今年も夏の新モデルがほぼ出そろったスマートフォン市場だが、早いモデルでは5月末から発売が開始され、その他の主力モデルも今週末くらいから続々と店頭に並び始める。ここでは、そんなこの夏のスマートフォン市場で注目を集めている製品について、「価格.comトレンドサーチ」のデータなどを使いながら紹介したい。
図1:「スマートフォン」カテゴリーの人気ランキング順位(2017年6月8日時点)
図1は、2017年6月8日時点での「スマートフォン」カテゴリーの人気ランキングを示したものだ。これを見ると、1位がドコモ「Xperia XZ Premium SO-04J」で、3位がドコモ「Xperia XZs SO-03J」と、ソニー製の新モデルが2機種ランクインしている。また、4位には、ドコモ「Galaxy S8 SC-02J」がランクインしているほか、ベスト5からすぐ下の6位にもドコモ「Galaxy S8+ SC-03J」がつけており、サムスンの新モデルも2機種順当にランクアップしてきている。
ここしばらくの間、ファーウェイやASUSなどのSIMフリーモデルが上位を占めるという状況が続いていたスマートフォンカテゴリーの人気ランキングであるが、久しぶりに、高性能な通信キャリア版モデルがそろって上位に顔を出したという感じだ。なかでも、この夏の注目モデルは、上にあげたソニー「Xperia XZs/XZ Premium」とサムスン「Galaxy S8/S8+」の4モデルにほぼ絞られたと言ってよさそうだ。
ソニー「Xperia XZs」
ここで、ざっと、上記4モデルの概要について触れておこう。まずソニーだが、「Xperia XZs」は、従来モデル「Xperia XZ」の後継機となる主力モデルだ。とはいえ、ネーミングからもわかるように、「Xperia XZ」のマイナーバージョンアップと言ってよく、ボディサイズや、フルHD対応の約5.2インチ液晶ディスプレイ、クアッドコアCPU「Snapdragon 820 MSM8996」といった基本スペックは変更なし。変わった部分は、RAMが3GBから4GBに増えた点と、カメラ機能くらい。ストレージは32GBだ。カメラは、ソニー製の新型のキャッシュメモリー搭載CMOSセンサーを搭載することで、よりデータの読み込みが高速化し、その結果として、秒間960コマのスーパースローモーション動画の撮影や、静止画先読み撮影が利用できるようになっている。ドコモ、au、ソフトバンクの主要3キャリアで取り扱われており、5月26日よりすでに発売中だ。
ソニー「Xperia XZ Premium」
いっぽう、現在人気ランキングで1位となっている「XZ Premium」は、上記「Xperia XZs」の上位モデル。画面サイズはひと回り大きな約5.5インチだが、その解像度は2160×3840の4K対応と、画面の精細さがグンと増している。4Kディスプレイ搭載モデルとしては、2015年秋に発売された「Xperia Z5 Premium」に次ぐ1年半ぶりの新製品となるが、前モデルで弱点とされたバッテリーの持ちや発熱の問題などをクリアし、十分実用になるよう磨き上げられたという。4K HDR映像の表示にも対応。その他、カメラは「Xperia XZs」と同じく、高性能な高速カメラを採用。CPUは「Snapdragon 835 MSM8998」で、RAMは4GB、ストレージは64GBとなる。なお、こちらの取り扱いはドコモのみで、発売は6月中旬の予定だ。
サムスン「Galaxy S8」
次にサムスンだが、本日6月8日に発売開始されたのが、主力モデルとなる「Galaxy S8」だ。「Galaxy」シリーズと言えば、有機ELディスプレイであるが、本機もサイドへとラウンドしていく約5.8インチのエッジディスプレイを採用するのが大きな特徴。ちなみに、5.8インチというと、ファブレット端末並みの大きな画面を想像するかもしれないが、本機の場合は18.5:9という縦長のディスプレイを採用しているため、横幅は一般的な5.5型クラスと大差はなく、しかも左右のベゼルがないエッジディスプレイのため、意外にスリムに収まっている。画面が大型化しているため、画面解像度は1440×2960とフルHDよりもかなり細かく、WEB画面なども1画面でより多くの情報が表示できるようになっている。
もちろんスペックも高く、基本スペックは、上記「Xperia XZ Premium」並み。CPUは「Snapdragon 835 MSM8998」で、RAMは4GB、ストレージは64GBを搭載。ドコモとauからそれぞれ発売される。
サムスン「Galaxy S8+」
最後に紹介する「Galaxy S8+」は、基本スペックは上記「Galaxy S8」とほぼ同じだが、画面サイズがひと回り大きな約6.2インチの有機ELエッジディスプレイとなる点が大きな違い。より大型画面なので、1440×2960という高精細画面でもより見やすくなっている。また、ボディもひと回り大きくなるが、その分、3,500mAhという大容量バッテリーを搭載しており、135時間ものバッテリー持続が可能という。こちらは、6月上旬発売の予定で、やはりドコモとau、それぞれから発売される。
図2:今夏の注目スマートフォン5モデルのアクセス推移(過去1か月)
図2は、今夏の注目スマートフォン5モデルのアクセス推移を、「価格.comトレンドサーチ」で示したものだ。どのモデルも発表日はほぼ同じで、5月23日・24日から製品が登録されているが、いずれもアクセス数は急上昇しており、高い人気となっている。なかでも飛び抜けているのが、ソニーの最上位モデル「Xperia XZ Premium SO-04J」(ドコモ)で、注目度から言えば、頭ひとつ抜けているといった印象だ。その次に、5月26日より発売が開始されている、ドコモ版の「Xperia XZs SO-03J」が比較的安定してつけているが、ここ数日の間に、発売日が迫ったドコモ版の「Galaxy S8 SC-02J」が急激に伸びてきて、これを逆転。さらに、ドコモ版の「Galaxy S8+ SC-03J」もこれにからんできており、この辺りの争いは日増しに激しくなっている。なお、au版モデルでは、「Xperia XZs SOV35」が、現在のところ一番人気となっている。
図3:今夏の注目スマートフォン5モデルの人気ランキング推移(過去1か月)
図3は、上記5モデルの人気ランキング推移を示したものだが、図2のアクセス数推移とほぼ連動しており、現在のところ、「Xperia XZ Premium SO-04J」が安定してトップを快走。2位以下は若干混沌としており、今は「Xperia XZs SO-03J」が3位につけているが、急激に人気を上げてきている「Galaxy S8 SC-02J」「Galaxy S8+ SC-03J」が、これに追いつき追い越す可能性も大きくなってきている。特に、今回の「Xperia XZs」は、前モデル「Xperia XZ」からのマイナーバージョンアップというイメージが強いだけに、新規性と地力に勝る「Galaxy S8/S8+」の猛追を交わせるかどうか、今後も目が離せない展開が続きそうだ。
図4:今夏の注目スマートフォン5モデルのクチコミ数推移(過去1か月)
図4は、上記5モデルに寄せられたクチコミ数の推移を示したもの。これを見ると、ここ最近では、「Xperia XZ Premium SO-04J」と「Galaxy S8+ SC-03J」のクチコミが、かなりの盛り上がりでピークを見せていることがわかる。クチコミの中身を見ると、どちらも発売時期に関する情報交換が多く、「早く予約したいのだが、発売日が決まらないため、予約できない」といったユーザー側の期待度の高さがにじみ出ている。いずれも6月上旬〜中旬に発売という情報しか現在のところ発表されておらず、早く実機を手にしたいというユーザーのやきもき感が伝わってくる。
特に、サムスンの「Galaxy S8/S8+」シリーズに関しては、発売日前日までの予約特典として、同社のVRヘッドセット「Gear VR」が全員にプレゼントされるとあって、「正式な発売日がいつになるのか早く知らせてほしい」という、クチコミも多く見られたのが印象的だ。
いずれにしても、今夏のスマートフォン市場は、ソニーとサムスンの上位モデルのガチンコ対決の様相を呈してきた。特に、昨年「Galaxy Note 7」の発熱炎上によるリコール問題などでここしばらく元気のなかったサムスン「Galaxy」シリーズが、この夏、捲土重来となるかに注目したい。
価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。