オウガジャパンは2024年6月20日に、「OPPO Reno11 A」を発表、楽天モバイルとワイモバイルの通信キャリアに加えて、SIMフリー版が発売されます。「Reno A」シリーズは毎年新機種がヒットを続ける売れ筋のシリーズです。「OPPO Reno11 A」は6世代目、6月27日発売で、OPPO公式オンラインストアでの価格は48,800円と予告されています。最新モデルはどこが進化したのか、細かくチェックしてみました。
※本記事中の価格は税込で統一しています。
「OPPO Reno11 A」のレビューをいち早くお届けする
「OPPO Reno11 A」に最初に触れた印象は「薄くて軽い」こと。前機種「OPPO Reno9 A」(以下、「Reno9 A」)と比べると0.3インチ大きくなった約6.7インチの大画面ディスプレイを搭載しながら、本体サイズは約75(幅)×162(高さ)×7.6(厚さ)mmで、重さは約177g。「Reno9 A」よりも約6g軽くなっています。“硬く平たい板” という趣で、ポケットに入れても膨らみが気にならなそうです。
約6.7インチの有機ELディスプレイを搭載。解像度は2412×1080、リフレッシュレートは最高120Hz
薄さは約7.6mmで、重さは約177g。見た目の印象よりも軽い
カラバリは「ダークグリーン」と「コーラルパープル」の2色。「ダークグリーン」はOPPO独自の表面加工「OPPO Glow(オッポ・グロウ)」が施されています。細かい粒子を散りばめたような落ち着いた光沢があり、サンドブラスト加工のようなサラサラとした手触り感が特徴。「コーラルパープル」は鉱石を連想させる美しいデザインが施されていて、やはりマットな質感です。どちらも指紋が付着しにくく、ケースに入れずに使いたい人にも適しています。
左がダークグリーン、右がコーラルパープル
右サイドに音量ボタンと電源ボタンを搭載。サイドフレームはメタルの質感で、エッジは面取りされている
左側面にはSIMカードスロットを搭載。2枚のnanoSIMカードを装着でき、2枚目はmicroSDXC(最大2TB)との排他利用となっています。また、eSIMにも対応しているので、microSDカードを装着しても、nanoSIM+eSIMの2回線を使うことができます。
左側面にSIMカードスロットを搭載。デュアルスロットで、2枚目のSIMの代わりにmicroSDカードを装着することも可能
上部はマイクのみ。イヤホンジャックは非搭載
下部には、左からマイク、USB Type-Cポート、スピーカーが並ぶ
SoCは「MediaTek Dimensity 7050」。2.6GHz×2コア + 2.0GHz×6コアのミッドレンジ向けのチップです。筆者がレビュー用に借りた端末は発表前だったためにベンチマークテストは行えませんでしたが、使っていてストレスを感じることはなく、サクサクとスムーズに操作できました。
サクサクと軽快に操作できた。120Hzの高リフレッシュレートに対応していることもあり、素早くスクロールしても残像感が気にならない
OPPOによると、「Dimensity 7050」のパフォーマンスは、前モデルの「OPPO Reno9 A」に搭載されている「Snapdragon 695」(最大2.2GHz)よりも性能が高いとのこと。筆者が調べたところ、ネット上でも同様に評価されているようでした。筆者の実際の使用感としては基本アプリの操作感は同等。前モデルは、カメラの撮影モードの切り替え、画像編集、マルチタスク操作など、負荷が大きい作業では反応がやや鈍くなったと記憶していますが、「OPPO Reno11 A」ではそうした挙動はなく、安定感が向上しているようです。
メモリーは8GB、ストレージは128GBという構成。ストレージの空き容量に余裕がある場合、仮想メモリーを追加できる機能も備えています。最大8GBを追加できるので、内部メモリーと合計で最大16GBまで拡張可能です。長期的に使い続ける人には、心強い機能となるでしょう。
「設定」→「デバイスについて」→「RAM」に進むと、メモリーを拡張できる
バッテリー容量は5000mAh。筆者が試用した1週間ほどでは、1日で電池残量がピンチになることはなく、50%以上残る日もありました。「省エネモード」にも切り替えられるので、2日以上持たせることも難しくはなさそうです。
電池を長持ちさせる「省エネモード」を用意。使用するアプリを最低限に絞って、さらに長持ちさせる「超省エネモード」にも切り替え可能
スピーディーに充電できることも大きな魅力。OPPO独自の充電規格「SUPERVOOC」では最大67Wで充電でき、汎用の充電規格であるUSB PDの拡張版「PPS(Programmable Power Supply)」では最大55Wの急速充電が可能。なお、製品パッケージには充電器は同梱されていません。
筆者の所有する、45W対応「SUPERVOOC」充電器を試したところ、残量1%の状態から約30分で65%まで充電でき、約52分で満充電できました。別売りの67W「SUPERVOOC」の充電器を使った場合、約20分で50%以上を充電できるので、自宅で充電し忘れたとしても、カフェなど電源がある場所で素早くチャージできます。
67W「SUPERVOOC」の充電器では約48分で満充電できる
OPPOは急速充電に強みを持つメーカーですが、これまでのReno Aシリーズの充電性能は、前モデルの「Reno9 A」やその前の「Reno7 A」は最大18Wと一般的な性能にとどまっていました。Reno Aシリーズの旧モデルから機種変更する人にも67Wの急速充電への対応は大きな利点となるでしょう。
メインカメラは広角(約6400万画素/F1.7)+超広角(約800万画素/F2.2)+マクロ(約200万画素/F2.4)というトリプル構成。広角カメラはデフォルトでは4つの画素をひとつの画素にまとめるピクセルビニングを使用します。そのため、記録画素数は1/4の約1600万画素(4624×3468)に減りますが、感度が向上するので明るく撮れます。
いっぽう「高解像度」モードを選択すると、ピクセルビニングが解除されて、約6400万画素で記録されます。拡大しても精細な画質で表示され、大きくプリントしたり、一部を切り出したりしたい場合には好都合ですが、感度の低下やファイルが大きくなるなど撮影が難しくなる要素もあり、通常はデフォルトの「写真」モードで撮影したほうがよいでしょう。
カメラ部の2つの円は、上に広角、下に超広角とマクロのカメラを配置
「高解像度」モードで撮った写真を表示(左写真)、ここまで拡大できる(右写真)
静止画の作例を以下にまとめました。断りがない場合いずれもデフォルト設定で撮影しています。
日中の撮影。光量も多いため超広角カメラが苦手な構図周辺の画質も良好
メインカメラとなる広角カメラを使用。超広角カメラと色調の統一感が保たれている
この程度の倍率ならデジタルズームの欠点である画質劣化はほとんど気にならない
デジタルズームは最大10倍。解像感が低下してややモヤッとした画質になる
「ポートレート」モードは背景ボケをF1.4〜F16の範囲で調整できる。不自然になりやすい背景と被写体の境界部分がうまく処理されている
「夜景」モードで撮影。暗い構図でも鮮明な画質で撮影できる
上と同じ「夜景」モードで撮影。明るく撮れたが、不自然な色調になった
屋内では照明の影響を受けて、やや色が被ったり、暗くなったりすることもありました。フラッシュを点灯させたり、露出を補正するなどひと手間かけたほうが仕上がりは向上しそうです。
室内で料理を撮影した作例。もう少し明るく撮れたら……というのが本音
さまざまなシチュエーションで撮ってみたところ、晴れた日の屋外では明るくすっきりとした色調で、曇りの日でもさほど暗くなることなくナチュラルな色調で写りました。夕景や夜景も「写真」モードできれいに写せます。露光時間が長くなり、鮮明な写真が合成される「夜景」モードもありますが、環境によっては、やや不自然な色になることがありました。ほぼ満足できるカメラですが、撮影条件に左右されやすい点で高価格機と違いがあるようです。
撮影した写真や動画はOPPO独自の「写真」アプリで管理できます。この「写真」アプリには多彩な画像編集機能がありますが、新たにAIを用いた2つの編集機能が追加されています。
まずは「AI消しゴム」。意図せずに写り込んでしまった不要なものを指定して消去でき、消去した箇所はAIによって自然に見える背景が生成される仕組みです。この機能は発売時点では搭載されておらず、今後のアップデートで追加される予定。筆者はオウガジャパンが開催した説明会でいち早く試すことができましたが、精度はかなり高いようでした。
不要な被写体を消せる「AI消しゴム」。消したい部分はアバウトになぞるだけで指定できる(左写真)。指定したものは消えて、あたかも最初から存在しなかったかのように背景が生成される(右写真)
もうひとつは「AIクリッピング」機能。写真に写っているものを長押しすると切り抜くことができ、「メモ」アプリなどに貼り付けたりできます。
「AIクリッピング」は写真の一部を切り抜いて、素材として使いたいときに便利
なお、写真や動画はグーグルの「フォト」アプリで管理することもできます。「フォト」アプリの編集機能も充実しているので、使い比べて、使いやすいと思うほうを優先的に使うといいでしょう。
内蔵スピーカーはモノラルながら音量をかなり大きくできることが利点。複数人で音楽を聴いたり、映画を観たりするときに役立ちます。
音量を上げていくと「ウルトラボリュームモード」がオンになり、300%まで上げられる
イヤホンで聴く場合も、一般的なスマホよりも音量を大きくできました。筆者はオープンイヤー型のイヤホンで、移動時にオーディオブックやポッドキャストなどを聴いています。自前のスマホでは車内放送があったりすると、音声が聴こえづらくなります。いっぽう、同じイヤホンを「OPPO Reno11 A」とペアリングして試してみたところ、音量をかなり大きくでき、移動時にも快適にヒアリングできました。
イヤホン使用時は「OReality Audio」という高音質化技術も利用可能
通話中に周囲のノイズを低減して、自分の声を相手に聞こえやすくする機能も搭載
「OPPO Reno11 A」は、多くの人が必要とする機能ももれなく備えています。「おサイフケータイ」に対応し、マイナンバーカード機能(スマホ用電子証明書機能)にも対応。生体認証は指紋認証と顔認証のどちらも対応しています。防水性能はIPX5で、防塵防水はIP6X。防水は前モデルの「Reno9 A」のIPX8から等級が下がったものの、雨天でも心配なく使える水準です。
FeliCaに対応しており、「おサイフケータイ」と「Googleウォレット」で電子マネーの設定が可能
昨今の物価高騰はスマートフォンにも及んでおり、数年ぶりに買いかえると価格に驚くかもしれません。しかし、本機の48,800円という直販価格は、前機種「Reno9 A」の発売当初における価格46,800円からわずかな値上げに抑えられています。それでいながら、急速充電やAI機能などの新しい取り組みも加わり、お手ごろな価格で機能も十分というシリーズの魅力を高めています。良心的なスマートフォンというポジションは今期も健在と言えるでしょう。