レビュー

新型「ヴェゼル」は走りも激変!人気の「WR-V」と比べて乗ってみた

トレンド感たっぷりでオシャレなアーバンSUV、ホンダ「ヴェゼル」がマイナーチェンジし、アウトドアにも似合うスタイルの「HuNT」パッケージを追加するなど、さらに幅広いユーザーに響く魅力を手にしました。

今回は、ハイブリッド「e:HEV」のFFと4WDモデルやガソリンモデルへ試乗するとともに、「WR-V」とも比較してみたいと思います。

マイナーチェンジされた「ヴェゼル」に設定された「HunT」

マイナーチェンジされた「ヴェゼル」に設定された「HunT」

2024年にマイナーチェンジされた2代目「ヴェゼル」

「ヴェゼル」はエクステリアデザインに、ワイドでカタマリ感のあるボディ同色グリルが採用されており、マイナーチェンジではバンパー形状やリアコンビネーションランプを変更することで、存在感をさらにアップさせています。「HuNT」にはルーフレールが装備されるのもポイントです。

インテリアは、水平基調のインパネへ新たにシンメトリーなセンターコンソールを配置して、助手席側からも使いやすくしています。そのほか、スマートフォンでリアゲートの開閉が可能となったり、「HuNT」には撥水撥油加工のファブリック「FABTECT」を採用してガンガン使っても汚れにくくしたりするなど使い勝手を向上。都会的な「PLaY」とアクティブな「HuNT」でカラーコーディネートも変えることで、それぞれの世界観を追求しています。

都市部の景観にマッチする「PLaY」パッケージ

都市部の景観にマッチする「PLaY」パッケージ

装備面では、先進安全運転支援システム「Honda SENSING」に新機能を追加。従来は時速65km以上からステアリングアシストが作動しましたが、今回からは「トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)」が加わったことにより、時速0kmからステアリングアシストが作動します。

また、ペダル踏み間違い防止の機能は以前からありましたが、前方に障害物がなくても作動する「急アクセル抑制機能」が追加となり、後退時にも作動します。そして、夜間の走行を助ける「アダプティブドライビングビーム」が進化し、歩行者の首から下に配光するなど眩惑低減と遠方の視認性向上を図っています。

快適性に関しては、静粛性の向上に注力。ルーフライニングのインシュレーター厚を2倍にするなど、遮音・防音材の最適配置や追加が行われています。また、電動パワステのセッティング改良や、サスペンション、ダンパーの減衰力を最適化するなどで、乗り心地と操縦安定性もさらに向上しているとのことです。

マイナーチェンジについて詳しくは下記記事をご覧ください。

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2024/04/25 11:00

■ホンダ 新型「ヴェゼル」のグレードと価格

e:HEV X[FF] 288万8,600円
e:HEV X[4WD] 310万8,600円


e:HEV X HuNT [FF]  299万8,600円
e:HEV X HuNT [4WD] 321万8,600円


e:HEV Z[FF]  319万8,800円
e:HEV Z [4WD] 341万8,800円


e:HEV Z PLaY[FF]  355万6,300円
e:HEV Z PLaY[FF]  377万6,300円


G [4WD] 264万8,800円

上質になったハイブリッドシステム

まずは、FFとAWDが用意されているハイブリッドモデル「e:HEV」のFFから試乗スタート。発進はモーターによるEV走行で、従来どおりのとても静かで滑らかな加速フィールです。

「e:HEV」はEVとハイブリッド、エンジン直結モードがシームレスに切り替わるので、乗員はよほど気にしていなければ、いつどこで切り替わっているのかほとんどわからないのですが、新型は本当にわからないほどスムーズで、上質感が高まっていると感じます。

滑らかに走るFFの「e:HEV X HuNT」

滑らかに走るFFの「e:HEV X HuNT」

聞けば、「e:HEV」の電動領域をうまく使うためのノウハウが培われてきたことによって、従来よりもバッテリー使用範囲が8%ほど拡大され、エンジンON/OFFの切り替え頻度も約30%低減しているとのこと。

加速と減速のコントロールのしやすさや、レスポンスもアップしている感覚で、特にクルージング状態から追い越し加速などで強めに踏み込んだ際のタイムラグがなく、スカッとする爽快なフィーリングが味わえます。ダンパーの減衰力が見直されたこともあり、路面の追従性が高まっていると感じるシーンもありました。

4WDの安定感とすぐれた乗り心地

続いて「e:HEV」の4WDモデルに乗り換えると、「ヴェゼル」らしい軽やかさの中にもしっかりとした接地感があり、強めの加速では後ろから蹴り出されるような力強さが頼もしい印象です。安定感は直進時のみならず、カーブを曲がる際にも挙動に落ち着きがあり、荷重移動が穏やかで低重心なクルマを運転しているような安心感が得られます。

FFに比べると後席の乗り心地も上質感がアップしており、市街地や高速道路でも4WDの恩恵を受けている印象です。

「e:HEV Z PLaY」の4WDモデルに試乗。FFとは乗り心地も異なり、上質な感覚が味わえます

「e:HEV Z PLaY」の4WDモデルに試乗。FFとは乗り心地も異なり、上質な感覚が味わえます

実は近年、ホンダはいくつかのモデルにおいて4WD性能に力を入れています。他社がいわゆるe四駆にシフトしていく中、ホンダは「N-BOX」や「フィット」「フリード」といった生活に根ざしたコンパクトモデルでも、悪路走破性や脱出能力の高いシャフトタイプにこだわっているのです。

そして、新型「ヴェゼル」ではクラストップのリア駆動力を確保。発進時は、前後の駆動力配分が55:45くらいまでリアに比重をおいて力強く安定した発進加速を助け、通常は70:30程度で軽快感と燃費性能にも配慮しています。

4WDの制御技術が進化し、たとえば1輪だけが滑り始めたような状態からも、駆動力配分が素早く的確に行われることで立て直しがスムーズになり、雪道やちょっとしたラフロードなどでも安心して走れるように作られています。

特に今回、「ヴェゼル」はアウトドアスタイルの「HuNT」が追加されたこともあり、「本格的なクロカン四駆まではいらないけれど、いざというときに頼れる四駆が欲しい」というユーザーの期待に応える4WD車に仕上がっています。

軽やかなハンドリングとしっとりとした乗り心地が味わえました

軽やかなハンドリングとしっとりとした乗り心地が味わえました

兄弟車「WR-V」との関係

さて次は、今回から4WDモデルのみの設定となったガソリンモデルに試乗してみました。まずは、軽快な身のこなしでキビキビとしたハンドリングが爽快です。

また、直進安定性やカーブでは思い通りのライントレース性があり、時おり耳に届くエンジン音が少しエモーショナルな演出にさえ感じられます。リズムのよい加速感、コントロールしやすさが好印象で、カジュアルなスニーカー感覚と安心感が両立している乗り味です。

ガソリンモデルが4WDのみになった理由は、全車がFFでガソリンモデルのみの弟分「WR-V」が登場したことにもあるそうです。ボディサイズは「ヴェゼル」とほぼ同等の「WR-V」ですが、タイで開発されインドで生産されるSUVということもあり、必要十分な装備のみに割り切って、価格帯を200万〜250万円とリーズナブルに抑えているところが大きな特徴です。

「WR-V」(左)と「ヴェゼル」(右)

「WR-V」(左)と「ヴェゼル」(右)

「WR-V」はサイドブレーキが手動だったりシートヒーターの設定がなかったりと、贅沢な装備は設定されません。しかしその代わりに、後席の頭上や足元スペースを広くとり、後席用のエアコンアウトレットやセンターアームレストがあって居住性を高めているのが美点。ラゲッジ容量も「ヴェゼル」を超えており、家族4人分のキャンプ道具もラクラク積載可能という実力の持ち主です。

走りにもしっかりとした力強さと、ロングドライブでも安心な安定感が備わっており、キビキビとしたハンドリングも魅力的。ただ、「ヴェゼル」のほうが静粛性の高さや上質な乗り心地において勝っており、ハンズフリーパワーバックゲートやステアリングヒーターなど、快適・便利装備も充実。

どちらかというと、日常からレジャーまでガンガン使いたくなるカジュアル志向が「WR-V」、エレガントで上級志向なら「ヴェゼル」といった棲み分けをしていると考えられます。

■ホンダ「WR-V」のグレードと価格
X[FF] 209万8,800円
Z[FF] 234万9,600円
Z+[FF] 248万9,300円

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2023/12/21 11:00
価格を超えた走りを見せる「WR-V」 

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豊富な選択肢から好みの1台を!

最後に、今回から「ヴェゼル」に登場した「HuNT」パッケージは、普段は都心部でエレガントに乗りながら、休日は思いっきりアクティブにアウトドアレジャーに使いたいという要望にもジャストフィット。また、オシャレにこだわる「PLaY」パッケージで4WDが選べるようになったこともトピックで、「ヴェゼル」はまさに、多様化するユーザーの好みやライフスタイルを全方位でカバーできるコンパクトSUVへ進化しています。

ホンダアクセスを始めとしたオプションも豊富に用意されており、好みの「ヴェゼル」に仕上げることができるのも魅力的ですね!

従来は2タイプだったホンダアクセスの純正アクセサリーによるコーディネートモデルが、今回より「Urban Style」「Sports Style」「Active Style」「Casual Style」の4タイプになりました。こちらは「Active Style」で、「ヴェゼル」が元から持つタフな魅力をさらに引き出し、海や森といったフィールドで映えるコーディネートに磨き上げています

従来は2タイプだったホンダアクセスの純正アクセサリーによるコーディネートモデルが、今回より「Urban Style」「Sports Style」「Active Style」「Casual Style」の4タイプになりました。こちらは「Active Style」で、「ヴェゼル」が元から持つタフな魅力をさらに引き出し、海や森といったフィールドで映えるコーディネートに磨き上げています

フロントグリルはエンブレムまでブラックで引き締めつつ、ボディサイドデカールで自由な遊び心を表現。ルーフレールに合うシステムキャリアとルーフボックスも用意し、しっかり使えるユーティリティにもこだわっています

フロントグリルはエンブレムまでブラックで引き締めつつ、ボディサイドデカールで自由な遊び心を表現。ルーフレールに合うシステムキャリアとルーフボックスも用意し、しっかり使えるユーティリティにもこだわっています

こちらは「Sports Style」。エンブレムまでブラックのフロントグリルに加え、同色となるベルリナブラックのフロントロアースカート、サイドロアーガーニッシュ、リアロアースカートがワイド&ローなスタイルを実現。ドアミラーカバーもブラックになり、足元にはしなやかな走りと乗り心地を叶える18インチアルミホイール「MS-050」を装着。安定した接地感が得られるテールゲートスポイラーも用意されています

こちらは「Sports Style」。エンブレムまでブラックのフロントグリルに加え、同色となるベルリナブラックのフロントロアースカート、サイドロアーガーニッシュ、リアロアースカートがワイド&ローなスタイルを実現。ドアミラーカバーもブラックになり、足元にはしなやかな走りと乗り心地を叶える18インチアルミホイール「MS-050」を装着。安定した接地感が得られるテールゲートスポイラーも用意されています

「無限スポーツスタイル」は遠目からでもタダものではない存在感を伝えるレーシングスピリッツ溢れるフロントグリルデカールや、フロントアンダースポイラー、リアアンダースポイラーなど豊富なパーツを用意しています

「無限スポーツスタイル」は遠目からでもタダものではない存在感を伝えるレーシングスピリッツ溢れるフロントグリルデカールや、フロントアンダースポイラー、リアアンダースポイラーなど豊富なパーツを用意しています

リアには好みで選べるウイングスポイラーとルーフスポイラー、テールゲートスポイラーがあり、スポーツサイレンサーは本体がステンレス製、出口はチタン製という本格派。車両の振動を低減するパフォーマンスダンパーもあり、18インチアルミホイール「MDW」は新色のブラッククリアミラーフェイスです

リアには好みで選べるウイングスポイラーとルーフスポイラー、テールゲートスポイラーがあり、スポーツサイレンサーは本体がステンレス製、出口はチタン製という本格派。車両の振動を低減するパフォーマンスダンパーもあり、18インチアルミホイール「MDW」は新色のブラッククリアミラーフェイスです

写真:島村栄二、価格.comマガジン編集部(WR-V)

まるも亜希子
Writer
まるも亜希子
2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。誰でも今日からできる交通安全応援プロジェクト「OKISHU(オキシュー)」でイベント等も開催。
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芝崎 瞬(編集部)
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芝崎 瞬(編集部)
自動車専門媒体からゴルフ専門メディアを経由し、価格.comマガジンへ。クルマは左ハンドルMTに限る! と思って乗り継いでいたが翻意して今は右AT。得意クラブは、強いて言えばミドルアイアン。
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