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【動画】「アルファード vs ヴェルファイア」を同条件で比較試乗!走りと乗り心地がけっこう違う

前回の動画では、「アルファード」と「ヴェルファイア」の内外装や装備について比較解説したが、今回は走りにおける両車の違いについてお伝えしたい。

ちなみに、試乗したグレードは「アルファード」がハイブリッドZのE-Four(4WD)で、「ヴェルファイア」はターボエンジンを搭載するZ Premier(2WD)だ。

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2023/12/22 17:00

「アルファード」のハイブリッドは滑らかな加速が特徴的

まず「アルファード」のパワーユニットには、2.5Lハイブリッドと2.5L直列4気筒のNAエンジンの2種類が用意されている。いっぽう、「ヴェルファイア」にも2.5Lハイブリッドがラインアップされており、「アルファード」の2.5L NAエンジンが無い代わりに2.4Lターボエンジンが用意されている。

2.5Lハイブリッドは、新型になってメカニズムを刷新させている。エンジンとモーターの相乗効果によるハイブリッドシステムの最高出力は250PSに達し、実用回転域の駆動力が高められた。たとえば、アクセルペダルを少し踏み増したときなどには滑らかに速度が高まっていく。加速力をNAエンジンに換算すると、3Lの排気量に相当する。

試乗した「アルファード」ハイブリッドZの2.5Lハイブリッド(4WD)の動力スペックは、エンジンの最高出力が140kW(190PS)で最大トルクが236Nm(24.1kgf・m)、フロントモーターの最高出力が134kW(182PS)、最大トルクが270Nm(27.5kgf・m)、リアモーターの最高出力が40kW(54PS)、最大トルクが40kW(54PS)だ

試乗した「アルファード」ハイブリッドZの2.5Lハイブリッド(4WD)の動力スペックは、エンジンの最高出力が140kW(190PS)で最大トルクが236Nm(24.1kgf・m)、フロントモーターの最高出力が134kW(182PS)、最大トルクが270Nm(27.5kgf・m)、リアモーターの最高出力が40kW(54PS)、最大トルクが40kW(54PS)だ

少し注意したいのは、登坂路などに差し掛かってアクセルペダルを深く踏み込んだときなどだ。やや粗いエンジンノイズが響くのだが、通常の走行時におけるエンジン音は小さい。

「ヴェルファイア」のターボエンジンはスポーティーな走りを味わえる

「ヴェルファイア」の2.4Lターボエンジンは、先代型で用意されていた3.5L V型6気筒エンジンの後継機種になる。最高出力は205kW(279PS)/6,000rpmで、最大トルクは430Nm(43.8kgf・m)/1,700〜3,600rpm。回転が下がったときに、アクセル操作に対する反応が鈍くなるターボの欠点などは、ほぼ解消されている。低回転域からターボの過給効果が感じられて、運転しやすい。

「ヴェルファイア」2.4Lターボエンジンのエンジン動力スペックは、最高出力が205kW(279PS)で、最大トルクは430Nm(43.8kgf・m)になる

「ヴェルファイア」2.4Lターボエンジンのエンジン動力スペックは、最高出力が205kW(279PS)で、最大トルクは430Nm(43.8kgf・m)になる

さらに、ターボエンジンは高回転域における吹け上がりが活発なことも特徴のひとつだ。4,000rpmを超えると速度上昇が高まり、スポーティーな走りを味わえる。ターボエンジンには8速ATが組み合わされているので、吹け上がりのよさを実感しやすい。さらに、8速なのでギヤ比の配分も細かく、高回転域を保つことで動力性能をフルに引き出す走りも楽しめる。

WLTCモード燃費は、「アルファード」のハイブリッドZの2WDが17.7km/L、4WDが16.7km/Lになる。「ヴェルファイア」ターボエンジン車のZ Premierは、2WDが10.3km/Lで4WDは10.2km/Lだ。ハイブリッドの燃費がすぐれているのは当然だが、2.4Lターボエンジンも高効率だ。たとえば、「アルファード」2.5L NAエンジンの2WDは10.6km/Lなので、2.4Lターボエンジンは動力性能が高く、燃費値も良好なエンジンと言えるだろう。

ミニバンらしい「アルファード」とステーションワゴンのような「ヴェルファイア」

「アルファード」と「ヴェルファイア」は基本的に同じクルマだが、足まわりやタイヤの設定が異なる。「アルファード」はミニバンらしく快適な乗り心地に重点が置かれている。

「アルファード」は、上級ミニバンらしい快適な乗り心地が特徴的だ

「アルファード」は、上級ミニバンらしい快適な乗り心地が特徴的だ

深山さん
深山さん

『アルファード』は、乗り心地がよくてシートの座り心地も快適です。また、視界も良好なので車体の大きさを気にせずラクに運転できますね

いっぽう、「ヴェルファイア」は「アルファード」に比べてスポーティーな感覚が強い。ボディの骨格はフロントパフォーマンスブレースによって補強され、サスペンションの取り付け剛性も向上させている。さらに、ショックアブソーバーの減衰力も「アルファード」に比べて高められており、タイヤは「アルファード」が18インチなのに対して、「ヴェルファイア」では19インチが装着されている。

そのため、「ヴェルファイア」の運転フィールは「アルファード」とは明確に異なる。たとえばカーブを曲がるときに、「ヴェルファイア」はステアリングホイールを回し始めたときから車両の進行方向が正確に変わっていく。前輪のグリップ性能が高く、少し高い速度で曲がっても、旋回軌跡を拡大させにくい。

よく曲がるいっぽうで、後輪の接地性も確保されており、下りカーブなどでも不安定な状態になりにくく、車体が安定している。曲がりやすさと安定性のバランスが高いレベルで仕上げられている。そのため、「ヴェルファイア」はまるでステーションワゴンに近い感覚で運転できるのだ。対する「アルファード」は、車両の動きが穏やかで、背の高いミニバンらしい運転フィールだ。

「ヴェルファイア」は運転する喜びを追求するために、ボディ剛性パーツが追加されているほかサスペンションの設定が異なっており、タイヤも「アルファード」より大径のものが装着されている。そのため、「ヴェルファイア」は「アルファード」よりも機敏な走りが可能となっている

「ヴェルファイア」は運転する喜びを追求するために、ボディ剛性パーツが追加されているほかサスペンションの設定が異なっており、タイヤも「アルファード」より大径のものが装着されている。そのため、「ヴェルファイア」は「アルファード」よりも機敏な走りが可能となっている

深山さん
深山さん

『ヴェルファイア』は、『アルファード』よりもハンドルが少し重いのですが、しっかりとしていて安定感がありますね。『ヴェルファイア』は、高いクルマを運転しているという感覚にさせてくれます

乗り心地については、「ヴェルファイア」は走行安定性などが高められている代わりに少々硬い。快適性は損なわれていないものの、路上の細かな凹凸が乗員に伝わりやすい。少々スポーティカー的な引き締まり感も味わえる。「アルファード」の乗り心地は、Lサイズミニバンらしく柔軟なものだ。

「アルファード」「ヴェルファイア」で注目の豪華な2列目シートは、動画のほうで比較解説しています

「アルファード」「ヴェルファイア」で注目の豪華な2列目シートは、動画のほうで比較解説しています

両車の走行性能や乗り心地を比べると、「アルファード」はミニバンらしさを重視しており、安心感の高い走行安定性と快適な乗り心地を両立させている。「ヴェルファイア」は、ミニバンではめずらしく運転する楽しさを追求している。そのために走行安定性は高いが、気楽さは「アルファード」に比べて少し低い。

「アルファード」は市街地の走りにも適しているが、「ヴェルファイア」は高速道路などで長距離をひんぱんに走る人に向いている。みなさんの用途に応じて、2車を選んでほしい。

(Photo:島村栄二)

以下の動画では、2列目の「プレミアムラウンジシート」の乗り心地なども比較しているので、ぜひご覧下さい!

渡辺陽一郎
Writer
渡辺陽一郎
「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト
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桜庭智之(編集部)
Editor
桜庭智之(編集部)
自動車専門メディアで編集者として10年間勤務した後「価格.comマガジン」へ。これまで、国産を中心とした数百の新型車に試乗しており、自動車のほかカーナビやドラレコ、タイヤなどのカー用品関連も担当する。
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