レビュー
縦長5.8インチディスプレイと、使いやすいユーザーインターフェイスが特徴

フランス生まれの実力派SIMフリースマホ、Wiko「View」レビュー

「Galaxy S8」などで採用された縦横比9:18の縦長ディスプレイは、ファーウェイ「Mate 10 lite」や、ASUS「ZenFone Max Plus(M1)」など、SIMフリースマホでも採用が進んでいる。今回取り上げるWiko「View」もまた、同様の縦長ディスプレイを備えたSIMフリースマホだ。その特徴をレポートしよう。

縦長の大画面ディスプレイを備えながらも価格.comの最安価格が2万円台後半という低価格を実現した「View」。その実力に迫った

縦横比1:2の約5.8インチ縦長ディスプレイが最大の特徴

Wiko(ウイコウ)は、2011年にフランス・マルセイユで創業された、フランスでは中堅どころのメーカー。日本ではなじみが薄いものの、2017年2月にエントリーモデル「Tommy(トミー)」で国内市場参入を果たし、同年12月21日に2機種目となる本機「View(ビュー)」を発売した。

「View」は、720×1440表示に対応した、縦横比1:2の約5.8インチ液晶ディスプレイを搭載する。ボディサイズは約73.1(幅)×151.5(高さ)×8.7(厚さ)mm、重量は約160gだ。ボディは樹脂製だが、表面をマット処理しているので、樹脂丸出しというわけではない。なお、カラーバリエーションは、ブラック、ディープ・ブリーン、チェリー・レッド 、ゴールドの4色で、裏ブタを取り替えることでカラーを変えることができる。

検証に使用したのはチェリー・レッド。ややくすんだ赤で性別を問わずに使えそうだ

検証に使用したのはチェリー・レッド。ややくすんだ赤で性別を問わずに使えそうだ

SIMカード1枚、microSDカード装着の状態で手元のデジタルスケールで計った重量は、161gだった

SIMカード1枚、microSDカード装着の状態で手元のデジタルスケールで計った重量は、161gだった

本機の特徴である縦長ディスプレイだが、近ごろ、ファーウェイ「Mate 10 lite」、ASUS「ZenFone Max Plus(M1)」など、SIMフリースマートフォンにも採用例が増えている。
縦長ディスプレイは、横幅の増加を抑えながら、ディスプレイの表面積を大きくできるため、持ちやすさと視認性を両立できる。また、Android 7.0に備わるマルチウインドウが使いやすい。なお、本機の横幅は、縦横比9:16の5インチ台前半のディスプレイ搭載スマホと同等だ。

「View」の縦長ディスプレイは、720×1440の解像度で特別に緻密というわけではないが、画面の表面積が広いため視認性は良好。また、動画再生など従来どおりの縦横比9:16の表示を行っても、画面の左右の隙間が黒く切れるだけで普通に見られるし、アプリの動作も筆者が検証した限りにおいて問題なく、デメリットは見当たらない。この縦長ディスプレイは本機の大きなセールスポイントといえる。

フロント一面をほぼ覆う縦長ディスプレイ。筆者が試した限り、ゲームを含めたアプリはどれも問題なく動作した

もうひとつの特徴は、容量2,900mAhのバッテリーを交換可能なパック式としている点だ。交換用のバッテリーは市販されておらず、メーカーを通じたサポートの一環として送付されるため、店頭で自由に買うことができないが、それでも、工場に預けることなくユーザーでバッテリーを交換でき、代替機の用意やデータのバックアップなどの手間が不要となるメリットは大きい。

交換可能なバッテリーパック。2,900mAhの容量の割に薄くコンパクトで、技術の進化を感じる

交換可能なバッテリーパック。2,900mAhの容量の割に薄くコンパクトで、技術の進化を感じる

カジュアルに使う分には十分な基本性能を確保

次に、「View」の基本スペックを見てみよう。CPUは、ミドルレンジ向けの「Snapdragon425 MSM8917(1.4GHz×4)」で、これに3GBのRAMと32GBのストレージを組み合わせる。microSDメモリーカードスロットは128GBまで対応。OSはAndroid 7.1が採用される。なお、Wiko Japanのバージョンアップ実績を見ると、国内参入第1弾の「Tommy」については、バージョンアップやセキュリティパッチの配布が行われていないようだ。ここは少し気になる点ではある。

センサーやインターフェイス類では、背面に指紋認証センサーを搭載するが、NFCポートは搭載されていない。Wi-Fiは、IEEE 802.11 b/g/nの各規格に対応。最新のac規格には非対応だ。充電やデータ転送はmicroUSBポートを使う。

指紋認証センサーはボディの背面に設置されている

指紋認証センサーはボディの背面に設置されている

microUSBポートは下側面の右側にオフセットされた形で搭載されている。なお、周辺機器をそのままつなげるUSB OTG(On-The-Go)に対応している

「View」の処理性能を、ベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン7.x)」を使って計測したところ、総合スコアは43,520(内訳、CPU:22,650、GPU:1,723、UX:14,714、RAM:4,433)だった。なお、AnTuTuベンチマークは、2月はじめに登場したバージョン7.xよりベンチマークテストの中身が変わり、バージョン6.x世代より総合スコアが大体2割ほど高くなる傾向がある、そのため従来のスコアとの単純な比較はあまり意味がないが、ここから2割程度差し引いてスコアを見てみると、エントリーモデルとしては順当な総合スコアだが、描画系のGPUのスコアが1,000台とかなり低い。体感速度では、3GBのRAMが効いており、通常のアプリでは取り立てて不満を感じることはないが、ゲームや上記のベンチマークテストの3D描画では、処理性能の不足が露呈した。ただ、CPUに採用されている「Snapdragon 425」は多くの採用実績があるため、ゲーム自体が動かないとか、描画が崩れるということはない。描画が重いと感じたら、描画負担の軽い2Dモードに切り替えるなどアプリの設定でフォローすればよいだろう。

2月に登場した新バージョンのAnTuTuベンチマークを使用。描画を受け持つGPUのスコアが1,723と低く、グラフィック処理が重めのゲームの動作は苦手なことがこの結果からも見て取れる

LTEの対応バンドは、B1/3/5/7/8/18/19/20/26/28A/38/41で、NTTドコモのB19、auのB18、ソフトバンクのB8という主要3通信キャリアのプラチナバンドに対応している。これに加えて、NTTドコモ、au、ソフトバンクのVoLTEにも対応。加えて、2枚のSIMカードが同時に利用できるDSDSに対応しつつ、microSDメモリーカードとスロットが別になっている点も実用性は高い。

microSIMカードスロットを2基搭載。これとは別にmicroSDメモリーカードスロットも用意されており、DSDSをフルに利用できる

製品のパッケージには、充電用のUSBケーブルとACアダプター(出力5V/1A)、イヤホンが同梱される

製品のパッケージには、充電用のUSBケーブルとACアダプター(出力5V/1A)、イヤホンが同梱される

豊富なジェスチャー操作などよく考えられたユーザーインターフェイス

操作面ではユニークな点が目立つ。まず、なぞった画面のパターンにしたがってアプリを起動させる「スマートジェスチャー」機能や、画面をダブルタップすることでスリープから復帰する機能、本体を裏返すことで着信オンをミュートする機能など、豊富なジェスチャー機能を備える。今回の検証で特に便利に感じたのは「スマートジェスチャー」だ。パターンは自由に設定できるし、パターン同士の類似を避ければ何通りものアプリ軌道を設定できる。また、キャッシュデータの削除や、デフォルトアプリの指定、通知の管理など、一般的なAndroidスマートフォンでは設定があちこちに分散しているものが、設定項目としてひとつの画面にまとめられている点も好印象である。概して本機のユーザーインターフェイスはよく考えられており、使い勝手は良好だ。

画面にパターンを描くことでアプリの起動や電話やカメラが使える「スマートジェスチャー」。ジェスチャーの読み取り精度も高く、必要な機能をすばやく呼び出せるのでなかなか便利だった

ボディを裏返すことで着信音を消音する機能や、画面をダブルタップするだけでスリープからフックする機能も搭載

音声通話やSMSなど最低限の機能のみを使う「スーパー省エネモード」も用意されている

音声通話やSMSなど最低限の機能のみを使う「スーパー省エネモード」も用意されている

アプリごとの通知の管理(左画面)やデフォルトで使用するアプリの指定(右画面)などが、設定画面の項目の1つとして1個の画面で一元的に管理できる。地味だが、Androidスマートフォンをよく使っている人にとっては「わかっている」と思わせる機能だ

なお、カメラ機能に目を向けると。メインカメラは約1,300万画素、フロントカメラは1,600万画素という組み合わせで、フロントカメラのほうが画素数が高い。背景ぼかしやオートHDRなど自撮りで便利な機能を数多く備えている。

メインカメラは約1,300万画素。30FPSのフルHD動画の撮影に対応している

メインカメラは約1,300万画素。30FPSのフルHD動画の撮影に対応している

フロントカメラは約1,600万画素と、メインカメラより画素数が高い。ディスプレイをフラッシュ代わりに使うことができる

カジュアルなモデルと思いきや、意外に高い実用性を持った製品

SIMフリースマホも、近頃は一部のメーカーに人気が集中しており、淘汰が進んできた。そんな中で国内市場に参入したWikoは、ITや情報技術のイメージの薄いフランス発のブランドということもあり、注目度はさほど高くないのが正直なところだ。今回取り上げた「View」は、価格.comの最安価格では27,000円を切っており、カジュアルなSIMフリースマートフォンとしてはバランスのよい製品だ。

本機のライバルは、価格帯も近く縦長ディスプレイを備えるファーウェイ「Mate 10 lite」や、ASUS「ZenFone Max Plus(M1)」あたりになるだろう。これらと比較すると、本機はCPUに採用実績の多いスタンダードCPUといえる「Snapdragon」を採用している点が優位点となる。「Mate 10 lite」が採用する「Kirin」や、「ZenFone Max Plus(M1)」が採用する「MT」は、処理性能ではSnapdragonにかなり肉薄しているが、描画におけるアプリの互換性がネックになる場合がまだある。本機のグラフィック性能は、さほど高いものではないが、ちゃんと動作するという安心感はある。またNTTドコモ、au、ソフトバンクのVoLTEに対応しており、2キャリアのDSDSを併用できるという点でも、実用性は高い。

「View」はカジュアルなSIMフリースマートフォンではあるが、その実力は想像よりもかなり高かった。今後の登場モデルも期待が持てそうだ。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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