ASUS JAPANは2023年3月にゲーミングノートPCの2023年モデルを発表しました。その数、なんと10シリーズ24モデル! この数だけ見てもASUS JAPANのゲーミングノートPCへの本気度が伝わってきます。今回はその中からエントリー向けの「TUF Gaming A15」をレビューしていきます。ASUS JAPANらしい個性的なモデルではなく、いい意味で普通のゲーミングノートPCですが、その実力やいかに!
ASUS JAPANのゲーミングノートPC「TUF Gaming A15 FA507XV」。15.6型ディスプレイを搭載するエントリーモデルです
今回試したモデルは2023年5月1日に発売されたばかりの「TUF Gaming A15 FA507XV」。「もっと気軽にゲームを楽しみたいという方のためのゲーミングノートパソコン」というのがコンセプトで、ミリタリースペックの堅牢性とコストパフォーマンスの高さが特徴です。インテルCPUを搭載する「TUF Gaming F15」とAMDのCPUを搭載する「TUF Gaming A15」の2タイプがラインアップされていますが、今回試したのはAMDのCPUを搭載した「TUF Gaming A15」のほうで、型番は「FA507XV-R9R4060T」です。
天板に凸加工されたロゴがタフさを演出しています
主なスペックは以下のとおり。
OS:Windows 11 Home
CPU:Ryzen 9 7940HS(8コア/16スレッド)
GPU:GeForce RTX 4060 Laptop GPU(ビデオメモリー8GB)
メモリー:16GB(DDR5-4800)
ストレージ:1TB SSD(PCI Express 4.0 x4接続)
ディスプレイ:15.6型(2560×1440)、ノングレア、リフレッシュレート165Hz
バッテリー駆動時間:約10.4時間
本体サイズ:354.9(幅)×251.9(奥行き)×22.45〜24.95(高さ)mm
重量:約2.2kg
CPUはAMDの最新CPUである「Ryzen 9 7940HS」。8コア16スレッドで、「Ryzen 7000」シリーズの中では、上位に位置するCPUです。内蔵GPUが「Radeon 780M」で、パワフルなのもポイント。GPUはNVIDIAのエントリーGPU「GeForce RTX 4060 Laptop GPU」です。エントリーですが、最新世代のGPUなので、「DLSS 3.0」をサポートしています。
定番ベンチマークプログラム「3DMark 10 Professional Edition」の結果は下表のとおり。「GeForce RTX 4090 Laptop GPU」と比べると、スコアは半分ほどという感じです。「GeForce RTX 4090 Laptop GPU」は性能こそ高いものの、搭載モデルの価格は50万円前後と非常に高価です。「GeForce RTX 4060 Laptop GPU」を搭載する本モデルは半分の価格と考えれば納得の結果と言えるでしょう。一世代前の「GeForce RTX 3070 Laptop GPU」よりもスコアは上で、「GeForce RTX 3080 Laptop GPU」に迫るスコアです。エントリークラスのGPUとはいえ、さすがに最新世代と言ったところでしょうか。
比較したモデルはソフトウェアなどが統一されていないので、参考程度で見てください
続いて実際にゲームをしてみました。「フォートナイト」は自動設定ではフレームレートが60fpsには達せず、30〜50fps台。ときどきカクつきますが、遊べないことはありません。解像度が2560×1440であることを考えると立派です。レンダリングモードを「パフォーマンス」にすると160fps前後は出るので、リフレッシュレート165Hzのディスプレイの性能を生かせます。「Apex Legends」は最高画質でも100fpsは超えており、最高画質でもストレスなく遊べました。画質設定を下げれば、ヌルヌルで遊べるでしょう。
「フォートナイト」はレンダリングモードを「パフォーマンス」にすれば、フレームレートは160fps前後まで向上します
「DLSS 3.0」対応のヘビー級タイトル「サイバーパンク2077」では「DLLS Frame Generation」をオンにしても30〜40fpsで、カクつくときもありました。クイックプリセットを「ウルトラ」に設定すれば、50fps前後まで出ましたが、これでもヌルヌルとはいきませんでした。カクつくときはありますが、フレームレートや画質にこだわらなければ遊べるでしょう。
フレームレートにも画質にもこだわりたいという人には物足りないでしょうが、これだけパフォーマンスが出ていれば、幅広いゲームを気軽に楽しめそうです。
2つファンと5本のヒートパイプで内部を強力に冷却します。さすがにゲームプレイ中は動作音がするが、ターボモードでも40dBとかなり動作音は抑えられている印象。通気孔周辺はかなり熱くなるが、キーボード面は熱くならず、ゲームプレイに支障はなし
「TUF Gaming」シリーズは、その名のとおり、米国の軍事物資調達規格であるMIL規格(MIL-STD 810H)の基準をクリアした頑丈(タフ)さがウリ。ゲーミングノートPCでタフさをウリにしているものは珍しく、他社との大きな差異化ポイントです。
天板はスーツケースのようなたたずまい。天板を押しても簡単にはへこまず、丈夫な感じはすぐにわかります。衝撃だけでなく、高温や低温、振動にも強い。ゲーミングノートPCをひんぱんに持ち運ぶ人は少ないかもしれませんが、ちょっと雑に扱っても壊れにくいのは心強いところです。どんな壊れ方でもサポートしてくれる、「ASUSのあんしん保証」に入っておくと、さらに安心でしょう。
凸処理された天板のTUFのロゴ、パームレストの白文字、WASDのスケルトンキー、底面のオレンジ色のゴム足など、細部に遊び心がちりばめられたデザインも見どころです。エントリー向けとは言え、細部までデザインにこだわっており、所有欲を満たしてくれるでしょう。
凸加工で再現された天板のロゴ
パームレストにはCAUTIONという白文字。文字の入れ方などは「エヴァンゲリオン」っぽいです
WASDキーはスケルトンで、RGBライトの光りがよく見えます
底面の中央には三角のオレンジ色のゴム足
キーボードはテンキー付きで、ゲームだけでなく仕事や勉強にも使えるでしょう。キーストロークも実測で19mmと余裕があります。キーストロークも本体が厚いので、底につく感じが少なく快適にタイピングできました。
キーボードはヘビーにタイピングしてもぐらつかず、しっかりした作りです。長時間プレイしても問題なさそうです。キーレイアウトも標準的で、仕事や勉強にも問題なく使えるでしょう
外部インターフェイスには、HDMI 2.1出力、USB 4(Type-C)、USB 3.2(Type-C/Gen2)、USB 3.2(Type-A/Gen1)×2、有線LAN(1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T)、マイク入力/ヘッドホン出力を搭載。無線LANはWi-Fi 6に対応します。エントリークラスのゲーミングノートPCとしては、外部インターフェイスは充実しています。
外部インターフェイスは両サイドにレイアウトされています
同社のゲーミングノートPCは、以前はWebカメラを搭載しないモデルもありましたが、本モデルは92万画素のWebカメラを搭載。ディスプレイが2560×1440/165Hzと高解像度かつ高リフレッシュレートなのもポイント
はじめてゲーミングノートPCを買う人や気軽にPCゲームを楽しみたい人が増えてきています。それを受けて、PCメーカー各社はここ数年、普及価格帯のゲーミングノートPCに力を入れているのですが、円安や物価高の影響で価格は上昇傾向にあります。今回試した「TUF Gaming A15」も価格.com最安価格259,800円とコスパの高いエントリーモデルとしては正直高めです。発売されたばかりなのでしょうがないのですが、急いで買わなくていいのであれば、値下がりするのを待つか、公式ストアで実施されるセールをチェックするのがいいかもしれません。公式ストアのセールは大幅に値引きされるケースもあるので、小まめにチェックしましょう。
「TUF Gaming A15」は、現時点では価格は高いですが、エントリーモデルとしては十分な性能と機能が備わったモデルです。エントリー向けとしてはスペックが高めで、15.6型ディスプレイも高解像度かつ高リフレッシュレートなのも見逃せません(その分価格が高めということはあります)。はじめてのゲーミングノートPCにはピッタリですし、ゲーム以外の用途で高性能なノートパソコンを探している人にとってもいい選択肢になるでしょう。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!