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人気のホンダ「フリード」新型が6月発売!コンパクトに多人数乗せるなら大注目

ホンダ車で最も人気の高い車種は「N-BOX」だが、2位はコンパクトミニバンの「フリード」である。現行の2代目「フリード」が発売されたのは2016年と少々古いのだが、それでも2023年には1か月平均で約6,500台が登録されており、販売ランキングの上位に入っている。

そんな「フリード」が、2024年6月に3代目へとフルモデルチェンジされる。今回は、新型モデルの内外装やグレード構成、パワーユニットなどの情報が先行公開されたので解説していきたい。

ボディタイプは標準とSUV風の2種類

まず、新型「フリード」のボディタイプは、大きく分けて標準ボディの「AIR(エアー)」と、SUV風の「CROSSTAR(クロスター)」の2種類がある。

さまざまなシーンになじむシンプルなデザインの「AIR」

さまざまなシーンになじむシンプルなデザインの「AIR」

アウトドアテイストで力強いフォルムの「CROSSTAR」

アウトドアテイストで力強いフォルムの「CROSSTAR」

「AIR」は3列シートのみで、2列目がセパレートタイプの6人乗りと、ベンチタイプの7人乗りを選べる。

いっぽうの「CROSSTAR」は、3列シートの6人乗りと、2列シートの5人乗りを選べる。つまり、「AIR」には2列シート5人乗りがなく、「CROSSTAR」は3列シート7人乗りを選べないことに注意したい。

外観は、先代型に比べて水平基調が強められた。ボディ後方のサイドウィンドウの下端が下がっているため、ななめ後方の視界が向上している

外観は、先代型に比べて水平基調が強められた。ボディ後方のサイドウィンドウの下端が下がっているため、ななめ後方の視界が向上している

「CROSSTAR」は前後バンパーに樹脂パーツが装着されるなど、存在感のあるタフなデザインに

「CROSSTAR」は前後バンパーに樹脂パーツが装着されるなど、存在感のあるタフなデザインに

パワーユニットは、現行「フィット」に準じており、1.5L直列4気筒のNAエンジンと、ハイブリッドの「e:HEV」が設定されている。駆動方式は、前輪駆動の2WDと4WDだ。

「CROSSTAR」は3ナンバー車に

ボディサイズは、全長が4,310mm。全幅は、「AIR」が1,695mmで「CROSSTAR」は1,720mm。全高は1,755mmだ。全長は、先代型に比べると拡大して4,300mmを上まわった。

「CROSSTAR」は、全幅が1,700mmを超えており3ナンバー車になる。だが、プラットフォームは先代型と共通で、ホイールベースの数値も2,740mmと変更されていない。

■新型「フリード」のボディサイズを先代と比較
※数値は全長×全幅×全高/ホイールベース
新型:4,310×1,695(AIR),1,720(CROSSTAR)×1,755mm/2,740mm
先代:4,265×1,695×1,710(FF車)mm/2,740mm

やさしい素材が使われたインテリア

内装はシンプルに仕上げられており、メーターはデジタルで多彩な情報が表示されて見やすい。ATレバーやエアコンのスイッチも高い位置に装着されているので、使いやすい。ウィンドウの面積が広く、前方視界もすぐれている。

「AIR」のインテリアは、肌に触れる箇所にやさしい触感の素材が使われており、丸みを帯びた形状とすることで安心感を覚える空間が表現されている

「AIR」のインテリアは、肌に触れる箇所にやさしい触感の素材が使われており、丸みを帯びた形状とすることで安心感を覚える空間が表現されている

助手席前には、ティッシュボックスも収まるフタ付きアッパーボックスが備えられている

助手席前には、ティッシュボックスも収まるフタ付きアッパーボックスが備えられている

「e:HEV」モデルは3列目の足元空間に注意を

シートは刷新されており、先代型に比べて体をしっかりと支えてくれるものとなった。ただし、2、3列目シートは先代型と同様に、床と座面の間隔が少々不足している。座ると膝が持ち上がり、腰が落ち込む着座姿勢になりやすい。

その理由は、全高が低く抑えられているからだ。「フリード」の床の高さは「ステップワゴン」と同等だが、全高は「フリード」のほうが100mm前後も低く、室内高が不足している。その影響で、床と座面の間隔も狭くなっているのだ。

上から順に1、2、3列目シート

上から順に1、2、3列目シート

シート生地には、汚れを拭き取りやすい撥水撥油性ファブリックが採用されている

シート生地には、汚れを拭き取りやすい撥水撥油性ファブリックが採用されている

車内の広さは、基本的に先代型と同じだ。身長170cmの大人4名が乗車して、2列目シートに座る乗員の膝先空間を握りコブシひとつ半に調節すると、3列目シートにも同程度の余裕ができる。「ステップワゴン」に比べると狭いが、「フリード」でも大人の多人数乗車は可能だ。

多人数乗車においてひとつ注意したいのが、NAエンジンと「e:HEV」では足元の広さに違いが生じることだ。NAエンジンでは、2列目シートに座る乗員の足が1列目シートの下に収まるが、「e:HEV」は搭載バッテリーの影響で足が入りにくい。そのため「e:HEV」では2列目シートのスライド位置がNAエンジンよりも後ろへ下がることになり、結果として3列目シートの足元空間が狭まる。したがって、2、3列目シートに人が乗る機会が多いのなら、NAエンジンを検討したほうがよいだろう。

3列目の跳ね上げシートは薄くなって広い荷室に

荷室については、3列シート仕様では3列目シートを左右に跳ね上げて格納できる。跳ね上げた3列目シートは、先代型よりも幅が薄くなったため、荷室をさらに広く使えるようになった。さらに、左右に格納した高さも90mm低くなっており、斜め後方の視界が少し向上している。

3列シート仕様の荷室は、3列目シートを左右に跳ね上げることで拡大する

3列シート仕様の荷室は、3列目シートを左右に跳ね上げることで拡大する

ちなみに、3列シート7人乗り仕様に装着されているベンチタイプの2列目シートは、前方へコンパクトに格納できるタイプだ。跳ね上げタイプの3列シート6人乗り仕様よりも、荷室は広い。

そして、「CROSSTAR」に用意される2列シート仕様は、荷室の使い勝手をさらに向上させている。2列シート仕様のボディは、車椅子ごと乗り込める「スロープ」仕様と共通で、車内の後部が深く掘り込まれている。そのため、リヤゲート下端部の地上高は335mmと低く、重い荷物も積みやすい。

「CROSSTAR」の2列シート仕様は、2列目シートを前方へ倒すことで広い荷室として使える

「CROSSTAR」の2列シート仕様は、2列目シートを前方へ倒すことで広い荷室として使える

さらに、2列シート仕様は床が低いので荷室高にも余裕があり、専用ボードを使えば荷室を上下2段に分けて便利に使える。後席の背もたれを前側に倒すと、車内の中央部から後ろ側が平らな広い荷室に変更される。大きな荷物を積んだり、車中泊したりといった用途にも使いやすいだろう。しかも、2列目シートを倒した状態でも、荷室の下段は収納設備として使える。

装備については、パーキングブレーキが電動式になり、「HondaSENSING」の運転支援機能も向上している。車間距離を自動制御できる「アダプティブクルーズコントロール」は、渋滞時にも作動する全車速追従型。後方の並走車両を検知する「ブラインドスポットインフォメーション」なども装備される。快適装備としては、後席用のリヤクーラーが採用された。

以上のように、新型「フリード」は従来型と同様に、運転しやすいコンパクトサイズながら、広い室内を備えている。そして、新型では内装の質感やシートの座り心地、シートアレンジのしやすさ、安全装備などを向上させた。

価格については未発表だが、バランスにすぐれていると思われるグレードは「AIR」の3列シート6人乗り仕様だ。ライバル車のトヨタ「シエンタ」は、2列目シートはベンチタイプのみだが、「フリード」の6人乗りであれば、両側にアームレストが装着されたセパレートタイプなので快適性が高い。さらに、車内の中央が通路にもなるので、3列目シートに座る人が2列目のスライドドアから乗り降りできる。ほかのミニバンにおいても、3列シート6人乗り仕様は人気が高い。

パワーユニットは、ハイブリッドの「e:HEV」も積極的に検討したい。走りが滑らかで力強く、1年間の走行距離が1万5,000kmを超えるのであれば、低燃費の「e:HEV」を選ぶメリットが際立つだろう。ただ、前述のとおり、2、3列目シートに人が乗る機会が少ないなら、という条件が付く。

そして、多くの荷物を運んだり車中泊したりするユーザーには「CROSSTAR」の2列シート仕様がぴったりだ。新型「フリード」は、多彩なニーズに応える日常的に使いやすいミニバンへと仕上げられており、先代型と同様に人気車となるだろう。

新型「フリード」はホンダアクセスの純正アクセサリーも充実している

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ベルリナブラックとブラッククロームメッキのフロントグリル

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フロントガーニッシュ(バンパー周り、バンパー下、サイド)

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アウトドアに便利な「ルーフラック」と「トランクサイドボックス」

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「ユーティリティフック」を使えばランタンなどを吊るすこともできる

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渡辺陽一郎
Writer
渡辺陽一郎
「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト
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桜庭智之(編集部)
Editor
桜庭智之(編集部)
自動車専門メディアで編集者として10年間勤務した後「価格.comマガジン」へ。これまで、国産を中心とした数百の新型車に試乗しており、自動車のほかカーナビやドラレコ、タイヤなどのカー用品関連も担当する。
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