2021年7月の「HGナイチンゲール」発売から、はや2か月。一日千秋の思いで待った「RG Hi-νガンダム」がついに発売されました。さっそく組み立ててみたところ、恐ろしいほどの美しさと技術力の高さで、いい意味で圧倒的に打ちのめされました。この感動をどう伝えたらいいのか……筆者にできうる限りのレビューをお届けします。
RG(リアルグレード)で発売された「Hi-νガンダム」。品薄ですが、再販も確定しているのでじっくり待ちましょう
「Hi-νガンダム(ハイ・ニューガンダム)」は、小説「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」に登場する地球連邦軍のニュータイプ専用モビルスーツ。パイロットはロンド・ベル所属のアムロ・レイ。劇場版「逆襲のシャア」とはパラレルワールド的に世界線が異なる設定で、劇場版の「νガンダム」に相当する機体です。同じく劇場版の「サザビー」に相当するシャア・アズナブル最期の機体「ナイチンゲール」と死闘を繰り広げます。
ガンプラとしては、2009年にHGUCで発売後、2014年にMGが発売。今回のRG版は過去のキットに比べて、カラーリングやデザインがアレンジされているようです。
1/144スケールで精密なディテールをウリにするRGシリーズですが、今回のキットは、いい意味で“やりすぎ”と賞賛したくなるようなパーツの色分け、可動、ギミックが盛りだくさん。全パーツを解説したくなるほどこだわり抜かれていました。
シルバーやゴールドの色鮮やかなメタリック風のパーツが付属。素組みで十分なほどのキレイな色分けと仕上がりになります
RGシリーズおなじみのリアリスティックデカール。メタリックのシールがたくさん付属しています
どこをとってもすごいのですが、特筆すべきは脚部。脚の造形美だけでご飯3杯いけますよ。内部構造のフレームの可動はもちろん、連動して外装がスライドする「マルチリンク・ギミック」が盛り込まれており、ただ膝を曲げるだけでも恐ろしいほどの造形美が見られます。そして各パーツがピッタリとハマっていながらも、いざ可動させるときにはキレイに分割する快感。ガンプラならではの技術ですね。
内部フレームですらこのディテール。膝頭を中心に、腿、すねがこれだけ曲がります
外装を付けるとこうなります。脚を曲げると、腿部のフレームや、膝頭がシルバー部とホワイト部に分かれてスライドするのがわかります。これがマルチリンク・ギミックです
シルバーのパーツを内部フレームと外装の間に挟む多層構造になっており、組むだけで、細かな色分けの仕上がりになります
パーツはピッタリとハマっていますが、一部可動させるだけでここまで分割します
そして驚くべきはシールド。従来ならシールなどで補っていた複雑な色の塗り分け部分ですが、パーツのみでここまで塗り分けできることに感動すら覚えます
組み立ての順番は、脚、腰、胴体、腕、顔、バックパック、武装なのですが、一番時間がかかったのが脚でした。上記のようなこだわりのディテールなら当然ですね。特に難しい部分はありませんでしたが、細かいパーツが多いので紛失に注意が必要です。個人的には頭部がやや難しかったですね。ツインアイのシールの位置調整などで時間がかかりました。
ではまず本体素組みから。ファンネルコンテナのバックパックを付けていない状態です。顔が小さく、かなりのイケメン。ツインアイはゴールドメタリックです
成形色はHGUCシリーズとは異なり、マットな質感で、プラモデル特有のテカっとした感じはありません。つや消しのトップコートを吹かなくても落ち着いた色合いになっています。
細かいギミックですが、右手首を内側に曲げると、腕部のビームガンの銃口が伸びます
左腕にはビーム・サーベルの柄が収納されており、取り出すことができます
可動領域は広く、腕は引き出して交差させられるほど。胴体も変わった構造になっており、上体をここまで反らすことが可能です
そして「Hi-νガンダム」最大の特徴は、「νガンダム」のそれとは大きく異なる、フィン・ファンネルのコンテナ部分です。バックパックと一体型になったコンテナは細かい可動ギミックが満載。また、フィン・ファンネルの色の塗り分けも、シールド同様にパーツのみで構成されており、シールを使う必要もありませんでした。
バックパックに一体化されたフィン・ファンネルコンテナ。大きな2本のプロペラントタンクも装備。フィン・ファンネルはコンテナから真下に6本接続するようになっています
フィン・ファンネルの中央部に「アドヴァンスドMSジョイント」が使われています。ランナーから切り離すだけで、可動ギミックの付いたパーツとして使用できるんですよね
フィン・ファンネルの色分けもすべてパーツ分割で構成。組むだけでここまで色分けされます
バックパックを付けて「Hi-νガンダム」完成
さすがにファンネルコンテナの分、背中側に重さがかかるのですが、2本のプロペラントタンクで支えて自立させられました
アクションベースを取り付ける場合は、ファンネルコンテナが干渉しないよう、本体とバックパックの間にパーツを入れてスタンドに保持します。これで重みによって後ろに傾くことがありませんでした
ファンネルコンテナは自在に可動。このように扇型に広げることもできます
細かいですが、各フィン・ファンネル取り付け口のラック(グレーのパーツ)も自在に可動します。一番外側のラックは、上のブースター部分(銀色パーツ)も連動して小さく可動するようになっていて驚きました
RGの「νガンダム」と並べて。肩や脚部のボリューム感で、「Hi-νガンダム」のほうがガッシリした印象ですね。最大の違いはフィン・ファンネル。「Hi-νガンダム」のファンネルのほうが色鮮やかで、組み立ても簡単でした
フィン・ファンネルは合計6本。このファンネルの白パーツ部分のみRG「νガンダム」のパーツが流用されていますが、後はすべて新規造形のパーツになっています。「νガンダム」では、小さな引っかけパーツでファンネル同士をくっつけるのが手間でしたが、本キットではコンテナに差し込むだけの簡単構造で、しかも抜けにくいです。ちなみにファンネルの大きさは同じだったので、「νガンダム」フィン・ファンネルも「Hi-νガンダム」のラックに差し込むことができましたよ。
武装はビーム・ライフルとニュー・ハイパー・バズーカが付属。それぞれ持ち手付きです。ビーム・サーベルは柄が3本、クリアブルーの刃が2本付属。そしてシールドとなっています。
ビーム・ライフルとシールドを装備。ライフルはかなり大胆なアレンジのデザインとなっています。バズーカは砲身が伸縮可能
ビーム・ライフルとバズーカそれぞれに持ち手が付属しているので、持たせるのも簡単。特にバズーカは持ち手のハンドル部が可動するので、肩アーマーに干渉することなく持たせられます
ファンネルコンテナ部にサーベルの柄が収納されています。ライフル用の持ち手を流用することでビーム・サーベルを両手に持たせることもできますよ
別売りのスタンドなどを使ってフィン・ファンネル射出シーンも再現可能
よく可動するので、ダイナミックなアクションで飾ることができます
さて、やはりここは、先に発売されていた「HGナイチンゲール」(レビュー記事はこちら)と並べて飾るのが王道ですよね。まさかこの時代に、もうひとつのアムロとシャアの最終決戦をガンプラで再現できるとは……感慨深いです。
「Hi-νガンダム」も大きいのですが、「ナイチンゲール」の大きさにはかないません! 並べると撮影ブースには収まりきらないほど
原作小説では「ナイチンゲール」の圧倒的強さが目立ちましたが、ガンプラの完成度は圧倒的に「Hi-νガンダム」が上だと断言できます
長いことガンプラを作ってきた筆者ですが、今回の「Hi-νガンダム」の完成度にはただただ驚くばかりでした。1/144のスケールでここまでの色の塗り分けや可動、ギミックを表現できることに感激です。2021年のガンプラとしてはもちろん、筆者のガンプラ人生の中でも最高傑作だと言えます。あまりの興奮で、めちゃくちゃ早口でしゃべってそうなレビューになってしまいましたね。
「Hi-νガンダム」といえば、TVシリーズや劇場版での登場はなく、ゲームなどで一部動く姿を見ることができる、ある意味幻のガンダムであまり思い入れはなかったのですが、ディテールの細かさ、ボリューム感のあるスタイルにとても惹かれました。組み立てて完成した後、またすぐにもう1機作りたいと思うほどでしたよ。
本キットは、ライバル機の「HG ナイチンゲール」から2か月後の発売ということで、ファン歓喜の1年となりました。ただその人気ゆえに予約段階から即完売となってしまいましたが、2021年11月、2022年1月と2回の再販が確定しています。機会があったらぜひ作ってもらいたいガンプラですね。
趣味も仕事もゲーム漬けだった人生から脱却を図り模索中。ホビーや生活雑貨記事などを書かせていただきます。