4月20日から30日まで、NAB2017という映像のプロ向けの展示会取材のため、渡米した。今回はロサンゼルスから入り、車でラスベガスまで陸路を行く。約5日間の取材を行なったあと、撮影のためにグランドキャニオンの東側まで行き、帰りはまた車でロサンゼルスまで帰るという、合計1500kmの旅をした。
取材の成果として文章の記事も書いたが、映像のプロ向けということで、動画取材も数多く行なった。編集で使ったパソコンは、2016年10月に発売されたMacBook Proである。
実は今年1月のCESでも同じスタイルで動画取材を行なったが、そのときに大失敗した。内蔵SSDは250GBで、まだ半分ぐらいの空きがあった。それぐらいあれば、4K撮影とはいえ十分だと思っていたが、実は全然甘かったのである。
FinalCut Pro Xで4Kを編集すると、パフォーマンスを上げるためにMP4の動画ファイルをProRes422(※)に展開する。これがものすごい量となって、ストレージを圧迫する。
※編集部注 動画圧縮のコーデック。動画編集時のパフォーマンス向上のためにAppleが開発したもので、画質をさほど損なわずに高速な編集が行えるが、ファイルサイズが10倍〜30倍になる
結局CESの時は、1本編集しただけでSSDがパンパンになってしまい、1本編集してはそのたび中身を消し、というイケてない方法でしのぐしかなかった。そんな話をある飲み会で愚痴っていたら、どこでどういう話になったのか定かではないが、NAB取材に向けてSanDiskさんから2タイプのSSDがお借りできることになった。
それが今回ご紹介する「SanDisk Extreme 900」 と「SanDisk Extreme 510」である。
編集のメインとなったのは、SanDisk Extreme 900だ。ご存じのように新型MacBook Proは、外部ポートにUSB Type CタイプのThunderbolt 3を採用している。USBとしては、USB 3.1 Gen 2に対応しており、最大データ転送速度は10Gbpsとなる。SanDisk Extreme 900もUSB 3.1 Gen 2に対応しており、新MacBook Proと組み合わせれば最高のパフォーマンスを発揮する。
動画編集ではメインで活躍、SanDisk Extreme 900
今回は960GBをお借りしているが、容量的には4K動画素材のほか、編集用のProRes422に展開してもまだまだ余裕である。速度的にもかなりの高パフォーマンスだ。
もちろん外付けなので、MacBook Pro内蔵SSDの速度には敵わないが、Blackmagic Design提供のDisk Speed Testによれば、ProRes422のみならず、Cinema DNG RAWでも4K60Pまでこなせるパフォーマンスで、現場での動画コンテンツを強力にサポートしてくれた。
4K編集にも十分なパフォーマンス
一方SanDisk Extreme 510は、USB3.0対応となる。速度は900に落ちるほか、付属ケーブルがUSB Type Aとなるので、MacBook Proでは変換ケーブルが必要になる。
防水・防滴のSanDisk Extreme 510
コネクタもカバーされている
それをおしてでもSanDisk Extreme 510を使いたい理由は、防滴・防塵性IP55保護規格に対応している点だ。周囲には丈夫なゴム製緩衝材を使用しており、落としてもぶつけても大丈夫という堅牢性を備えている。
ビデオ編集用の外部ストレージとしても使えるが、これのメインはPCそのもののバックアップだ。旅先でPCが起動しなくなると、仕事がもろもろ全面的にアウトになってしまう。そんなとき、バックアップストレージがタフネス仕様だと安心できる。小型で平たいので、PCバッグのサイドポケットに無造作に放り込んでおける。そしていざというときにはビデオ編集にも使えるわけだ。
速度を見てみよう。リード速度がSanDisk Extreme 900の半分ぐらいではあるが、ProRes422なら4K60Pの編集までいける。今回は480GBモデルをお借りしているが、内蔵SSDの倍ぐらいの容量があるため、バックアップデータを数回分溜め込んでもまだまだ空きがある。
ProRes422なら4K編集も可能
昨今はネットで動画を使った情報発信をする人も増えている。パツパツの内蔵ストレージで四苦八苦するぐらいなら、外付けSSDを巨大データの拠点とするのがおすすめだ。
AV機器評論家/コラムニスト。デジタル機器、放送、ITなどのメディアを独自の視点で分析するコラムで人気。メルマガ「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」も配信中。