レビュー

話題騒然のコンパクトスマホ「BALMUDA Phone」レビュー

デザイン性と独自の機能を追求する家電メーカー・バルミューダが、IT機器やサービスの展開を行う新ブランド「BALMUDA Technologies」を今年2021年に立ち上げた。その第1段製品として11月26日に発売したのが、Androidスマートフォンの「BALMUDA Phone」だ。オープンマーケット版(SIMフリー版)が発売されるほか、国内キャリアではソフトバンクからも発売されるが、いずれの場合も10万円を超える価格設定が、製品発表直後から賛否両論渦巻いている。そんな本製品のレビューをお届けしよう。

※本記事中の価格は税込で統一している

小さくて軽い、持ちやすさ最優先のボディ

「BALMUDA Phone」は、約69(幅)×123(高さ)×13.7(厚さ)mm、重量約138gのボディに、1,920×1,080のフルHD表示に対応した約4.9インチの液晶ディスプレイを搭載する、小型の5G対応スマートフォンだ。ボディ周りの機能面では、IPX4の飛沫防水と、IP4Xの防塵に対応するほか、ワイヤレス充電のQiポートとFeliCaポートを備えている。そのいっぽうで、スピーカーはモノラル、ヘッドホン端子は非搭載で製品パッケージには変換アダプターは同梱されないなど、音質面での配慮はあまりなされていない印象だ。

高級感のある化粧箱。本体は緩衝材でキレイにくるまれていた

高級感のある化粧箱。本体は緩衝材でキレイにくるまれていた

バルミューダが持ちやすさに徹底的にこだわったというボディは、丸みのある背面形状と約138gという軽さのため、確かに手によくなじむ。ずんぐりとしたシルエットも個性的だ。指紋認証センサーは背面の左上に配置されており、左手で持って指を伸ばした場合に人差し指がちょうど当たりやすい場所になる。ただし、右手で持った場合、同じように人差し指を伸ばすと反対側にあるレンズに当たってしまう。この指紋認証センサーとカメラの配置はやや慣れが必要だろう。

「Balumuda」のロゴが刻印されたボディ背面には、経年劣化を考慮した表面加工が施されているという

「Balumuda」のロゴが刻印されたボディ背面には、経年劣化を考慮した表面加工が施されているという

持ちやすさを最優先に考え、中央が大きくふくらんだ背面が特徴的だ

持ちやすさを最優先に考え、中央が大きくふくらんだ背面が特徴的だ

指紋認証センサーとカメラを背面の上部左右に配置する。形状が似ているため、慣れるまでは間違いやすい

指紋認証センサーとカメラを背面の上部左右に配置する。形状が似ているため、慣れるまでは間違いやすい

ボディ下面にはUSB Type-Cポートが備わる

ボディ下面にはUSB Type-Cポートが備わる

本機が搭載する約4.9インチという液晶ディスプレイは、今のスマートフォンの標準から見ると相当小さく思えるが、縦横比16:9で横幅が広めのため、画面の面積自体はそこまで狭く感じない。アイコンなどの文字サイズも大きめだ。ただし、液晶ディスプレイのレベルとしてはさほど鮮明とは感じられなかった。画面右上のパンチホールの直径が大きめなのも、画面の小ささと相まって目立ちやすい。機能面でも、昨今の技術トレンドである倍速駆動や高速タッチサンプリングレート、HDR、10bit階調などにはいずれも対応しておらず、やや凡庸な印象がある。

縦横比16:9のディスプレイは、今見るとややレトロな印象。画面右上のパンチホールが大きめなのは4.9型ディスプレイとしてはマイナス点。また、輝度を低下させた場合に、ホールの周りにうっすらと影が現われるのも残念な点だ

縦横比16:9のディスプレイは、今見るとややレトロな印象。画面右上のパンチホールが大きめなのは4.9型ディスプレイとしてはマイナス点。また、輝度を低下させた場合に、ホールの周りにうっすらと影が現われるのも残念な点だ

SoCには、ミドルクラスの「Snapdragon 765 5G」を採用し、6GBのメモリーと128GBのストレージを組み合わせる。メモリーカードスロットは非搭載。OSはAndroid 11だ。定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」を使い、処理性能を調べたところ、総合スコアは361,262(内訳、CPU:106,446、GPU:92,988、MEM:73,355、UX:88,473)と、Snapdragon 765を搭載するスマートフォンとしては平均的なスコアとなった。ただし、このSoCが発表されたのは2020年前半で、設計としてはやや古い。スペック的に見ると、FCNT「arrows We」や、オッポ「OPPO A55s 5G」といった、この冬に登場する3万円前後の製品をやや上回る程度で、後述するが、10万円オーバーという価格には見合っていない。

AnTuTuベンチマークの総合スコアは361262。最新モデルと比較するとシャープ「AQUOS sense6」を少し上回るレベルだ

AnTuTuベンチマークの総合スコアは361262。最新モデルと比較するとシャープ「AQUOS sense6」を少し上回るレベルだ

通信性能を見てみよう。本機に備わるSIMカードスロットは1基のみ。5Gの対応周波数帯はn3/28/77/78、4GはB1/2/3/4/8/12/17/18/19/28/41/42で、ahamoを含むNTTドコモ系、au、UQ mobile、povoといったKDDI系、ワイモバイルを含むソフトバンク系、楽天モバイルの5Gおよび4Gネットワークに対応する。なお、NTTドコモについては、n79に対応していないので5Gの対応エリアは限られる。また、本機のオープンマーケット版(SIMフリー版)を購入してソフトバンクのSIMカードを組み合わせて使う場合、IMEI制限がかかるためSIMフリー用(Android用やiPhone用ではないもの)のSIMカードが必要になる。

使いやすいオリジナルアプリを搭載

本機で、ボディのコンパクトさとともに注力されているのは、独自にプリインストールされるソフトウェアだ。たとえば、ホーム画面上にある特徴的な2本の斜線は、単なるデザインではなく、この上を左右それぞれにスワイプすることでアプリの起動が行える。また、ホーム画面の上部を軽くタップすることでアプリを呼び出すこともできる。また、スケジュール、メモ、時計、計算機といった基本アプリは、本機専用に独自開発されたもので、本機の特徴となっている。

ホーム画面上の2本の斜線はただのデザインではなく、なぞることで特定の機能を呼び出すことができるというユニークなもの。よく使うアプリを設定しておけば、片手で素早く呼び出せる

ホーム画面上の2本の斜線はただのデザインではなく、なぞることで特定の機能を呼び出すことができるというユニークなもの。よく使うアプリを設定しておけば、片手で素早く呼び出せる

アプリの一覧画面は、名前順、日付順、最近使ったもので並べ替えできる(左画面)。設定画面は、Androidの基本的な項目に従っているが、書体やアイコンなどは独自のもので、バルミューダらしさを感じられる(右画面)

アプリの一覧画面は、名前順、日付順、最近使ったもので並べ替えできる(左画面)。設定画面は、Androidの基本的な項目に従っているが、書体やアイコンなどは独自のもので、バルミューダらしさを感じられる(右画面)

独自の計算機アプリは、円、米ドル、ユーロ、人民元の4種類の為替レートで計算できる(左画面)。また、時計アプリは、時間、ストップウォッチ、目覚まし、カウントダウンの4モードを備える。時間は秒針まで表示される(右画面)

独自の計算機アプリは、円、米ドル、ユーロ、人民元の4種類の為替レートで計算できる(左画面)。また、時計アプリは、時間、ストップウォッチ、目覚まし、カウントダウンの4モードを備える。時間は秒針まで表示される(右画面)

独自のメモアプリは、文字はもちろんのこと、写真や動画をメモとして並べたり、ラベル付けできる。こちらは、5段階の拡大縮小非常が可能だ。

独自のメモアプリは、文字はもちろんのこと、写真や動画をメモとして並べたり、ラベル付けできる。こちらは、5段階の拡大縮小非常が可能だ。

独自アプリのスケジューラーは、1日、3日、1週間、2週間、1か月、1年といった縮尺を、ピンチインピンチアウトで自在に切り替えられる便利なもの。操作性も良好だった

独自アプリのスケジューラーは、1日、3日、1週間、2週間、1か月、1年といった縮尺を、ピンチインピンチアウトで自在に切り替えられる便利なもの。操作性も良好だった

バッテリー容量は2,500mAhで、アクティブに使うと1日持たない。モバイルバッテリーや充電器の持ち歩きは必須

本機のバッテリー容量は2,500mAh。コンパクトなボディゆえに致し方ない部分ではあるが、近ごろのAndroidスマートフォンは4,000mAh以上のものが多いので、この容量はかなり少ない。実際に使ってみたところ、待ち受け主体で1日に30分以内の利用ペースなら、1日に消費するバッテリーは30%前後、単純計算で3日ほどバッテリーは持つ計算だ。ただし、ある程度使い込むとみるみるうちにバッテリーが消費され、24時間に1回以上の充電が必要になる。残量のパーセントを横目で見ながら1日持たせるという感じで、モバイルバッテリーや充電器の持ち歩きは必須となるだろう。

かなり割高な価格設定。ソフトバンク版はさらに4万円も高い

本機は、ソフトバンク版とオープンマーケット版の2種類が発売される。ハードウェアや通信性能は同じだが、ソフトバンク版では、プリインストールされるアプリに、「+メッセージ」やソフトバンクが提供するいくつかのアプリが追加されるなどの違いがある。

本機に関して大いに話題となっているのはその価格設定だ。オープンマーケット版は104,800円でおり、ハイエンドモデル並みの価格設定となっている。なお、バルミューダの直販サイトでは、バッテリー消耗、画面割れ、水没などによる全損の際に、追加料金なしで同一機種に交換する有料ケアプラン「BALMUDA Phone Care」(24,200円)が用意されている。

いっぽう、ソフトバンク版の価格は143,280円とオープンマーケット版よりも4万円ほども高い。今年発売されたソフトバンクのAndroidスマホで、これに匹敵する価格帯なのは、ソニー「Xperia 5 III」(137,520円)、シャープ「AQUOS R6」(133,920円)といったハイエンドモデルで、ハードウェアスペックからすると本機はかなり割高ということになる。なお、端末購入補助の「新トクするサポート」が適用可能なので、端末を返却することを条件に48回払いの25回払い以降の残債を免除すると、総額71,640円で2年間本機を使うことができる。

料理の撮影が得意なカメラ。ただし、AF性能にはやや難あり

本機が搭載するメインカメラは、約4,800万画素のシングルカメラだ。シングルカメラ仕様は最近のスマートフォンでは珍しく、エントリーモデルくらいでないと見かけないが、これもコンパクトサイズとの兼ね合いなのだろう。そんな本機のカメラは、料理の撮影モードに特徴があり、料理をより美味しそうに撮れるチューニングが施されているという。

以下に本機のメインカメラを使って撮影した静止画の作例を掲載する。基本的に初期設定のままカメラ任せで撮影しているが、料理については料理モードに切り替えている。なお、料理の写真については、先日公開されたカメラ機能のアップデートを実施したうえで撮影している。

冬の風景を逆光気味に撮影。全体を見ると自然な仕上がりで、逆光によるフレアは抑えられているが、等倍で見た場合、青空の階調にやや不自然な部分が見られた

冬の風景を逆光気味に撮影。全体を見ると自然な仕上がりで、逆光によるフレアは抑えられているが、等倍で見た場合、青空の階調にやや不自然な部分が見られた

料理モードでケーキを撮影。暗めの店内で撮影したため、ややアンダー気味に写っているが、みずみずしさは表現されている

料理モードでケーキを撮影。暗めの店内で撮影したため、ややアンダー気味に写っているが、表面の照りがみずみずしさとして表現されている

赤いスープのうえに並べられたパクチー。かなり彩度が持ち上げられている印象で、補色の関係だが、スープとパクチーともにビビッドな色合いだ

赤いスープのうえに並べられたパクチー。かなり彩度が持ち上げられている印象で、補色の関係だが、スープとパクチーともにビビッドな色合いだ

今回は、本機が得意とする料理を中心に作例を揃えた。確かに、やや暗い場面でも、料理のシズル感が強調され、SNS映えしそうな鮮やかな写真が手軽に撮れる印象だ。なお、本機のカメラにはシーン認識機能がないため、料理を撮る際には、料理モードにいちいち切り替える必要がある。また、オートフォーカスの精度が今ひとつで、明るい場面でもピント合わせに時間がかかる場合があった。

コンパクトさを重視したがゆえに機能面が不十分。価格はさすがに高すぎる

デザイン家電で知られるバルミューダが世に送り出した「BALMUDA Phone」は、使いやすさ優先という観点から開発された製品だ。その端的なポイントが、4.9型画面というコンパクトなサイズのボディと、シンプルなハードウェア設計、そしてホーム画面を筆頭とする独自のアプリ群である。こうした開発意図はよくくみ取れるが、コンパクトさを重視したあまり、性能や機能が犠牲になってしまった感はぬぐえず、バッテリーも含めて、多くのユーザーが求める性能を実現しているとは言いがたい。

もうひとつの問題はその価格設定だ。やはりこの内容でハイエンドスマホ並みの10万円以上という価格は正直高すぎる。せめてこの半分くらいの価格設定であったならば、本機の理念に共鳴するユーザーもあったと思うだけに、残念な気もする。

価格.comマガジン編集部

価格.comマガジン編集部

パソコン・家電からカップ麺に至るまで、何でも自分で試してみないと気が済まないオタク(こだわり)集団。常にユーザー目線で製品を厳しくチェックします!

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