光熱費や食品、生活必需品がどんどん値上げされていくこのご時世。ガソリン価格への補助金もいつまで続くやら……と、たまらずEV(電気自動車)への乗り換えを検討しはじめている人もいるのではないでしょうか。
でも、EVを便利に使いこなすには、ライフスタイルを変えたり充電環境を整えたりする必要があるなど、ちょっとハードルが高いところもあるものです。それならば、とことんまで低燃費にこだわったクルマ選びをしてみてはいかがでしょうか?
一時高騰していた燃料価格。将来的にはどうなるのでしょうか……
仮に、現在の愛車の実用燃費が8km/Lだったとすると、年間1万キロ走行する人ならば、実用燃費が20km/Lのクルマに買い換えると、ガソリン価格が180円/Lとしても、年間のガソリン代が23万7500円から9万円へと、なんと14万7500円も減らせることになります。ものすごい差ですね。
今回は、「軽自動車」「コンパクトカー」「ミニバン」「セダン」「スポーツカー」の5カテゴリーから、“燃費一択”で選ぶおすすめのモデルをピックアップしてみました。
まずは、軽自動車からご紹介しましょう。ダイハツ「ミライース」と常に燃費競争を繰り広げてきた、スズキ「アルト」です。現行型は初代から数えて9代目となる歴史あるモデルで、全長約3.4mのハッチバック。先進安全運転支援装備を充実させるとともに、「アルト」初となるマイルドハイブリッド機構が採用されました
スズキ「アルト」
モーター機能付き発電機のISGが、エンジンに負荷が大きくなる発進や加速時などにアシストすることで燃料消費を抑制。最高で27.7km/L(WLTCモード、以下同)の低燃費を実現しています。
市街地と高速道路を80kmほど走行してみると、2人乗車でも実用燃費は20km/Lを突破する実力! 室内は外観から想像するよりも広くゆったりとしていて、上級グレードならシートヒーターなど快適装備も充実しており、後席に人を乗せることが多い人でも使いやすいモデルです。
続いて、コンパクトカーで選ぶならトヨタ「アクア」。初代からハイブリッド専用モデルとして登場し、世界最高ランクの低燃費を達成しました。
トヨタ「アクア」
2代目となる現行モデルは、最高35.8km/Lという低燃費は維持したまま、より上質でなめらかな走りと広々とした後席スペースを手に入れ、ファミリーでも使いやすいコンパクトカーに進化しました。
また、後席にAC100V/1500Wまで使えるアクセサリーコンセントが備わっており、家電などがそのまま使用できるほか、外部給電アタッチメントを使うとドアと窓を閉めたまま電源コードを出して、野外でも給電できるシステムが全車標準装備されているのも魅力的です。
ミニバンで選ぶなら、トヨタ「シエンタ」のハイブリッドモデル。両側スライドドアを備え、2列シート5人乗りと、3列シート7人乗りが設定されているコンパクトミニバンです。
トヨタ「シエンタ」のハイブリッドモデル
低床設計で乗降性がよく、室内は肌触りのよいファブリックでホッとリラックスできる空間が広がります。3列シートモデルは、2列目シートの下に3列目シートが格納できるので、ラゲッジが広く使えるのも便利なところ。
低燃費の秘密は、新プラットフォームによって基本性能をしっかりと底上げしたところに、燃費性能に定評のある1.5Lハイブリッドシステムを搭載し、ストップ&ゴーの多い市街地でも効率よく走れること。ディスプレイオーディオがコネクテッドナビ対応なので、初めての道でもスムーズに走れ、渋滞回避がしやすいこともむだな燃料消費を抑えるのに貢献してくれそうです。
続いて、セダンで選ぶならトヨタ「カローラ」のハイブリッドモデル。歴史ある国民車ですが、2019年に劇的な若返りをはかり、スポーティーなコンパクトセダンとなって登場しました。
トヨタ「カローラ」のハイブリッドモデル
ボディが大型化したことで高速走行時の安定感や室内の広さがアップしていますが、1.8Lハイブリッドのシステムが最新世代となったことなどで、燃費は最高30.2km/Lをマーク。燃費がよいだけでなく、歩行者の急な飛び出しや前走車の急停止などを先読みして操作を支援してくれる「PDA(プロアクティブドライビングアシスト)」などの先進技術が充実しており、市街地から高速まで、爽快で安心感のある走りがすばらしい。
インテリアに華美な装飾はありませんが、ほどよくフィットするフロントシート、ゆとりのあるリアシート、たっぷり大容量のラゲッジスペースと、オールマイティに使えるセダンです。
最後は、燃費がやや悪いイメージのあるスポーツカー。このカテゴリーで選ぶなら、やはり軽量化にとことんこだわっているマツダ「ロードスター」です。
マツダ「ロードスター」
カタログ燃費が10km/Lに届かないモデルも多いスポーツカーの中で、ダントツとも言える17.2km/L(6ATモデル)を達成しています。
マイナーチェンジによって、最新モデルでは車両重量が1トンを切るグレードはなくなってしまいましたが、それでも衝突安全などのテストが厳しくなっている現代で、1010kgを実現するのは至難の業。マツダのエンジニアたちの涙ぐましい努力の賜物でしょう。
マツダが提唱する「人馬一体」のファン・トゥ・ドライブはもちろんのこと、正確な操作性や疲れにくさにこだわったシートポジション、触感や心地のよさ、上質感が感じられるインテリアで、目を三角にして飛ばさなくても、心ゆくまでドライブが堪能できるところも燃料消費を抑えられる秘訣なのかもしれません。
ということで、とにかく燃費のいいクルマに注目して選んだ5カテゴリー5台ですが、こうしてみると、燃費の数値だけではなく、それぞれにちゃんと使いやすさや楽しさのあるクルマが揃いました。もはや「低燃費=ガマン」ではないのが最新モデルだと言えると思います。