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2年で買い替えるなら? 全額支払うなら?

iPhone買うならどっちがお得? 大手キャリアの分離プラン vs. 格安SIM&SIMフリー版

NTTドコモが6月1日から提供を開始した「ギガホ」と「ギガライト」は、いわゆる「分離プラン」と呼ばれる料金プランです。分離プランでは、通信サービスの利用料金とスマートフォンやタブレットの端末代が明確に分かれるようになったため、通信サービスの割引額を端末代に転嫁する「実質負担額」の概念がなくなりました。

気になるのは、端末代が比較的高価なアップルの「iPhone」シリーズのようなスマホを購入する場合の支払い額です。今までは定価よりも安い実質負担額で購入することができましたが、分離プランでは原則として端末代を全額支払うことになります。

分離プランが導入されたことで通信サービスの利用料金は安くなっても、iPhone本体の支払い額が以前よりも増えるのであれば、SIMフリー版のiPhoneを購入してMVNO(仮想移動体通信事業者)の格安SIMで利用するほうが、コストを安く抑えられるのかもしれません。

そこで、現在の最新モデル「iPhone XS」について、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクで分離プランを契約したユーザーが購入する場合と、SIMフリー版を格安SIMで利用する場合のコストを比較してみました。

iPhone XS

iPhone XSを買うなら、分離プランと格安SIM&SIMフリー版のどっちがお得なのだろうか?

iPhone XSの本体価格はいくら?

最初に、大手キャリア版とSIMフリー版の本体価格を確認してみましょう。以下の表に、iPhone XSのNTTドコモ版、au版、ソフトバンク版、SIMフリー版それぞれの本体価格をまとめました。

なお、大手キャリアではiPhoneの返却を条件に、分割払いの一部残額を免除してもらうことができます(詳しくは後述)。そのため、返却せず全額支払う場合の価格を「最後まで使う」、返却して免除を受ける場合の価格を「2年で返却」として併記しました。

iPhone XSの本体価格一覧

iPhone XSの本体価格一覧

大手キャリアとSIMフリーそれぞれの本体価格を比べると、どのストレージ容量でもSIMフリー版が最も安いことがわかります。

容量が一番少ない64GBモデルを見てみると、SIMフリー版は112,800円(税別、以下同)ですが、NTTドコモ版は118,800円、au版は119,112円、ソフトバンク版は126,667円となっており、最大で14,000円近い価格差が生じています。

ただし前述のように、大手キャリアでは一定回数以上の支払いを終えてからiPhone XSを返却することで、本体価格の一部が免除されます。

免除を受けられるのはiPhone XSを分割払いで購入した場合で、NTTドコモでは36回払いのうち最大12回分(本体価格の3分の1)、auとソフトバンクでは48回払いのうち最大24回分(本体価格の半分)が対象です。

免除を受けられる条件は、キャリアによって異なります。auの「アップグレードプログラムEX」とソフトバンクの「半額サポート」の場合、iPhone XSを12か月以上使用していて、なおかつ機種変更をするときにiPhone XSを返却することで、25回目以降の分割払いが免除されます。

機種変更をしなかったり、auやソフトバンクを解約したりしてしまうと、免除を受けることはできないため、機種変更を希望するユーザー向けの下取り施策とみなすことができます。

なお、auではiPhone XSの本体代金とは別に、月額390円(非課税)のプログラム利用料を24か月分(合計9,360円)支払う必要があります。また、分割払いの回数が24回で、6か月以上使用してから機種変更すると12回分が免除される「アップグレードプログラムEX(a)」を選ぶことも可能です。

いっぽうNTTドコモの「スマホおかえしプログラム」の場合、iPhone XSを返却することで、36回の分割払いで購入した本体代金のうち25回目以降の支払いが免除されます。機種変更をする必要はありませんし、NTTドコモを解約したあとでもiPhone XSを返却さえすれば免除を受けることができます。免除される割合がauやソフトバンクより低い代わりに、免除される条件が緩いことが特徴です。

このように、本体価格の一部が免除されると、大手キャリア版のiPhone XSのほうがSIMフリー版よりも大幅に安くなります。そのため、通信サービスの利用料金を含めたコストは「iPhone XSを手放さずに長期間使う場合」と「返却を前提に2年間利用する場合」とで異なります。

最後まで使う場合のランニングコストを比較

まず、iPhone XSを返却せずに使い続ける場合のコストを比べてみました。期間は大手キャリアの分割払い回数(NTTドコモは36回、auとソフトバンクは48回)に合わせて、NTTドコモは3年間、auとソフトバンクは4年間としています。

SIMフリー版のiPhone XSと組み合わせる格安SIMには、iPhoneユーザーのシェアが大きい「mineo」から、NTTドコモの回線を利用する「Dプラン」を選びました。月額料金には、SIMフリー版の本体価格を36(NTTドコモと比べる場合)または48(auやソフトバンクと比べる場合)で割った金額を加算しています。

なお、今回試算した各キャリアの料金プランは以下の通りです。比較を単純化するために、家族の回線数に応じた割引や固定通信サービスとのセット割引など、月額料金に対する割引は考慮していません。また、大手キャリアの月額料金は2年契約を前提としています。

大手キャリアおよびmineoの料金プラン一覧

大手キャリアおよびmineoの料金プラン一覧

NTTドコモとSIMフリーを比較

以下の表は、NTTドコモ版とSIMフリー版のiPhone XSをそれぞれ3年間利用し続ける場合について、合計コストと毎月のコストを試算したものです。前述のように、SIMフリー版の月額料金には、本体価格を36等分した金額を分割払い相当の価格として加算しています。

NTTドコモ版とSIMフリー版のコストを比較

NTTドコモ版とSIMフリー版のコストを比較

64GBモデルでデータ利用量が毎月3GBまでの月額料金を見てみると、NTTドコモは7,280円、mineoは4,733円となっており、SIMフリー版のほうが2,500円ほど安いことがわかります。3年間の差額は91,680円と、かなりの価格差が生じています。

いっぽう、毎月30GBまでの大容量プランにおける月額料金はNTTドコモが10,280円、mineoが9,733円なので、差額は500円程度にまで減っています。3年間の差額は19,680円と、毎月3GBまでのプランどうしの差額に対して2割程度まで減っています。

auおよびソフトバンクとSIMフリーを比較

次に、au版およびソフトバンク版とSIMフリー版のiPhone XSをそれぞれ4年間利用し続ける場合を見てみましょう。NTTドコモ版との比較と同様に、SIMフリー版の月額料金には本体価格を48等分した金額を加算しています。

au版およびソフトバンク版とSIMフリー版のコストを比較

au版およびソフトバンク版とSIMフリー版のコストを比較

64GBモデルでデータ利用量が毎月1GBまでの小容量プランの月額料金を見てみると、auは5,462円、ソフトバンクは6,619円です。同じ容量ではありませんが、mineoで毎月3GBまでの月額料金は3,950円なので、SIMフリー版のほうが1,500円から2,600円ほど安く、データ利用量は3倍も利用できることになります。SIMフリー版に対する4年間の差額は、auが72,552円、ソフトバンクは128,107円に達します。

また、大容量プランで毎月20GBまで使えるプランの場合、auの月額料金は8,482円ですが、mineoは1,400円ほど安い7,030円。NTTドコモの場合と違い、au版とSIMフリー版の価格差は大容量プランでもあまり縮まりません。

いっぽう、ソフトバンクのデータ利用量は毎月5GBの次が一気に50GBまで増えてしまうこともあって、「ウルトラギガモンスター+」では10,119円と高額。mineoで最大となるは毎月30GBまでのプランは8,950円なので、差額は1,200円ほどとなります。

ただし、mineoの「デュアルタイプ(30GB)」とソフトバンクの「ウルトラギガモンスター+」ではデータ利用量に20GBもの差があることを考えれば、ソフトバンクのほうがお得と言えるかもしれません。

2年間利用する場合のコストを比較

最後に、大手キャリアのiPhone XSを返却することを前提に、2年間だけ利用する場合のコストを比較してみましょう。

以下の表に、NTTドコモ版、au版、ソフトバンク版、SIMフリー版のiPhone XSを2年間利用した場合の合計コストと毎月のコストをまとめました。SIMフリー版の月額料金には、本体価格を24等分した金額を加算しています。

2年間利用する場合のコストを比較

2年間利用する場合のコストを比較

大手キャリア版のiPhone XSは、返却と引き換えに最大で本体価格の3分の1(NTTドコモ)または半額(auとソフトバンク)が免除されるため、2年間のコストはSIMフリー版とほとんど変わらないレベルまで下がっています。

64GBモデルを見てみると、データ利用量が毎月1GBまでの小容量プランの月額料金は、NTTドコモが6,280円、auが5,852円、ソフトバンクが6,619円となります。mineoは毎月500MBまでの一番安いプランでも6,100円なので、auのほうが250円ほどお得。2年間ではauがmineoよりも5,964円安く、ソフトバンクはmineoよりも12,454円高くなります。

大容量プランはいずれも大手キャリアのほうがお得。毎月20GBまでの月額料金は、mineoが9,380円なのに対し、auは500円ほど安い8,872円。毎月30GBまでのプランでは、mineoが11,300円であるのに対し、NTTドコモは10,280円、ソフトバンクは毎月50GBまでの「ウルトラギガモンスター+」が10,119円となっています。

2年ごとに買い換えるなら大手キャリアがお得も、コストはほとんど変わらない

分離プランの導入によって「実質負担額」が消滅した大手キャリアのiPhoneですが、

・分離プランによって通信サービスの利用料金が安くなった
・分割払いの回数が増えた(定番の24回から36回や48回へ)
・本体の返却と引き換えに代金の最大3分の1または半額が免除されるようになった

以上の理由から、24回分の分割払い代金を支払った時点でiPhone XSを返却することを前提とした場合のコストは、SIMフリー版iPhone XSと格安SIMを組み合わせる場合に匹敵するほど安くなります。

auやソフトバンクでは機種変更をしないと残金の支払い免除を受けることができませんが、iPhoneを2年ごとに最新モデルへ買い換えるつもりなら、サポート体制が整っていて、通信環境も安定している大手キャリアで契約し続けるのがお得です。

ただし、本体価格の一部支払い免除を受けるには、iPhoneの返却が必須です。機種変更が不要のNTTドコモでも返却は必要なので、いずれにしても手元に旧機種が残ることはありません。

旧機種を手放してもかまわないのであれば、中古端末として買い取ってもらうことで、SIMフリー版のiPhone XSを利用する場合でもコストを抑えることができます。結果的に、大手キャリア版とSIMフリー版のコストにそれほど差はないと言えます。

たとえば、価格.comで確認できるiPhone XS(64GBモデル)の買取価格は最大65,000円、1世代前の「iPhone X(64GBモデル)」は最大48,000円です(いずれも2019年6月18日時点)。

買取価格は時間が経つほど下がっていきますが、iPhone XS(64GBモデル)のSIMフリー版をmineoの「デュアルタイプ(30GB)」で2年間使う場合と、ソフトバンク版を「ウルトラギガモンスター+」で2年間使う場合の差額は28,346円なので、買取価格でこの差額を補える可能性は十分あります。

コストにほとんど差がないのであれば、決め手になるのは家族の人数に応じた割引や、通信サービスで利用できる機能やオプション、独自のコンテンツといったキャリア固有のサービスです。提供されているサービスの内容を吟味したうえで、自分にとって最適なキャリアや、SIMフリーのiPhoneで利用する格安SIMを選ぶのがいいでしょう。

松村武宏

松村武宏

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。

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