レビュー

人気すぎて即完売! 知る人ぞ知る「ニシキヤのビリヤニ」ってどんな味?

2024年は、“ビリヤニ”が大きく躍進した1年となりました。そのトピックスのひとつが、にしき食品が発売したレトルトビリヤニの大ヒットです!

左から、にしき食品の「チキンビリヤニ」と「野菜ビリヤニ」。価格はいずれも750円(税込)

左から、にしき食品の「チキンビリヤニ」と「野菜ビリヤニ」。価格はいずれも750円(税込)

本稿では、ビリヤニとにしき食品の概要を解説するとともに、上記2種のビリヤニを実食レビュー。合わせて、このビリヤニにマッチする同社の人気レトルトカレーを選んで紹介し、トレンド全体についても語っていきます。

ビリヤニとは? 近年のトレンドとともに解説

まずは、“ビリヤニとは?”という基礎から。

ビリヤニは、肉や野菜などの具をスパイスと一緒に炊き込んだ米料理のこと。インド、パキスタン、バングラデシュなど、南アジアを中心に食べられています。具体的には、以前筆者が「食べログマガジン(https://magazine.tabelog.com/articles/154069)」で記事にしているので、ぜひご覧ください。

そして、この記事が掲載された数か月後の2021年8月に開業したのが、マイ・ベスト・オブ・ビリヤニ専門店「ビリヤニ大澤」です。

「ビリヤニ大澤」の「マトンビリヤニ」。ちなみにこの日のマトンの部位はショルダーでした

「ビリヤニ大澤」の「マトンビリヤニ」。ちなみにこの日のマトンの部位はショルダーでした

そこから3年弱を経た2024年6月、「ビリヤニ大澤」と双璧をなす名店「ジョニーのビリヤニ」が東京進出(本店は石川県)を果たします。なお、この両店の大澤孝将店主と谷 晃一店主は、かつて日本初の間借りビリヤニ店「ビリヤニマサラ」を営んでいた盟友。しかも、ともに神田に店を構えるとは、なんともスパイシーな運命でしょうか!

近年のビリヤニトレンドで、もうひとつ欠かせない出来事が、セブン-イレブンによるビリヤニ販売攻勢です。初登場は2022年。そこから、南インド料理の名店「エリックサウス」監修になるなど進化を重ね、2024年は発売回数が増えるとともに取扱店舗数も拡大。

ちなみに「エリックサウス」は、コロナ禍の2020年より冷凍お取り寄せをスタート。写真は当時の「チキンビリヤニ」

ちなみに「エリックサウス」は、コロナ禍の2020年より冷凍お取り寄せをスタート。写真は当時の「チキンビリヤニ」

こうした飲食店、コンビニでのビリヤニブレイクに加えて今回取り上げるのが、ネット通販の大ヒット商品である、にしき食品のレトルトビリヤニなのです。

人気レトルトの陰に、にしき食品あり!

にしき食品は、一般的にはそこまで有名ではないかもしれません。しかしカレーファンの中では圧倒的な知名度と信頼を得ていますし、実はたくさんの人が同社のカレーを食べているはず。というのも、無印良品の名作シリーズであるレトルトカレーは、にしき食品が多くを手掛けており、大定番の「素材を生かしたカレー バターチキン」も製造は同社です。

左から、無印良品の「焙煎スパイスのごろり牛肉カレー」「素材を生かしたカレー バターチキン」「同 プラウンマサラ(海老のクリーミーカレー)」。製造所の記載には「株式会社にしき食品」の字が!

左から、無印良品の「焙煎スパイスのごろり牛肉カレー」「素材を生かしたカレー バターチキン」「同 プラウンマサラ(海老のクリーミーカレー)」。製造所の記載には「株式会社にしき食品」の字が!

また、カルディや成城石井のPBレトルトなどにも、にしき食品が手掛けた商品は数知れず。圧倒的な実力を持った黒子企業であり、国内レトルトの陰ににしき食品あり、と言っても過言ではないでしょう。

そんなにしき食品は、元々は1939(昭和14)年に宮城県仙台市で創業した総菜店であり、1975(昭和50)年からレトルト製造を開始。やがて2011(平成23)年に自社ブランド「にしきや」を立ち上げ、2021年に「NISHIKIYA KITCHEN(ニシキヤキッチン)」へとリニューアル。名門が長年培った知見を結集して生み出したのが、今回紹介するレトルトビリヤニなのです。

「チキンビリヤニ」と「野菜ビリヤニ」のほか、人気かつビリヤニのソースとしてもマッチする「南インドのシュリンプカレー」と「レモンクリームチキンカレー」も本稿で紹介します

「チキンビリヤニ」と「野菜ビリヤニ」のほか、人気かつビリヤニのソースとしてもマッチする「南インドのシュリンプカレー」と「レモンクリームチキンカレー」も本稿で紹介します

こうして2024年9月5日、満を持して発売された「チキンビリヤニ」と「野菜ビリヤニ」はファンを中心に人気が沸騰。前述の「食べログマガジン」でトレンドを語ってくれたカレー細胞(松 宏彰)さんも「日本のビリヤニ事情がとんでもないことになってきました。」とSNSで絶賛し、即完売する大ヒットに。以降、再販されてもすぐ売り切れる状態が続いています。

「チキンビリヤニ」はボリューミーなスパイス香とコクが美味

ということで、ここからは実際に作って食べて特徴などをお伝えします。まずは「チキンビリヤニ」から。調理と言ってもレトルトなので実に簡単、袋に切り込みを入れレンジで数分温めれば完成です。

「チキンビリヤニ」。主なスペックは、1袋300gあたり600kcal、炭水化物99.1g

「チキンビリヤニ」。主なスペックは、1袋300gあたり600kcal、炭水化物99.1g

500Wの電子レンジの場合、2分30秒が温め時間の目安。お湯の場合は、切り込みは入れずに沸騰したお湯に入れて中火で約10分調理

500Wの電子レンジの場合、2分30秒が温め時間の目安。お湯の場合は、切り込みは入れずに沸騰したお湯に入れて中火で約10分調理

温めた後も、長方形の袋の形に固まっているので、それを上手にほぐすのがひとつのコツです。そのため、大きめの皿を用意したほうがベター。ちなみに、内容量は300gと十分すぎる量です。

米は粘り気の少ないバスマティライスであるうえ、油を使って調理されているので袋にくっつかず、スルッと出てきます

米は粘り気の少ないバスマティライスであるうえ、油を使って調理されているので袋にくっつかず、スルッと出てきます

また、味はしっかり付いていますが、「ライタ」というヨーグルトサラダがあると、ビリヤニをより楽しめます。刻んだキュウリとプレーンヨーグルトを混ぜるだけでも簡単に作れるので、ぜひお試しを。

「チキンビリヤニ」の完成。水色の器に入っているのが、筆者自家製の「ライタ」です

「チキンビリヤニ」の完成。水色の器に入っているのが、筆者自家製の「ライタ」です

香りからしてすばらしく、食欲をそそられながらまずはひと口。ふんわりドライなテクスチャーと、米の一粒一粒がスパイスをまとったような香りのボリューム感は、まぎれもなくビリヤニです。

クミン、カレーリーフ、フェンネルといったスパイスが複雑に絡み合い、鼻孔をおいしく刺激。辛さは控えめで、MAXが5なら2〜3ぐらいといったところ

クミン、カレーリーフ、フェンネルといったスパイスが複雑に絡み合い、鼻孔をおいしく刺激。辛さは控えめで、MAXが5なら2〜3ぐらいといったところ

ただ、欲を言えばもっとエアリーかつパラパラ、混ざり具合もムラがあるほうが好みです。しかしこれはレトルト。常温で長期間の保存を可能にするには高温加熱する必要があるはずで、その過程でビリヤニとしてはしっとりした食感になったと思いますが、それを考えれば全然アリです。

チキンはムネ肉。小粒なのが気になるところですが、現状としては十分

チキンはムネ肉。小粒なのが気になるところですが、現状としては十分

一部の香辛料はホールのまま炊き込まれており、粒とともに弾けるようなスパイス感がなんとも刺激的。主体となる具材のチキンは小さめですが、これもレトルトであれば気にならないレベルであり、具が増えて高価になるぐらいならこのままでもいいと思います。

「ライタ」も効果てき面。爽やかな酸味やマイルドなタッチが好アクセントとなり、食が俄然進みます

「ライタ」も効果てき面。爽やかな酸味やマイルドなタッチが好アクセントとなり、食が俄然進みます

なお、セブン-イレブンのビリヤニにはカレーソースが付いていますが、同じスタイルで“味変”をしたい人には、同じくにしき食品のレトルトカレーがおすすめです。数多くの名作の中から筆者が今回の「チキンビリヤニ」用にセレクトしたのは、「南インドのシュリンプカレー」。

「南インドのシュリンプカレー」の詳細は、のちほど単品でレビューします

「南インドのシュリンプカレー」の詳細は、のちほど単品でレビューします

うん、これまた絶品です! 魚介系のカレーなので、ビリヤニのベースとなる味ともかぶらず、さらに旨味が加わる感じでより南インドテイストに。カレーはココナッツによる甘くまろやかなニュアンスもあるため、この味もドライな「チキンビリヤニ」とマッチ。なかなか贅沢ですが、実におすすめな組み合わせです。

「野菜ビリヤニ」は少々マイルドな味で香りは爽やか

次は「野菜ビリヤニ」をレビュー。こちらはニンジンとサヤインゲンを具の主体としたタイプで、量や加熱時間に関しては「チキンビリヤニ」と同じです。

「野菜ビリヤニ」。主なスペックは1袋300gあたり574kcal、炭水化物94.6gで、「チキンビリヤニ」より少しだけヘルシー

「野菜ビリヤニ」。主なスペックは1袋300gあたり574kcal、炭水化物94.6gで、「チキンビリヤニ」より少しだけヘルシー

「野菜ビリヤニ」に合わせたレトルトカレーは、ニシキヤキッチンの一番人気商品である「レモンクリームチキンカレー」

「野菜ビリヤニ」に合わせたレトルトカレーは、ニシキヤキッチンの一番人気商品である「レモンクリームチキンカレー」

食べてみると、ライスのテクスチャーは「チキンビリヤニ」と同じ。辛さも同じくらいですが、味のパンチやスパイスの刺激などはマイルドに感じます。これは、チキンがない分、コク的な旨味が抑えめになるからかも。なお、最も主要な香辛料はマスタードシードで、ホールでもしっかり入っています。

ニンジンとサヤインゲンは、主張はあまりないものの甘みのアクセントを演出

ニンジンとサヤインゲンは、主張はあまりないものの甘みのアクセントを演出

マイルドとはいえ、香りはこちらもすばらしく、「チキンビリヤニ」より爽やかな表情。ドライな風味も「野菜ビリヤニ」のほうが豊かに感じます。こうした点を踏まえて浮かんだのが、レトルトでもおなじみの、インド系のチキンカレーと野菜カレーの関係性。どちらも定番フレーバーですが、基本的にチキンカレーのほうが力強く、野菜カレーのほうがやさしくマイルドなテイストですよね。あの味の相関関係に似ている気がします。

そして同社の「レモンクリームチキンカレー」をあしらってひと口

そして同社の「レモンクリームチキンカレー」をあしらってひと口

「レモンクリームチキンカレー」は、レモンと生クリームを効果的に使った甘口な味とまろやかさが特徴で、「野菜ビリヤニ」のドライなタッチや爽やかなスパイス感に調和。動物系具材のチキンも、コクを加える方向性で「野菜ビリヤニ」にマッチします。

ニシキヤの人気カレーをライスと食べたその味は?

ここからは、上記で軽く触れた「南インドのシュリンプカレー」と「レモンクリームチキンカレー」を、それぞれ普通の白米によるカレーライスとしても食べてレビューします。まずは前者から。

「南インドのシュリンプカレー」。1袋180gあたり202kcal、炭水化物11.3gで、辛さは同社基準の5段階中2の「小辛」

「南インドのシュリンプカレー」。1袋180gあたり202kcal、炭水化物11.3gで、辛さは同社基準の5段階中2の「小辛」

「南インドのシュリンプカレー」は、南インドや西インドで伝統のプラウンマサラが手本。ソースのベースにトマトとココナッツミルクを使い、海老の香ばしい旨味とスパイシーさに、甘みやまろやかな口当たりを加えています。

海老はムチッとした食感で、凝縮感のある味わい。ソースの粘度は、どちらかと言えばサラサラ系ですが、シャバシャバまではいかないゆるさ

海老はムチッとした食感で、凝縮感のある味わい。ソースの粘度は、どちらかと言えばサラサラ系ですが、シャバシャバまではいかないゆるさ

改めて感じるのは、ココナッツによる南国調でアッパーなテイスト。「南インドの」と書いてあると本格的でマニアックな印象を抱きがちですが、辛さも控えめで甘み豊かなフレンドリーさ。小学生ぐらいの子どもなら十分おいしく食べられるレベルだと思います。

「レモンクリームチキンカレー」。1袋180gあたり296kcal、炭水化物20.7gで、辛さは同社基準の5段階中1の「甘口」

「レモンクリームチキンカレー」。1袋180gあたり296kcal、炭水化物20.7gで、辛さは同社基準の5段階中1の「甘口」

そして最後は「レモンクリームチキンカレー」をレビュー。レモンジュースのフルーティな酸味やココナッツミルクによるクリーミーさも特徴ですが、意図的と思われるほどの甘さも印象的です。これは、リンゴピューレと砂糖を使っているからでしょう。糖分があるからか、カロリーや炭水化物も「南インドのシュリンプカレー」より高めです。

チキンはムネ肉で、コロンとしたサイズ。粘度は「南インドのシュリンプカレー」より強めなものの、トロトロとした程度

チキンはムネ肉で、コロンとしたサイズ。粘度は「南インドのシュリンプカレー」より強めなものの、トロトロとした程度

甘さはあっても決してお子様向けとは言い切れず、味わいは実にハイクオリティ。人気商品であることにも納得です。スパイスの妖艶な香りを忍ばせつつ、甘さと酸味とマイルド感をバランスよくチューニングしており、個性的でありつつもフレンドリー。この、唯一無二の絶妙なおいしさが、大人気の秘密と言えるでしょう。

【まとめ】レトルトビリヤニという新たな選択肢に期待!

今回のビリヤニを購入したのは、最初の再販売にあたる2024年9月27日でしたが、届いた「チキンビリヤニ」の賞味期限は2025年8月2日で、「野菜ビリヤニ」は同年7月26日。つまり、10か月以上保存可能ということであり、保存食としても重宝するのがポイントです。

今回の2商品、どちらも想像を超えるおいしさでしたが、強いて言えばおすすめは「チキンビリヤニ」のほうです

今回の2商品、どちらも想像を超えるおいしさでしたが、強いて言えばおすすめは「チキンビリヤニ」のほうです

再販のたびに完売が続くヒット商品であり、メーカー側も増産体制を整えているところだと思いますが、なかなか買えない状況が続いています。気になる方はぜひこまめにチェックを! なお、今回合わせてご紹介したカレー2種は入手しやすいです。

他社からもレトルトビリヤニが発売され、スーパーなどでも気軽に買えるようになれば市場はもっと面白くなるはず。改めてこのトレンド、注目です!

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中山秀明
Writer
中山秀明
グルメ、ファッション、カルチャー、ライフスタイルを得意とする編集プロダクションを経て独立し、フードアナリストの資格を取得。内食・外食のトレンドやカルチャーに詳しく、深掘りレビューやインタビューなどを得意とし、さまざまな雑誌やウェブメディアをメインに、編集と撮影を伴う取材執筆を行っている。酒類や調理家電、タバコ関連にも強い。時折、テレビ番組や大手企業サイトに食の有識者として企画協力することも。
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しえる(編集部)
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しえる(編集部)
生活雑貨・食品に加え、ウォーターサーバーなど、サービス系商品の記事をメインに担当している2児の母。自称「ポテチマスター」。ポテトチップスを中心に1日3袋のスナック菓子をたいらげるお菓子狂です。
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