高価なスマホの性能がいいのは当たり前。スマホがほぼすべての人にとって必須ツールになった今だからこそ、メーカー、キャリアはライトユーザー向けのエントリースマホも重視しています。今回レビューするシャープの「AQUOS wish4」は、SIMフリーモデルで3万円台前半、ドコモ版で22,000円(税込、以下同)、Y!mobile版で13,680円(現金販売価格)という破格のプライスで購入可能。今回は本製品のスペック、使い勝手、パフォーマンス、カメラ画質などをチェックして、どのぐらいの実用性を備えているのかという視点からレビューしていきましょう。
シャープ「AQUOS wish4」、SIMフリーモデル:3万円台前半、ドコモ版:22,000円、Y!mobile版:31,680円(現金販売価格13,680円)、2024年7月4日発売
「AQUOS wish4」はOSに「Android 14」、プロセッサー(SoC)に「MediaTek Dimensity 700」を採用。メモリーは4GB、ストレージは64GBを搭載。最大1TBのmicroSDXCメモリーカードでストレージを増量可能です。
ディスプレイは約6.6インチHD+液晶(1612×720、90Hz)を搭載。サウンド機能はモノラルスピーカーに留まっています。これは低コスト化にあたり割り切られた部分ですね。
カメラは背面に約5010万画素広角カメラ、前面に約800画素カメラを搭載。5G、FeliCa(「おサイフケータイ」)、防水・防塵対応、MIL規格準拠の耐衝撃ボディ、5000mAhのバッテリー搭載など、非常に安価な端末ながら、要所をしっかりと押さえた基本スペックです。
ディスプレイは約6.6インチHD+液晶。解像度は1612×720と低め
カラーはブルー、ホワイト、ブラックの3色を用意。なお、Y!mobile版のみピンクも用意されています
上面にはイヤホンジャック、マイク、下面にはスピーカー、USB Type-Cポート、マイクを用意
カードトレイにはnanoSIMカードと、最大1TBのmicroSDXCメモリーカードを装着できます
手に握ったときのサイズ感はいいですね。本体筐体はマット仕上げで、軽く握り込めばしっかりとホールドできます。デザイン的にはややベゼルが太すぎるようにも感じましたが、落下時の破損の可能性は低くなるはずです。
生体認証は顔認証と指紋認証に対応。指紋認証一体型電源ボタンのセンサーの感度はよく、指の角度を変えても素早く反応してくれます。
ディスプレイの強化ガラスの銘柄については記載がないですが、グレア(光沢)ながら指の滑りはよいです。トータルの操作感という点では堅実に仕上げられていると感じました。
軽く握り込めばしっかりとホールドできるサイズです
指紋認証一体型電源ボタンのセンサーの感度は文句なし
約6.6インチHD+液晶ディスプレイは、輝度、色域、コントラスト比などの細かなスペックは公表されていません。ですが、手持ちの写真を見た限りは、発色に癖はないようです。HDR再生に対応していませんが、価格帯を考えれば仕方がないですね。
ただし、ひとつ注意点があります。晴天下で画面を見ると、最大輝度でもかなり暗く感じました。まったく見えないほどではないですが、太陽の位置関係によっては手を日よけ代わりに使う必要があるかもしれません。
ディスプレイの輝度、色域、コントラスト比などの細かなスペックは非公表
晴天下で画面を見ると、最大輝度でもかなり暗く感じます
「AQUOS wish4」はプロセッサーに「MediaTek Dimensity 700」を搭載しています。各種ベンチマークのテスト結果は以下のとおりです。
AnTuTu Benchmark V10 総合スコア:373452
Geekbench:1966(マルチコア)、701(シングルコア)
3Dmark(Wild Life):1169
「Snapdragon 8 Gen 3」を搭載する最新のフラッグシップスマホと比べると、「AQUOS wish4」の「AnTuTu Benchmark」のTotalスコアは約17%相当。処理能力に大きな差があることは間違いありません。とはいえ、Webブラウジングや動画視聴などの一般的な用途や、「原神」などの3Dゲームであれば実用的な速度で動作します。
ただし、定期的に実行されるゲームデータの展開などはかなり待たされます。ひんぱんにプレイするゲームについては、就寝前、就寝後などの決まった時間にアップデートを実行しておくなどの工夫が必要です。
バッテリー駆動時間については、輝度と音量を50%に設定したうえでYouTube動画を2時間再生したところ、バッテリー残量は94%になりました。つまりバッテリー残量0%まで同条件で動作させた場合は、単純計算で33時間20分動作することになります……が、ちょっと長すぎですね。あくまでも参考に留めてください。
「原神」はゲームデータの展開に時間がかかりますが、一度起動してしまえば実用的な速度で動作します
カメラの画質はなかなかよいですね。今どきのスマホでシングルカメラは珍しいですが、約5010万画素の広角カメラに絞っているおかげで、解像感の高い写真を撮影可能です。強い色が大きく入っていると、やや実際と異なる色味となりますが、全体的に見れば忠実な色で撮影できています。
ただし、プロセッサーの処理能力が決して高くないためか、暗所撮影性能や、動画撮影時の手ブレ補正は決して強力とは言えません。このふたつの不得手については、留意しておく必要があります。
広角カメラ(1倍)
広角カメラ(デジタルズーム2倍)
広角カメラ(デジタルズーム8倍)
広角カメラ(1倍)
広角カメラ(低照度)
「AQUOS wish4」はY!mobile版で13,680円という低価格を実現しつつ、約5010万画素カメラ、nanoSIM+eSIMのデュアル仕様、「おサイフケータイ」対応と、要所をしっかりと押さえたスペックを実現しています。今回試用してみて、炎天下ではディスプレイの視認性がよくないなとは思いましたが、使い勝手で気になったのはその程度。ベンチマークスコア自体は決して高くはありませんが、ゲームのヘビーユーザーでもなければマイナスポイントにはならないはずです。
超広角&望遠カメラを使いたい、3Dゲームを高品質で遊びたい、HDRコンテンツをステレオ音声で楽しみたい……という人には上位機種をおすすめします。しかし、フツーに使えるスマホをできるだけ安価に手に入れたいのなら、「AQUOS wish4」は真っ先に検討するべき1台と言えるでしょう。