20年間続いてきた、ロードスターのファンイベントの様子を取材!

「MX-5 RF」も国内初登場!「ロードスター軽井沢ミーティング2016」レポート

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マツダ「ロードスター」のファンイベントとして国内最大となる「軽井沢ミーティング2016」が、2016年5月28日から29日にかけて開催された。最新モデルのND型ロードスターの評判のよさもあり、過去最大の台数のロードスターと参加者を集めた本イベントを、自身もロードスターのオーナーである、モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏がレポートする。

最新モデルの人気もあり、過去最大の参加規模となったマツダ「ロードスター」のファンイベント「軽井沢ミーティング2016」。意外な隠し玉も披露された

ファンが参加費を払った上で運営ボランティアまで行って実施する

最初に断っておこう。ロードスターの「軽井沢ミーティング」はマツダの主催ではない。1993年から続く、オーナー有志によるファンイベントなのだ。どんな内容にするのかは、20名の実行委員会によって決められる。また、ミーティングの受付や交通整理、PA、パーティーの仕切りなどは、すべてロードスターのオーナーによるボランティアだ。彼らはみな、普通の参加者と同様に参加費を払って、その上で交通整理などを行う。文字通りのファンによるファンのためのファンイベントである。

そんな手作りのイベントを20年続けてきたことで、今では参加台数1363台、参加人数2402名(2016年主催者発表)の大きなイベントに成長した。数あるロードスターのミーティングの中で、このイベントが抜きんでて大きくなったのは、「ロードスター・クラブ・オブ・ジャパン(RCOJ)」の存在が大きいだろう。RCOJは独自の会報誌を発行するオーナーズクラブであるが、全国に存在するたくさんのクラブの連絡会のような存在でもある。そのRCOJが軽井沢ミーティングの実行委員の一員として参加していることで、全国のクラブが参加しやすい雰囲気を生んでいるのだろうと思う。

個人的な話で恐縮なのだが、自分自身も約20年前からマツダのロードスターのオーナーだ。ロードスター専門誌の記者をしていたこともあったため、軽井沢ミーティングには15年ほど前から参加してきた。その長い年月でも、「ファンによる手作り」という部分は、少しも変わらない。メーカーや広告代理店などの意向の入っていない、純粋なファンのためのイベントを守り続けてきた。だからこそ、新しい人を呼び集める力を持ち続けることができたのではないだろうか。

は1993年から20年以上の歴史のあるファンイベント。今年は、参加台数1363台という巨大なファンイベントに成長した

初めてあう人ともすぐに仲よくなれる前夜祭!

軽井沢ミーティングは2日間にわたって開催される。初日のメニューは、午前中から夕方にかけて「コマ地図ラリー」だ。ラリーに使われるコマ地図とロードスターにまつわるクイズを解きながら、軽井沢周辺をツーリングする。参加受付50台限定とあるように規模は小さい。しかし、2日間にわたってイベントを楽しもうという熱いファンが参加する。夕刻になると会場となる軽井沢プリンスホテルにてウェルカムパーティーが開催される。ここに参加する人は、そのままホテルのコテージに分泊となる。

今年は、このウェルカムパーティーから参加した。会場はホテル内の宴会室。入口に席割りが張ってある。席は主催者が決めており、僕の席は17番テーブルであった。同じテーブルには、親子で初代「NAロードスター」に乗る2人組と、最新の「NDロードスター」を購入したという夫婦、広島から参加してきたマツダの若手社員、顔見知りの実行委員2人、それに僕という8人が顔を合わせた。広い会場には、同じようなテーブルが30近くも並ぶ。聞けば、今年のパーティーの参加者は235名。昨年よりも30名ほども増えているという。もちろん過去最高だ。

パーティーでは、まずイベントの実行委員の紹介から始まった。続いて、広島から参加するマツダの社員が壇上へ。今年は33名のマツダ社員が本イベントに駆けつけるという。もちろん、ロードスターの開発責任者である山本修弘さんも、その1人。ここで、新型の「NDロードスター」が「日本カー・オブ・ザ・イヤー」、「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」、「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」という3つの栄冠を獲得したことが報告された。

初日の夜に行われる「ウェルカムパーティー」には過去最高235名が参加した

初日の夜に行われる「ウェルカムパーティー」には過去最高235名が参加した

ロードスターの開発責任者である山本修弘さん(壇上中央)をはじめ、たくさんのマツダの社員も「ウェルカムパーティー」に駆けつけた

「ロードスターがこうして栄冠を獲得できたのも、27年間も作ってこれたからこそ。また、NDだけでなくNAから長く乗り続けていただけた皆様のおかげだと、本当に感謝しております」とはマツダの広報本部長である工藤秀俊さん。

また、マツダOBであり、2代目(NB型)と3代目(NC型)ロードスターの開発責任者であった貴島孝雄さんと、マツダの元デザイン本部長である福田成徳さんもいつものように顔を見せる。福田氏による手作りのタペストリーやイラストなどがもらえるジャンケン大会は、ウェルカムパーティーの毎年恒例のメインイベントなのだ。

2代目(NB型)と3代目(NC型)ロードスターの開発責任者の貴島孝雄さん(写真左)と、デザイン本部長を務められた福田成徳さん(写真右)も登場

「ウェルカムパーティー」では、マツダの元デザイン本部長の福田夫妻による手作りの記念品が用意された

「ウェルカムパーティー」では、マツダの元デザイン本部長の福田夫妻による手作りの記念品が用意された

ジャンケン大会を勝ち抜き、手作りの記念品を獲得した舛田さん(写真右)

ジャンケン大会を勝ち抜き、手作りの記念品を獲得した舛田さん(写真右)

ウェルカムパーティーの途中、持ち込んだ愛車のパーツにロードスターの開発陣のサインをいただいてご満悦

ウェルカムパーティーの途中、持ち込んだ愛車のパーツにロードスターの開発陣のサインをいただいてご満悦

コテージは中央のリビングを挟んで4部屋8ベッド。同宿は、神奈川からやってきた子供連れ3人の夫婦が2組。そして、僕のような単身で参加する男性3名だ。うち2人は顔見知りであるが、ほかは初めてであった。少し話をした後に二次会へ。実は、ウェルカムパーティーの後はコテージごとに飲んだりするのだが、例年、どこか1か所のコテージに集まって大きな二次会が開かれる。カメラを持って覗いてみれば、いたいた! 実行委員会の面々にまじって、元開発責任者の貴島さんや元デザイン本部長の福田さん、現在の広報本部長の工藤さんも。さらに遅れて現在の開発責任者の山本さんもやってきた。僕と同じように前泊から参加しているメディアの人間も隣に。まさに無礼講のように、マツダの開発陣とファンがクルマ談義に盛り上がる。これが前泊の最大の楽しみだったりするのだ。

ちなみに僕は翌日曜のミーティング取材もあるため、深夜12時前には引き上げてベッドに潜りこんだ。しかし、朝方4時くらいまで飲んでいた剛の者もいたそうだ。

ウェルカムパーティーの後はコテージに移動して二次会となった。ロードスターの開発者とファンがクルマ談義に盛り上がる

軽井沢の駅前に“ロードスターだけ”の渋滞が発生する

「ロードスター軽井沢ミーティング」の本番は、2日目のミーティングだ。軽井沢駅の前にある軽井沢プリンススキー場の駐車場いっぱいにロードスターが広がる風景は絶景そのもの。しかし、そこから見えるロードスターは、全体の半分以下にすぎない。メイン会場のほかに2か所も駐車場があるのだ。しかも、正式には2つしか用意がなく、ハミ出た分は、隣接するショッピングモールの有料駐車場を利用している。今年は事前に1475台のロードスターが来場を申請した。ところがこれは完全にキャパオーバー。そのため実行委員では「なるべく友達のロードスターに乗り合わせてください」「申請なしで当日に参加する人はロードスターではなく、電車できてください」というお願いをするという珍事に。そのため、本当に電車で来場する人が100人以上いたという。

一面がロードスターのメイン会場の駐車場。周辺の駐車場不足のため電車で参加する人が100名以上いたという

一面がロードスターのメイン会場の駐車場。周辺の駐車場不足のため電車で参加する人が100名以上いたという

ちなみに人気が高いのは、メインステージのある第一駐車場。そこに愛車をとめることができれば、仲間にも愛車を見せやすいし、メディアなどの撮影に写ることも期待できる。ただし、第一駐車場の駐車券は申し込み順。そのため第一駐車場にとめたい人は、イベントの申し込み初日に競争のように申し込み作業を行う。また、駐車所内のどこにとめられるかは、当日の早いもの順。そのためミーティングの開幕は10時だが、駐車場は8時にオープンする。ただし周囲の迷惑になるため、8時前から待つことは厳禁。そのためにジャストを目指して、時間調整を行いながら会場に向かうのだ。

8時ジャストを目指して1000台を超えるロードスターが会場に殺到する。そうなると、朝の8時台の軽井沢駅前は、“ロードスターだけ”という世にも珍しい渋滞が発生する。これも軽井沢ミーティングの名物。また、前日から当日にかけて軽井沢の周囲にはロードスターが数多く集まっているため、当然、すれ違ったりすることも多い。そのとき、ほとんどのロードスターのドライバー同士で手を振り合う。これもほかではない、軽井沢ミーティングの名物なのだ。

会場がオープンとなる朝の8時になると一気にロードスターが会場に集まってくる

会場がオープンとなる朝の8時になると一気にロードスターが会場に集まってくる

ロードスターのスペシャルショップも数多く出店。ここで用意される特売品を狙う参加者もたくさんいるのだ

ロードスターのスペシャルショップも数多く出店。ここで用意される特売品を狙う参加者もたくさんいるのだ

「MX-5 RF」がメディアよりも先に、ファンミーティングに登場!

「見上げてください。晴れました! ロードスターすごいですね。世界一のクルマですよ(笑)。作ったマツダさん、育ててきた我々、自信をもってこれからも乗っていきましょう!」という実行委員長の挨拶でミーティングはスタートした。そして、広島から駆けつけたマツダ社員の紹介が続く。ロードスターの開発責任者である山本さんからは「今日はマツダから33名が、みなさんとロードスターや人生について、いろいろな話をできることを楽しみにきました。今日一日、みなさんと楽しい時間が過ごせればいいなと思っております」という挨拶。

開会式の後にメイン会場で行われたのが、ペダルカーレース。小さな子供たちがロードスターのペダルカーに乗って競争を行うもの。軽井沢ミーティングでは古くから行われる伝統のレースだ。

小さな子供たちがロードスターのペダルカーで行うペダルカーレースは、開会を彩る伝統の行事だ

小さな子供たちがロードスターのペダルカーで行うペダルカーレースは、開会を彩る伝統の行事だ

レースが終わると、人がステージ前に集まりだした。狙いは、「MX-5 RF」の日本初披露のアンヴェールだ。「MX-5 RF」は3月のニューヨークショーでワールドプレミアされたばかりのプロトタイプ。もちろん日本ではメディアの前にも出ていない。日本においては正真正銘の初披露となる。つまり、マツダはメディアよりも先にファンにクルマを見せようというのだ。ちなみに、軽井沢ミーティングでロードスターが日本初披露となるのは、今回が初ではない。先代の「NCロードスター」も最新の「NDロードスター」のシャシーの日本初披露も、軽井沢ミーティングの会場が使われている。ここからもマツダが軽井沢ミーティングを非常に大切に思っていることがうかがい知れる。

プレスより先に国内初披露となった「MX-5 RF」、今回の目玉といえる存在だ

プレスより先に国内初披露となった「MX-5 RF」、今回の目玉といえる存在だ

「SKYACTIV-G」を搭載。北米仕様なので2リッターエンジンを搭載

「SKYACTIV-G」を搭載。北米仕様なので2リッターエンジンを搭載

デザイナーのこだわりが詰まった美しいルーフライン

デザイナーのこだわりが詰まった美しいルーフライン

屋根を開放しても、バックウインドウはそのままで、風の巻き込みを防ぐ

屋根を開放しても、バックウインドウはそのままで、風の巻き込みを防ぐ

メーター内の液晶ディスプレイで、開閉中の屋根が表示されていた。なお、10km/h以下の走行速度なら開閉が可能ということだ

「MX-5 RF」を前に、どうしてこのようなスタイルになったのかを説明する開発責任者の山本さん(左)とデザイナーの中山さん(右)

クルマが大好きという熱意は日本もオーストラリアも同じ!

それでは次に会場で参加者に話を聞いた軽井沢ミーティングの感想をレポートしよう。トップは、15年以上通い続けており、今年から実行委員にも加わった白根宏希さんだ。イベント当日までに、5回ほど事前に集まって会議を開き、当日も朝から交通整理を行っていた。
「実行委員が大変なのはわかっていました。でも、いろいろな人と知り合えるかなと思って。このイベントは、年に一度の顔合わせみたいな雰囲気がありますね。仲間とツーリングに来るというのも楽しみですから」と白根さん。

15年以上の参加暦があり、今年から実行委員として運営に関わった白根さん。「このイベントは、年に一度の顔合わせみたいな雰囲気がありますね」と語った

続いて、愛媛から初参加となった村上モータースの村上博幸さん。村上モータースはスーパー耐久にロードスターで参戦しており、今年5月にND型で優勝を飾っている。
「初めての参加ですが、みんな“優勝よかったね”と言ってくれて、温かく受け入れていただけました。ありがたいですね。これだけの台数がいると、いろいろな人がいるはずですけれど、みなさんマナーがいいですね。大人のミーティングですね。参加者が作り上げたイベントだなと思いました」と村上さん。

今年5月のスーパー耐久にND型で参戦し、優勝した「村上モータース」の村上博幸さん。会場でも多くの人から祝福をうけていた

2匹の愛犬と共に夫婦で参加していた冨沢さん夫妻にも話を聞いた。「サーキットに犬を連れていくことはできませんが、ここならOKですしね。個人的にクルマのカスタムをDIYするので、ここに来るとネタ探しにもなります。メーカー主催だと、そういうDIYはなかなかありませんからね」とご主人の雄二さん。
「ロードスターのオーナーさんはフレンドリーな人が多いみたいですね。あと、ポメラニアンを飼っている人もたくさんいて、私は犬友達と会いにきているような感じです」と千尋さん。

愛犬とともに参加した冨沢さん夫妻。「ロードスター軽井沢ミーティング」は、カスタムDIYのネタ探しにもなるとのこと

グループで参加していたのは、富士スピードウェイで開催されるロードスターのワンメイクレース「富士チャンピオンレースシリーズ」に参戦する面々だ。
「ロードスターのレースがあるというのをアピールしようと参加しています。これだけ参加台数の多いイベントはりませんからね。このイベントは、仕事がバラバラでも、好きなものがロードスターだっていうことが共通しています。そこがおもしろいですね」

ロードスターのワンメイクレース「富士チャンピオンレースシリーズ」の参加メンバーたちも、レースのアピールに駆けつけていた

最後にオーストラリアから取材にきていた記者のフェアン・トールさんにも話を聞いた。
「このイベントはいいね! オーナーの人達と話したけれどグレートだよ。いろいろな人生、ユニークな人がたくさんいてビックリした。幸せな感じがするね。オーストラリアには、これほど大きなイベントはないけれど、オーストラリアの人間はクルマが大好きで、運転の楽しいクルマが大好き。もちろんスポーツカーが好き。そうした情熱はオーストラリアも日本も同じだったよ」とニッコリ。

オーストラリアから取材にきていた記者のフェアン・トールさん。「オーナーの人達と話したけれどグレートだよ」と語ってくれた

ロードスターを手に入れると「誰もが幸せになる」を実感

今年の軽井沢ミーティングを振り返ると、思い出されるのは笑顔ばかりだ。考えてもみれば、当然かもしれない。とにかくロードスターの周辺はよいことばかりなのだ。4月には累計生産台数100万台を突破した。カー・オブ・ザ・イヤーでは3冠を達成。新型「NDロードスター」の販売も好調で、発売2年目にして、先代NC型よりも多くの台数がミーティングに駆けつけた(参加1363台の内訳は、NA555台、NB324台、NC237台、ND247台)。また、マツダ自体の業績も絶好調。さらに「MX-5 RF」のサプライズ。メディアではなくファンから先に新型プロトを披露するというマツダの姿勢もうれしい。その上、天気も最高。陽射しはやわらかく、山から吹く風は爽やか。まさに絶好のオープンドライブ日和である。「誰もが幸せになる」というロードスター。その言葉を実感できる2日間であった。

鈴木ケンイチ

鈴木ケンイチ

新車のレビューからEVなどの最先端技術、開発者インタビュー、ユーザー取材まで幅広く行うAJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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2017.8.19 更新
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