レビュー
高クロック化してCPUクーラー標準付きになった

Ryzenの第2章始まる。AMD「Ryzen 7 2700X」「Ryzen 5 2600X」ベンチマークレポート

ベンチマークレポート

Sandra 2017

まずはCPUの基礎体力を探るため、SiSoftware「Sandra 2017」を実行してみた。結果は以下の通り。

グラフ1:Sandra 2017 SP4 Processor Arithmetic

グラフ1:Sandra 2017 SP4 Processor Arithmetic

グラフ2:Sandra 2017 SP4 Processor Multi-Media

グラフ2:Sandra 2017 SP4 Processor Multi-Media

グラフ3:Sandra 2017 SP4 Cryptography

グラフ3:Sandra 2017 SP4 Cryptography

グラフ4:Sandra 2017 SP4 Memory Bandwidth

グラフ4:Sandra 2017 SP4 Memory Bandwidth

グラフ5:Sandra 2017 SP4 Memory Latency

グラフ5:Sandra 2017 SP4 Memory Latency

グラフ6:Sandra 2017 SP4 Cache Bandwidth

グラフ6:Sandra 2017 SP4 Cache Bandwidth

CPUの演算能力を測る「Processor Arithmetic」や、マルチメディア系の処理能力を計測する「Processor Multi-Media」、暗号化処理能力を測る「Cryptography」といった部分はCPUの処理能力がそのまま反映される。マイクロアーキテクチャーの改良や製造プロセスルールの微細化による違いにも多少左右されるが、基本的な設計に大きな違いがなければ、コア数が同じならより高クロックなものが高い値を示すというものすごく単純でわかりやすいテストでもある。スペックを考えれば、「Ryzen 7 2700X」>「Ryzen 7 1800X」>「Ryzen 5 2600X」という並び順になることはあらかじめ予想できだが、実際も結果もほぼきれいに予想通りの並び順となった。実際のパフォーマンス的には、「Ryzen 7 2700X」は「Ryzen 7 1800X」のほぼ1割り増しという結果で、最大動作クロックの引き上げやマイクロアーキテクチャーの改良がしっかりと効いているようだ。

メモリー帯域幅を測る「Memory Bandwidths」の結果は、当然のことながらDDR4-2933を正式サポートした第2世代Ryzenが「Ryzen 7 1800X」よりもワンランク上の値を示した。メモリーレイテンシについては、AMDからマイクロアーキテクチャーの改良でパフォーマンスが引き上げられていると事前にアナウンスされていたが、結果を見る限りはこちらもしっかりと確認することができた。

CINEBENCH R15

次は定番ベンチマークのMAXON「CINEBENCH R15」を実行した結果だ。

グラフ7:CINEBENCH R15

グラフ7:CINEBENCH R15

第2世代Ryzenは全般的に高クロック化されたこともあり、シングルスレッド性能・マルチスレッド性能ともに、初代Ryzenよりもさらに一段高い値を示した。こちらもSiSoftware「Sandra 2017」の結果と同様の傾向だ。なかでもマルチスレッド性能については、世代が進んでメニーコアへの最適化が進んだことや、「Precision Boost 2」で高い動作クロックで動くコア数が増えたことがよい方向に影響したのだろう。全般的にかなり良好なスコアだ。

PCMark10

続いて、Futuremarkの総合ベンチマークソフト「PCMark10」から、「PCMark 10 Extended」を実行してみた。結果は以下の通り。

グラフ8:Futuremark「PCMark10」

グラフ8:PCMark10

第2世代RyzenはCPUのクロックアップやメモリー動作クロックのアップなど、プラットフォーム全体でパフォーマンスが向上したこともあり、基本性能を表す「Essentials」の値が2モデルとも大きく伸びている。この影響でトータルスコアも押し上げられているようで、トータルスコアは第2世代Ryzenが初代Ryzenの最上位モデル「Ryzen 7 1800X」よりもワンランク高い値を示した。コア数的に劣る「Ryzen 5 2600X」が、先代のトップエンドモデルである「Ryzen 7 1800X」を抑えているのはなかなか興味深いところだ。

x264 FHD Benchmark

8コア/16スレッド、6コア/12スレッドというメニーコアCPUのメリットを享受できる動画エンコード。今回はこのパフォーマンスを計測するために、「x264 FHD Benchmark」もまわしてみた。結果は以下の通り。

グラフ9:x264 FHD Benchmark

グラフ9:x264 FHD Benchmark

動画エンコードのパフォーマンスはコア数/スレッド数の多い方が有利になることが多い。今回の検証でも、8コア/16スレッドを有するRyzen 7の新旧両モデルが6コア/12スレッドのRyzen 5のパフォーマンスを上回るなど、まさにそのパターンに合致する結果となった。とはいえ、最新の「Ryzen 5 2600X」と初代Ryzenシリーズの「Ryzen 7 1800X」との間の差はかなり縮まっている。

3DMark

次は、グラフィック性能を測るFuturemark「3DMark」の計測結果だ。今回は、DirectX 12をターゲットにした「Time Spy」と、DirecxtX 11をターゲットにした「Fire Strike」「Fire Strike Ultra」の3つのテストを実施した。結果は以下の通り。

グラフ10:3DMark Time Spy

グラフ10:3DMark Time Spy

グラフ11:3DMark Fire Strike

グラフ11:3DMark Fire Strike

グラフ12:3DMark Fire Strike Ultra

グラフ12:3DMark Fire Strike Ultra

「3DMark」はグラフィック性能を測る3Dベンチマークだが、今回はCPUのベンチマークということで、CPU性能のウェイトの大きい「Time Spy」のCPU Scoreと、「Fire Strike」「Fire Strike Ultra」のPhysics scoreに注目してほしい。

DirectX12世代の「Time Spy」はマルチコアへの最適化が一番進んでいるため、8コア/16スレッドのRyzen 7シリーズ2モデルと6コア/12スレッドの「Ryzen 5 2600X」の間ではっきりとした性能差が現れている。その結果がトータルスコアにもしっかりと反映され、「Ryzen 7 2700X」>「Ryzen 7 1800X」>「Ryzen 5 2600X」というスペックどおりのきれいな並び順となった。CPU Scoreだけを見ると、「Ryzen 7 2700X」は「Ryzen 7 1800X」の約1割増といったところで、最大クロック数の向上などを考えると、現実的なスコアではある。

いっぽうで、DirectX11世代の「Fire Strike」と「Fire Strike Ultra」についてはマルチコアへの最適化がDirectX12世代よりも弱いためか、先代の8コア/16スレッドCPU「Ryzen 7 1800X」と最新の6コア/12スレッドCPU「Ryzen 5 2600X」との差がだいぶ縮まっているのがわかる。この影響もあり、GPU負荷が軽く、GPUへの依存が相対的に弱まる「Fire Strike」においては、「Precision Boost 2」などで高い動作クロックを長い間維持できる「Ryzen 5 2600X」のほうが、先代の「Ryzen 7 1800X」のトータルスコアを上回るという下克上がおこっている。ゲームなどの3Dコンテンツを扱う際のパフォーマンスにおいて、GPUへの依存が依然として高いという点は変わりないが、状況によってはより高クロックな状態を維持できる第2世代Ryzenが有利となる場面がでてくるという点は覚えておきたいところだ。

ゲームベンチマーク

ここからは、実際のゲームタイトルを使ったベンチマーク結果を紹介しよう。今回はオンラインRPGの「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター」、レーシングゲームの「Forza Motorsport 7」、アクションシューティングの「Overwatch(オーバーウォッチ)」、FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)の「Far Cry 5」の4タイトルをチョイスした。結果は平均フレームレートを採用。それぞれ3つの解像度別にテストを行っている。

グラフ13:ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター

グラフ13:ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター

グラフ14:Forza Motorsport 7

グラフ14:Forza Motorsport 7

グラフ15:Overwatch(オーバーウォッチ)

グラフ15:Overwatch(オーバーウォッチ)

グラフ16:Far Cry 5

グラフ16:Far Cry 5

「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター」と「Forza Motorsport 7」、「Overwatch(オーバーウォッチ)」の3タイトルについては、いずれも解像度が低くなるにつれて第2世代Ryzenが高い平均フレームレートをたたき出している。ゲームのマルチコアへの最適化が進んでいるとはいえ、1920×1080程度の解像度だと、GPUよりもCPUのクロックやメモリークロックに左右されることがまだまだ多いので、そういった状況だとやはり高クロック&高速メモリー対応の第2世代Ryzenのよさが光る。アクションゲームなど、フレームレートがゲーム性に直結するタイトルであれば、ぜひ第2世代Ryzenを選びたいところだ。

消費電力

最後に、システム全体の消費電力を確認しておこう。測定値は、ラトックシステムの「Bluetoothワットチェッカー REX-BTWATTCH1」を使い、システム全体の消費電力を計測したもので、PC起動10分後の消費電力をアイドル時、「CineBench R15」でシングルコアを使用したテストを実行した際をCPUシングルスレッド高負荷時、同じくCPUコアをすべて使用したテストを実行した際をCPUマルチスレッド高負荷時として採用した。結果は下記通り。

グラフ17:消費電力

グラフ17:消費電力

シングルスレッド高負荷時の消費電力は3モデルともほぼ横並びだ。「Ryzen 5 2600X」については、最大動作クロックが「Ryzen 7 1800X」よりも高く設定されており、世代が進んだことを考慮すれば妥当なラインに収まっているともいえるだろう。いっぽうで、やや気になるのがマルチスレッド時の消費電力だ。冒頭の第2世代Ryzenについてのおさらい部分でも触れたが、やはり「Ryzen 7 2700X」はTDPが引きあがったこともあり、負荷をかけたときの消費電力が、先代の「Ryzen 7 1800X」からグっと上昇している。「Ryzen 5 2600X」についても、6コア/12スレッドCPUながら8コア/16スレッドの「Ryzen 7 1800X」に匹敵する消費電力となってしまった。パフォーマンスが引き上げられた分だけ消費電力が増えてしまったのはやや残念な結果といえる。

まとめ

ここまで「Ryzen 7 2700X」「Ryzen 5 2600X」のベンチマーク結果から第2世代Ryzenの実力を探ってきたが、「Bulldozer」アーキテクチャーから「Zen」アーキテクチャーに変わったときほどのインパクトはないが、着実な性能向上は果たしていた。

両モデルとも初代Ryzenに比べて消費電力が向上してしまったため、多少扱いにくくなっている面もあるが、8コア/16スレッドCPUが4万円前後、6コア/12スレッドCPUが2万円台後半で手に入るというのはやはり魅力的だ。特に「Ryzen 7 2700X」は、Socket AM4のプラットフォームでハイエンドマシンを組むのにいい選択肢になりそうだ。

遠山俊介(編集部)

遠山俊介(編集部)

PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。

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