2018年もあと2か月を切りました。
この時期になると、東急ハンズなどの雑貨量販店や書店で毎年盛り上がりを見せるのが、来年用の手帳です。店頭では手帳コーナーが大々的に設置され、この時期から売り上げもグンと伸びていくそう。
今はスマートフォンやPCでスケジュールを管理できる時代ですが、月間と週間スケジュールを同時に一覧したり、ガントチャートで手軽にタスクを管理したりと、“紙の手帳”ならではの利便性は無視できません。
そこで本稿では、まず手帳の選び方を紹介。そのあとに2019年に使うべき新作手帳を紹介します。選んだポイントは、その手帳でスケジュールやToDoを管理することで、仕事やプライベートの作業効率が上げられる機能派モデルに絞ったこと。目からうろこの使いやすさを備える実力派ぞろいです!
卓上カレンダーに変身するモデルから、200ページ超えのノートページを備えるモデルまで、2019年注目手帳が勢ぞろい!
【注目記事】2020年版はこちらをチェック!
「2020年の手帳」相棒候補にすべき10傑! プロが選び方も伝授
手帳選びの第1のポイントは、サイズとタイプです。
「サイズ」は、記入できる情報量や一覧性の高さに直結します。また、カバンの大きさや、机の上に広げたときも想定しましょう。頻繁に参照・記入するなら、ワイシャツのポケットやジャケットの内ポケットに収まるような小型タイプがいいでしょう。最近の流行はB6からA5程度のやや大きなタイプです。記入しやすく見やすいのが特徴です。
スリムボディのモデルであれば、ポケットに入れていつでも持ち歩けます
綴じ方や予定記入欄の形式、そしてカバーの有無や拡張性といった「タイプ」も重要です。綴じ手帳の場合は、本体のメモスペースとは別に、別売ノートを用意しておくと仕事の情報をまとめておけます。システム手帳やルーズリーフタイプの手帳は、記入用紙の差し替えによって、事実上記入面が無限です。記入したものを管理・保管(デジタル化)する手間を惜しまないということであれば、1冊で完結するのは大きなメリットです。スケジュール以外のものはあまり記入しないという場合は、あまりこだわらず、シンプルなモデルを選んでもいいでしょう。
予定記入欄は、手帳の中心です。まずどんな記入欄が備わっているのか、そしてその記入欄の大きさやレイアウトもよくチェックしてみましょう。
たとえば、同じ月間ブロックでも、空いたスペースに備わったメモスペースが無地か、横罫か、あるいは方眼になのかによっても使い勝手は変わります。
月間ブロックの1日の記入スペースが、さらに方眼罫で分けられている手帳も。ざっくりと書いても美しく見えるから便利です
週間予定欄の場合は、時間軸が何時から何時までなのかをチェックします。自分の生活時間帯に重なるのが理想です。中には、時間軸がないほうが使いやすいという人もいるでしょう。そういう人は時間軸なしのタイプを選ぶか、またはそれが無視できる程度に控えめに印刷されているものにしましょう。
さらに、どこに何を書くのかも想定してみます。以下で取り上げる手帳は、月間予定欄のページのみのモデルが半数以上ですが、月間、週間のページが備わっている場合は、それぞれ何を書くのかという使い分けを考えます。
週間バーチカルには、睡眠時間の0:00〜8:00までは省略しているものから、24時間フルに時間軸が設定されているモデルまで、さまざま
たとえば、自立するタイプの場合は、どこに立てると便利なのか。いっぽうで、バインダータイプなら、どんなリフィルを入れるのか。その場合、互換性のあるリフィルとして選択できるのはどんなタイプなのかをチェックしておきましょう。
予定以外の記入欄の活用も重要です。読書リストといった各種メモリストは、最初から用意されているコンテンツのページですので、手帳を使っていくうえで、持て余さないような活用を考えましょう。あるいは、使いこなせなさそうなページは、別の目的に転用することも考えられます。単なるメモページもたくさん用意されている場合は、見開きごとにどんなことを書くのか考えておきましょう。
読書リストや映画リストは、使う人にとっては重宝するが、使わない人にとっては持て余してしまいます
以上のことを考慮したうえで、自分の理想に近いものを選ぶことが間違いのない手帳選びのコツです。
「NOLTY ライツメモ小型版」
【スペック早見表】
・スケジュール管理:月間/週間
・最適シーン:メモ
・機能特化:小型
・自立:不可
・拡張性:○
手帳王子のイチオシポイントはここ!
「NOLTY ライツメモ小型版」は、84(横)×130(縦)×12(厚さ)mmという、ワイシャツやジャケットのポケットに収まるサイズ感が最大の特徴。流行の時間軸なし週間バーチカルは、バーチカル式ではおなじみの時間軸を取り払って、メモスペースを最大限に確保。予定管理はもちろん、図もイラストも書けます。ここでは、週のタスクをすべて書き出し、日付に割り当てるような使い方もできそうです。ビギナーが気軽に使ってもいいし、手帳歴の長いユーザーが工夫を凝らして使うことも可能。使いでのある1冊です。
手帳としてはオーソドックスとも言える小型タイプ。縦の長さは「iPhone X」と同じくらいと携帯しやすいモデルです
週間スケジュールには、時間軸なしバーチカル式を採用。記入の自由度が高いタイプで、予定はもちろん、図もメモもイラストも書けます
週が簡単に開けるミシン目入りブックマーク(左)と、小型手帳には珍しい太めペンホルダー(右)を搭載
「ジブン手帳 Biz 2019 mini 艶黒ブラック」
【スペック早見表】
・スケジュール管理:月間/週間/月間ガントチャート
・最適シーン:ビジネス
・機能特化:マルチに使える
・自立:不可
・拡張性:○
手帳王子のイチオシポイントはここ!
今や王道感のある「ジブン手帳Biz」のmini版。コクヨ製「MIOペーパー」を採用し、デザインはビジネス寄りです。オリジナルサイズのA5スリムよりもひと回り小さなB6サイズながら、「MONEY PLAN」「本リスト」「映画リスト」など、各種コンテンツを装備しています。専用ノート(別売)の「IDEA」をカバーに差し込めば、仕事の各プロジェクトについても記入できます。月間ガントチャートのページは、予定はもちろん、ハビットトラッカーとしても使えるなど、ビジネスパーソンが公私ともに活用できます。スキのない手帳。
24時間のメモリが付いた週間バーチカルを採用。生活時間帯は記入しやすいよう大きくなっています
各種コンテンツは、項目が用意されているのできれいに書けます
仕事のタスク管理だけでなく、体重管理表やハビットトラッカーとしても使えるガントチャート
「タイマー17カバー Lジップ/クラブ」
【スペック早見表】
・スケジュール管理:月間/週間
・最適シーン:旅行
・機能特化:旅行と仕事に使える
・自立:不可
・拡張性:○
手帳王子のイチオシポイントはここ!
「タイマー17カバー Lジップ/クラブ」の最大の特徴は、L字型ジップ。1周するタイプのジップとは異なり、すばやく開閉が行えて、セットされたメモ帳や旅券など、中にはさんだ物を取り出しやすいです。全体的なプロポーションは正方形に近く、フランスのメーカー、クオバディスのブランドアイデンティティをさりげなく表現。さらに、システム手帳のかなめである金具には、ドイツの王道ブランド、クラウゼのものを採用しています。システム手帳用の各社のリフィルが利用できるのも頼もしいですね。旅行だけでなく仕事にも積極的に使いたい1冊です。
上部をあえて開放した構造を採用しており、はさんだ物が取り出しやすいです
システム手帳の王道ブランド、クラウゼの金具を採用
ロディアのメモパッドを装備可能。別売で用意されている製品なので、補充できるのがうれしいポイントです
「ほぼ日手帳weeks MEGA スニーカー マットブルー」
【スペック早見表】
・スケジュール管理:月間/週間
・最適シーン:ビジネス
・機能特化:1冊に情報を集約できる
・自立:不可
・拡張性:×
手帳王子のイチオシポイントはここ!
「ほぼ日手帳weeks MEGA スニーカー」は、ビジネスパーソン向けの「ほぼ日Weeks」の新モデル。方眼の月間予定欄で予定を管理し、週間予定欄にはメモを記入するような使い方が便利です。巻末に用意されている213ページのメモページは、1年で使い切れないぐらいの量。メモページにもページ番号がふられているので、予定欄にメモページの番号をメモしておくと後で参照するときに楽チンです。本体はカバーレスなので、服のポケットにラフに入れて使うのに最適。どうしてもカバーをつけたい人には、Weeks専用の各種カバーも装着できます。しおりひも代わりに、専用の粘着タイプの付箋が付属。
メモページは、1年では使い切れないほどの213Pの大ボリューム。写真では右側のほとんどがメモページに当たります。方眼で使いやすいです
週間予定欄は、細かな時間軸のないざっくりとしたレフト式を採用
貼るタイプの専用付箋が付属。目的のページがすぐに開けます
「スタットダイアリー(マンスリー・ブロック)」
【スペック早見表】
・スケジュール管理:月間
・最適シーン:ビジネス
・機能特化:PCの横がベスポジ
・自立:可能
・拡張性:△
手帳王子のイチオシポイントはここ!
手帳のよさのひとつとして、一覧性の高さがあげられます。細かな予定は、「Googleカレンダー」で管理している人にとっては、月間ブロックタイプの手帳で間に合います。ただし、使い勝手は注目しましょう。あまりに重く大きいとPCと並べて使うのに不便だからです。
その点、「スタットダイアリー(マンスリー・ブロック)」のような自立する機構がある手帳は、ノートPCの画面のすぐ横に置いておくと、視線の移動量が少なくて作業がはかどります。また、ページ押さえ機構も搭載しているので、開いたページが勝手に閉じるストレスもありません。スタンド部は、折りたためばコンパクトになるのもポイントが高いですね。
カバーを広げてスタンド機構を組み立てると自立可能。PCと並べて使えます
ページ押さえを搭載。広げたページをしっかりとホールドしてくれます
月間ブロックは、記入しやすさを重視してざっくりした仕様
「ミニマルダイアリー<B6>月間」
【スペック早見表】
・スケジュール管理:月間
・最適シーン:ビジネス
・機能特化:これ1冊で完結
・自立:不可
・拡張性:△
手帳王子のイチオシポイントはここ!
「ミニマルダイアリー<B6>月間」は、手帳は持っていたいけれど、あまり大げさなものは必要ないという人にぴったりな1冊。便覧やノートページなどもバッサリとカットされ、3mmというこれ以上にない薄さが魅力です。予定欄にはメモもタスクも記入できますし、左側の縦方向のカレンダーでは仕事以外の予定やイベントなどもメモできるなど、薄くて軽いながらも隅々にまで配慮が行き届いています。これだけ薄いと、同サイズのノートを併用しても重さが気にならないのもうれしいですね。
何といっても薄い! 「iPhone X」と比べると一目瞭然です。同サイズのノートとの併用も◎
月間ブロックは、「予定」「タスク」「メモ」を一元集中できて便利
「ロルバーン ノートダイアリー ガントチャート A5」
【スペック早見表】
・スケジュール管理:月間/ガントチャート
・最適シーン:ビジネス
・機能特化:予定管理と進行管理、週間管理
・自立:不可
・拡張性:△
手帳王子のイチオシポイントはここ!
「ロルバーン ノートダイアリー ガントチャート A5」は、オシャレ文具の定番ブランド、ロルバーンから登場したガントチャート手帳。ロルバーンのシャレた感じはそのままに、タスクの進行状況や週間予定が管理できます。タスク項目欄は18個と、この手の物としては最高レベルの多さ。地紋の色が2項目ごとに交互に変えてあるので、見やすくて書きやすいです。
同サイズのロルバーンのノートと併用してもオシャレです。本体は4mmと薄いので、かさばりもしません。帯を取り除いてしまえば、普通のロルバーン手帳に見えるのもポイント。週間予定を管理したいけれど、いかにもガントチャート用手帳が苦手な人にはこれ!
人気のガントチャートがロルバーンにも登場!
薄くて中綴じだからとても軽い。ノートとの併用もしやすいでしょう
「ノートのように使えるダイアリー A5マンスリー」
【スペック早見表】
・スケジュール管理:月間
・最適シーン:ビジネス
・機能特化:予定も情報も集約可能
・自立:不可
・拡張性:○
手帳王子のイチオシポイントはここ!
「ノートのように使えるダイアリー A5マンスリー」の月間ページは、5mm方眼仕様なので予定を書きやすいのが魅力。また、予定欄右上にある「サインサークル」と呼ばれる○の印は、気分や体調など、いろいろな記録やチェックに利用できます。付属の専用シール(3色)も使うのもいいでしょう。バインダーよりも軽い「ツイストリング構造」を採用しており、リフィルの増減も簡単に行えるので、そのときに必要な情報だけを持ち歩けます。リングにはさめない物は、巻末のポケットにペンとともに収納可能。カバンの中で開かない表紙用バンドも便利ですね。
月間ブロックの方眼罫は、時間軸としても利用できます。応用自在な「サインサークル」も便利
巻末にはペンホルダーとPP製書類挿しを搭載。書類やメモが収納できます
ワンタッチかつ軽い力で開く「ツイストリング構造」
「ロジカルダイアリー2019 リングタイプ A5 ブラック」
【スペック早見表】
・スケジュール管理:月間
・最適シーン:ビジネス
・機能特化:卓上カレンダーと手帳を合体
・自立:可能
・拡張性:×
手帳王子のイチオシポイントはここ!
「ロジカルダイアリー2019 リングタイプ A5 ブラック」は、卓上カレンダー兼手帳として使えるモデル。月間ブロックの記入欄にはチェックボックスを備えており、裏面には独自のロジカル罫を採用。薄型ながら、予定や情報を緻密に管理できます。もちろんPCの横に置いて参照するのにも便利。自立するので机の専有面積が小さくすむのもうれしいですね。画面のすぐ横に視線を移すだけで情報が確認できるという自立タイプならではの便利さと、罫線ページの機能性が両方欲しいならばこのタイプを選びましょう。
本体のバンドのテンションを利用して自立可能
方眼がベースなのでチェックボックスも用意されており、時間管理やタスク管理に便利です
ドットの工夫で縦横にそれぞれ2分割、3分割が行える、同社独自の「ロジカル罫」を採用
「ダイアリー2019 ジウリスダイアリー B5 メタルバインダー」
【スペック早見表】
・スケジュール管理:月間
・最適シーン:ビジネス
・機能特化:情報の一元集約化
・自立:不可
・拡張性:○
手帳王子のイチオシポイントはここ!
機能性と存在感という点では、本稿でセレクトしたモデルの中では随一。記入用紙をきっちりとホールドする「ダブロックファイル」が便利です。そして。紙質とデザインを追求したジウリスシリーズのバインダーは、ビジネスシーンにもぴったりハマります。どんな予定やメモも完璧に記録できる大きな記入面のB5サイズが頼もしいですね。ラミネートされた各月のインデックスもハードな使用に耐えます。記入ページが足りなくなったら別売のB5サイズのルーズリーフを利用できるのも大きな安心感。
情報ツールとしてのバインダーはかくあるべしという、ビジネス手帳然とした雰囲気
紙を知り尽くしたマルマンの中でも、最高級のルーズリーフ「ジウリス」の7mm横罫を採用。これは、万年筆との相性がよい最高級筆記用紙「MPS-N 90g/m²」で、十分な厚紙と表面の滑らかさが快適な書き心地を実現しています
カチッとした操作感や、開きやすさ、堅牢性をどれも素晴らしい金具を採用
【注目記事】2020年版はこちらをチェック!
「2020年の手帳」相棒候補にすべき10傑! プロが選び方も伝授
手帳評論家・ふせん大王。知的生産の面から文具・手帳について執筆。主な著書に「手帳と日本人」(NHK出版新書)や「凄いiPhone手帳術」(エイ出版社)などがある。