レビュー

ライカカメラ搭載で約11万! ハイエンドスマホ「Xiaomi 14T Pro」のカメラを堪能する

シャオミ(Xiaomi)とライカが共同開発したカメラシステムを搭載する「Xiaomi 14T Pro」が発売された。カメラのほかにも処理性能の高いプロセッサー、急速充電に対応する大容量バッテリーといったハイエンドスマートフォンらしいスペックを備え、10万円ちょっとで買える高いコストパフォーマンスを実現。そんな「Xiaomi 14T Pro」の実力をチェックしよう。

※今回のレビューは、検証機で実施しており、一部ソフトウェアが実装されていません。

シャオミ「Xiaomi 14T Pro」、12GBメモリー+256GBストレージモデルが109,800円(公式サイト販売価格。税込。以下同)、12GBメモリー+512GBストレージが119,800円、2024年11月29日発売

シャオミ「Xiaomi 14T Pro」、12GBメモリー+256GBストレージモデルが109,800円(公式サイト販売価格。税込。以下同)、12GBメモリー+512GBストレージが119,800円、2024年11月29日発売

堂々たるスペックのハイエンドモデル

シャオミのスマートフォンは、上位グレードに当たる「Xiaomi」と、高い性能ながらも価格を抑えた「POCO」、ミドルレンジからエントリー向けグレード「Redmi」の3ブランドから構成されている。今回レビューする「Xiaomi 14T Pro」は、上位ブランドから登場するハイエンドモデルに位置する。

注目のカメラスペックは、後ほどチェックするとして、まずは基本スペックを確認したい。OSはAndroid 14(Xiaomi HyperOS)、プロセッサーには、メディアテックのAI処理にすぐれるSoC「MediaTek Dimensity 9300+」を搭載。販売チャネルはソフトバンクとオープンマーケットでの展開となる。

写真のカラーはチタンブルー、ほかにチタンブラックとチタングレーの全3色を展開

写真のカラーはチタンブルー、ほかにチタンブラックとチタングレーの全3色を展開

ディスプレイは、約6.7インチの有機ELディスプレイを採用し、解像度は1.5K(2712×1220)。リフレッシュレートは144Hzで駆動する。また、AI機能がディスプレイにも関与しており、使用環境に応じて色合いや明るさを調整、ブルーライトを低減するといった、目に負担の少ない画面表示を実行する。

ボディサイズは、約75(幅)×160(高さ)×8.4(厚さ)mm

ボディサイズは、約75(幅)×160(高さ)×8.4(厚さ)mm

防水・防塵は、IP68等級の高水準な性能を担保しており、日常生活での水濡れ程度はまったく問題ない。また、Felica、NFCにも対応しており、「おサイフケータイ」などの電子決済も利用可能だ。

「ライカトリプルカメラシステム」の実力をチェック

「Xiaomi 14T Pro」最大の魅力が、カメラの名門として知られるライカと共同開発したカメラシステムだ。ライカの名シリーズ「Summilux(ズミルックス)」の光学レンズを、メインカメラ、望遠カメラ、超広角カメラの3基に採用しており、メインカメラは焦点距離23mm相当(35mm判換算。以下同)、5000万画素、F1.6。望遠カメラは60mm、5000万画素、F2.0。超広角は15mm、1200万画素、F2.2となっている。

背面には、メインカメラ、望遠カメラ、超広角カメラの3基を搭載。右下はLEDライト

背面には、メインカメラ、望遠カメラ、超広角カメラの3基を搭載。右下はLEDライト

メインカメラのみ、光学式手ブレ補正(OIS)に対応しており、1/1.31インチの大型イメージセンサー「Light Fusion 900」を搭載する。これは、13.5EVの広いダイナミックレンジとネイティブ14bitの色深度を備えることで、夜間の撮影でもディテールを細部まで描写し、明暗差の大きい被写体も濃淡豊かに表現できる。

メインカメラ(F1.7)にて撮影。HDRを生かして、明暗差のある被写体も手軽に写せる

メインカメラ(F1.7)にて撮影。HDRを生かして、明暗差のある被写体も手軽に写せる

メインカメラ(F1.7)にて撮影。ボケ感たっぷり

メインカメラ(F1.7)にて撮影。ボケ感たっぷり

カメラアプリでは、0.6倍(焦点距離15mm)、1倍(23mm)、2倍(50mm)、4倍(100mm)の4段階が用意されており、さらに、デジタルズームによる10倍、20倍までの撮影が可能だ。公式サイトによると、4倍がなく、2.6倍と5倍が用意されていると記載されているが、検証機のため、倍率が見直されたようだ。

超広角カメラによる0.6倍(35mm換算で焦点距離15mm相当)

超広角カメラによる0.6倍(35mm換算で焦点距離15mm相当)

メインカメラによる1倍(35mm換算で焦点距離23mm相当)

メインカメラによる1倍(35mm換算で焦点距離23mm相当)

メインカメラによる2倍(35mm換算で焦点距離50mm相当)

メインカメラによる2倍(35mm換算で焦点距離50mm相当)

望遠カメラによる4倍(35mm換算で焦点距離100mm相当)

望遠カメラによる4倍(35mm換算で焦点距離100mm相当)

デジタルズーム10倍

デジタルズーム10倍

デジタルズーム20倍

デジタルズーム20倍

カメラアプリから選択できる「ポートレート」モードには、「Leicaポートレート」「マスターポートレート」の2種類のスタイルと、23mm、35mm、50mm、75mmの焦点距離が選択可能だ。

「Leicaポートレート」では、被写体にフォーカスし、陰影と色味を自然にチューニング。いっぽうの「マスターポートレート」では、焦点距離に応じたボケ具合を再現したポートレートを撮影できる。

「Leicaポートレート」による作例。適切な被写界深度をオートで設定してくれる

「Leicaポートレート」による作例。適切な被写界深度をオートで設定してくれる

「マスターポートレート」の75mm。望遠レンズで撮影したようなしっかりとしたボケ感

「マスターポートレート」の75mm。望遠レンズで撮影したようなしっかりとしたボケ感

「マスターポートレート」の23mm。本来の広角レンズでは難しい、被写体を強調するメリハリのあるボケをシミュレーション

「マスターポートレート」の23mm。本来の広角レンズでは難しい、被写体を強調するメリハリのあるボケをシミュレーション

また、ライカカメラを象徴するように、「Leicaウォーターマーク」の透かしを入れることが可能。日時、焦点距離、絞り値、シャッタースピード、ISO感度、座標が自動で記載されるので、思い出に付随する情報を写真とともに残せる。何より、なんてことない写真が、なんだか作品っぽく仕上がってうれしい。

「透かし」をいれることで、雰囲気たっぷりに仕上がる

「透かし」をいれることで、雰囲気たっぷりに仕上がる

 カメラアプリの「プロ」モードを使えば、マニュアル撮影が可能

カメラアプリの「プロ」モードを使えば、マニュアル撮影が可能

メインカメラに搭載されている大きなイメージセンサーを生かした夜景撮影は、「Xiaomi 14T Pro」の強みのひとつだ。

明るい部分から暗い部分まで豊かな階調を表現

明るい部分から暗い部分まで豊かな階調を表現

夜の撮影でも明るく鮮明に写る。オートでは明るすぎたため、露出補正で明るさを落として撮影

夜の撮影でも明るく鮮明に写る。オートでは明るすぎたため、露出補正で明るさを落として撮影

優秀なカメラ性能は、動画撮影でも有効だ。カメラアプリ内には、通常の動画撮影のほかに、「映画モード」を搭載。アスペクト比が2.39:1と横長になることで、被写体にフォーカスした際に、ボケとなる背景の割合が広くなり、映画のような立体感のある動画を撮影できる。

「映画モード」は、細長い画角になる

「映画モード」は、細長い画角になる

また、複数の被写体からひとりをタップすることで、フォーカスする人物を切り替えての物語のある動画も撮影できる。

「Master Cinema」モードに切り替えると、幅広い色の表現を可能とする「Rec.2020」に対応し、情報量の多い10bitでの動画撮影が可能だ。ソフトな色調とフィルムのような色合いで録画され、日常風景を手軽に、映画のワンシーンのように切り取れる。

ただコーヒーを入れているだけなのに、なんだかシネマ風な仕上がり(笑)

ベンチマークは実力を発揮できなかった

「Xiaomi 14T Pro」に搭載されるSoC「MediaTek Dimensity 9300+」の実力をチェックするために、定番ベンチマークソフト「AnTuTu」で計測した。「MediaTek Dimensity 9300+」の実力だと200万前後のスコアが出ると思ったのだが、実際には120万程度しか出なかった。検証機のため何らかの制約がかかっている可能正があるため、テスト結果はあくまでも参考値としていただきたい。

「AnTuTu」によるベンチマークスコアは「1263853」と、想定よりもかなり低くなってしまった。検証機出なければ、実力はもっと高いと思われる

「AnTuTu」によるベンチマークスコアは「1263853」と、想定よりもかなり低くなってしまった。検証機でなければ、実力はもっと高いと思われる

試しに動作の重たい3Dグラフィックゲーム「ゼンレスゾーンゼロ」をデフォルトの推奨画質「中」でプレイしてみたが、動作の重くなりがちな戦闘シーンでの派手なアクションも滑らかに描写。カクついた動きも一切なくパフォーマンスの高さを感じさせた。もし検証機でなければ、推奨画質はより高くなり、さらに美しい画質で遊べたのかも。

派手なアクションの多い「ゼンレスゾーンゼロ」でも、キャラクターはスムーズに動き、ストレスなく遊べる

派手なアクションの多い「ゼンレスゾーンゼロ」でも、キャラクターはスムーズに動き、ストレスなく遊べる

プロセッサーの「MediaTek Dimensity 9300+」はAI処理にすぐれたSoCとされており、Googleの生成AI「Gemini」や画面をなぞるだけで検索できる「かこって検索」にも対応。文字起こしや字幕の生成と言ったAIによる言語機能、写真の背景に合わせて周辺の様子を生成して背景を拡大する「AI拡大」など、負荷のかかる新しい技術も使用できる。

今回は、AI機能が未実装の検証機だったため、AIを使った機能は確認できなかったが、ゲームの快適さや通常のスマートフォンのスムーズな操作を通して、その性能の高さを実感できた。

また、シャオミといえば、急速充電の実力が気になるが、今回は同梱される充電器と充電ケーブルがなかったためテストできなかった。公式情報によると、「Xiaomi 14T Pro」は、わずか19分で100%までの超急速充電が可能とのことで、その急速充電っぷりは過去最強クラスが予想される。

内蔵バッテリーは、5000mAhと大容量。実際に持ち歩いてテストしてみたが、丸1日は問題なく使用できた。充電回数が1600回に達しても80%の最大容量を維持できるそうで、単純計算でも、1日1回の充電を4年間継続しても、バッテリーは割りと元気な状態を保っていそうだ。

【まとめ】ライカのカメラシステム搭載でこの価格はお買い得

シャオミが、ライカと共同開発したカメラシステムを搭載した最上位モデル「Xiaomi 14 Ultra」は、“スマートフォン付きカメラ”と呼ばれるほどカメラ機能が注目されたが、価格.com最安価格(2024年11月28日時点)167,843円と高く、二の足を踏んだ人も多かっただろう。だが、「Xiaomi 14T Pro」は、ライカのカメラシステムを搭載しながらも、現実的な価格での販売となった。もし使っているスマートフォンのカメラをアップグレードしたいなら、一考してみるべき乗り換え先と言えるだろう。

関原元気(編集部)
Writer / Editor
関原元気(編集部)
出版社にてメンズファッション誌やWebメディアの編集に長年従事し、現在は「価格.comマガジン」にて、PC、スマートフォン、スマートウォッチ分野を担当。ユーザー目線で、デジタルガジェットの面白さを届けます。
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