「チョコレートは明治♪」のキャッチコピーで知られる明治。数々の名作チョコを世に送り出している同社ですが、チョコスナックの代表格といえば「きのこの山」と「たけのこの里」でしょう。その売上はなんと年間220億円にものぼるそうです。
そんな2商品が今夏、11年ぶりにリニューアルしました。そこで本稿では、フードアナリストである筆者がそれぞれの新旧を比較して、どんな進化を遂げたのかを解析。また、永遠のテーマでもある「きのこの山」vs「たけのこの里」の味を比べて、違いをより明確にしていきます。
何が変わった? そして両者の違いは?
皆さんの中にはきっと、「俺はきのこ派!」「私はたけのこ派」といった熱い討論をしたことがある人もいるはず。一説によると、この論争は1980年ごろから始まっていて、事実、これまでに何度か対決企画も実施されています。21世紀になってからは、販売元の明治による国民総選挙も定期的に開催されているのをご存じでしょうか。
2001年に実施された「きのこ・たけのこ総選挙」での勝利をはじめ、全体的には「たけのこの里」が優勢。昨年も総選挙で「たけのこの里」が勝利していますし、実売も優勢のようで、月によっては倍ぐらい違うこともあるそうです。ただ、2013年にYahoo! Japanがキーワード検索数を調査したところ、大半の都道府県で「きのこの山」が「たけのこの里」を上回ったという結果もあり、両者の実力は伯仲していると言えるでしょう。ちなみに、リニューアルに合わせてただいま開催中の再選挙「きのこの山・たけのこの里 国民総選挙2019」では、現在「きのこの山」が優勢です。
まずはどうリニューアルしたのかを調べるために、それぞれの新旧バージョンを用意しました。パッケージを見る限りでは、そこまで大きな違いは見られません。勝負は味の1点に絞られました。
上がリニューアル後で、下がリニューアル前のもの。新しいほうには「NEW!」のアイコンがあります
パッケージの裏面を見ると、それぞれのリニューアル部分について触れられています。
「きのこの山」はクラッカー(と呼ぶそうです)が、「たけのこの里」はクッキー(こちらはそう呼ぶそうです)が新しくなったとのこと。この、チョコ以外の生地の部分がポイントになりそうです。
「きのこの山」パッケージ裏面
「たけのこの里」パッケージ裏面
上が新で、下が旧バージョンです
それではまず「きのこの山」から食べ比べてみましょう。「きのこの山」は、カリッとした歯ごたえが楽しめる香ばしいクラッカーに、まろやかなミルクチョコレートと、カカオが香るチョコレートの2つのチョコを合わせたチョコスナック。これらのバランスが絶妙で、ついつい手が出てしまうおいしさです。
上が新で、下が旧。イラストのタッチが若干変わっているようです
内容量はともに74g。栄養成分表示を見ると、新のほうが少しだけカロリー(417kcal→423kcal)と食塩相当量(0.2g→0.3g)が増えています
左が新で、右が旧。見た目の変化はありません
左が新で、右が旧。割ってみても、特に変わったところはありません
食べてみると、クラッカーの塩味が増したことで、チョコの甘みとのメリハリ感もアップ! 「クラッカーが新しくなったよ」と表記されているということは、チョコはリニューアルせずそのままなのかもしれません。いずれにせよ、より完成度が高くなっている気がします。
変わったのはこの部分。わずかに塩味が増して、チョコの味が引き立つようになりました
続いては「たけのこの里」の変化をチェックしてみましょう。「たけのこの里」も、「きのこの山」と同じく、カカオチョコレートとミルクチョコレートの2層のチョコを使用しています。形以外に違う点は、サクサクっとした食感で口どけのいいクッキーの部分です。
上が新で、下が旧。こちらもイラストのタッチが変わっています
内容量はともに70gで、「きのこの山」より4g少ないです。で、こちらは新のほうがほんの少しだけ低カロリー(391kcal→383kcal)になっていて、わずかにヘルシー。そして食塩相当量はどちらも0.4gで変わりません
やはり見た目は新旧同じです
割ってみるとこんな感じ。個体差かもしれませんが、新(左)のほうがちょっとだけチョコが多いかな?というくらいで、ほぼ変わりません
栄養成分表示からはわかりませんでしたが、こちらも進化の中身は、土台のクッキー部分の塩味がアップしたこと。これによって全体的な味わいがはっきりした印象。また、「たけのこ里」のほうがチョコと生地との一体感が強い分、新旧の違いを感じやすいと思いました。
塩味が増して食べやすくなったのは「きのこの山」と同じ。少しだけ大人の味になった?
主な変更点は塩味でしたが、ほかには、きのこ・たけのこのどちらも新バージョンのほうがサクサクしているように感じました。ただこれは、新バージョンのほうが作られてから時間が経ってない分、湿気を吸っていないだけかもしれませんが。
どちらも意識して食べ比べないとわからない差ですが、この差が今後の「きのたけブランド」のおいしさを支えていくのでしょう。
リニューアル内容がわかったところで、今度は「きのこの山」と「たけのこの里」の違いを見てみましょう。
まずは、おなじみのフォルムについて。食べやすさでいうと「きのこの山」に軍配が上がります。食べるときにチョコが溶けて手が汚れないのは高ポイント。その構造上、折れていることがあるのはちょっと残念ですが、それを補って余りあるメリットがきのこフォルムにはあります。いっぽう「たけのこの里」はクッキー生地が粉になってポロポロすることがよくあります。
「きのこの山」のほうがキレイに食べられます
次は土台となる生地の比較です。「きのこの山」のクラッカーはカリっとしていて、味としてはシンプル。対して「たけのこの里」のクッキーは生地がきめ細かく、やや甘みがある印象です。
そしてチョコの部分。「きのこの山」のほうが甘さ(物理的な甘さか、甘い香り)が控えめです。チョコの量が多いのもこっち。チョコと生地の接触面積が少ないのもあり、「きのこの山」ほうが強いチョコ感を楽しめます。
「たけのこの里」はバランス重視。クッキーが「きのこの山」のクラッカーよりもリッチさを感じさせます。さらに、チョコと生地との一体感が強いので、お菓子としての完成度も高いと思います。
チョコを楽しむなら「きのこの山」!
全体的なお菓子としてのバランスを楽しむなら「たけのこの里」!
「きのこの山・たけのこの里 国民総選挙2019」は現在も開催中で、明治のオフィシャルWebサイトで投票することができます。最終締切は2019年12月2日10:00。現状は「きのこの山」が優勢ですが、個人的に思うのは、それぞれの党首のタイプが全然違うので、そのバイアスが得票数にかかっているのではないか、ということ(きのこの山の党首:松本潤さん、たけのこの里の党首:美輪明宏さん)。
もし食べ比べるなら、両方をいっぺんに楽しめるハロウィンアソートもいいですよ
いずれにせよ選挙の動向には注目すべきですが、何よりもまずは実際に食べ比べてみてください。「自分は○○派」と決まっている方も、リニューアル後の両商品をぜひ味わっていただき、いま一度ジャッジしてほしいです。両者の違いを楽しんだら、どっちが好きかを投票してみましょう!