2020年2月19日、LINEモバイルは新しい料金プランとなる「ベーシックプラン」の申し込み受付を開始しました。
LINEモバイルといえばメッセージングアプリの「LINE」をはじめ、SNSや「LINE MUSIC」の通信が一部無料になるゼロレーティング機能「データフリー」が特徴の格安SIMです。従来のプラン(以下、「旧プラン」)ではデータフリーの対象サービスによってプランが分かれていましたが、今回提供が始まったベーシックプランからはデータフリーがオプションとして分離されたため、これまで以上にプランを選びやすくなりました。
そこで今回は、LINEモバイルの新プランであるベーシックプランと旧プランを比較して、変更点やコストの違いをチェックしてみようと思います。
※記事中の価格表記は特に断りがない限り税別です。
まずは新プランの内容をチェックしてみましょう。以下の表に、ベーシックプランのデータ利用量と月額料金をまとめました。
LINEモバイルの新プラン「ベーシックプラン」の内容
ベーシックプランのデータ利用量は、毎月500MB、3GB、6GB、12GBの4種類。格安SIMとしては一般的なデータ利用量の区切りとなっていますが、20GB以上の大容量プランは用意されていません。SIMカードは音声通話SIMとSMS機能付きデータ通信SIMの2種類で、SMS機能なしのデータ通信SIMは選べません。
データ利用量が毎月3GBまでのプランにおける月額料金は音声通話SIMが1,480円、データSIMが980円となっており、この容量における音声通話SIMの月額料金は格安SIMでも最安クラスとなりました。
また、LINEモバイルはNTTドコモ、au、ソフトバンクのネットワークすべてに対応するマルチキャリアであり、ベーシックプランでも3つのネットワークから好きなものを選んで契約することが可能です。
なお、ベーシックプランでは音声通話SIMの最低利用期間が廃止されましたが、いつ解約するかのタイミングによらず、解約事務手数料として1,000円が必ず請求されるようになりました(音声通話SIMだけでなくデータ通信SIMを契約した場合でも同様)。
ちなみに旧プランでは、音声通話SIMを最低利用期間(利用開始月を1か月目として12か月目の月末まで)が終わる前に解約する場合のみ解約手数料として1,000円(2019年9月末以前に利用を開始した場合は9,800円)が請求されていて、データ通信SIMと最低利用期間が終わった音声通話SIMでは解約手数料が請求されていませんでした。
冒頭でも触れたように、旧プランではデータフリーが料金プランに組み込まれていましたが、ベーシックプランからはデータフリーがオプション化され、料金プランとは分けて提供されるようになりました。
オプション化されたデータフリーは3種類が用意されています。「LINEデータフリー」は「LINE」のみが対象で、月額料金は0円。「SNSデータフリー」は「LINE」「Twitter」「Facebook」が対象で、月額料金は280円。「SNS音楽データフリー」はSNSデータフリーに「Instagram」と「LINE MUSIC」が追加され、月額料金は480円です。なお、いずれも一部の通信はデータフリーの対象外となります(FacebookのMessenger、SNSのライブ動画など)。
旧プランはデータフリーの内容にあわせて料金プランそのものが変わる仕組みでしたが、新プランでは「料金プランのデータ利用量」と「データフリーの対象サービス」をそれぞれ選んで組み合わせる仕組みに変更されたため、旧プランよりもプラン構成を選びやすくなっています。
オプション化されたデータフリーの月額料金と対象サービス
LINEモバイルの魅力であるデータフリーがオプション化されたことで、新プランの月額料金はどのように変わったのでしょうか。データフリーの各オプションを追加した場合の月額料金を以下の表にまとめました。
データフリーを追加した場合の月額料金
データ利用量が毎月3GBまでの音声通話SIMを見てみると、月額無料の「LINEデータフリー」を追加した場合はベーシックプランの月額料金と変わらず1,480円ですが、「SNSデータフリー」を追加すると1,760円、「SNS音楽データフリー」を追加すると1,960円となります。
新プランの月額料金は旧プランに対して安くなったのか、それとも高くなったのでしょうか。比較対象として、データフリーが組み込まれていた旧プランの月額料金を以下の表にまとめました。
旧プランの月額料金とデータフリーの対象サービス
新旧プランでデータ利用量がそろっている毎月3GBの音声通話SIMにおけるプランを比べてみると、旧プランの「コミュニケーションフリープラン」は月額1,690円ですが、新プランで同等となる「ベーシックプラン+SNSデータフリー」の構成では月額1,760円なので、70円の値上がりとなります。
いっぽう、旧プランの「MUSIC+プラン」では月額2,720円ですが、新プランで同等の「ベーシックプラン+SNS音楽データフリー」の構成は月額1,960円なので、新プランのほうが760円お得です。
ほかのデータ利用量の場合、新旧プランで区切りが異なるために単純な比較はできません。たとえば、旧プランの「MUSIC+プラン」で毎月7GBの音声通話SIM(月額3,280円)を契約していた人が新プランに乗り換える場合、データフリー対象外の通信が毎月6GB未満であれば、毎月600円安い月額2,680円(毎月6GBまでのベーシックプラン+SNS音楽データフリー)で済みます。
これに対し、旧プランの上限と同じ毎月7GBまで利用できるプラン構成にしたい場合、新プランでは毎月400円高い月額3,680円(毎月12GBまでのベーシックプラン+SNS音楽データフリー)を支払うことになります。このように、データ利用量とデータフリーオプションの組み合わせ次第で、新プランのほうがお得か割高かが異なります。
また、旧プランの「LINEフリープラン」ではデータ利用量が毎月1GBまでしか用意されていませんでしたが、新プランの「LINEデータフリー」はすべてのデータ利用量と組み合わせられるようになったため、LINEの通信だけを無料にしたいというニーズにも応えやすくなりました。
ただし、ベーシックプランのデータ利用量は500MBの次が3GBという区切りであるため、旧プランの毎月1GBがちょうどよかったという人にとっては、新プランは割高に感じられるかもしれません。
LINEモバイルの新プラン「ベーシックプラン」は、旧プランの料金プランに組み込まれていたデータフリーがオプション化されました。旧プランではデータフリーの内容によって選べるデータ利用量が限られることもありましたが、新プランではベーシックプランとデータフリーの組み合わせを自由に選ぶことが可能です。
これからLINEモバイルの契約を検討している人にとって、データフリーをオプションとして選べるようになったベーシックプランの登場は、他社の格安SIMや大手キャリアの料金プランと同じような感覚で選びやすくなった改善点と言えるでしょう。
そのいっぽう、すでにLINEモバイルの旧プランを契約している人の場合、新プランに変更することで月額料金が安くなる場合もあれば、反対に高くなる場合もあります。特に気をつけたいのは、Instagramの扱いです。というのも、旧プランの「コミュニケーションプラン」ではInstagramもデータフリーの対象でしたが、新プランの「SNSデータフリー」では対象外になっているからです。
旧プランの「コミュニケーションフリープラン」における毎月3GBのプランは前述のように音声通話SIMで月額1,690円ですが、新プランでもInstagramの通信を無料にしたければ「ベーシックプラン+SNS音楽データフリー」の構成を選ばなければならず、月額料金は1,960円掛かります。毎月の差額は270円、1年間では合計3,240円ですが、なるべく安く済ませたい人には割高になったと感じられるかもしれません。
旧プランの申込受付は新プランの受付開始に合わせて終了していますが、すでに旧プランを契約している人は引き続き利用し続けることが可能です。新プランへの変更を希望する場合も急ぐことなく、どのプラン構成を選ぶのがよいのかをしっかりと検討するのがいいでしょう。