歴女参る! 日本史ナナメ斬り
歴女参る! 日本史ナナメ斬り

信長イズムが炸裂する岐阜城で“遊べる度”がハンパじゃないお土産に遭遇

今でこそコンクリート天守と格下扱いされているが、織田信長が天下布武への足かがりとしたことで有名な岐阜城へ行ってみたところ、“歴史好きの心を振るわせる”お土産に出会ったのでこの感動をお伝えしたい! お土産のことだけというのもアレなので、岐阜城の見どころもあわせて紹介しよう。

道中も楽しい岐阜城への道のり

1567年に小牧山城から岐阜に拠点を移した織田信長により大幅改築された岐阜城は、信長が手がけた2つめの城と言われている(1つめは小牧山城)。信長の城は非常にユニークで、軍事的構築物ではなく、当時にはめずらしい“住んで・見て・楽しむ”をコンセプトとした政治要素の強いものだった。宣教師ルイス・フロイスに自慢の城を見せ、厚くもてなしたという記録も残されている。そんな信長の意思を引き継ぐように、現在の岐阜城にも楽しい要素が盛りだくさん!

まず、城に向かう道中が楽しい! JR岐阜駅前に建つ信長像や信長バスなど、駅に着いた瞬間からワクワクする。また、岐阜駅から岐阜公園へ行くのだが、バス(約14分)かレンタルサイクル(約30分)のどちらかをチョイスできるのも旅的にうれしいポイントだ。

JR岐阜駅前には金ピカの信長像! 悪目立ちする、金色が安っぽいなど不評の声もあるが、なんだかんだ目立つのでシンボルとしてはありだ

3分に1本のペースでバスが出ているので、待ち時間もほぼなくスムーズに行けるだろう。運がよければ、信長が描かれたバスに当たることも。「もはや岐阜は信長の街だ」とあらゆるところで訴えかけているが、実際彼が岐阜で何をしたか知らない市民も多い

バス、または自転車で岐阜公園(バス停は岐阜公園歴史博物館前)に到着したら、そこからの道のりにも選択肢が! 岐阜城は金華山の山頂にあるため、山登りも楽しめるのだ。金華山には10種類の登山コースがあるが、岐阜公園から登れるのは4コース。いずれも約40分〜約1時間のコースなので、信長が通ったであろう登山道を行くのも感慨深い。しかし、筆者が選ぶのはロープウェー。4分で山頂に到達するラクさ効率のよさを1,080円(大人/往復)で手に入れた。

岐阜城と書かれていないので戸惑うかもしれないが、岐阜公園の中に岐阜城に続く経路がある

岐阜城と書かれていないのでとまどうかもしれないが、岐阜公園の中に岐阜城に続く経路がある

城を政治要素としていち早く利用した先見の明のある信長だけに、戦国時代にロープウェーを作れる技術があったら一番に導入したに違いない! ということで、ロープウェーに搭乗(断じて、言い訳ではない!)

登山の約1/3ほどの時間で着けるロープウェーは、15分間隔で運行している

登山の約1/3ほどの時間で着けるロープウェーは、15分間隔で運行している

登っていくロープウェーの中から後方を見ると、信長が見た「天下統一」の風景が! なんだか、ちょっと感慨深い気持ちになった(まだ城に着いていないのに、終わり感)

別の地点では、信長居館発掘中の文字を目にした。ここは信長の正妻・濃姫の屋敷跡の場所が特定された発掘場所。現在は保存し、埋戻しを行っている様子も見られた

城めぐりのはずが、なぜかリスと戯れる

ロープウェーが終着し、「岐阜城だー!」と思ったら、目の前にあったのはリス村。なんでも、1936年に開催された「躍進日本大博覧会」の際に見せ物として持ち込まれたリスが集団で金華山に逃げ込み、野生化したリスたちを調教して開村したという。その甲斐あって、リス村ではリスに餌をあげて触れ合うことができる。偶発なこととはいえ、信長が目指した“住んで・見て・楽しむ”城である岐阜城にはピッタリなエンターテインメントではないだろうか。

天守閣とは見間違うことなき、メルヘンな施設。入村料金は200円(4歳以上)

天守閣とは見間違うことなき、メルヘンな施設。入村料金は200円(4歳以上)

丸々と太ったリスたちがお昼寝中。けっこうデカい!

丸々と太ったリスたちがお昼寝中。けっこうデカい!

入村時に渡された手袋を着け、餌を乗せてみると警戒もせずリスがやってきた

入村時に渡された手袋を着け、餌を乗せてみると警戒もせずリスがやってきた

頭を突っ込み、餌へのがっつき度がハンパじゃない! そんなに腹が減っていたのか……。信長は鷹狩を好んでいたが、リスなら愛玩動物として「ういやつじゃ」とかわいがってもらえたかも!?

愛くるしい姿をしていてもリスは意外に凶暴なので、手袋を着用しないと危険。とはいえ、これでも表に出てきているのはトレーニングされた選ばれしリスなのだ。約80匹いるうちの1/3はまだトレーニング中。今後、ますます触れあえるリスの数は増えていくだろう。

城内では藤岡弘、城外では永久不滅の信長メシに夢中!

小動物との触れ合いでほっこりしたあとは、いよいよ岐阜城へ! リス村から7分ほど坂や階段を上がると頂に建つ城が姿を現す。岐阜城は日本初の模擬天守で、4階建てとなっている。信長や戦国時代の武具などが展示を見るのも興味深いが、標高329mに建造された城だけに天守からの展望は忘れてはならないポイントだ。入城料200円(大人)を払って、中に入ってみよう。

「国盗り物語」で有名な斎藤道三(信長の義理の父)の居城でもあった。当時の城名は「稲葉城」

3階までが展示コーナー。槍の名手、森長可が岐阜出身だからだろうか戦国時代の槍がたくさん並んでいる。「人間無骨」が彫られた十文字槍は残念ながらなかった

突然現れた手書きのインドに目を奪われた。冒頭で信長が岐阜城を宣教師に見せて自慢したと記したが、そのルイス・フロイスについての年表のひとつのようだ。信長時代の岐阜城は、絢爛豪華な城であったとある。岐阜城を知る資料として珍重されているわりに手作り感満載というギャップがイイ!

もうひとつ目が釘付けになったのが、武将・斎藤正義の肖像画の模写。大河ドラマ「真田丸」で本多忠勝役を演じる藤岡弘、さんに似ているような……。ちなみに、斎藤正義は織田信長の義理の父、斎藤道三の養子

天守からは47都道府県の中で唯一、信長が名づけた岐阜を一望できるほか、方角を変えれば木曽御岳山や日本アルプスの山々、伊吹、養老、鈴鹿の山系なども見られる。写真にある手前の川は木曽三川のひとつ、長良川だ

こんなふうに眼下に広がる街を見ていると、信長が「天下統一できる!」と確信した気持ちがなんとなくわかる。バスとロープウェーを使ってここにたどり着いただけなのに、筆者もなぜか気分が大きくなったほどだ。ガンガン出世できそうな気がする! そう感じたのは、岐阜城の城主になった武将たちも同じだっただろう。しかし、信長以降は誰が城主になってもあっさり落城。ついに、1600年の関ヶ原の戦いのあと廃城となってしまった。やっぱり信長でないとダメなんだね……。

岐阜城の観光が終わったら、城の周囲をぶらぶらしてみるのも楽しい。戦国時代から使われていたという井戸の跡や、豊臣秀吉の馬印“逆さひょうたん”が初めて使われた地「天狗岩」など、信長時代の岐阜城の足跡を垣間見ることができる。

秀吉の馬印が生まれた地(天狗岩)は岐阜城のすぐ近くにあるものの、秀吉は岐阜城に攻めたことはあっても住んだことはない。信長があれだけかわいがっていたのに……

階段を上っていくと、こじんまりとした祠が出現。現在は、刀利天狗の祠が祭られている。看板のほうがインパクトが強い!

リスと遊んだり城の中や周囲を散策したら、そろそろお腹がへってくるころ。ランチは、岐阜城と同じく山頂にある「金華山展望レストラン」で「信長どて丼」をぜひ食べてほしい。どて丼とは、味噌で煮込んだホルモンをごはんの上に乗せたどんぶり。甘い味噌とごはんのハーモニーが人気のメニューだ。

みそ汁とおしんこ、デザートもセットで750円。どて丼を完食すると、器の底に織田木瓜紋が出てくる演出もすばらしい! 信長は味噌が好きだとも“どて”が好きだとも言ったわけではないが、地元産の味噌を使用しているので、岐阜を愛した信長だって好きだったはず

信長どて丼は、豚のホルモンと牛すじを味噌で煮込んでいるという。「岐阜市 ご当地B級グルメフェスティバル」でグランプリを獲得した味をご堪能あれ!

B級グルメフェスティバルだが、実は、信長どて丼が優勝した2012年の1回しか開催されていないのだそう。そのため、信長どて丼は“永久にNo.1”なのだ。なんでも1番であり続ける信長らしさがあふれるメニューと言える

レストランの上にも展望台があるので、食後に行ってみるといい。夏、秋の一部期間はナイト営業をしており、夜景も楽しめる

<関連サイト>食べログで「金華山展望レストラン」をチェックする!

ハートを鷲づかみにされたお土産を発見!

旅先で“歴史お土産”をゲットすることをモットーとしている“お土産物ハンター”だけに、むしろここからが本番だ。ロープウェーを下りた所にお土産物コーナーあるので、いざ出陣!

売り場面積は広く、武将コーナーや岐阜城グッズ、その他岐阜関連のお土産がところ狭しと並んでいた

売り場面積は広く、武将コーナーや岐阜城グッズ、その他岐阜関連のお土産がところ狭しと並んでいた

“岐阜城=信長=天下”がダイレクトに伝わってくるお土産ならば、枝豆まんじゅう「天下布武」(5個入りで540円)。岐阜城で「天下布武」を掲げた36歳頃の信長が描かれている。ちなみに枝豆は岐阜市の名産

「天下布武」のまんじゅうを開封してみたところ、焼印の「信長」が消えかけている……。「織田政権は終わる」という呪いの文字!? 犯人は明智光秀か? と、まるで方広寺の鐘銘から大坂の陣を勃発させた徳川家康のようなことを妄想してしまった

岐阜に縁のある武将の名が刻まれたおちょこには、可児才蔵や仙石秀久といった超マニアックネームが。岐阜城=織田信長グッズが前面に出るのが普通とすれば、この面々はなかなかめずらしい。価格は1個320円

さて、いよいよ冒頭でもお伝えした“心が振るえた”お土産を見ていただこう。武将が描かれた「金華山岐阜城トランプ」だ。見た瞬間に購入したほど気に入っている! 歴史好きなら、このトランプさえあれば無限に遊べるはず。

価格500円の金華山岐阜城トランプ

価格300円の金華山岐阜城トランプ

裏面には織田信長時代の岐阜城をイメージした絵が描かれている。数字のカードの表面は普通だが、絵柄はすべて武将なのだ

ジャックは、信長の重臣である丹羽長秀と(筆者の大好きな)柴田勝家、小姓・前田利家、そして信長と乳兄弟の池田恒興

クイーンには信長の妹・市と、その娘たち茶々、初、江が揃えられている

クイーンには信長の妹・市と、その娘たち茶々、初、江が揃えられている

キングは、もちろん信長! 信長の正室・濃姫の父親である斎藤道三、妹の市を妻にした浅井長政、そして秀吉だ。秀吉は信長に仕えていた頃の羽柴姓となっている

予想はしていたが、やはりジョーカーは明智光秀! 主君である信長を討った明智光秀は2枚もある!(トランプの仕様なので仕方ないのだけれど……)ちなみに明智光秀も岐阜県出身の武将だ

このように「金華山岐阜城トランプ」に描かれている武将は、岐阜城時代の信長にほぼ関係がある。人選のセンスにシビれたので、ぜひトランプの企画者と語りあいたい! と連絡を取ったところ「23年前に亡くなっているので無理です」と一蹴されてしまった。23年も前からこの素晴らしいトランプがあったとは……。

インタビューができなかったので、トランプの絵札で歴史を再現して遊んでみることに。

夫である浅井長政の裏切りを察知した市が、兄・信長に両端の結んだ小豆の袋を送ることで、「袋のネズミ」であることを伝えた有名なエピソードを再現。市のような利発さがあれば、今の時代ならかなりの女実業家になっていただろう。というか、この小豆の袋を見て状況を悟った信長もやはり只者ではない。筆者なら、ただおいしく小豆をいただいて満腹♪となっていたはずだ……

本能寺の変で謀反を起こされた信長には、ジョーカー明智光秀同様に2体に挟み撃ちにあった気分だっただろう

本能寺の変で謀反を起こされた信長は、ジョーカー明智光秀同様に2体に挟み撃ちにあった気分だっただろう

本能寺の変から十数日後に、君主を討たれた仇を取った秀吉。全軍を率いて岡山から京都へ約10日で移動した「中国大返し」が勝因と言われている。明らかな無茶振りだが、秀吉は大勢の家臣たちをイヤとも言わせず統率して大返しを達成したのはスゴイ。睡眠時間も削っての移動もあったと考えられるので、現代なら秀吉軍は「ブラック企業」扱いされたかも

信長亡き後に織田家家臣が集まり、誰が中心となっていくかを話し合った清州会議も金華山岐阜城トランプがあれば完全再現できる! 関東征伐で会議に参加できなかった滝川一益があったらもっと遊べたのに……

清州会議から1年後に、柴田勝家と豊臣秀吉が戦った賤ヶ岳の戦いに参戦する主要メンバーもトランプにほぼ揃っているものの、加藤清正、福島正則などの賤ヶ岳7本槍のメンバーが誰もいないのが残念過ぎる

なので、何も描かれていない1枚に加藤清正を描いてみた

なので、何も描かれていない1枚に加藤清正を描いてみた

加藤清正が加わり、グッと臨場感が増した。と浮かれていたが、筆者の大好きな勝家と敵対する羽柴勢を作り込んでしまったではないか! オウンゴールした気分だ……。ごめん、勝家

このように、金華山岐阜城トランプがあれば織田政権の栄子衰退から秀吉政権に代わるまでを絵札で表現できるので、ひとりでも永遠と遊べる。もちろん、友達と遊ぶもよし!

歴史好きで集まってババ抜きをしたところ、手もとからジョーカー(明智光秀)が相手に渡る際に「敵は本能寺にあり」と叫んでしまいジョーカーの動きが丸わかりに。条件反射で名言を発してしまわないように注意しよう

旅を終えて

岐阜城はロープウェーやリス村、B級グルメフェスティバルグランプリの信長どて丼など、歴史要素とは関係のない施設や食べ物も点在しているが、“住んで・見て・楽しむ”をコンセプトとした城を目指した信長らしい世界観があふれた場所だった。その信長イズムのとおりに、岐阜駅に着いてから岐阜城を見学する間だけでなく、帰宅してからもお土産で世界に浸れるといった楽しめる度はハンパじゃない。とくに、金華山岐阜城トランプにはもっと早く出会いたかった。もしも企画者の方がご存命だった23年前から発売されていたとしたら、筆者はピチピチの10代! その頃にトランプを手に入れていれば、「人間五十年 下天のうちをくらぶれば 夢幻の如くなり」と敦盛を歌った男子に、「でも、信長様は49歳で死んでるし!」なんて、ツッコミ入れてキャッキャッウフフ♪できたかもしれぬ!! 無念!

北村美桂

北村美桂

歴史旅ブログ「カツイエ.com」の運営と、ゆるめの歴史イベント「名古屋歴史ナイト」を主宰するライター。初の子育てに毎日てんてこまい。

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