レビュー

HP「Envy x360 14」レビュー! 仕事も趣味も快適な“万能”14インチノート

HP「Envy x360 14」は、ディスプレイを360度回転できるコンバーチブルタイプの14型(インチ)ノートパソコン。高品位なアルミニウムボディに、AI処理に強い高性能CPUを搭載するハイスペックな製品です。

ここでは、価格.com「ノートパソコン」カテゴリーで人気上昇中のパフォーマンスプラスモデル(最上位モデル)を使って特徴を詳しくレビューします。

ハイスペックな14型ノートパソコン「Envy x360 14」。型番の「x360」はコンバーチブルモデルであることを示しています

ハイスペックな14型ノートパソコン「Envy x360 14」。型番の「x360」はコンバーチブルモデルであることを示しています

「Envy x360 14」ってどんなパソコン?

・ビジネスにもエンタメにも使える万能な14型ノート
・NPU内蔵の高性能CPUを搭載し、AI処理に強い
・写真/動画編集に活用できるハイスペックモデルも用意

プレミアムブランド「Envy」シリーズの14インチモデル

HPは、世界的に高いシェアを誇る、1939年創業の老舗パソコンメーカーです。ノートパソコンは、低価格なエントリー向けモデルから、ゲーム用途に特化したゲーミングモデルまで、計7シリーズの充実したラインアップを揃えています。

ゲーミング、マスターピース、プレミアム/クリエイターといったカテゴリー別に計7シリーズを展開。これらのシリーズ以外では、最新モデルとして「Snapdragon X」採用の「OmniBook X」というモデルが追加されています

ゲーミング、マスターピース、プレミアム/クリエイターといったカテゴリー別に計7シリーズを展開。これらのシリーズ以外では、最新モデルとして「Snapdragon X」採用の「OmniBook X」というモデルが追加されています

今回紹介する「Envy x360 14」は、HPのノートパソコンのなかでプレミアムブランドに位置づけられている上位モデル「Envy」シリーズの14型モデルです。

14型の“ちょうどいい”サイズのディスプレイを採用しており、持ち出して使用するモバイル用としても活用できます。さらに、ディスプレイを360度回転できるコンバーチブルタイプなので、さまざまなスタイルで使えるのも特徴です。

NPU内蔵CPUを搭載する3ラインを用意

「Envy x360 14」には、スタンダードモデル、パフォーマンスモデル、パフォーマンスプラスモデルというスペックが異なる3ラインが用意されています。

これら3ラインの性能面で共通するのは、CPUに、NPU(AI処理に特化したエンジン)を内蔵した、AMDの「Ryzen 8000」シリーズもしくはインテルの「Core Ultra」シリーズを搭載すること。いわゆる「AI PC」と呼ばれる最新型のパソコンで、Windowsに実装されているAIアシスタント機能「Copilot(コパイロット)」を快適に利用できます。

AIアシスタント機能を素早く呼び出せる「Copilotキー」を搭載しています

AIアシスタント機能を素早く呼び出せる「Copilotキー」を搭載しています

どんな用途に向いている?

■「Envy x360 14」パフォーマンスプラスモデル(「Ryzen 7 8840HS」搭載モデル) 筆者による評価チャート

価格.com「ノートパソコン」でのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けたレーダーチャート

価格.com「ノートパソコン」でのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けたレーダーチャート

評価チャートについて
・実際に製品を使用して、価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けました。
評価項目:満足度、デザイン、処理速度、グラフィック性能、拡張性、使いやすさ、持ち運びやすさ、バッテリー、画面、コストパフォーマンス
点数:5点満点(標準点は3点)
・本記事を執筆した筆者による個人的な評価です。評価は個人によって変わりますので、あくまでも参考程度にとどめてください。

価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビュー一覧

「Envy x360 14」は、プレミアムブランド「Envy」シリーズの製品だけあって基本性能にすぐれています。特に、今回取り上げる最上位のパフォーマンスプラスモデルは、CPUだけでなくメモリーやストレージのスペックも高く、文書作成などのビジネス用途、映画やスポーツ中継などを楽しむエンタメ用途、さらには写真・動画編集などのクリエイティブ用途まで幅広く対応できます。

上記の評価チャートを見てもらうと、全項目が3点以上でバランスの取れた製品であることが伝わるかと思います。特に評価が高いのが「画面」で5点満点を付けました。

本製品の詳細な特徴は、次項目以降のレビューをぜひご確認ください。

映画を高画質に楽しめる2.8K有機ELディスプレイ

ここからは、「Envy x360 14」の詳細なレビューをお届けします。今回は、最上位のパフォーマンスプラスモデル(「Ryzen 7 8840HS」搭載モデル)を使用しました。

「Envy x360 14」は高性能なノートパソコンで見どころがたくさんありますが、実際に使ってみて特にすばらしいと感じたのがディスプレイです。

パフォーマンスプラスモデルとパフォーマンスモデルは、WQXGA+(2880×1800)の高解像度表示に対応する、14型の有機ELディスプレイ(タッチパネル対応)を採用しています。実際に写真を表示したり、映画を視聴したりしましたが、グレア(光沢)タイプで艶のある表示がとても美しかったです。

有機ELならではのコントラストの高さは、特に映画を楽しむ際に威力を発揮すると感じました。ビジネス向けのスタンダードなノートパソコンとはひと味違う、黒が締まった没入感のある映像を楽しめます。

有機ELディスプレイはコントラストが高く、美しい映像を再現してくれます

有機ELディスプレイはコントラストが高く、美しい映像を再現してくれます

ビジネス用途でこのディスプレイをチェックすると、画面のアスペクト比が少し縦に長い16:10なのがポイント。一般的な16:9よりも縦の作業エリアを広く確保できるので、文書や表計算などのオフィスアプリが使いやすいです。最大輝度は400nit。極端に明るい環境下を除いて十分な視認性を確保できます(※ただし、グレアパネルなので映り込みに注意)。

このほか、最大120Hzのリフレッシュレートに対応しているので、動きの速いゲームにも対応できると言えるでしょう。総じて、非常にクオリティーの高いディスプレイだと思います。

なお、映画を視聴している際は、内蔵スピーカーの音のよさにも驚かされました。ノートパソコンの内蔵スピーカーはどこかこもる感じがするものが多いですが、くっきりはっきりとした音質で、アクション映画のセリフや効果音もしっかりと聴き取れました。

コンバーチブルタイプなので多彩なスタイルに対応できる

「Envy x360 14」のディスプレイは360度回転できるコンバーチブルタイプ。ディスプレイの角度を調整することで、通常のノートパソコンのスタイルだけでなく、狭いスペースでも設置しやすいテントスタイルや、動画鑑賞に最適なスタンドスタイル、タッチパネル操作を活用できるタブレットスタイルといった、多彩なスタイルで利用できます。

ディスプレイの角度を調整することでさまざまな使い方が可能。ノートパソコンスタイル(左上)、テントスタイル(右上)、スタンドスタイル(左下)、タブレットスタイル(右下)などのスタイルを選べます

ディスプレイの角度を調整することでさまざまな使い方が可能。ノートパソコンスタイル(左上)、テントスタイル(右上)、スタンドスタイル(左下)、タブレットスタイル(右下)などのスタイルを選べます

薄型ボディに十分な操作性とインターフェイスを搭載

続いて、「Envy x360 14」のボディをチェックしていきましょう。「Envy x360 14」は14型ということで、外に持ち運んで利用することを想定して選ぶ人も多いと思います。特に携帯性とバッテリー性能は気になるところではないでしょうか。

携帯性

「Envy x360 14」のサイズ/重量
サイズ:約313(幅)×16.9(高さ、最薄部)×218 (奥行)mm
重量:約1.39kg

400kgの天面荷重に耐えられる頑丈ボディながら重量が1.5kgを切っているのがポイント。剛性感が高いのがよく、安心して持ち運べます。さらに、厚さが16.9mm(最薄部)に抑えられているため、かばんの中に入れてもじゃまになりにくいですし、手で抱えて持つときも比較的軽い力でしっかりホールドできます。さすがに1kgを切る超軽量モバイルノートほどではないですが、携帯性は十分に高いです。

アルミニウムを使用した頑丈なボディながら重量は約1.39kgと比較的軽量です

アルミニウムを使用した頑丈なボディながら重量は約1.39kgと比較的軽量です

HPらしく、シンプルかつ高品位なデザインに仕上がっています

HPらしく、シンプルかつ高品位なデザインに仕上がっています

キーボード&タッチパッド

キーボードは日本語配列で、もちろんバックライト付き。いちばん右上のDeleteキーの左隣に電源ボタンを配置した、HPのノートパソコンとしては標準的なキー配列です。

キーを打った感じは、エントリー向けのような安っぽさはなく、静音性にもすぐれていると思いました。タッチパッドは実寸で約12.5(横)×8.0(縦)mmと大きめで、滑らかなカーソル操作が可能です。初期設定だと少しタッチパッドの感度が高いようなので、使いながら設定を見直してもよいかもしれません。

日本語配列キーボード。アルファベット(A〜Z)や数字(1〜0)が大きく印字されているタイプです

日本語配列キーボード。アルファベット(A〜Z)や数字(1〜0)が大きく印字されているタイプです

タッチパットは十分な大きさで扱いやすいです

タッチパットは十分な大きさで扱いやすいです

「Envy x360 14」は、Webカメラと内蔵マイクの性能が高いのも特徴です。Webカメラは約500万画素で、オートHDR機能を搭載。多少暗い状況でも明るく補正した映像を映してくれます。プライバシーカメラスイッチと顔認証センサーも備わっています。内蔵マイクはデュアルマイク仕様で、AIノイズリダクション機能を搭載。ノイズを抑えたクリアな音声を届けることが可能です

「Envy x360 14」は、Webカメラと内蔵マイクの性能が高いのも特徴です。Webカメラは約500万画素で、オートHDR機能を搭載。多少暗い状況でも明るく補正した映像を映してくれます。プライバシーカメラスイッチと顔認証センサーも備わっています。内蔵マイクはデュアルマイク仕様で、AIノイズリダクション機能を搭載。ノイズを抑えたクリアな音声を届けることが可能です

外部インターフェイス

左側面:HDMI 2.1×1、USB Type-C(10Gbps)×2、USB Type-A(10Gbps)×1
右側面:USB Type-A(10Gbps)×1、ヘッドホン/マイクコンボ×1

クリエイティブ用途ではメモリーカードスロットがあると便利でしたが、10Gbps(USB 3.2 Gen2)対応のUSB Type-C/Type-A端子がそれぞれ2基備わっており、必要十分と言えるでしょう。

HDMI 2.1端子やUSB Type-C/Type-A端子などを搭載

HDMI 2.1端子やUSB Type-C/Type-A端子などを搭載

バッテリー性能

今回使用した「Envy x360 14」のパフォーマンスプラスモデル(「Ryzen 7 8840HS」搭載モデル)のバッテリー駆動時間は最大10時間30分。この性能がどのくらいなのかをチェックすべく、以下の条件で、約2時間の映画(フルHD解像度のアクション映画)を2本続けてストリーミング再生してみました。

動画再生時のパソコン設定
Windows 11の電源プラン:バランス(初期設定)
ディスプレイの明るさ:100%(最大輝度)
表示モード:全画面表示
音量ボリューム:50%
Wi-Fi/Bluetooth:オン

結果は、1本目の再生が終わった時点でのバッテリー残量が71%。2本目が終わった時点では49%でした。コンテンツの内容にもよりますが、約2時間の映画を大体4本視聴できるバッテリー性能です。さすがにバッテリー駆動時間が20時間を超えるようなモバイルノートほどの性能ではなく、丸1日外に持ち出す際は、付属の電源アダプターを携帯したいところです。

2時間の映画を2本見終えた段階でのバッテリー残量は49%でした

2時間の映画を2本見終えた段階でのバッテリー残量は49%でした

なお、「Envy x360 14」はUSB Type-C端子経由での本体バッテリーの充電に対応しています(※付属の電源アダプターもUSB Type-C接続用で65W出力仕様)。給電可能かどうかはチェックする必要がありますが、出先での緊急充電用に、65W出力以上のUSB Power Delivery(PD)対応モバイルバッテリーを用意しておいてもよいと思います。

本体バッテリーの充電はUSB Type-C端子経由で行います(付属の電源アダプターを接続している様子)

本体バッテリーの充電はUSB Type-C端子経由で行います(付属の電源アダプターを接続している様子)

ビジネス用途ではまったく問題のない性能。写真・動画編集もこなせる

最後に、各種ベンチマークの結果をまとめておきます。

今回使用した、「Envy x360 14」のパフォーマンスプラスモデル(「Ryzen 7 8840HS」搭載モデル)のスペックは以下のとおりです。

CPU:Ryzen 7 8840HS(3.3GHz/8コア)
メモリー:32GB(LPDDR5)
ストレージ:1TB SSD(M.2)
ディスプレイ:14型有機EL(2880×1800)

ベンチマークを実行する際は、Windows 11の電源プランを「最適なパフォーマンス」(システムのパフォーマンスを優先するモード)に設定しました。

「CineBench R23」のスコア

マルチコア:9863
シングルコア:1652

「CineBench R23」の結果

「CineBench R23」の結果

「3DMark Professional Edition」のスコア

Fire strike:5318
Time spy:2322
Steel Nomad Light:1948
Steel Nomad:370
Speed Way:229

「3DMark Professional Edition」の結果

「3DMark Professional Edition」の結果

「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」のスコア

標準品質、1920×1080、フルスクリーン:2706(やや重い)

「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」の結果

「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」の結果

「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマーク」のスコア

標準品質(ノートPC)、1920×1080:4781(普通)

「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマーク」の結果

「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマーク」の結果

「PugetBench for Premiere Pro」のスコア

※「Adobe Premiere Pro」を使った動画編集向けベンチマーク
Standard(4Kデータの処理):2464
Extended(8Kデータの処理):1484

「PugetBench for Premiere Pro」の結果

「PugetBench for Premiere Pro」の結果

上記のベンチマークの結果は、さすがに高性能な外部グラフィックを搭載するゲーミングマシンには届かないものの、一般的なノートパソコンとしてはハイレベルです。文書作成などビジネス向けのアプリを使っていてストレスはまったく感じないですし、複数のアプリを立ち上げても動作はスムーズ。写真のRAWデータの編集や4K動画の編集にも対応できます。

実際に、動画編集アプリ「Davinci Resolve」を使って、4K解像度(4K/30p)の動画データ(計20ファイル、H.264/MOV、容量約8GB)を編集してみましたが、プロキシ(元データを低容量化した編集用ファイル)を使う限りでは、サムネイルを再生しながら細かいカラーグレーディング作業などをスムーズに行えました。

ちなみに、計20ファイルのプロキシ作成にかかった時間は約4分30秒。約2分間の4K/24pファイルへの書き出し(品質:自動/最高、可変ビットレート/高画質)は約2分40秒で終了しました。外部グラフィックを搭載した、動画編集に特化したマシンと比べると、さすがに超高速というわけではありませんが、一般的なノートパソコンとしては十分なレベルではないでしょうか。

動画編集アプリ「Davinci Resolve」で4K動画を編集している様子。スムーズに動作してくれました

動画編集アプリ「Davinci Resolve」で4K動画を編集している様子。スムーズに動作してくれました

まとめ エンタメを中心に幅広く活用できる高性能モデル

「Envy x360 14」の特徴をひと言でまとめると「万能なノートパソコン」です。

パフォーマンスプラスモデル(「Ryzen 7 8840HS」搭載モデル)を使った限り、事務作業から動画視聴、写真・動画編集にいたるまで、いろいろな作業をそつなくこなしてくれると感じました。高品位な有機ELディスプレイを搭載しているので、どちらかというとエンタメ向きのモデルだと思います。CPUだけでなくメモリーやストレージのスペックも高く、長く快適に使える高性能なノートパソコンと言えるでしょう。

「Envy x360 14」には、スペックの異なる計3ライン(スタンダードモデル、パフォーマンスモデル、パフォーマンスプラスモデル)が用意されていますが、クリエイティブな使い方を視野に入れるなら、今回紹介した最上位のパフォーマンスプラスモデルがベストな選択だと思います。

なお、パフォーマンスプラスモデルは、CPUに「Ryzen 7 8840HS」もしくは「Core Ultra 7 155U」を搭載する2モデルが用意されています。どちらのCPUも処理性能にすぐれているので、予算にあわせて好きなほうを選ぶとよいでしょう。

■パフォーマンスプラスモデル(Ryzen 7/Core Ultra 7、32GBメモリー)

「Envy x360 14」のそのほかのラインアップをチェック!

■パフォーマンスモデル(Ryzen 7/Core Ultra 7、16GBメモリー)

■スタンダードモデル(Ryzen 5/Core Ultra 5、16GBメモリー)

真柄利行(編集部)
Writer / Editor
真柄利行(編集部)
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣とこだわりを持っています。フォトグラファーとしても活動中。パソコンに関する経験も豊富で、パソコン本体だけでなく、Wi-Fiルーターやマウス、キーボードなど周辺機器の記事も手掛けています。
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