティブ)なお客様。歴代フォレスターや、レガシィのターボ系保有ユーザー」とされ、販売比率はフォレスター全体の30%を計画していると言う。

これらを踏まえ、下表をご覧いただきたい。スバルとしては、新パワートレインであるe-BOXERをトップグレードとして訴求したいはずだが(実際に価格は最も高い)、パワーやトルクなどのスペックは2.5リッターエンジンのほうが上回っており、WLTCモード燃費はe-BOXERと2.5リッターエンジンを比較しても大きくは変わらない。そうなると、ディーラー、ユーザーともにどちらを選べばいいのか迷ってしまう。そこで、2.5リッターエンジン搭載車はカタログから落として、排気量によるヒエラルキー差をなくし、わかりやすく、かつターボエンジンという走りのよさを訴求しやすい1.8リッターターボエンジンをラインアップに加えることで、グレードごとの違いをわかりやすくすることが今回の改良の目的と言えるだろう。

では、フォレスタースポーツへと乗り込んでみよう。高めのヒップポイントからの眺めはよく、さらにボンネットの左右の端が視認できるので、車幅がよくわかり運転しやすい。ただ、左後方の視界だけはあまりよくないので、左折時などには注意が必要だ。

インパネ周りのデザインは、やや時代を感じるものだ。エアコンの物理スイッチなどは非常に使いやすく大いに評価できるのだが、デザインは一世代前のものに感じる。また、スイッチ類の触感も、やや荒いものに感じられた。

走り出してみると、新型ターボエンジンはその名に恥じない、なかなか豪快な加速を見せてくれる。深々とアクセルを踏み込めば、シートにぐっと体が押し付けられる。その加速力は、クセになりそうなほどだ。さらに、その際にAWDも的確な仕事をしており、前後トルク配分を適宜変更して、安定した姿勢を保っていたのも好印象だった。

ただ、ひとつ気になるのがCVTのフィーリングだ。アクセルを踏み込むとエンジンの回転数が上がり、そこから速度が上がり始める。そして、回転数が上がり過ぎるのを防ぎたいとアクセルを一定に保つと、今度は回転がすとんと落ち、それにリンクして速度の上昇が鈍る。しかし、まだ加速はしてほしいのでアクセルを再び踏み込む。すると、エンジンの回転が上がり……といったように少しギクシャクし、ドライバーの意志とは違う動きにとまどうことが多かった。

実は、同じエンジンを搭載した新型「レヴォーグ」にも試乗したことがあるのだが、CVTなどのセッティングはレヴォーグのほうがスムーズだった。レヴォーグも違和感がまったくないとまでは言えないのだが、フォレスターのほうがCVT独特のクセが強く感じられたのだ。

乗り心地は、装着タイヤのファルケン「ZIEX ZE001A/S」(225/55R16)によって少ししなやかさが感じられるものの、サスペンションそのものはなかなか硬めのセッティングで、過去に乗った2.5リッターエンジン搭載車に近い印象であった。

長距離試乗で気になった、シートレイアウトとオートヘッドライト

長時間乗っていると、シートが気になり始めてきた。前述のとおり、シートのヒップポイントは比較的高めで見晴らしはとてもいいのだが、ペダルとのレイアウトを考えると少しヒップポイントだけが高めな印象を受ける。たとえば、シートを一番低くしたとしてもペダルに対しては高く感じるので、もう少しシートのレイアウトに関する可動域を広げてもいいのではと感じた。また、シート座面にあるスエードとレザーの継ぎ目が尻に当たって痛くなってくる。座り心地は、最初はやわらかくていいのだが、長く座っていると背骨の下あたりに負担がかかって若干痛みをともなってきた。もう少し、背中周りにコシがあるといいのではと思われた。

また、暗くなった際のオートヘッドライトの反応がいまいちなことも記しておきたい。テストしたのは3月末で、晴れの日であっても18時時点ではまだヘッドライトはスモールまでしか点灯しないので、オートヘッドライトの意味がない。多少暗くなった時点で、積極的に点灯するセッティングにすべきだろう。

高速道路での加速力は、ターボエンジンならでは

高速道路における動力性能に関しては、一般道でも感じたのと同様で、非常に力強いものだった。アクセルを一踏みすれば、思った以上の加速力を手に入れられるので、高速道路での合流や追い越しなどで、ストレスを感じることはまったくない。きわめて豪快な走りと言えるだろう。ただ、直進安定性はそれほど高くはなく、意外と修正舵が必要であったことも述べておきたい。

ターボエンジンの燃費は、やや厳しめ

最後に燃費について触れておこう。

市街地:8.8km/L (10.3km/L)
郊外路:9.7km/L (14.3km/L)
高速道路:14.8km/L (15.2km/L)
()内はWLTCモード燃費

燃費は、WLTCモードと比べても厳しめの結果となった。その要因は、やはりターボエンジンの特性によるものかもしれない。ターボに加速を頼ってしまい、ついついアクセルを踏んでしまうと、てきめんに燃費が悪化してしまうようだった。

今回の商品改良では、CVTのセッティングや足回りなどの見直しはリリースなどで触れられていなかったのだが、そろそろそのあたりも手を入れてもいいのではと感じた。発売して3年、SUVは競合車が非常に多いセグメントなだけに、ユーザーはより自然で快適な走りを求めるはずだからだ。雪道や悪路に強く、ライバルメーカーと比較しても大きなアドバンテージを持つスバルなだけに、スムーズでドライバーの意図どおりに走らせたいと思うひとは多いはず。ぜひ、今後はCVTや足回りなどの見直しも望みたいところだ。

フォレスタースポーツに搭載された1.8Lターボエンジンは、期待どおりの確かな実力を備えていた。また、フォレスターは元々、アウトドアなどのレジャーや日常の足としての使い勝手のよさなどはかなりのものを備えているだけに、今後はその魅力がより磨き上げられるような改良が施されることに期待したい。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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新車価格:293〜330万円 (中古車:14〜352万円
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