「Nintendo Switch スプラトゥーン2セット」
2017年7月21日(金)、任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch」用のゲームタイトル「スプラトゥーン2」が発売された。「スプラトゥーン2」は、「Wii U」用に制作された前作「スプラトゥーン」が記録的なヒットを飛ばしたこともあり、今年2017年に発売される「Nintendo Switch」向けのゲームタイトルの中でも、最大のキラーコンテンツになると目されていたゲームである。ある意味、「Nintendo Switch」関連では、今年最大のイベントと言っても過言ではないのが「スプラトゥーン2」の発売であり、この日を心待ちにしていた人も多かったことだろう。
図1:「Nintendo Switch」向け主要5タイトルのアクセス推移(過去6か月)
図1は、「価格.comトレンドサーチ」で見た、過去半年間における「Nintendo Switch」向け主要5タイトルのアクセス推移を示したもの。これを見ると、「Nintendo Switch」本体の発売日である3月3日に同時発売されたロンチタイトル「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」が、これまでもっとも高い注目度を集めていたが、今回の「スプラトゥーン2」も、ほぼこれに匹敵するほどの盛り上がりになっていることがわかる。むしろ、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」のほうは、「Nintendo Switch」本体と同時購入した人が多く、本体の発売効果が大きく関与していることを考えると、今回の「スプラトゥーン2」のほうが、単体のゲームタイトルとしては、より人気が高かったとも言えるだろう。
図2:「Nintendo Switch」向け主要5タイトルの売れ筋ランキング(過去6か月)
図2は、図1の主要5タイトルの売れ筋ランキング推移を見たもの。一部サードパーティー製タイトルの発売はあるものの、今でも「Nintendo Switch」の主要な売れ筋タイトルは、任天堂製のこれらタイトルで占められていることがわかる。特に、3〜4月の初期には、ロンチタイトルとなった「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」が人気を得、ゴールデンウィーク前の4月末に発売された「マリオカード8 デラックス」がこれに続き、4〜5月の人気を牽引。さらに、今回の「スプラトゥーン2」が6月以降の人気を牽引しており、任天堂製のビッグタイトルが、連鎖状に人気を継続している様子がうかがえる。
このように、発売から約半年近くが経った「Nintendo Switch」であるが、ここまでは人気のビッグタイトルが2か月おきくらいに発売されてきており、それぞれが人気を牽引することで、消費者の興味を引きつけ続けることに成功しているといえる。ある種、ここまでの展開は、任天堂が考えた以上の成果を上げているのではないだろうか。
図3:「Nintendo Switch」と「Nintendo Switch スプラトゥーン2セット」のアクセス推移(過去3か月)
このように、「スプラトゥーン2」発売に沸く「Nintendo Switch」であるが、問題は、いまだに続く本体の供給不足だ。図3は、「Nintendo Switch」と、7月21日に発売された「Nintendo Switch スプラトゥーン2セット」のアクセス推移を示したものだが、いずれも「スプラトゥーン2」の発売日である7月21日に大きくアクセスを伸ばしており、「スプラトゥーン2」の発売が、本体の需要増に大きく影響しているのは間違いない。
図4:「Nintendo Switch」と「Nintendo Switch スプラトゥーン2セット」の最安価格推移(過去3か月)
問題は、高まり続ける需要に対して供給量が圧倒的に少ない、需要過多の状況がずっと続いていることだ。図4は、「Nintendo Switch」と「Nintendo Switch スプラトゥーン2セット」の最安価格推移を示したものだが、「Nintendo Switch」本体の最安価格は、右肩上がりで上がり続けており、特に「スプラトゥーン2」の発売日以降、さらに一段高くなってきている。「Nintendo Switch」はメーカー希望小売価格の29,980円(税別)であるが、発売からずっと35,000〜40,000円程度のプレミア価格がついており、7月に入ると4万円を大きく超えて、現在では5万円を超える価格がつけられている。いっぽう「スプラトゥーン2セット」のほうはまだ発売されたばかりだが、予約段階からかなりのプレミア価格がついており、メーカー希望小売価格の35,960円(税別)を大きく超える6万円前後のプレミア価格がつけられていたという状況だ。
図5:「Nintendo Switch」と「Nintendo Switch スプラトゥーン2セット」の取り扱い店舗数推移(過去3か月)
図5は、「Nintendo Switch」と「Nintendo Switch スプラトゥーン2セット」の取り扱い店舗数推移を示したグラフだが、「Nintendo Switch」本体のほうは、本体価格が高騰するのに合わせるようにして、取り扱い店舗数が減っているのがわかる。通常より高いプレミア価格で販売していても、安いところから売れていってしまうため、徐々に最安価格が上がっていくという現象が見て取れる。もちろん、定価での販売も、スポット的に行われてはいるが、いずれの場合もすぐに売り切れとなるほどの人気であるため、現状の需要増にはまったく追いついていない。任天堂も、フルピッチで生産を続けているとのことだが、それを上回るほどの人気になっているということだろう。
図6:「Nintendo Switch」と「Nintendo Switch スプラトゥーン2セット」のクチコミ数推移(過去3か月)
こうした状況下で、「Nintendo Switch」を求めるユーザー側のイライラもかなり募ってきている。価格.comのクチコミ掲示板では、毎日のように「どこで販売されていた」というようなスポット販売の情報が書き込まれているが(図6)、そのほとんどは即完売という状況で、結局、定価で購入するためには、こまめに販売店の状況をチェックするしかないという状態だ。なかには、「いやー何時もゴジラ状態(アクセス集中でつながりづらい状態)で欲しい気持ちも失せると言うものですよ。(中略)もう少し販売の時間帯を考えてほしいものです」など、購入したいのにできないイライラを募らせる人の意見もちらほら目に付くようになってきた。こうしたユーザーがあまり増えないうちに、できるだけ早めの供給不足解消を望みたいところだ。
価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。