バイク野郎 増谷茂樹の二輪魂

ホンダ「CL250」の完成度に大満足! めっちゃ売れてる「レブル250」より楽しい

大ヒットモデル「レブル250」をベースに、スクランブラーのテイストを取り入れた「CL250」に試乗。20年以上ぶりに登場した、ホンダのスクランブラーを象徴する「CL」の名を冠したマシンはどのような仕上がりとなっているか、街乗りを中心に郊外まで足を伸ばして確かめてみた。

「レブル250」との違いも含めて「CL250」の乗り味をチェックする

「レブル250」との違いも含めて「CL250」の乗り味をチェックする

「レブル250」の基本設計を採用したスクランブラースタイル

「CL250」が多くの注目を集める理由は2つある。1つは、2018〜2022年まで5年連続で軽二輪(126〜250cc)クラスの販売台数トップを記録する「レブル250」のフレームやエンジンなどの基本設計を共有していること。そして、もう1つは、世界的に人気が高まっている“スクランブラースタイル”のデザインをまとっていることだ。

スクランブラーとは、1950〜60年代の、まだオフロード専用モデルが存在しなかった時代に、ロードモデルをベースにアップタイプのマフラーや幅広のハンドルなどを装備し、未舗装路での走行に対応したマシンを指す。そのレトロなスタイルが支持を集めるようになり、このところ多くのメーカーがスクランブラースタイルのマシンをラインアップしている。

アップタイプのマフラーなどスクランブラー的なルックスに仕上げられた「CL250」。「レブル250」と多くの部品を共有することで、メーカー希望小売価格621,500円(税込)と買いやすい価格を実現しているのも注目を集めるポイントだ

アップタイプのマフラーなどスクランブラー的なルックスに仕上げられた「CL250」。「レブル250」と多くの部品を共有することで、メーカー希望小売価格621,500円(税込)と買いやすい価格を実現しているのも注目を集めるポイントだ

「CL250」は、今回試乗した「キャンディーエナジーオレンジ」のほか、「パールカデットグレー」(写真左)と「パールヒマラヤズホワイト」(写真右)の3色展開

「CL250」は、今回試乗した「キャンディーエナジーオレンジ」のほか、「パールカデットグレー」(写真左)と「パールヒマラヤズホワイト」(写真右)の3色展開

ハンドルはアップタイプで、幅830mmと広い。未舗装路で車体を押さえるためにスクランブラーでは一般的だ

ハンドルはアップタイプで、幅830mmと広い。未舗装路で車体を押さえるためにスクランブラーでは一般的だ

前輪は19インチと径が大きく、セミブロックパターンを持つタイヤを採用。フロントフォークの傷や汚れを防ぐブーツもスクランブラーの文脈に沿ったもの

前輪は19インチと径が大きく、セミブロックパターンを持つタイヤを採用。フロントフォークの傷や汚れを防ぐブーツもスクランブラーの文脈に沿ったもの

後輪は17インチで、2本タイプのサスペンションで支えられる。スクランブラーらしく長めのサスペンションを装着

後輪は17インチで、2本タイプのサスペンションで支えられる。スクランブラーらしく長めのサスペンションを装着

オフロードバイクに多いアップタイプのマフラーを装備。いったん下側に出たエキゾーストパイプは、最終的にアップタイプのマフラーで消音されて排気される。排気口は縦に並んだダブルタイプ

オフロードバイクに多いアップタイプのマフラーを装備。いったん下側に出たエキゾーストパイプは、最終的にアップタイプのマフラーで消音されて排気される。排気口は縦に並んだダブルタイプ

ステップも、オフロード車に採用されているような上面がギザギザになったタイプ。上からゴムが装着されている

ステップも、オフロード車に採用されているような上面がギザギザになったタイプ。上からゴムが装着されている

エンジンやフレーム、丸目ライトなど「レブル250」と共有するパーツは多いが、そうしたことを知らない人には「CL250」はまったく違うマシンに見えるかもしれない。クルーザーモデルである「レブル250」が前後16インチのホイールなのに対し、「CL250」はフロント19インチ、リア17インチ。リアのサスペンションも長いため、「CL250」はやや水平基調のシルエットだ。フレームも、シート後端をループ形状にするなど、「CL250」独自のデザインになっている箇所もある。

ホンダ「レブル250」
「CL250」は、フロントホイールを大径化するとともにリアが持ち上がっているため水平基調のルックス。車体サイズは「レブル250」が2,205(全長)×820(全幅)×1,090(全高)mmで、「CL250」が2,175(全長)×830(全幅)×1,135(全高)mm

「CL250」は、フロントホイールを大径化するとともにリアが持ち上がっているため水平基調のルックス。車体サイズは「レブル250」が2,205(全長)×820(全幅)×1,090(全高)mmで、「CL250」が2,175(全長)×830(全幅)×1,135(全高)mm

シートも「レブル250」と異なる部分。運転者が座る部分はタックロール調とし、シートレールの後端はループ形状とされている

シートも「レブル250」と異なる部分。運転者が座る部分はタックロール調とし、シートレールの後端はループ形状とされている

タンク形状は「レブル250」と共通のデザインだが、「CL250」はタンクパッドを装着

タンク形状は「レブル250」と共通のデザインだが、「CL250」はタンクパッドを装着

メーターのデザインも「レブル250」と同じだが、それを支えるステーはループ形状で、カスタムマシンのような雰囲気

メーターのデザインも「レブル250」と同じだが、それを支えるステーはループ形状で、カスタムマシンのような雰囲気

24PS/8,500rpmの最高出力と23Nm/6,250rpmの最大トルクを発揮する、249ccの水冷単気筒DOHCのエンジンは「レブル250」と共通。排気管は車体下側を回る

24PS/8,500rpmの最高出力と23Nm/6,250rpmの最大トルクを発揮する、249ccの水冷単気筒DOHCのエンジンは「レブル250」と共通。排気管は車体下側を回る

なお、「CL」という車名は、ホンダにおいてはスクランブラーを象徴するもの。1962年に発売された「ドリームCL72スクランブラー」以降、“ホンダのスクランブラー”は「CL」を冠してきた。1998年の「CL400」を最後に新モデルは出ていなかった中、今回、20年以上ぶりに登場したのが「CL250」だ。

想像以上に扱いやすく素直なハンドリング

スクランブラースタイルが人気な理由はレトロな雰囲気のルックスにあるが、アップライトなライディングポジションで街乗りやツーリングなどが気軽に楽しめる点も支持されるポイント。「CL250」も上体が起きた姿勢で乗れ、幅のあるハンドルを備えており扱いやすそう。筆者はベース車の「レブル250」に試乗したことがあるので、操作性や乗り味の違いも確かめたい。

シート高は790mmと「レブル250」に比べると100mm高いが、車体が細身なため足付き性は悪くない。身長175cmの筆者の場合、両足のかかとが少し浮くくらいだ。車重は172kgあるが、数値以上に軽く感じるので片足でも支えやすい

シート高は790mmと「レブル250」に比べると100mm高いが、車体が細身なため足付き性は悪くない。身長175cmの筆者の場合、両足のかかとが少し浮くくらいだ。車重は172kgあるが、数値以上に軽く感じるので片足でも支えやすい

まず、街中を走り、その後、郊外を走ってみた。出力特性はフラットで、低回転域からトルクが厚く、それが高回転まで途切れずに続く。タコメーターがないため回転数はわからないが、それによってネガティブな印象を受けることはなく、好きなタイミングでシフトアップしていけば自然と速度がのっていく。

「レブル250」に試乗した際にも感じたが、このエンジンは完成度が高い。初心者でも扱いやすい特性ながら、ベテランライダーが乗っても不足を感じない絶妙なフィーリングだ。高速道路ではさすがにパワー不足を感じるかと思ったが、24PSの割に意外なほど非力には感じない。制限速度での巡航から、追い越し加速まで不満なくこなせた。

街中や渋滞に巻き込まれた際に扱いやすいのはもちろん、田舎道をのんびり流しているようなシーンでも気持ちがいい

街中や渋滞に巻き込まれた際に扱いやすいのはもちろん、田舎道をのんびり流しているようなシーンでも気持ちがいい

また、エンジンは「レブル250」と共通だが、マフラー形状が異なり、排気口がライダーに近い位置にあるためか、排気音は「CL250」のほうが元気がいい印象。アイドリングから単気筒らしく歯切れのいい音を響かせてくれるので、乗る前や信号待ちなどでも気分が高まる。

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2023/01/10 09:00

19インチで細身のタイヤを履いていることもあり、コーナリングの倒し込みは軽快でスムーズ。グイグイ曲がっていく感じではないが、大径ホイールと長めのホイールベースのおかげで、コーナー中の挙動も非常に安定している。

非常に素直なハンドリングと安定性でコーナーを曲がる楽しさを味わえる

非常に素直なハンドリングと安定性でコーナーを曲がる楽しさを味わえる

「レブル250」もクルーザーとは思えないほどコーナーの楽しめるバイクだったが、「CL250」はその上を行く面白さ。ステップ荷重やタンクをヒザで押すような動作、あるいはシート荷重などできっかけを作ると素直に車体が反応して曲がっていく。挙動に過敏なところが一切ないので、初級者やリターンライダーが乗っても怖さを感じることなくライディングの基礎を身に付けられそうだ。

ちょっとした林道は難なく走破

ホンダは「CL250」を“スクランブラースタイル”のマシンという位置づけとしているが、オフロード走行を前面に打ち出したマシンではない。ただ、このスタイルのマシンなので、どのくらいの性能を持っているのか確かめるため、フラットな林道に持ち込んでみた。

ちょっと荒れた砂利道でテスト。林道などではよくあるシチュエーションだ

ちょっと荒れた砂利道でテスト。林道などではよくあるシチュエーションだ

結果は、思っていた以上によく走る。軽量で扱いやすい車体もあって走りやすく、スタンディングポジションも取りやすい。さらに、セミブロックパターンのタイヤが予想以上に路面をつかんでくれるので、ぬかるんだところ以外では滑ることもなかった。フラットなトルク特性のエンジンも効いていると思われる。

アップライトで押さえの効く形状のハンドルも装備しているので、多少の未舗装路であれば何の不安もなく通過できそうだ。流行のキャンプツーリングなどにも相性がよさそう。

【試乗を終えて】
操る楽しさや懐の深さは「レブル250」以上

発表されたときから注目度の高いマシンだったが、実際に乗り回してみると、注目度に違わず完成度の高いマシンだった。気負わず乗れて、エンジンやハンドリングの特性は素直。街乗りから長距離ツーリング、ちょっとしたオフロード走行までこなせる懐の深さは、ベース車の「レブル250」以上だろう。

また、操る楽しさも「CL250」のほうが上だと感じた。通勤などで使うことがメインだとしても、その過程をより楽しめるのは魅力だ。免許を取得したばかりのライダーが乗れば、楽しみながらライディングの基礎が身に付けられるだろうし、大排気量車を乗り継いできたようなベテランライダーがダウンサイジングのマシンとして選んでも、のんびり走る中に面白さを見出すことができるだろう。

メーカー希望小売価格は「CL250」が11,000円高い程度なので、「レブル250」を買おうと思っている人は「CL250」もあわせて検討してみてほしい。

●メインカット、走行シーン撮影:松川忍

増谷茂樹
Writer
増谷茂樹
カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。
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中村真由美(編集部)
Editor
中村真由美(編集部)
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。気づけば15年以上、生活家電の情報を追い、さまざまな製品に触れています。
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