リード楽器の本格さとリコーダーの手軽さを両立

リコーダーなのにサックスの音!? ヤマハの“新感覚”楽器「Venova」が日本上陸

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ヤマハは、リコーダーのように吹いてサックスのような音を鳴らせる新しい管楽器「Venova」(ヴェノーヴァ/型番:YVS-100)を2017年8月30日に発売する。価格はオープンだが、10,000円前後での販売を見込んでいる。簡単なのに難しい、“新感覚楽器”とも言える本製品の実機を見てきたのでご紹介したい。

サックスとリコーダーの特徴があわさった新しい楽器

サックスとリコーダーの特徴があわさった新しい楽器

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リコーダー感覚で演奏するとサックスっぽい音が鳴る

ヤマハといえばやはりピアノが有名だが、同社は管楽器の開発経験も豊富だ。1966 年に発売したトランペット「YTR-1」以来、数多くの管楽器を開発・製造してきている。そのノウハウを投入し、管楽器初心者も楽しめるモデルとしてラインアップするのが、今回のVenovaだ。欧州ではすでに発売を開始しており、日本に正式上陸した形となる。

本製品は、本物のサックスと同じようにマウスピースとリードを備えたリード楽器。しかし、リコーダーとほぼ同じ指使い・押さえ方で演奏でき、C調でチューニングされている。本格的な演奏感を楽しめると同時に、既存のサックスやクラリネットにはない手軽さも持ち合わせているのだ。音域は2オクターブをカバーしている。また、本体はABS樹脂製なので水洗いも可能。メンテナンスのしやすさも特徴だ。(2017/8/7お詫びと訂正:記事初出時「ソプラノサックスと同じ音階」と記載しておりましたが、正しくは上記の通りVenovaの調子はCです。お詫びし訂正いたします)

本体の長さは460mmで重量は180gと、小型軽量で手軽に持ち運べる。また、水洗いすることも可能で、手入れも簡単に行えるよう配慮されている

リードとマウスピースを備える点は、サックスやクラリネットなど本物のリード楽器と一緒。リードもマウスピースも製品に同梱されているので、すぐに吹き始めることができる。もちろん、自分の愛用品を装着することも可能

基本的にはリコーダーと同じ指使いで演奏できる仕組み

基本的にはリコーダーと同じ指使いで演奏できる仕組み

シンセの音源技術を応用!「分岐管」で円錐形管楽器のような音を再現

一般にリード楽器は、サックスのような形の円錐形管楽器と、クラリネットのような形の円筒形管楽器に分かれる。Venovaは、見た目はストレートな円筒形だが、円筒管の一部を分岐させた「分岐管」を用いることで、円錐形管楽器のような音色を再現することに成功した。

なお、この分岐管構造は、1993年に同社が発売したシンセサイザー「VL1」のモデル音源再生に用いられた「分岐管理論」のノウハウを活用している。「1本の円錐管は、2本の円筒管で近似される」という原理を応用したものだ。

緑のマルで囲った部分が分岐管。この分岐管により、円筒形ながら円錐形管楽器のような音を鳴らすことができる

分岐管の原理は、玉川大学工学部 実吉純一教授による理論。これを基に、ヤマハが理論拡張して今回のVenovaに取り入れた

リコーダーとサックスの特徴を各所に取り入れた構造

ちなみに円筒形管楽器の強みとして、本体が比較的コンパクトで音孔を押さえやすいといった特徴がある。Venovaもこの特徴をそのまま生かせるよう、主管を本体内部で蛇行させて配置することにより、音孔の間隔を狭めている。これによって、音孔に無理なく指が届き、キイなどの部品数を最小限に抑えることに成功した。

内部で蛇行して配置された主管の形にあわせ、本体背面も蛇行した形状になっている

内部で蛇行して配置された主管の形にあわせ、本体背面も蛇行した形状になっている

ドレミの音孔にはキイを配置することで、無理なく押さえることができるようになっている

ドレミの音孔にはキイを配置することで、無理なく押さえることができるようになっている

そのほか、リコーダーとサックスの特徴を各所に取り入れた構造になっているのもおもしろいところ。たとえば、リコーダーには「ジャーマン式」と「バロック式」があって、ソプラノの「ファ」の押さえ方が異なる。本製品では、ファの音孔部分にアダプターのはめ込みができるようになっており、このジャーマン式とバロック式を切り替えて演奏できる。

また、1オクターブ上の音域を鳴らすときには、本体背面の「オクターブ・キイ」を押さえるというサックスと同じ方法を採用している(リコーダーは、本体背面にある孔を半分だけ押さえることで、1オクターブ上の音階が鳴る)。2オクターブの音域をカバーするので、ソプラノリコーダーの楽譜をそのまま使って演奏できる。

写真左は、ジャーマン式とバロック式を切り替えられる「ファ」の音孔。写真右は、「オクターブ・キイ」。サックスと同じ方法で1オクターブ上の音を鳴らす

同社が開催した新製品発表会では、サキソフォン奏者の福井健太さんによるVenovaの演奏が行われた。その様子は、以下の動画をご参照いただきたい。

簡単さと難しさが同居する、“新しい”管楽器

前述の通り、Venovaの指使い・押さえ方はソプラノリコーダーと同じなので、小学校の音楽の時間を思い出せば、誰でもすぐに指を動かすことができる。……が、リードとマウスピースの構造は本物のサックスと同じなので、吹くのはわりと難しい。とっつきやすくて簡単だが、練習しないとうまく吹けないのだ。この難しさは、楽器が上達する“達成感”につながるもので、「もっと音楽を楽しむ人を増やしていきたい」というヤマハの思いが込められた演出だ。

Venovaの演奏を披露したサキソフォン奏者の福井さんは、実際にVenovaを使って感じた魅力について、「ケースに入れて手軽に持ち運べるのがすごくイイ」とコメント。「旅行かばんに入れて南の島に持っていって、海辺で吹いてみました。普通のサックスでは濡れてしまうリスクがあるので、なかなかできないこと。それに、マウスピースを付けたままケースにしまえるのも楽です」と、普通のサックスではできないメリットを絶賛した。

サキソフォン奏者の福井さん。「どこへでも手軽に持ち運んで楽しめるのがイイ」とVenovaの魅力を語った

サキソフォン奏者の福井さん。「どこへでも手軽に持ち運んで楽しめるのがイイ」とVenovaの魅力を語った

コンパクトな専用ケースが付属する

コンパクトな専用ケースが付属する

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杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。あ、90年代アニメも好き。

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2017.9.25 更新
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