前回、「袋麺の王者『サッポロ一番』に高級版が登場! “一番”ウマいのはあの味だった」で紹介した「サッポロ一番 プレミアリッチ」シリーズ3種ですが、それぞれが新たな味わいとなって再び発売されました!
2024年10月に発売された「サッポロ一番 プレミアリッチ」シリーズ第2弾(第1弾は2024年5月発売)
商品名はそれぞれ、「サッポロ一番 プレミアリッチ しょうゆ味 鹿児島県産黒豚だし仕上げ」「同 みそラーメン 三重県産伊勢海老だし仕上げ」「同 塩らーめん 福岡県産はかた地どりだし仕上げ」。なかには第1弾とあまり変化がなさそうな味もありますが、やはり気になるのは、“おいしく進化しているかどうか”です。そこで今回は、第1弾と食べ比べて味わいを徹底チェックしました。
パッと見は違いがわかりにくいですが、パッケージに写っている丼の色に注目。下段(丼が黒色)が第1弾、上段(丼が白色)が第2弾です
改めて、簡単に商品概要を解説すると、「サッポロ一番 プレミアリッチ」シリーズは、インスタント袋麺の王者であるサンヨー食品「サッポロ一番」の高級版。近年、袋麺とカップ麺ともに、業界では高級版を発売する動きが顕著で、有名ブランドには「特上カップヌードル」や「最強どん兵衛」などがあります。これらは以前、筆者も記事にしているのでぜひご覧ください。
ちなみに「特上カップヌードル」に関しても、「サッポロ一番 プレミアリッチ」と同様に第2弾が発売されるほどの盛り上がりに。第2弾を出すということは、それだけ第1弾が好評だったと推測できますが、「サッポロ一番 プレミアリッチ」の第2弾には個人的に思うところ(あまり変化がなさそうな味もある)もあり、おいしくなっているのかどうかがますます気になります。
こちらは前回、第1弾と通常版を食べ比べた際の1枚
ここからは、実際に新旧の高級版を食べ比べていきます。まずは「しょうゆ味」対決。第1弾「徳島県産阿波尾鶏だし仕上げ」と、第2弾「鹿児島県産黒豚だし仕上げ」を、それぞれ徹底チェックします。
主要な各スペックは、第1弾(左)が1食112g(麺92g)あたり522kcal、脂質24.3g、炭水化物65.2g、食塩相当量5.9g。第2弾(右)は1食112g(麺92g)あたり521kcal、脂質24.2g、炭水化物64.9g、食塩相当量5.8g
なお、通常版と「プレミアリッチ」のわかりやすい違いは、前者が粉末スープなのに対し、後者は粉末と液体のハイブリッド仕様のスープであるところ。第1弾のレビューでは「劇的に味が高級になった! これは確かにエレガント! ゴージャス! ラグジュアリー!」と感動するまでのレベルではありませんでしたが、3つともに、それなりの上品さやリッチさは感じられました。今回の新旧比較においては、両者のヒエラルキーは同じなので、特に進化にフォーカスを当てて比べていきます。
左から、第1弾と第2弾。スープが入った袋の色は異なるものの、麺に関しては大きな違いは見当たりませんでした
ちなみに、「サッポロ一番」は袋麺界の王者ではあるものの、「しょうゆ味」は「みそラーメン」や「塩らーめん」ほど人気が高いわけではありません。だからなのか、第2弾の「しょうゆ味 鹿児島県産黒豚だし仕上げ」には手抜き感が見え隠れする点が否めません。というのも、“鹿児島県産黒豚だし”は、第1弾の「みそラーメン」に使われているからです。
左は第1弾の「みそラーメン 鹿児島県産黒豚だし仕上げ」。ともに“鹿児島県産黒豚だし”が使われています
そうは言っても、おいしければ問題なし! ということで、同時に作り上げていきます。レシピは、お湯の量や調理時間もまったく同じ。3分で完成し、まず香りからチェックすると、ダシの素材が変わる分キャラクターも異なります。
ともに清湯(チンタン)系の醤油ラーメンでありながら、香りのキャラクターが違うために印象も異なります
ポイントは、第1弾はダシが鶏で、第2弾は豚であるところ。第1弾のほうがまろやかで、家系ラーメンの香味オイルとして知られる鶏油(チーユ)的なニュアンスも、少しだけ感じます。お店レベルには及ばないものの、粉末と液体のWスープで立体的な味わいを演出しており、丸鶏系の淡麗ラーメンを思わせる、ふくよかな上品さもあります。
鶏の旨味に醤油のテリや甘みがじんわり
いっぽう、鹿児島県産黒豚ダシを使った第2弾は、ラード的な力強いコクと、豚由来のワイルドさが表現された味。豚骨的でもあるのですが、そこはあくまでも清湯であるためあっさりしています。また、豚の背脂には甘みを感じるものですが、そういった主張も強くはありません。むしろ甘みは、鶏を主体としていた第1弾のほうが感じます。
ほかに特徴的なのは、胡椒のほのかなパンチ。リッチな中にもいい意味であか抜けない、いなたいニュアンスがあります
第2弾は、「プレミアリッチ」らしさはそのままに、豚の特徴を生かした清湯系の淡麗醤油で、第1弾よりもワイルドな風味でした。これは第1弾との優劣をつけるのが難しいですね。鶏と豚のどちらが好きかで、評価が分かれるおいしさだと思います。
次は「みそ」を比較します。特筆すべきは、第2弾に使われている“三重県産伊勢海老だし”。第1弾が“鹿児島県産黒豚だし”だったので、動物系から魚介系へと大胆に変化したということです。しかも伊勢海老と言えば、わかりやすい高級食材。これは期待もふくらみます!
第1弾(左)は1食111g(麺90g)あたり502kcal、脂質22.1g、炭水化物65.2g、食塩相当量5.9g。第2弾(右)は1食110g(麺90g)あたり508kcal、脂質22.9g、炭水化物64.4g、食塩相当量6.0g
ところが……そこには期待しすぎた自分がいました。具体的には後述するとして、まずは第1弾「鹿児島県産黒豚だし」からレビュー。前述の第2弾「しょうゆ味 鹿児島県産黒豚だし仕上げ」とダシは同じ黒豚ながら、スープの構成が異なるため、印象も違います。
ダシが動物系と魚介系とでガラリと変わっていますが、見た目はほぼ同じ
第1弾は、ワイルドな香りにスパイシーさや味噌のコク、野菜を感じる甘くまろやかなニュアンスなどが調和して、安定のうまさ。改めて、味覚設計の骨格となっている通常版「サッポロ一番 みそラーメン」の完成度が高いことを実感します。
味噌汁とも豚汁とも違いますが、この安定感ある味噌スープの味はやはり美味。前述の第2弾「しょうゆ味」ほどではないものの、胡椒のパンチを余韻にうっすら感じました
そして第2弾の「みそラーメン 三重県産伊勢海老だし仕上げ」は、残念ながら期待外れでした……。調理中からうっすら「ん?」とは思っていたのですが、想像以上に甲殻感がパワー不足。完成させたらどうかと思いましたが、これが海老ラーメンの専門店だったら怒られるのではないか? という貧弱さです。
伊勢海老どころか、普通の海老だとしても物足りなさが否めません。こちらに関しては、もっと香りや味づくりを頑張れるはずです
いや、決してマズくはなく、おいしさとしてはまったく問題ありません。海老的な甘みやまろやかさ、マイルドな口あたりは上品さもあって、「プレミアリッチ」としてはいいのです。ただ、“三重県産伊勢海老だし”をうたうなら、もっと主張させませんか?
シリーズの完成度としては高いだけに、もったいない!
第1弾の「塩らーめん 北海道産ほたてだし仕上げ」の魚介感はバッチリでしたし、通常版の「サッポロ一番 みそラーメン」は個人的にも大好き。それだけに、この不完全燃焼感はしっかり訴えたいと思いました。
ラストは、第1弾の「北海道産ほたてだし仕上げ」がウマすぎた「塩」。第2弾では、「みそ」のダシとは逆に、魚介系から動物系の“福岡県産はかた地どりだし”へと主軸を変えた構成になっています。
第1弾(左)は1食108g(麺91g)あたり474kcal、脂質19.0g、炭水化物65.9g、食塩相当量6.8g。第2弾(右)は1食111g(麺91g)あたり496kcal、脂質21.2g、炭水化物65.5g、食塩相当量6.3g
ちなみに、筆者は「サッポロ一番」の二大巨頭である「塩らーめん」と「みそラーメン」とでは、元々僅差で「みそ派」でした。しかし前回、第1弾の「塩らーめん 北海道産ほたてだし仕上げ」を食べて「塩派」に乗り換えることに。それだけに、第2弾「塩らーめん 福岡県産はかた地どりだし仕上げ」の向かい風は強いと思いましたが、いやはや、作ってみると、これはこれでナイスな印象!
今回の比較で、見た目の違いがいちばんわかりやすかったのがこちら。第2弾は白湯(パイタン)っぽく白濁したスープが好印象で、期待を高めてくれます
もちろん、久々に味わう第1弾の「北海道産ほたてだし仕上げ」も絶品。乾燥貝柱をほおばったかのような、ふくよかなほたてのエキスがまさにリッチなおいしさです。
通常版「サッポロ一番 塩らーめん」の隠し味であるセロリ感を残しておしゃれさを演出しつつ、旨味もしっかり。スープの中に忍ばせた「切り胡麻」(通常版「サッポロ一番 塩らーめん」では別添)は香ばしさを醸し出し、飲み干したい味わいに
そして第2弾の「福岡県産はかた地どりだし仕上げ」もイイ! こちらは期待を裏切らないレベルの高さです。具体的には、博多の名物鍋である水炊きをイメージしたかのような、コク深白湯設計。このまろやかなスープは塩味との調和もすばらしく、絶品です。
水炊き的なまろやか白湯がナイス。“はかた地どり”って、そういう狙いなのでしょうか? こちらも「切り胡麻」がいぶし銀の活躍を見せ、トータルでお見事!
第1弾のスープにも少々とろみがありますが、第2弾はより強め。ポタージュと言えるほどではないものの、適度にシルキーで芳醇です。同じ鶏でも、第1弾の「しょうゆ味」で使われた“徳島県産阿波尾鶏だし”とはまったく異なる活用法で、ある種天才的。このプレミアリッチシリーズの開発者は、「塩」担当が神の舌を持っているか、全味で同一人物だとしたら「塩」愛にあふれる方だと思います!
ということで、第2弾も推しは「塩」。もちろん、元々筆者が「塩派」であることを抜きにしたうえでのジャッジですし、第1弾との振り幅や味覚設計の方向性などを鑑みても、普通に第2弾の「サッポロ一番 プレミアリッチ 塩らーめん 福岡県産はかた地どりだし仕上げ」が高評価になると思いました。
ちなみに「サッポロ一番」ブランドでは、このような限定味も3種で展開中。「プレミアリッチ」とあわせてお試しを!
第2弾では迷走っぷりも垣間見えましたが、“二度あることは三度ある”と言いますし、もし第3弾が出たらまたレポートしたいです。そして繰り返しになりますが、第2弾は「サッポロ一番 プレミアリッチ 塩らーめん 福岡県産はかた地どりだし仕上げ」だけでもお試しあれ。限定品なのでお早めに!