レビュー

愛車の「飛び石キズ」をセルフリペアキットで修復してみた!

高速道路を長く走るほどリスク大

年間の走行距離は3万キロ以上。高速道路での移動機会が多いせいか、愛車のフロントガラスに飛び石が当たることの多いライター、マリオ高野です。

自慢の愛車、スバルの新型「BRZ」も走行距離が5万kmを超え、フロント周りは飛び石による損傷箇所が目立つようになってきました。

フロントバンパーの傷はあまり目立たないので気にしていませんが、困るのはフロントガラスの傷です。飛び石という不可抗力によるものでも、大きな傷になると車検に通らず、フロントガラスを丸ごと交換しなければならなくなるからです。

高速道路を走ると、どうしても飛び石による傷を負うリスクがあります。走行距離が長ければ長いほど、リスクも高まるわけで……

高速道路を走ると、どうしても飛び石による傷を負うリスクがあります。走行距離が長ければ長いほど、リスクも高まるわけで……

蜘蛛の巣状の巨大な傷になると諦めもつき、なるべく早くプロの業者へ修理に出すか、交換したくなりますが、「視界を悪化させるほど大きな傷ではないが、車検に通るかどうかは微妙」程度の傷は、むしろより厄介な存在。視界の妨げになりますし、放置すると振動によって傷が広がることがあるので、やや大きめの傷は、速やかにケアしたいものです。

筆者の愛車「BRZ」のフロントガラスには、まさにそういう状態の飛び石傷がありました。傷の段階としては「チップ」と呼ばれるもので、大きさは6〜7mmです。そこで、フロントガラスの傷リペア用のケミカル用品を使ってみることに。

今回選んだ製品は、KURE「UFIXIT ガラスリペアキット」です。

潤滑油の定番アイテム「KURE 5-56」で有名な呉工業の製品ということで、まず間違いはないだろうとの安心感があります。値段は高すぎず、安すぎずというところも選びやすいポイントに。

アメリカの製品っぽい雰囲気のパッケージながら、潤滑剤「5-56」で有名な日本の呉工業の製品です

アメリカの製品っぽい雰囲気のパッケージながら、潤滑剤「5-56」で有名な日本の呉工業の製品です

製品の案内に書かれた「補修できないキズ」の項目を見ると「5mm以上のチップ」とあり、直したいチップ傷はこれを超えています。ただ、完治はできないまでも、ある程度でも傷が小さくなれば問題はなくなるので、試すことにしました。

傷に特殊な液を注入して乾かすだけ!

補修の原理は、傷の内部に浸透性にすぐれた特殊レジンを染み込ませ、紫外線(太陽光やUVライト)で硬化させるというものです。

作業はいたってシンプル。傷の内部に特殊レジン液を染み込ませるための、十字型のポジショニングツールを傷に当て、レジンチャンバーやプレッシャードライバーを用いて液を傷の内部に送り込み、乾燥を待つだけ。傷の内部に汚れが混入している場合は、それを除去する必要があります。

補修する前の傷の様子。中心部分がやや深く欠け、そこから左右に傷が広がっています。車内からは「点」のように見え、視界が遮られることはありませんが、拡大が心配になります

補修する前の傷の様子。中心部分がやや深く欠け、そこから左右に傷が広がっています。車内からは「点」のように見え、視界が遮られることはありませんが、拡大が心配になります

ブレーキクリーナーで汚れを落とした状態。まだ、車内からはすぐに認識できる感じです

ブレーキクリーナーで汚れを落とした状態。まだ、車内からはすぐに認識できる感じです

傷の内部に特殊レジン液を染み込ませるための、十字型のポジショニングツール。中心部に液を注入し、プレッシャードライバーで押し込みます

傷の内部に特殊レジン液を染み込ませるための、十字型のポジショニングツール。中心部に液を注入し、プレッシャードライバーで押し込みます

特殊レジン液の量は、作業5回分。クルマの塗装面やワイパーのゴム部分に液がかからないようご注意ください。手に付くと、洗っても匂いがなかなか落ちないので、作業時には手袋の着用を推奨します

特殊レジン液の量は、作業5回分。クルマの塗装面やワイパーのゴム部分に液がかからないようご注意ください。手に付くと、洗っても匂いがなかなか落ちないので、作業時には手袋の着用を推奨します

十字型のポジショニングツールの中心部が傷に当たっているかどうかは、車内側から確認するとよくわかります

十字型のポジショニングツールの中心部が傷に当たっているかどうかは、車内側から確認するとよくわかります

作業後の様子。カメラのピントが合わないほど小さくなりました。サイズ感としては半減以下。完全に消えてはいないものの、拡張してしまうリスクは低そうです

作業後の様子。カメラのピントが合わないほど小さくなりました。サイズ感としては半減以下。完全に消えてはいないものの、拡張してしまうリスクは低そうです

初めての施工から、一応傷の内部に液が浸透したようで、パッと見の傷の大きさは半分以下になりました。完全に消えてはいませんが、おそらく車検は問題なく通るレベルになっています。傷が拡張するリスクも減ったし、製品の価格と、かけた手間からして、十分な満足感が得られました。

再度施行すると傷はさらに小さくなった

試しに、しばらく経ってから同じ傷にもう一度同じ作業をしてみたところ、傷はさらに小さくなったという印象です。完全に消えないまでも、作業前の状態と比べれば雲泥の差。視界の妨げにはならなくなり、その後も振動で傷が拡張してはいません。

「修理に出すほどではないが、気にはなるし、傷口が拡大するのは避けたい」と思える飛び石傷の素人DIYリペアとしては、なかなかよかったとの印象です。

ただし、フロントガラスに撥水処理を施している場合は、少しご注意を。これを使った周辺部分は撥水効果がかなり落ちるのを実感しました。乾燥後、撥水処理ケミカルを再度塗ればまた普通に撥水効果が働くようになるので、問題はありません。

数日後、同じ作業を再度施してみたところ、飛び石傷は、ほとんど視認できないレベルに小さくなりました

数日後、同じ作業を再度施してみたところ、飛び石傷は、ほとんど視認できないレベルに小さくなりました

白い壁をバックにすると、肉眼ではわずかに視認できますが、撮影するのが難しいほど小さくなっています

白い壁をバックにすると、肉眼ではわずかに視認できますが、撮影するのが難しいほど小さくなっています

溶剤は乾燥しやすいので、使用後はキャップをしっかり閉め、高温になる場所を避けて管理しましょう。ガラス面に残った余剰分はやかに拭き取り、ムラやシミになるのを防いでください

溶剤は乾燥しやすいので、使用後はキャップをしっかり閉め、高温になる場所を避けて管理しましょう。ガラス面に残った余剰分はやかに拭き取り、ムラやシミになるのを防いでください


製品の案内にあるとおり、大きめの傷の補修は難しいので、下記の数値を参考にして判断してください。大きめの傷が入った場合は速やかに専門業者に修理を依頼しましょう。

【補修できないキズ】
●ヒビ:100mm以上
●スター(星形):30mm以上
●ブルズアイ(牛の目玉のような丸い傷):20mm以上
●チップ:5mm以上
●コンビネーション:キズを合わせた外径が上記の数値を超える場合
●キズやヒビがフロントガラスの端にかかっている場合

マリオ高野

マリオ高野

1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。3台の愛車はいずれもスバルのMT車。

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