シャープは、2021年5月17日、ハイエンドスマートフォン「AQUOS R6」を発表した。1インチセンサーを採用したLeica監修カメラを搭載するほか、指2本での指紋認証も可能な自社開発の有機ELディスプレイ「Pro IGZO OLED」を搭載するなど、新たな試みが取り入れられた製品となっている。
本記事中の撮影写真は、断りのあるもの以外はすべて「AQUOS R6」のカメラで撮影したものを使用している
「AQUOS R6」は、シャープの「AQUOS」シリーズの中では最上級に位置するハイエンドモデル。約74(幅)×162(高さ)×9.5(厚さ)mm、重量約207gのボディに、2,730×1,260のWUXGA+表示に対応する約6.6インチの有機ELディスプレイ「Pro IGZO OLED」を搭載する。この有機ELディスプレイは、同社独自のIGZO技術を取り入れることで1Hzから240Hz(残像低減機能付き)の可変リフレッシュレートに対応するほか、階調は10bitの出力に対応。また、ピーク時で2,000nitの輝度と2,000万:1のコントラスト比を実現しており、HDR規格のひとつである「Dolby VISON」にも対応している。なお、ボディはIPX5/8等級の防水仕様と、IP6X等級の防塵仕様に対応している。
カラーバリエーションはブラックとホワイトの2色
左が前モデル「AQUOS R5G」、右が本機。最大輝度の高い本機はハイライト部分の表現にすぐれる
液晶ディスプレイに比べて輝度がネックになりがちな有機ELディスプレイだが、本機は「AQUOS R5G」のIGZO液晶よりも高い2000nitの最大輝度を実現しており、かなり明るい。なお、ディスプレイは1台ずつ色と明るさを調整したうえで出荷される
ボディ下面に、USB Type-Cポートとヘッドホン端子が配置される
ディスプレイ上に搭載される指紋認証センサーは、認証エリアが広く、指2本同時の認証も可能だ
基本スペックは、最新のハイエンドSoC「Snapdragon 888」に、12GBの大容量メモリーと128GBのストレージ、1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせたもの。OSはAndroid 11だ。NFCおよびFeliCaポートは引き続き搭載されるが、 テレビチューナーは非搭載となった 。内蔵バッテリーは5,000mAhの容量を確保。また、充電時のバッテリーの劣化を防ぐインテリジェントチャージ機能を備え、1年間の利用でもバッテリーの劣化を10%に抑えることができる。5G通信機能はSub-6のみの対応となる。この点、有望性は認めつつも、現時点でのエリア展開の現状や、実用的な性能を望めるアンテナ実装とデザインの両立といった課題もあって、ミリ波対応は見送られている。
本機のメインカメラは、イメージセンサーとレンズの設計、画質チューニングを、独ライカカメラ社とシャープとの共同で行っている。カメラは、オートフォーカスで使用するToFセンサーを除けば、約2,020万画素のイメージセンサーひとつという構成だ。このイメージセンサーは、スマートフォン用としては異例の大型となる1インチサイズのもので、暗所ノイズを前モデル「AQUOS R5G」と比較して約40%削減しているという。レンズは、焦点距離19mm、F1.9のズミクロンレンズで、こちらも「AQUOS R5G」と比較して解像性能を15%、ひずみを1/10まで削減している。この大型イメージセンサーと大口径レンズの組み合わせにより、ソフトウェア処理ではなく、光学的に発生したボケが得られるという。なお、望遠撮影にはデジタルズームを使い、26mmの標準画角のほか、152mmのズーム撮影が行えるが、デジタルズーム時でも余裕のある光学性能とソフトウェア処理の組み合わせで画質の劣化を最小限に抑えた撮影が行えるとしている。なお、「AQUOS R5G」で搭載していた8K動画撮影は本機では非対応となり、動画撮影は最高で4K/60fpsとなった 。フロントカメラは約1,260万画素となっている。
メインカメラは、約2,020万画素のイメージセンサーと、オートフォーカス用のToFセンサーを組み合わせた、基本的にはシングルカメラ仕様
イメージセンサーは1インチという大型サイズのもの。前モデル「AQUOS R5G」のものに比べて約5倍の面積となる
ライカの設計による、7枚のレンズを組み合わせたズミクロンレンズを搭載
以下に、シャープ提供による、本機のメインカメラを使って撮影した静止画サンプルを掲載する。
センサーが大型化したことで、ダイナミックレンジが大きく広がった。明るい夕日から暗部まで自然な階調で撮影できる
青空の階調表現にもすぐれる。また、山野斜面の岩肌や雪面のディテールの描写力も高い
感度特性が高まり、小型のセンサーでは飽和しやすい赤の表現力も高まっている
暗いシーンだが、暗部のノイズはかなり少ない。また、構図奥のフォークとナイフのボケも大きく、大型イメージセンサーの恩恵を感じる
今回の発表会の会場では、本機のカメラを試すことができた。やや暗めなイベントスペースという撮影状況にもかかわらず、以前のモデルに比べるとシャッタータイムラグが短縮され、オートフォーカスの速度と正確さもはっきりと向上していることを感じられ、総じて軽快な撮影が行えた。画質もさることながら、使い勝手の面でもAQUOSシリーズのカメラのイメージを一新するカメラとなっている。
なお、本機はNTTドコモおよびソフトバンクより、6月中旬以降に発売される。価格はまだ発表されていないが、通信キャリア側の意向はあるものの、シャープとしては前モデル「AQUOS R5G」から大きな値上がりは想定していないようだ。なお、これらのキャリアモデルはeSIMには非対応となる。
FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。