NTTドコモ、au、ソフトバンクの各キャリアから2023年6月16日に発売が開始された、ソニー製Androidスマートフォンのフラッグシップモデル「Xperia 1 V」。最新のSoC「Snapdragon 8 Gen 2」の搭載や、広角カメラの刷新など、見どころの多いハイスペックモデルだ。
本記事では「Xperia 1 V」の広角カメラに注目。比較作例を用いて、前モデル「Xperia 1 IV」との違いを掘り下げよう。
なお、「Xperia 1 V」の詳細なスペックについては速報記事と評価機のレビュー記事をご確認いただきたい。
右が「Xperia 1 V」で、左が前モデルの「Xperia 1 IV」。Androidスマートフォン「Xperia」シリーズの新旧フラッグシップモデルの広角カメラを比較した
まずは、「Xperia 1 V」のメインカメラのスペックをまとめておこう。
「Xperia 1 V」のメインカメラは、前モデル「Xperia 1 IV」と同様、超広角カメラ、広角カメラ、光学ズーム対応の望遠カメラという3眼構成だ。「Xperia 1 V」では、超広角カメラと望遠カメラはそのままに、広角カメラのユニットが刷新されている。
「Xperia 1 V」の広角カメラは、撮像素子に、新開発の2層トランジスタ画素積層型CMOSセンサー「Exmor T for mobile」を採用するのが大きなトピックだ。この新開発センサーは、フォトダイオードとトランジスタを2層に分離することで集光量がアップしているのが特徴。低照度性能は前モデル比で2倍に向上している。
加えて、センサーサイズを従来の1/1.7型から1/1.35型に大型化。有効画素数は約1200万画素から約4800万画素に向上し、「Xperia」シリーズとして初めて4つの画素をひとつにまとめるピクセルビニング(画素混合)も採用している。レンズは35mm判換算で焦点距離24mm相当の画角で、絞り値はF1.9だ。
左が「Xperia 1 V」で、右が「Xperia 1 IV」。ボディサイズ(幅×高さ×奥行)は「Xperia 1 V」が約71×165×8.3mmで、「Xperia 1 IV」が約71×165×8.2mmとほぼ同じだ。重量は両モデルとも約187g
「Xperia 1 V」の広角カメラは、新開発の撮像素子とピクセルビニングの採用によって取り込める光の量が増えており、ダイナミックレンジの向上や高感度での低ノイズ化といった画質向上が期待できる。
なお、「Xperia 1 V」の広角カメラが対応する感度は、前モデルのISO64〜6400からISO25〜6400に変更されている。
Xperia 1 V
・撮像素子:2層トランジスタ画素積層型CMOSセンサー「Exmor T for mobile」
・撮像素子のサイズ:1/1.35型
・有効画素数:約4800万画素(ピクセルビニング対応、記録画素数は約1200万画素)
・レンズ:35mm判換算で焦点距離24mm相当の画角/絞り値F1.9
・感度:ISO25〜6400
Xperia 1 IV
・撮像素子:積層型CMOSセンサー「Exmor RS for mobile」
・撮像素子のサイズ:1/1.7型
・有効画素数:約1220万画素
・レンズ:35mm判換算で焦点距離24mm相当の画角/絞り値F1.7
・感度:ISO64〜6400
左が「Xperia 1 V」で、右が「Xperia 1 IV」。両モデルともメインカメラは3眼構成で、上から超広角、広角、望遠なのも共通だ。「Xperia 1 V」の超広角カメラと望遠カメラは「Xperia 1 IV」を継承しており、超広角カメラは、35mm判換算で焦点距離16mm相当の画角/絞り値F2.2のレンズと、1/2.5型の撮像素子(有効画素数:約1200万画素)の組み合わせ。望遠カメラは、35mm判換算で焦点距離85〜125mm相当の画角/絞り値F2.3〜2.8のズームレンズと、1/3.5型の撮像素子(有効画素数:約1200万画素)の組み合わせだ
「Xperia 1 V」のメインカメラでは、前モデルの「3D iToFセンサー」がなくなり、オートフォーカス(AF)に、AI処理によって距離情報を解析する「AI深度推定」方式が新たに採用されているのも押さえておきたい。
「3D iToFセンサー」は赤外線を照射し、反射時間によって距離を測定するというもので、暗所でも正確なAFを行えるのが特徴だが、仕組み上、測定できる距離に限界があったという。新採用の「AI深度推定」では、距離によらずに正確なピント合わせが行えるとのことだ。
AFは従来と同様に高性能で、シャッターボタン半押しで人物/動物の瞳をとらえ続ける「リアルタイム瞳AF」を搭載。タップした被写体を高精度に追尾する「リアルタイムトラッキング」も利用できる
標準搭載のカメラアプリ「Photography Pro」は、スマホを縦に構えたときに使いやすい縦位置撮影用のユーザーインターフェイス(UI)にフル対応するようになった。
これまでは「BASIC」モードのみ縦位置UIに対応していたが、「Xperia 1 V」では「AUTO」モードとマニュアル露出モード(P/S/M)を含めて全撮影モードで縦位置UIの利用が可能。スマホを横にすると横位置用のUIに、縦にすると縦位置用のUIに自動的に切り替わる仕組みだ。なお、ビデオアプリ「Videography Pro」も同様に縦位置UIに対応するようになった。
標準カメラアプリ「Photography Pro」は縦位置UIにフル対応。画面下部にシャッターボタンが配置されている。画面上のFnボタンをタップすると、各種撮影設定を選択・変更できるファンクションメニューが表示される仕組みだ。縦位置UIで表示をロックすることも可能
撮影機能では、一眼カメラ「αシリーズ」に採用されている仕上がり設定「クリエイティブルック」を「Xperia」シリーズとして初搭載。「BASIC」モードと「AUTO」モードで利用できる機能として低照度時用の「ナイトモード」も追加されている。連写性能も向上し、AF/AE追従で最高30コマ秒の超高速連写が可能だ。
動画撮影機能も強化されており、ソニーのシネマカメラや一眼カメラで好評を得ている、人物の肌の質感を美しく表現できる「S-Cinetone for mobile」を新たに搭載。手に持った商品など近くの被写体に優先してピントを合わせる「商品レビュー」機能も追加されている。
「αシリーズ」の最新モデルでおなじみの仕上がり設定「クリエイティブルック」に対応(左)。標準的な設定の「ST」、彩度・コントラストが高めの「VV」、彩度・コントラストを抑えつつ適度にメリハリをつける「IN」など6種類のプリセットを選択できる。明かりがほとんどないような暗いところでの撮影を可能にする「ナイトモード」も追加された(中央)。連写はAF/AE追従で最高30コマ/秒に対応(右)
人物の肌の質感を美しく表現できる「S-Cinetone for mobile」を搭載。スマートフォンで本格的な動画を撮影している人にとって注目の機能だ
上が「Xperia 1 V」で、下が「Xperia 1 IV」。いずれも右側面下部に、独立したシャッターボタンを備えている。「Xperia 1 V」は側面に溝があるので、シャッターボタンを持ってスマホを構えたときに滑りにくい印象を受けた
「Xperia 1 V」は背面に細かな凹凸が施されている。「Xperia 1 IV」と比べるとホールドした際のフィット感が高い
ここからは、同じ被写体を撮影した比較作例を用いて、「Xperia 1 V」と「Xperia 1 IV」の広角カメラの画質をチェックしていこう。
撮影は、au版の「Xperia 1 V SOG10」と「Xperia 1 IV SOG06」を使用した。撮影モードは、設定を細かく調整できるPモード(プログラムオートモード)を選択している。
先にざっくりとした結果を述べておくと、「Xperia 1 V」の広角カメラは、前モデル「Xperia 1 IV」と比べて全体的に解像感が上がっている。元々定評のあった色再現性も、より自然ですっきりとした仕上がりにチューニングされているようだ。さらに、撮像素子の大型化とピクセルビニングの採用などによって高感度画質も向上。画質のレベルは間違いなく上がっている。
Xperia 1 V、広角カメラ(24mm)、感度:ISO200、シャッタースピード:1/50秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー(DRO):オフ
撮影写真(4000×3000、2.8MB)
Xperia 1 IV、広角カメラ(24mm)、感度:ISO160、シャッタースピード:1/50秒、絞り値:F1.7、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー(DRO):オフ
撮影写真(4032×3024、2.5MB)
左が「Xperia 1 V」で、右が「Xperia 1 IV」
この人物作例は、窓からの自然光と、色温度の異なる複数の照明がある屋内で撮影したもの。領域ごとに明暗差を分析して明るさ・階調を調整する「Dレンジオプティマイザー(DRO)」はオフにした。
「Xperia 1 V」「Xperia 1 IV」ともに、人物の瞳を検出したので、人物に合わせた画像処理が行われていると思われるが、両モデルの写真を見比べると、「Xperia 1 V」はオートホワイトバランスがより正確ですっきりとした肌色に仕上がっている。「Xperia 1 IV」は全体的に少し赤味が強い。
また、わずかな差ではあるが、「Xperia 1 V」のほうが髪の毛など細かいところの解像感が高いように見える。
Xperia 1 V、広角カメラ(24mm)、感度:ISO160、シャッタースピード:1/50秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー(DRO):オン
撮影写真(4000×3000、2.9MB)
Xperia 1 IV、広角カメラ(24mm)、感度:ISO160、シャッタースピード:1/50秒、絞り値:F1.7、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー(DRO):オン
撮影写真(4032×3024、2.6MB)
左が「Xperia 1 V」で、右が「Xperia 1 IV」
次に、比較作例1と同じ状況で、「DRO」をオンにして撮影した人物作例を見ていただきたい。なお、「Xperia」シリーズの「DRO」は、一眼カメラやコンパクトデジタルカメラとは異なり、効果を段階的に選択することはできず、オンにすると「オート」での処理が行われる仕様だ。
比較作例1と比べると、「Xperia 1 V」「Xperia 1 IV」ともに窓の部分の白飛びが抑えられている。過度な画像処理ではなく、自然な感じで仕上がっているのがよい。このあたりは、カメラ機能に定評のある「Xperia」シリーズならではの部分だ。
色については、比較作例1と同じで、「Xperia 1 IV」は全体的に少し赤味がかっているのが気になるところ。
Xperia 1 V、広角カメラ(24mm)、感度:ISO25、シャッタースピード:1/200秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー(DRO):オン
撮影写真(4000×3000、4.1MB)
Xperia 1 IV、広角カメラ(24mm)、感度:ISO64、シャッタースピード:1/500秒、絞り値:F1.7、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー(DRO):オン
撮影写真(4032×3024、3.7MB)
左が「Xperia 1 V」で、右が「Xperia 1 IV」
この作例で注目したいのは解像感だ。「Xperia 1 V」は細かいところまでとてもシャープで、より鮮明な仕上がりに見える。対して「Xperia 1 IV」は、「Xperia 1 V」と比べると1枚ベールがあるような感じで、ディテールが少しぼやけている。スマートフォンのディスプレイでは同じように見えるもしれないが、PCモニターやテレビに表示すると違いがわかるはずだ。
さらに、「Xperia 1 V」は自然な色合いで、その場の雰囲気をより忠実に再現している印象。「Xperia 1 IV」はマゼンタが少し強く、ほかの比較作例と同様、全体的に赤味がかっている。
なお、「Xperia 1 V」と「Xperia 1 IV」の広角カメラは、いずれも35mm判換算で焦点距離24mm相当のレンズを搭載しているが、実際の画角は微妙に異なる。「Xperia 1 V」のほうが少し広く写るようになっている。
Xperia 1 V、広角カメラ(24mm)、感度:ISO160、シャッタースピード:1/50秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー(DRO):オフ
撮影写真(4000×3000、3.5MB)
Xperia 1 IV、広角カメラ(24mm)、感度:IS160、シャッタースピード:1/50秒、絞り値:F1.7、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー(DRO):オフ
撮影写真(4032×3024、3.0MB)
左が「Xperia 1 V」で、右が「Xperia 1 IV」
窓から外光が入る室内で撮影。「DRO」はオフにしている。色温度の低い照明があるためか若干ブルー寄りのホワイトバランスではあるものの、「Xperia 1 V」「Xperia 1 IV」ともに、少し薄暗いその場の雰囲気をうまく再現している。
この作例でも解像感に違いが出ており、「Xperia 1 V」は細かいところまでシャープに写っている。
Xperia 1 V、広角カメラ(24mm)、感度:ISO160、シャッタースピード:1/50秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー(DRO):オン
撮影写真(4000×3000、3.5MB)
Xperia 1 IV、広角カメラ(24mm)、感度:IS80、シャッタースピード:1/30秒、絞り値:F1.7、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー(DRO):オン
撮影写真(4032×3024、3.0MB)
左が「Xperia 1 V」で、右が「Xperia 1 IV」
比較作例4と同じシーンにて、「DRO」をオンにして撮影してみた。ここで注目してほしいのは、「DRO」の画像処理の巧みさ。コントラストを強めることなく、自然な形でトーンを出しているがよい。「DRO」は、「AUTO」モードでは常時オンになるが、マニュアル露出モード(P/S/M)でも基本的にオンで使ってよいだろう。
Xperia 1 V、広角カメラ(24mm)、感度:ISO64、シャッタースピード:1/320秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー(DRO):オン
撮影写真(4000×3000、3.2MB)
Xperia 1 IV、広角カメラ(24mm)、感度:IS64、シャッタースピード:1/500秒、絞り値:F1.7、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー(DRO):オン
撮影写真(4032×3024、2.8MB)
左が「Xperia 1 V」で、右が「Xperia 1 IV」
その場の雰囲気の再現が難しい夕景を撮影してみた。露出値が若干異なっているため、「Xperia 1 IV」は少し暗めの仕上がりになったものの、「Xperia 1 V」「Xperia 1 IV」ともにきれいな写真が撮れている。
ただ、「Xperia 1 V」の写真は、シャドーのトーンが出ているいっぽうで、少しメリハリが強いように感じるかもしれない。もう少しコントラストを抑えたいのなら、「クリエイティブルック」で「NT」あたりを選択してもよいだろう。
Xperia 1 V、広角カメラ(24mm)、感度:ISO400、シャッタースピード:1/13秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー(DRO):オン
撮影写真(4000×3000、3.5MB)
Xperia 1 IV、広角カメラ(24mm)、感度:IS400、シャッタースピード:1/15秒、絞り値:F1.7、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー(DRO):オン
撮影写真(4032×3024、3.2MB)
左が「Xperia 1 V」で、右が「Xperia 1 IV」
左が「Xperia 1 V」で、右が「Xperia 1 IV」
ここからは高感度の画質を見ていこう。
この作例はISO400で夜景を撮影したもの。「Xperia 1 V」のほうが少し明るめの仕上がりだが、写真としての全体的な印象は「Xperia 1 V」と「Xperia 1 IV」でほぼ同じだ。
異なるのは解像感で、「Xperia 1 V」は、建物の細かい部分までシャープに写っている。ノイズについては「Xperia 1 V」のほうがわずかに少ないように見えるが、それほどの違いはない。
Xperia 1 V、広角カメラ(24mm)、感度:ISO800、シャッタースピード:1/20秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー(DRO):オン
撮影写真(4000×3000、3.8MB)
Xperia 1 IV、広角カメラ(24mm)、感度:IS800、シャッタースピード:1/15秒、絞り値:F1.7、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー(DRO):オン
撮影写真(4032×3024、3.4MB)
左が「Xperia 1 V」で、右が「Xperia 1 IV」
左が「Xperia 1 V」で、右が「Xperia 1 IV」
さらに高感度のISO800で夜景を撮影してみたところ、やはり解像感に違いが出た。「Xperia 1 V」はノイズを抑えつつも全体的にシャープに写っている。対して「Xperia 1 IV」は、ノイズリダクションが強いせいか少しぼやけて見える。
色については、「Xperia 1 V」はわずかにグリーン寄りで、「Xperia 1 IV」はブルーが強くなった。
Xperia 1 V、広角カメラ(24mm)、感度:ISO1600、シャッタースピード:1/40秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー(DRO):オン
撮影写真(4000×3000、3.8MB)
Xperia 1 IV、広角カメラ(24mm)、感度:IS1600、シャッタースピード:1/40秒、絞り値:F1.7、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー(DRO):オン
撮影写真(4032×3024、2.9MB)
左が「Xperia 1 V」で、右が「Xperia 1 IV」
左が「Xperia 1 V」で、右が「Xperia 1 IV」
ISO800から1段感度を上げたISO1600でも比較してみた。「Xperia 1 V」は、さすがにノイズがのってくるが、ノイズリダクションと解像感のバランスがよく、この高感度でもディテールがしっかり写っているのがすごい。「Xperia 1 IV」はISO800の作例よりもノイズリダクションが強く、ディテールが潰れてしまっている。
最後に、「Xperia 1 V」と「Xperia 1 IV」の各種ベンチマークアプリの結果を簡単にレポートしておこう。「AnTuTu Benchmark V10」「Geekbench 6」「3DMark Wild Life Extreme」「AI Benchmark」といったアプリを試してみた。
「AnTuTu Benchmark V10」の総合スコアが1352532、「Geekbench 6」のシングルコアが1930/マルチコアが5251/GPUが7174、「3DMark Wild Life Extreme」が3664、「AI Benchmark」が1970
「AnTuTu Benchmark V10」の総合スコアが996640、「Geekbench 6」のシングルコアが1710/マルチコアが3328/GPUが5373、「3DMark Wild Life Extreme」が2172、「AI Benchmark」が1595
「Xperia 1 V」は、SoCに最新の「Snapdragon 8 Gen 2」を採用しており、「Snapdragon 8 Gen 1」採用の「Xperia 1 IV」と比べてベンチマークのスコアがアップしている。アプリや評価項目にもよるが、「AnTuTu Benchmark(Ver.10)」の総合スコアは130万台、「3DMark Wild Life Extreme」は3000台で、「Xperia 1 V」よりも約1.1〜1.6倍高いスコアが得られた。
また、「Xperia 1 V」は、「Xperia 1 IV」と比べてボディの発熱が低減していることも報告しておきたい。初期設定でカメラアプリや動画視聴アプリ、ベンチマークアプリなどを使用してみたところ、長時間使っているとそれなりに熱くはなるものの、「Xperia 1 IV」ほどではなかった。この差は、SoCが「Snapdragon 8 Gen 2」になって電源効率が高まったことと、前モデル比で熱拡散シートの面積が約60%拡大したことが大きいのだろう。
今回、人物や夜景など幅広い被写体・シーンで「Xperia 1 V」の広角カメラをテストしてみたが、「Xperia 1 IV」から着実に画質がよくなっていることがわかった。撮像素子を刷新したことで解像感、色再現性、高感度画質のすべてが向上している。「Xperia PRO-I」など1インチ(1.0型)の撮像素子を搭載するモデルと比べてもいい勝負ができるクオリティーではないだろうか。
「Xperia 1 IV」の機種代金は、NTTドコモが218,680円、auが210,240円、ソフトバンクが198,000円(いずれも税込)。2023年7月下旬に発売される、メモリー/ストレージ容量を強化した一般流通向けモデル(SIMフリー端末)の市場想定価格は195,000円前後(税込)だ。
フラッグシップモデルだけあって高額だが、広角カメラ以外にも、SoCが「Snapdragon 8 Gen 2」にアップグレードされ、バッテリーの持ちも改善されている(※詳細は評価機のレビュー記事をご覧いただきたい)。完成度は前モデルを大きく上回っていると言ってよいだろう。
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣を持つ。フォトグラファーとしても活動中。