小寺信良のGadget 2 Go!

左右分離+横チルト、KINESIS FreeStyle2

文字入力の方法として、昨今はフリック入力のほうが勢力を拡大しているのではないかという話がある。大学のレポートもスマホで提出などという噂があった。あるメディアが大学生に調査したところによると、電車内など時間を無駄にしたくないときは補助的にスマホで書く時もあるが、スマホそのままで提出したという話は聞いたことがない、という結果が出た。

大学のレベルにもよるのかもしれないが、こうした話が信じられてしまうほどに、フリック入力も市民権を得たと言うことであろう。とは言うものの、キーボード入力が一番早いという人が死に絶えるまであと数十年はあるわけで、より良いキーボード体験を求める人は当分いるだろう。

そんな中、4月に取材で渡米した際に、エルゴノミクスキーボードの老舗KINESISから出ているFreeStyle2を購入したので、ご紹介したい。

KINESISで最も知られているのは、左右のキーボード面がぼっこりヘコんだAdvantage2だろう。ただしスタンダードモデルでも日本円で5万円近い高級機なので、なかなか手が出ないところだと思う。

そんな中、FreeStyle2は、日本円で1万8,000円程度と比較的買いやすい価格帯だ。国内ではエジクン技研というところが代理店として販売しており、サポートもしっかりしている。筆者が米国で購入した理由は、単純にAmazon Lockerサービスを使って購入してみたかったからである。その模様は筆者のメルマガでご紹介しているのでここでは割愛して、FreeStyle2の魅力に集中しよう。

左右が分離するKINESIS FreeStyle2

左右が分離するKINESIS FreeStyle2

スタンダードと自由のいいとこ取り

エルゴノミクスキーボードは、マイクロソフトなども手がけており、店頭でもデモ機が置いてあるので、どういうものかご存じの方も多いだろう。こうした特殊キーボードを購入するときの悩みは、自分の自己流タイピングでちゃんと使いこなせるだろうか、というところではないだろうか。筆者も最初にエルゴノミクスキーボードを購入するときには、まずそこで悩んだ。

その点FreeStyle2は、標準的なキー配列のキーボードを真ん中から分けられるようにしただけである。最悪の場合、左右をぴったりくっつけて普通のキーボードとしても使えるので、全く使いこなせないということにはなりにくいのが特徴だ。

左右くっつければ普通のキーボード。まずはこれで練習するといいだろう

左右くっつければ普通のキーボード。まずはこれで練習するといいだろう

左右のキーボードはケーブルでつながっており、この長さが9インチ(23cm)と20インチ(50cm)の2モデルがある。筆者が購入したのは20インチモデルだ。

多くのキーボードは、奥の足の角度を調整することによって、手前にチルトする機構が付けられている。だがそうすると、常に手首を上に持ち上げた状態になることから、打ちやすいが手首の負担が大きいとして、人間工学的な設計を重視するエルゴノミクス系では、主流ではない。

FreeStyle2も本体のみの標準機能では、手前にチルトする足はなく、単に左右に離すか、あるいは付属連結器を使ってハの字型に配置するかの2択である。

だがオプションのVIP3アクセサリを購入すると、なんと左右それぞれが横方向にチルトできる。角度は5度、10度、15度の3段階だ。もちろんここまで角度を付けるので、セットのアームレストは必須だ。

オプションのアクセサリを付けると、横方向にチルトできる

オプションのアクセサリを付けると、横方向にチルトできる

5度にチルト

5度にチルト

10度にチルト

10度にチルト

15度にチルト

15度にチルト

最初は調子に乗って15度でトライしていたが、さすがにここまで傾斜がつくと、もはや使い慣れたキーボードとは別ものだ。さっぱり思い通り打てないので、現在は5度か、せいぜい10度で十分である。

キースイッチはメンブレンで、静音とまではいかないが、キータッチは比較的軽い。また本体重量も軽いので、出張などにも持って行きやすい。なにせ2つ重ねれば普通のキーボードの半分の面積となるので、スーツケースにも入れやすい。

筆者はご覧のようにノートPCの左右から挟む格好で使っているが、肩こりが軽減されて非常に快適だ。大量の文字入力で肩や手首に負担がかかっているという方は、検討してみてはいかがだろうか。

ノートPCを挟んで使うことができる

ノートPCを挟んで使うことができる

小寺信良

小寺信良

AV機器評論家/コラムニスト。デジタル機器、放送、ITなどのメディアを独自の視点で分析するコラムで人気。メルマガ「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」も配信中。

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