レビュー
果たして約60万円の価格差の価値はあるか

日産「オーラ」と「ノート」を比較試乗。外観、内装、走りや燃費などの違いをチェック

日産から、コンパクトカー「ノート」のプレミアムモデルである「オーラ」が、2021年8月17日に発売された。

今回、日産のコンパクトカー「ノート」(左)と、ノートのプレミアムモデルである「オーラ」(右)の2台へ試乗した

今回、日産のコンパクトカー「ノート」(左)と、ノートのプレミアムモデルである「オーラ」(右)の2台へ試乗した

オーラの製品画像
日産
4.28
(レビュー25人・クチコミ1945件)
新車価格:261〜295万円 (中古車:315〜339万円
ノート e-POWERの製品画像
日産
4.05
(レビュー277人・クチコミ18671件)
新車価格:202〜288万円 (中古車:65〜298万円

今回、そのオーラの「G FOUR leather edition」グレードと、ベースモデルであるノートの「X FOUR」グレードの2台にそれぞれ試乗したので、デザインや装備、走りの違いや価格差など、さまざまな面から比較レビューしよう。

上質感を演出するための「オーラ」3ナンバー化

■日産「オーラ」と「ノート」のボディサイズを比較
-全長×全幅×全高-
オーラ:4,045×1,735×1,525mm
ノート:4,045×1,695×1,505mm
-トレッド(前/後)-
オーラ:1,510/1,510mm
ノート:1,490/1,490mm

「オーラ」(左)と「ノート」(右)のフロントフェイスの比較画像。ヘッドライトの薄さやフロントグリル、ロアバンパーのデザインなどが異なっている

「オーラ」(左)と「ノート」(右)のフロントフェイスの比較画像。ヘッドライトの薄さやフロントグリル、ロアバンパーのデザインなどが異なっている

「オーラ」(左)と「ノート」(右)のリアフェンダーの比較画像。オーラのリアフェンダーは、ノートよりも片側で20mm張り出しているほか、リアドアへと水平に伸びるプレスラインの入り方なども異なっている

「オーラ」(左)と「ノート」(右)のリアフェンダーの比較画像。オーラのリアフェンダーは、ノートよりも片側で20mm張り出しているほか、リアドアへと水平に伸びるプレスラインの入り方なども異なっている

まず、オーラとノートの違いをボディサイズで比べてみると、大きくは車幅が異なっていることがあげられる。具体的には、オーラではフロントフェンダーとリアフェンダーにふくらみを持たせており、リアはキャラクターラインなど外観デザインにも手を加えることによって、スタンスのよさを見せることで上質感を演出しているという。その代わり、コンパクトカーであるノートの大きな美点となっていた1,695mmという車幅は、オーラでは1,735mmとなり、5ナンバーから3ナンバーになった。同時に、トレッド幅はノートの1,490mmから、オーラでは1,510mmへと拡大している。

「ノート」(左)と「オーラ」(右)のリアデザインの比較画像。オーラは、リアコンビランプが横一文字タイプとなっており、リアバンパーもカラードタイプが装着されている

「ノート」(左)と「オーラ」(右)のリアデザインの比較画像。オーラは、リアコンビランプが横一文字タイプとなっており、リアバンパーもカラードタイプが装着されている

また、フロント周りやリア周りのデザインにも、変更が施されている。オーラは、日産の電動車ラインアップの最上級モデルである「アリア」のデザインテイストを意識して、ヘッドライトを薄型化。リア周りは、バンパーやリアコンビランプの形状を変更することで、上質かつ安定感を演出しているという。

「オーラ」のフロントエクステリアとリアエクステリア

「オーラ」のフロントエクステリアとリアエクステリア

このように、細部にいたってエクステリアへ変更が施されていることは、じっくりと見ればわかるし、作り込みがなされているというのも理解できるのだが、どちらがオーラでどちらがノートかを一瞬見ただけでは判別しづらいというのは、少々残念なところである。

また、オーラが3ナンバーになったことについて、日産のチーフデザイナーにうかがってみると、上質さや安定感などについて「3ナンバーにしないと実現できなかった」とのことであった。だが、今回は企画段階からオーラとノートは同時進行していたとのことだったので、できれば5ナンバーを保ちつつ、上質さや安定感を作り出してほしかったと思う。現在でも、地方都市の立体駐車場などは5ナンバーサイズでなければ入らない駐車場がまだまだあることや、デザインのために車幅を広げることは、機能をいかにデザインで表現するかという、いまの時代のトレンドからは逆行しているのではと思われるからだ。

上が「オーラ」で、下が「ノート」のインテリア。オーラは、木目調パネルが用いられたことなどによって、上質な雰囲気が伝わってくる

上が「オーラ」で、下が「ノート」のインテリア。オーラは、木目調パネルが用いられたことなどによって、上質な雰囲気が伝わってくる

いっぽう、インテリアを比較すると、ひと目でその違いが感じられて、オーラのプレミアム感が伝わってくる。基本的な形状は共通ながら、インパネ上面にはツイード調のファブリック素材が、その下には木目調パネルが用いられている。

上が「オーラ」で下が「ノート」のメーターディスプレイ

上が「オーラ」で下が「ノート」のメーターディスプレイ

また、メーターディスプレイも、ノートは左が7インチ液晶で右が5インチ液晶と、ディスプレイ内に2つの液晶が内蔵されているのに対し、オーラはディスプレイ全体が12.3インチとワイドになった液晶が採用されているため、表示される情報の自由度が広がっている。

「オーラ」(上)と「ノート」(下)のフロントシート

「オーラ」(上)と「ノート」(下)のフロントシート

そのほか、オーラのフロントシートには座り心地と快適性を両立させている「本革3層構造シート」が採用されており、フロントガラスとフロントドアガラスには「IRカット&スーパーUVカット断熱グリーンガラス」が、さらにフロントドアガラスには「遮音ガラス」が採用されている。

■日産「オーラ」と「ノート」の動力性能比較
-最高出力(フロントモーター)-
オーラ:100kW(136PS)/3183-8500rpm
ノート:85kW(116PS)/2900-10341rpm
-最大トルク(フロントモーター)-
オーラ:300N・m/0-3183rpm
ノート:280N・m(28.6kgf・m)/0-2900rpm

-最高出力(リアモーター)-
オーラ:50kW(68PS)/4775-10024rpm
ノート:50kW(68PS)/4775-10024rpm
-最大トルク(リアモーター)-
オーラ:100N・m(10.2kgf・m)/0-4775rpm
ノート:100N・m(10.2kgf・m)/0-4775rpm
※リアモーターは、オーラ、ノートともに4WD車にのみ採用

また、オーラではフロントモーターの出力も強化されている。ノートと比べて、最高出力は116psから136psに、トルクは280Nmから300Nmへとアップしている(リアモーターの値は共通)。

先代「ノート」に比べて走りの質が大きく向上

「ノート」の試乗イメージ

「ノート」の試乗イメージ

続いて試乗に移るが、まずは現行のノートを先代と比較してみよう。現行ノートは、プラットフォームが刷新されたことによって、先代と比べてはるかに安定した走りを見せるようになった。たとえば、交差点でステアリングを切った時の安定感はもとより、高速道路における安定性も大幅に改善されている。そして、何よりも発電用のエンジンがむやみやたらと回ることがなく、きちんと制御されているのが印象的だ。先代は、どんな状況においてもぶんぶんとエンジンが回るので煩わしく、通常の内燃機関のクルマではエンジン回転が上がらない状況でも回転数が高くなるなど、違和感も大きかったが、現行モデルでは、その印象はかなり少なくなっている。まったくなくなったわけではないのだが、さほど気にならず快適だ。

「ノート」の試乗イメージ

「ノート」の試乗イメージ

乗り心地も、先代の、ボディが弱いことからくる、ひょこひょこしたサスペンションの動きはなりをひそめ、しっかりとしたものへと変わっている。このあたりは、プラットフォームを共同開発したルノーの知見が入っているのかもしれない。また、高速道路においてもその印象は変わらず、足回りはしっかりと仕事をしていて、むやみな突き上げ感やバタついた不快な乗り心地がかなり減少している。パワーにおいても、必要にして十分なものだ。前述した、むやみにエンジンが高回転まで回ることもないので、余裕を感じる走りが味わえる。

「オーラ」と「ノート」のパワー差は、実際に乗っても明らか

「オーラ」の試乗イメージ

「オーラ」の試乗イメージ

では、ここからはオーラと現行ノートを比較してみよう。走り始めて最初に感じるのは、大きく2つ。ひとつは、やはりパワー感だ。前述の通り、フロントモーターの出力が向上しているため、アクセルペダルをぐっと踏み込むと、その差が顕著に感じられる。車重は、ノートの1,340kgに対してオーラは1,370kgと30kgしか増えていないので、このパワーアップの差は大きい。

「オーラ」の試乗イメージ

「オーラ」の試乗イメージ

そして、もうひとつは静粛性の高さだ。前述したフロントドアの遮音ガラスの効果で、一般道や高速道路においても、ロードノイズや風切り音がノートに比べてオーラははるかに静かなのだ。さらに、ドアの閉まり音やパワーウィンドウの開閉音なども、上質な音へと改善されている。

高速道路のPA内駐車場にて、「ノート」(左奥)と「オーラ」(右手前)

高速道路のPA内駐車場にて、「ノート」(左奥)と「オーラ」(右手前)

さて、高速道路に乗ってみると、どちらも4WDであることからFFよりも安定感が増している。特にオーラは、185/60R16から205/50R17へと大径化したこともあり、コーナーなどでしっかりと路面をとらえていることが感じられ、高速道路での移動の安心感はオーラの方が高い。

■「オーラ」と「ノート」(4WD車)の燃費比較
-オーラ-
市街地:15.9km/L(21.8km/L)
郊外路:(24.9km/L)
高速道路:23.0km/L(21.8km/L)
-ノート-
市街地:16.7km/L(23.1km/L)
郊外路:22.1km/L(25.8km/L)
高速道路:28.6km/L(22.9km/L)
※( )内はWLTCモード燃費

さて、冒頭に記したように、オーラとノートの価格差は約60万円。その差を許容できるほど、オーラに“プレミアムコンパクト”としての価値があるかというと、筆者としてそれは否という結論になる。その理由は、大きく2つある。まずひとつは、現行ノートの出来がとてもいいことにある。もし、先代のノートとオーラを比較とすれば、60万円の価格差があったとしても、オーラには大きな価値があるだろう。すべてにおいて、飛躍的に進化しているからだ。しかし、その進化は現行のノートでも十分に感じられるものだ。

そして、もうひとつは「日産としてのプレミアムコンパクトは、これだ」といった、新たな提案がないことだ。とあるジャーナリストが開発者へ質問していたのだが、「現在、脱レザーという傾向にある中、なぜレザーシートを採用したのか」という質問に対して、「今後検討します」との回答だった。もし、そこで何らかの新しい提案、たとえばSDG’sを踏まえた新たな素材の提案などがあれば、オーラはいっそう輝いていたに違いない。しかし、今あるものをベースにした変更であるならば、それはこれまでと同様に、「このくらい手を入れておけばプレミアムコンパクトといえるだろう」というものでしかないように思える。そのため、60万円の価格差ほどの価値があるかと問われると、少々厳しいと言わざるを得ない。

上質さを追求するためのボディサイズのアップや、遮音ガラスの採用などであるならば、デザインは変更せずに、装備を充実させたノートの上級グレードを設定すればいいのではと思えた。そうすれば価格差も縮まり、より多くのユーザーが購入しやすくなるはずからだ。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
オーラの製品画像
日産
4.28
(レビュー25人・クチコミ1945件)
新車価格:261〜295万円 (中古車:315〜339万円
ノート e-POWERの製品画像
日産
4.05
(レビュー277人・クチコミ18671件)
新車価格:202〜288万円 (中古車:65〜298万円
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る