2015年4月29日に、千葉県流山市と一般社団法人日本ドローンレース協会の主催による、ドローンの体験飛行会が行われた。先日の首相官邸への侵入事件によって何かと話題になっているドローンだが、体験会の様子から、あらためてその楽しさや可能性を探ってみた。
話題のドローンの一般向け体験会が開催された。ある意味でタイムリーなイベントだが、ラジコンヘリの経験アリ、ドローンの経験ナシの筆者がレポートをお届けする
価格.comマガジンでも京商の「クアトロックス」や、仏パロット社の「Bebop Drone」といったクアッドコプタータイプのドローンを、注目のアイテムとして取り上げている。しかし、ドローンは、先日の首相官邸への侵入事件もあって、知名度は一気に上がったものの、規制の議論などネガティブなトーンで語られがちなアイテムになっている。
そんな中、2015年4月29日に、千葉県の流山市と、ドローン競技などを主催する一般社団法人日本ドローンレース協会が主催するドローンの体験飛行会が行われた。展示されていたドローンはBebop DroneとAR.Drone 2.0で、2輪走行タイプのMiniDrones Jumping Sumoも用意されていた。いずれもバロット社の製品である。
AR.Drone 2.0
AR.Drone 2.0は、画面解像度1280×720の動画撮影に対応。今回のメインの体験機として使われた
発泡スチロール主体のボディはとても軽量
背面は複合素材で覆われており、着陸時のダメージからボディを守っている
Bebop Drone
Bebop Droneは、1920×1080のフルHD動画の撮影に対応する。フル充電で約11分の飛行が可能。バッテリーパックは2個同梱される
タブレットやスマートフォンに接続して使う「Skycontroller」。写真の手前にある黒い板状の部分が増幅用のWi-Fiアンテナで、最長2kmまで操作範囲が広がる
HDMIポートから外部モニターへの映像出力が可能。カールツァイスのCinemizer やソニーのヘッドマウントディスプレイHMZシリーズなどヘッドマウントディスプレイと接続ができる
MiniDrones Jumping Sumo
ドローンといえば空を飛ぶイメージだが、地上を走るのがこのMiniDrones Jumping Sumoだ。しかも、約80cmの飛び幅でバッタのようにジャンプする!
搭載されるカメラは640×480の解像度に対応し、映像がスマートフォンやタブレットにストリーミング送信される
iOSまたはAndroid機器を使って操作する点でラジコンとは大きく操作方法が異なる。内蔵バッテリーは約90分でフル充電が可能。走行時間は約20分
今回の体験会は、規模としては決して大きいとはいえないが、注目度は高いようで、飛行体験を希望する人は絶えなかった。しかも、ドローンのファンと思しき男性に混じって、子ども連れの主婦の姿も多かった。
筆者は、ラジコン飛行機・ヘリコプターの操縦経験はあるが、ドローンは未経験。実際にドローンを飛ばしてみたが、その飛行のスムーズさは、これまで知っていたラジコンヘリコプターとは別次元だと感じた。しかも、プロポではなくスマホやタブレットで操作するというのも新しいところで、セッティングや操作の習得まで、飛ばすまでの敷居が高かったラジコンヘリコプターとは大きく異なっている。
体験会の様子からも、ドローンに興味を持っている人が急増していることが察せられるが、スマホのタッチ操作で安定した飛行ができるドローンは、操作が簡単なので、子どもでも比較的安定した飛行が可能だ。飛行場所を選び、なおかつ軽量のドローンなら、万が一接触が起こっても被害も限定されるのではないだろうか。かつてラジコンヘリコプターを触っていたお父さんが、家族で楽しむこともできる、そんな一面が再確認できた。
これからのおだやかな季節は、屋外でドローン遊びに興じるのはなかなか楽しそうだ。
風の少ない日だったこともあり、風に流されずにスムーズなフライトができた
飛行ロボットのドローンは、ラジコン飛行機やヘリコプターとは段違いに操作が簡単。しかも時間のかかるセッティングやメンテナンスがほとんど不要
注目のドローンだが、規制について今国会での法律改正を目指して政府内で調整が進んでいる。
現状は、航空法に基づいて、飛行場近隣や、上空に航路がある場合で上空150メートルまで、航路がない場合は250メートルの高さまでといった飛行制限がある。これとは別に、地方自治体の制定する条例によって公園など特定の場所での利用が禁じられている場合もある。
現在、伝えられている情報によると、ドローン規制で検討されているのは、飛行可能エリアの制限と、免許制やユーザー登録など人の管理の2点だ。だが、規制の必要性が叫ばれるそのいっぽうで、ドローンは新たな産業を開拓すると言う意味でも注目を集めている。やみくもな規制がそうした新しい事業の目を摘んでしまうことを指摘する意見も存在する。
ドローンの認知度が高まっていることは間違いない。そうした多くのユーザーが理解しやすいルール作りを期待したいところだ。