ポテトチップス界の王者・カルビーが今夏、市場という“リング”にダークヒーローを爆誕させました!
そのブランドが、2024年7月22日にデビューした「ポテトチップス濃厚キング」。まず「ポテトチップス濃厚キング 圧倒的バーベキュー味」と「ポテトチップス濃厚キング 旨辛ゴッドチリ味」の2種類が発売され、翌月8月26日には「ポテトチップス濃厚キング とまらんガーリック味」がコンビニで期間限定発売されました。
左から、「ポテトチップス濃厚キング 旨辛ゴッドチリ味」、同「圧倒的バーベキュー味」、「とまらんガーリック味」。メーカーの想定価格は、それぞれ160円(税込)前後
この3種類の新作は、パリッと軽い食感と濃厚なフレーバーが特徴的ですが、マーケティングもユニーク。立ち位置はカルビー「ポテトチップス」の“公式ライバル”的なポジションで、パッケージには新キャラのグループ「濃キン団(のうきんだん)」が描かれています。
左は、カルビー「ポテトチップス」のキャラクターで、正式名称はないものの「ポテト坊や」が愛称。そして右が、「ポテトチップス濃厚キング」の「濃キン団」
「濃キン団」はプロレスラーのような覆面をかぶっており、これは「ポテト坊や」をベビーフェイス(プロレスにおける善玉、正統派)とするならば、彼らはヒール(プロレスにおける悪玉)という対立構図でしょう。そうなると、ますます気になるのが「ポテトチップス濃厚キング」の味わいです。
そこで今回は、「ポテトチップス濃厚キング」をそれぞれのライバルとなる商品と食べ比べて、特徴を浮き彫りにしていきます。ただ、カルビーには該当する商品がない味もあったため、メーカーとしての競合である湖池屋のポテトチップスも用意し、それぞれをマッチアップさせてみました。
「ポテトチップス濃厚キング」の各味と比較する商品はこちら(写真下段)。左から「カラムーチョチップス ホットチリ味」「ポテトチップス 禁断のコンソメWパンチ」「ポテトチップス ガーリック」です
初戦はカルビー内での濃い味対決、「ポテトチップス濃厚キング 圧倒的バーベキュー味」vs「ポテトチップス 禁断のコンソメWパンチ」です。
「ポテトチップス濃厚キング 圧倒的バーベキュー味」。主なスペックは、1袋55gあたり303kcal、炭水化物29.9g、脂質18.9g
これは対戦相手を探すのが大変でした。現在、同価格帯の主要ポテトチップスにはバーベキュー味がなく、カルビーであれば「サッポロポテト バーベQ味」が近しい味ですが、「サッポロポテト」は原材料の一部に小麦粉を使っており、形状としてもポテトチップスではないので断念。味の濃さや形状を考えて、最も近しい商品として「ポテトチップス 禁断のコンソメWパンチ」をブッキングしました。
2024年7月15日からコンビニエンスストアで発売されている、「ポテトチップス 禁断のコンソメWパンチ」。1袋62gあたり342kcal、炭水化物33.7g、脂質21.4g
ちなみに「ポテトチップス濃厚キング」は、カルビーが行った「スナック菓子を選ぶ際の重視点に関する消費者調査」の結果、「味付けが濃厚であること」が上位にランクインしたことから誕生した背景があるとか。
まずは「ポテトチップス濃厚キング 圧倒的バーベキュー味」からチェック
「ポテトチップス濃厚キング 圧倒的バーベキュー味」は、パリッと軽い食感のポテトチップスに、たっぷりかかった濃厚で刺激的なパウダーが特徴です。袋を開けると、確かにバーベキューを思わせるジューシーな香りがふわりと。甘みは控えめながら、酸味は十分に感じるバーベキューソース的なフレーバーです。
「濃厚キング」の名に偽りのない、しっかりした味付け。お酒にもすごく合いそうです
そしてひと口。食感は、慣れ親しんだカルビー「ポテトチップス」のパリパリ感で、味わいとしてはパウダーがしっかりまぶされ、塩味も甘みも酸味も重厚です。辛さは控えめながら、ところどころに黒胡椒が好アクセント。その名に恥じぬ濃厚さながら、マニアックになりすぎない刺激度合いが絶妙です。
次は「ポテトチップス 禁断のコンソメWパンチ」をチェック。こちらのほうが、色はやや濃く見えます
「ポテトチップス 禁断のコンソメWパンチ」は、カルビー「ポテトチップス」の大定番「コンソメパンチ」の大進化版。コンソメ風味を2倍にした「ポテトチップス コンソメWパンチ」をさらにトガらせ、「秘伝のスパイス」を強化してより刺激的な味わいに仕立てています。
香りの強さは「秘伝のスパイス」によるものかも。「濃キン団」も驚くほどの、味の禁断っぷりはあるのでしょうか
こちらも香りは豊か。ただどこか、揚げ麺ソース味のカップ焼きそば的なニュアンスが感じられます。そんな香りに対して、味はもちろんコンソメですが、さすがにパンチが強め。味に関しては、塩味や甘みは強めながら酸味は控えめで、その分ジャガイモの旨味を感じます。味の濃さは「ポテトチップス濃厚キング 圧倒的バーベキュー味」といい勝負ですが、刺激はこちらのほうがおとなしいと感じました。
それぞれ3枚ずつを1皿に。どちらも、胡椒を思わせる小さな黒い粒がかかっています
この対決は、味の濃さとしてはほぼ互角であるものの、フレーバーの方向性で感じ方も変わる気がします。甘酸っぱさやジューシー感といった、バーベキュー的な要素なら「ポテトチップス濃厚キング 圧倒的バーベキュー味」のほうが刺激は強いです。いっぽう、肉のダシや野菜の旨味といった底力は、「ポテトチップス 禁断のコンソメWパンチ」が善戦。いずれにせよ、どちらも満足度の高いポテチに仕上がっています。
2回戦は辛い系ポテチ対決。「ポテトチップス濃厚キング 旨辛ゴッドチリ味」と、「カラムーチョチップス ホットチリ味」を比較します。
「ポテトチップス濃厚キング 旨辛ゴッドチリ味」。1袋55gあたり302kcal、炭水化物29.9g、脂質18.8g
「ポテトチップス濃厚キング 旨辛ゴッドチリ味」は、刺激的な唐辛子の辛さと肉の旨味のメリハリを効かせていることが特徴。開封すると、唐辛子の香辛料、カイエンペッパーにタマネギの旨味が合わさったような香りが漂います。
ニンニク的なパンチは抑え目ないっぽう、ジューシー感はあり。辛さはどうでしょうか
食べてみると辛さはそこそこで、ジワジワと攻めてくる印象。肉汁に、タマネギやトマトの旨味を足したような味わいで、しょっぱさもなかなか。そのうえで旨味や酸味も感じられ、かすかに豚キムチ的なニュアンスも。
続けて食べ進めたところ、それなりの辛さはありますが、激辛とまではいかない刺激感が楽しめました。「ポテトチップス濃厚キング 圧倒的バーベキュー味」同様、マニアックにならないレベルを攻めている印象です
そして対するは、辛い系食品の金字塔とも言える「カラムーチョ」。今でこそ、より辛いポテチはたくさんありますが、1984年9月に誕生した「カラムーチョ」シリーズは激辛ブームの火付け役とも呼ばれており、なかでも定番なのが「カラムーチョチップス ホットチリ味」です。
2024年で「カラムーチョ」は40周年を迎えました。なお、キャラクターの「ヒーおばあちゃん(森田トミ)」は1877年生まれ(1853年生まれの「ヒーヒーおばあちゃん」もいます)
誕生秘話としては、開発当時にアメリカを訪れた担当者が、現地で流行していたメキシコ料理に着目して生み出されたそう。ちなみに「ムーチョ」とは、スペイン語(メキシコの公用語はスペイン語)で「もっと」の意味。「辛いポテトチップスをもっとたくさん食べてほしい」という願いが込められています。
「カラムーチョチップス ホットチリ味」は、1袋55gあたり309kcal、炭水化物29.4g、脂質19.8g。「ポテトチップス濃厚キング 旨辛ゴッドチリ味」と大差はありません
香りは、ニンニクと甘やかなフレーバーがほんのり漂うものの、意外に控えめ。味は塩味、甘み、酸味がケンカせずに主張し合い、ジャガイモの旨味も十分。非常にバランスがよく、ロングセラーの矜持を感じます。
貫禄すら感じる、お手本のような旨辛さ。さりげない刺激があり、この味がヤミツキになる要素とも言えるでしょう
甘みをともなう旨味もいい感じで、こういった細かい部分に「ポテトチップス濃厚キング 旨辛ゴッドチリ味」との違いがあると感じます。ただ、辛さがジワジワ増していく感じは「ポテトチップス濃厚キング 旨辛ゴッドチリ味」と同様。というか、「ポテトチップス濃厚キング 旨辛ゴッドチリ味」が「カラムーチョ」の辛さを研究し尽くしたのかもしれません。
色も、辛さのレベルも、広がり方も互角。ただ、味の構成要素が若干異なると感じました
簡単に言えば、「ポテトチップス濃厚キング 旨辛ゴッドチリ味」ほうが少々塩味が強めで、野性味やスパイスのモダンさもプラス。いっぽうの「カラムーチョチップス ホットチリ味」は、全体的に好バランスながら、あえてあげればニンニクと甘やかな風味がフックに。好敵手と言える、ハイレベルな戦いがあると感じました。
最終戦は「ポテトチップス濃厚キング とまらんガーリック味」vs「ポテトチップス ガーリック」です。ご存じ、ガーリックといえばニンニクのことであり、それぞれがどのようにマシマシしているのかが1つの争点となるでしょう。
「ポテトチップス濃厚キング とまらんガーリック味」。1袋55gあたり302kcal、炭水化物29.8g、脂質18.8g
味わいのポイントは、焼いたニンニクの濃厚な旨味と、隠し味のカツオのダシ感。さらにピリ辛なスパイスを加えることで、キレのあるテイストに仕上がっているそう。カツオを使っている点が、個性になっていると思われます。
「濃キン団」と「パリッと濃厚!」の文字はパッケージの上部に移動。その分、焼きニンニクのインパクトが前面に出ています
開封してみると、香りの強さからして絶大。この時点でカツオの風味が強調されており、和なテイストを豊かに感じます。ちなみに、公式サイトには「カツオ」と書かれていますが、細かいことを言えばこれはカツオ節。食べてみると酸味と甘みは控えめで、ニンニクのパンチと塩味がガッツリ。カツオ節の旨味も、ニンニクに負けないレベルの強靭さです。トータルで、まさに「濃厚キング」らしいパンチ力に仕上げられています。
ニンニクだけでなく、カツオ節の風味もマシマシ。香りだけでも、ただのガーリックポテチではないとわかります
迎え撃つは、湖池屋の「ポテトチップス ガーリック」。こちら、実は「カラムーチョ」よりも大先輩で、デビューは1970年。同社では「ポテトチップス のり塩」に次ぐ長い歴史を持つフレーバーで、しかも同期には「ポテトチップス バーベキュー味」もありました。後者は現在終売していますが、過去には復活したこともあるので、今後に期待です。
左上の「since1962」は「湖池屋ポテトチップスのり塩」の誕生年。なお、“ニンニク入れますか?”の「ラーメン二郎」は1968年創業(当時は「ラーメン次郎」)です
改めて「ポテトチップス ガーリック」をチェックすると、香りはストレートなニンニクフレーバー。陰にはオニオンソテーのような洋食的ニュアンスもあり、味わいとしてはその甘やかな旨味の奥で、適度な塩味が支えています。
「ポテトチップス ガーリック」は、1袋55gあたり311kcal、炭水化物30.2g、脂質19.8g。2種のニンニクをブレンドした香ばしくてクセになる味が特徴
味としてのニンニク感は香りほどではないにしろ、口の中には十分に残り、余韻としてもちゃっかり滞在。わかりやすい、ヤミツキな味わいのポテトチップスです。
ジャガイモの味も残しつつ、パワフルな香りとふくよかな味付けでガッツリ度合いを演出。パッケージの見た目以上に、ワンパクな仕上がりです
「ポテトチップス濃厚キング とまらんガーリック味」と「ポテトチップス ガーリック」の違いは明快で、カツオ節が効いた和風の味わいが前者、ストレートにニンニクのパンチを感じられるのが後者です。また、ニンニクのパンチは互角ですが、旨味と塩味がリードするのが前者であり、ジャガイモの味や甘みをより感じられるのが後者とも言えるでしょう。
同じガーリック味でも、味わいはかなり別物。ニンニク好きの人は、ぜひお試しを
以上、新ブランドの「ポテトチップス濃厚キング」3品を競合品とそれぞれ食べ比べてみました。おいしさの感想としてはどれも互角で、どちらを選ぶかは各人の好みによると思います。簡潔に味の個性や特徴をまとめたので、ぜひご参考に。
・「濃厚キング 圧倒的バーベキュー味」vs「禁断のコンソメWパンチ」
⇒前者は甘酸っぱさやジューシー感が豊か。後者は肉のダシや野菜の旨味が優勢。
・「濃厚キング 旨辛ゴッドチリ味」vs「カラムーチョ」
⇒前者は比較的に塩味が強く、野性味やモダンさがある。後者はニンニクと甘やかな風味がフックになった味。
・「濃厚キング とまらんガーリック味」vs「ポテトチップス ガーリック」
⇒前者はカツオ節の旨味と塩味が効いた和風感が独特。後者はストレートなニンニク香と、ジャガイモの味や甘みがより感じられる。
どれも味が濃くてお酒に合うので、おつまみにもどうぞ!
なお、「カラムーチョ」が40周年であると先述しましたが、2024年はカルビーの創業75周年にあたり、翌2025年はカルビー「ポテトチップス」の誕生50周年。今回の「ポテトチップス濃厚キング」は、アニバーサリー的な意味合いもあるでしょうし、「ポテトチップス濃厚キング とまらんガーリック味」に続く限定フレーバーも出るはず。
ポテ“値”の“ポテ”ンシャル、計りしれません
さらに言えば、濃厚なフレーバーはこれまでもカルビー「ポテトチップス」シリーズから発売されてきましたが、今後はブランドをうまく使い分け、パンチの強い商品は「ポテトチップス濃厚キング」シリーズとして発売されていくのでは? とも考えられます。
それを予感させる施策はすでにあり、今年は「ポテトチップスクリスプ」の包装形態が筒から袋に一新されましたし、「シンポテト」は「ポテトチップス 超薄切り」へとリブランディグされました。湖池屋も既存の「湖池屋 JAPAN PRIDEプロジェクト」を「湖池屋プライドポテト 日本の神業」シリーズとして新展開するなどしており、実は大きな進化が見られる昨今のポテチ業界。今後も見逃せません!