選び方・特集

1万円未満のお買い得プリンター徹底比較! エプソンとキヤノンどっちがいい?

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家庭に1台あると何かと便利なのが「プリンター」です。写真や文書、学習ドリル、年賀状など、家庭でも印刷する機会は案外多いもの。とはいえ、「毎日使うわけではないので高いプリンターは必要ない」という人も少なくないはずです。

本特集では、そんな人に向けて、1万円未満で手に入る複合機2モデルの徹底比較をお届け! 価格.comで人気の高い、エプソン「カラリオ EW-056A」とキヤノン「PIXUS TS3730」の違いをまとめました。

左がエプソン「カラリオ EW-056A」で、右がキヤノン「PIXUS TS3730」。いずれも価格.com最安価格が1万円を切る低価格な複合機です

左がエプソン「カラリオ EW-056A」で、右がキヤノン「PIXUS TS3730」。いずれも価格.com最安価格が1万円を切る低価格な複合機です

最廉価の複合機として人気を集める2モデル

今回比較する「カラリオ EW-056A」と「PIXUS TS3730」は、価格.com「プリンター」カテゴリーの売れ筋ランキングで上位に位置する人気モデルです。2024年12月17日時点での「カラリオ EW-056A」のランキングは1位。「PIXUS TS3730」は、2024年9月中旬に発売されたばかりですが、すでに7位まで上昇しています。

「カラリオ EW-056A」の売れ筋ランキング推移

2024年2月16日発売の「カラリオ EW-056A」。4月以降はランキング1位もしくは2位をキープしています

2024年2月16日発売の「カラリオ EW-056A」。4月以降はランキング1位もしくは2位をキープしています

「PIXUS TS3730」の売れ筋ランキング推移

「PIXUS TS3730」は2024年9月中旬の発売からじわじわと順位が上昇。11月中旬以降はランキングのトップ10に食い込んでいます

「PIXUS TS3730」は2024年9月中旬の発売からじわじわと順位が上昇。11月中旬以降はランキングのトップ10に食い込んでいます

両モデルがここまで人気を集める理由は、ずばり“価格”です。2024年12月17日時点での価格.com最安価格は、両モデルとも8,300円程度。いずれも、プリント/スキャン/コピーに対応するA4インクジェット複合機ながら1万円を切る低価格を実現しているのです。この価格は最新の複合機として最廉価です。

「カラリオ EW-056A」「PIXUS TS3730」共通の特徴
・A4インクジェット複合機のエントリーモデル
・インク数:4色(染料3色、顔料1色)
・1万円を切る低価格

両モデルは、価格だけでなく、基本的なスペックも似ています。いずれも、インクには染料3色(シアン/マゼンタ/イエロー)、顔料1色(ブラック)の4色構成を採用。染料と顔料のハイブリッドタイプなので写真も文書(文字)もキレイに印刷できます。さらに、最新のプリンターらしくWi-Fi機能も搭載。パソコンやスマートフォンからワイヤレスでプリントやスキャンなどの操作を行えます。

1万円未満の価格であることを考慮すると、「ちょっと使いのプリンター」としてはどちらも十分なスペックだと思います。しかし、実際に使ってみると意外なところに違いがあります。

具体的にどう違うのかは、次項以降のレビューをご覧ください。印刷品質、印刷速度、印刷コスト、設置性など11項目に分けて詳細をお伝えします。

印刷検証時に用いた設定
・パソコン/スマートフォンの専用アプリを使用
・印刷品質は「きれい」もしくは「標準」(※最高画質設定)
・使用したL判写真用紙
カラリオ EW-056A:写真用紙クリスピア<高光沢>
PIXUS TS3730:キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド
※文書印刷は一般的なOA用紙を使用

比較1 印刷品質(写真)

・「カラリオ EW-056A」は自然な発色。やや色被りする場合あり
・「PIXUS TS3730」は色乗りがよくパッと見できれい

プリンターを選ぶ際に気になるのが印刷品質。特に写真は印刷する機会が多く、よりきれいに出力できるものを選びたいところです。

先述したとおり、両モデルとも、染料3色(シアン/マゼンタ/イエロー)と顔料1色(ブラック)を組み合わせた4色構成のインクを採用しています。最高解像度は「カラリオ EW-056A」が5760×1440dpi、「PIXUS TS3730」が4800×1200dpiです。

このスペックだけを見ると大きな差はないように思いますが、パソコンとスマートフォンから、それぞれの専用アプリを使って同じ写真データを印刷してみると“色”に違いが出ることがわかりました。

印刷物の比較

「カラリオ EW-056A」はどちらかというと薄めの発色で、より自然な仕上がりにしようとする傾向が強かったです。ややシアンやマゼンタに色被りする場合があったのが気になりました。いっぽうの「PIXUS TS3730」は、しっかりと色が乗るのが特徴。色被りも少なく、夕日など再現が難しい色も忠実かつ印象的に表現してくれました。どちらも明るくきれいに印刷してくれるのですが、パッと見で「きれい!」と感じたのは「PIXUS TS3730」のほうでした。

なお、「カラリオ EW-056A」は、エプソンのほかのプリンターと同様、専用アプリやプリンタードライバーで使用できる「オートフォトファイン!EX」という写真自動補正機能を搭載しています。この機能を使うと写真を明るく印刷できるのですが、青空や夕日など強い色があると、場合によっては色が変わってしまうことがあります。初期設定では「標準」(使用する)に設定されていますが、気になる場合は「しない」にしてもよいでしょう。ちなみに、今回の検証は「標準」のまま印刷しました。

「オートフォトファイン!EX」の有無の違い

左は「オートフォトファイン!EX」を「標準」で、右は「しない」で印刷したもの。「しない」のほうが元データに近い色が出ました

左は「オートフォトファイン!EX」を「標準」で、右は「しない」で印刷したもの。「しない」のほうが元データに近い色が出ました

「PIXUS TS3730」はA4光沢紙を使用できない

意外に知られていないことですが、「PIXUS TS3730」を含めてキヤノン製プリンターのエントリーモデルは、使用できる光沢紙のサイズに制限があります。光沢紙はL判、はがき、スクエア(12.7×12.7cm)、KG(約10×15cm)、2L判(12.7×17.8cm)のみで、A4には対応してしません(※印刷しようとするとエラーが出ます)。「A4光沢紙で大きくきれいに写真を印刷したい!」のなら上位モデルを選ぶ必要があります。

左は「カラリオ EW-056A」を用いて印刷したA4写真。右上は2L判、右下はL判です(いずれも「PIXUS TS3730」で印刷)。「PIXUS TS3730」は2L判までしか光沢紙を使用できません

左は「カラリオ EW-056A」を用いて印刷したA4写真。右上は2L判、右下はL判です(いずれも「PIXUS TS3730」で印刷)。「PIXUS TS3730」は2L判までしか光沢紙を使用できません

比較2 印刷品質(文書)

・文書の印刷は写真ほどの違いはない
・カラーは「PIXUS TS3730」、モノクロは「カラリオ EW-056A」に分

仕事の書類などを印刷する機会があるのなら、文書の印刷品質も気になるところ。今回、はがき(年賀状)を含めて文書データをいろいろとプリントしてみましたが、両モデルで写真印刷ほどの違いはありませんでした。

カラー文書の印刷は写真印刷と傾向が似たところがあり、「カラリオ EW-056A」はやや色が薄く、「PIXUS TS3730」は濃い結果に。モノクロ印刷は逆で、「カラリオ EW-056A」のほうがしっかりと印字する印象です。「PIXUS TS3730」のモノクロ印刷は、文字のエッジが若干滲むような感じになるのが気になりました。

甲乙つけがたいのですが、カラー文書は「PIXUS TS3730」、モノクロ文書は「カラリオ EW-056A」のほうがわずかにクオリティーが高いと思います。

カラー文書の文字の比較

「カラリオ EW-056A」は文字の色が薄く、「PIXUS TS3730」はより濃く印刷されています

「カラリオ EW-056A」は文字の色が薄く、「PIXUS TS3730」はより濃く印刷されています

モノクロ文書の文字の比較

「カラリオ EW-056A」はくっきりと印字。「PIXUS TS3730」はエッジが少し滲んで見えます

「カラリオ EW-056A」はくっきりと印字。「PIXUS TS3730」はエッジが少し滲んで見えます

比較3 印刷速度

・写真印刷は「PIXUS TS3730」が速い
・文書印刷は「カラリオ EW-056A」が速い

L判写真、A4カラー文書、A4モノクロ文書を使って両モデルの印刷時間(※プリンターがデータを受信してから用紙を完全に出力するまでの時間)を計測してみました。結果は以下のとおりです。

L判写真<1枚>
カラリオ EW-056A:2分20秒程度
PIXUS TS3730:1分30秒程度

A4カラー文書<1枚>
カラリオ EW-056A:1分15秒程度
PIXUS TS3730:1分35秒程度

A4モノクロ文書<1枚>
カラリオ EW-056A:27秒程度
PIXUS TS3730:43秒程度

A4カラー文書<10枚>
カラリオ EW-056A:4分程度
PIXUS TS3730:5分10秒程度

上記の結果をまとめると、L判写真は「PIXUS TS3730」のほうが、A4文書はカラー/モノクロとも「カラリオ EW-056A」のほうが速く印刷できると言えます。カタログスペックだとL判写真の印刷時間は「カラリオ EW-056A」のほうが短いのですが、実際は逆の結果となりました。

左が「カラリオ EW-056A」で、右が「PIXUS TS3730」。A4用紙をセットできる枚数は、「カラリオ EW-056A」が最大50枚、「PIXUS TS3730」が最大60枚です

左が「カラリオ EW-056A」で、右が「PIXUS TS3730」。A4用紙をセットできる枚数は、「カラリオ EW-056A」が最大50枚、「PIXUS TS3730」が最大60枚です

比較4 印刷コスト

・「カラリオ EW-056A」はA4カラーを含めて全体的に低コスト
・「PIXUS TS3730」を選ぶなら「大容量」インクを使用したい

印刷コストは実際にテストして検証することが難しく、両メーカーが公表しているスペックから違いを探っていきます。

「カラリオ EW-056A」の印刷コスト(税込)
L判写真のインク・用紙合計コスト:約30.5円
※エプソン純正の写真用紙<光沢>を使用
A4カラー文書のインクコスト:約15.2円

「PIXUS TS3730」の印刷コスト(税込)
L判フチなし写真のインク・用紙合計コスト:約28.1円(大容量)、約34.8円(標準容量)
※キヤノン純正の写真用紙・光沢ゴールドを使用
A4カラー文書のインクコスト:約18.5円(大容量)、約25.7円(標準容量)
A4モノクロ文書のインクコスト:約8.4円(大容量)

「カラリオ EW-056A」は全体的に印刷コストが抑えられていて、特にA4カラー文書のインクコストが低いです。A4普通紙でカラー印刷をする機会が多いのなら、わずかな差ではあるものの、「PIXUS TS3730」よりも低ランニングコストで運用できそうです。

「PIXUS TS3730」には、「大容量」と「標準容量」の2タイプのインクカートリッジが用意されていて、「大容量」のほうが印刷コストを抑えられます。「大容量」だと、特にL判写真が安くなるのがポイント。プリンター本体に同梱されるのは「標準容量」なので、インク買い替え時に「大容量」を選びたいところです。

印刷コスト面では、両モデルのインクカートリッジの形状にも注目です。「カラリオ EW-056A」は4色のインクカートリッジがそれぞれ別の「独立型」、「PIXUS TS3730」はカラー3色がひとつのカートリッジにまとまった「一体型」を採用しています。「独立型」は、なくなった色だけを効率よく交換できるのが特徴。長い目で見ると、インク代に限れば「カラリオ EW-056A」のほうがより経済的に使えると言えそうです。

「カラリオ EW-056A」用のインクカートリッジは各色独立型。4色パック「MED-4CL」(別名:メダマヤキ)の価格.com最安価格は3,900円程度(2024年12月17日時点)

「カラリオ EW-056A」用のインクカートリッジは各色独立型。4色パック「MED-4CL」(別名:メダマヤキ)の価格.com最安価格は3,900円程度(2024年12月17日時点)

「PIXUS TS3730」はカラー3色が一体型のインクカートリッジを採用。「大容量」と「標準容量」を選べます。「大容量」の価格.com最安価格はブラックが2,900円程度、カラーが2,800円程度(いずれも2024年12月17日時点)

「PIXUS TS3730」はカラー3色が一体型のインクカートリッジを採用。「大容量」と「標準容量」を選べます。「大容量」の価格.com最安価格はブラックが2,900円程度、カラーが2,800円程度(いずれも2024年12月17日時点)

比較5 スキャン/コピーの品質

・「カラリオ EW-056A」のほうが読み取り精度が高い
・コピーも「カラリオ EW-056A」のほうがきれい

「カラリオ EW-056A」と「PIXUS TS3730」は複合機ですので、プリント以外にもスキャン/コピーも利用できます。書類をスキャンしてデータ化したり、子どもの学習ドリルをコピーしたりと、スキャン/コピーはあると重宝します。

両モデルともフラットベッド型のカラースキャナーを搭載しています。スペック的には「カラリオ EW-056A」は1200dpi対応、「PIXUS TS3730」は600dpi対応ですので、「カラリオ EW-056A」のほうがより高い解像度でデータ化できます。

最廉価クラスの複合機ということで、スキャン/コピーの品質はそれほど変わらないだろうと思っていましたが、使い比べてみると意外に差がありました。解像度以外でも「カラリオ EW-056A」のほうがスキャナーの性能が高く、色をきっちりと読み取ってくれる印象。文書や雑誌、カタログなど苦手なものはないと感じました。いっぽうの「PIXUS TS3730」は、色の読み取り精度がもうひとつで、特に文書の読み取り時に色がちゃんと出ないときがありました。結果、コピーの品質も「カラリオ EW-056A」のほうが高くなりました。

スキャン/コピーの検証に用いた設定
・スキャンはパソコンの専用アプリから実行
・コピーはプリンター本体の専用ボタンから実行
・「PIXUS TS3730」のコピーは画質優先の「標準モード」を選択

スキャンデータの比較

A4書類を使ってスキャン性能を比較してみましたが、色は「カラリオ EW-056A」のほうが自然な仕上がりに。「PIXUS TS3730」はシアンが強く、元の書類とは異なる色になりました

A4書類を使ってスキャン性能を比較してみましたが、色は「カラリオ EW-056A」のほうが自然な仕上がりに。「PIXUS TS3730」はシアンが強く、元の書類とは異なる色になりました

コピーの比較

スキャン精度が高い分、コピーも「カラリオ EW-056A」のほうがしっかりと色が乗ります

スキャン精度が高い分、コピーも「カラリオ EW-056A」のほうがしっかりと色が乗ります

以下、参考までに、プリンター本体でのコピー時間とパソコンからのスキャン時間を掲載します。

コピー時間<A4モノクロ文書>
カラリオ EW-056A:8.5秒
PIXUS TS3730:10.5秒

コピー時間<A4カラー文書>
カラリオ EW-056A:32秒程度
PIXUS TS3730:38秒程度

スキャン時間<A4カラー文書>
カラリオ EW-056A:1分50秒程度
PIXUS TS3730:1分程度
※600dpiで設定

比較6 設置性/インテリア性

・「カラリオ EW-056A」は使用時の奥行きが小さい
・わずかな差だが「カラリオ EW-056A」のほうが設置性が高い
・「PIXUS TS3730」はホワイトとブラックの2色から選べる

プリンター購入時に気をつけたいのが、収納時と使用時でのサイズの違いです。収納時は背面の給紙トレイと前面の排紙トレイを本体に収めているため最もコンパクトな状態なのですが、使用時はトレイを引き出したり(開いたり)、用紙をセットしたりする必要があるため、ひと回り以上サイズが大きくなります。特に注意したいのが奥行き。使用時は思った以上にトレイが前後方向に伸びるため、その分設置面積を広く取る必要があります。

「カラリオ EW-056A」のサイズ
収納時:約390×300×146mm
使用時(A4用紙セット状態):約 390×540×315mm
※幅×奥行×高さ

「PIXUS TS3730」のサイズ
収納時:約435×327×145mm
使用時(A4用紙セット状態):約435×610×250mm
※幅×奥行×高さ

使用時のサイズは実寸を計測したもので、設置可能なスペースを表すものではありません。実際に設置する際は、取り扱い説明書などを参考にプリンターの周辺に適切なスペースを確保してください。

収納時の設置面積は「カラリオ EW-056A」のほうが小さい

左が「カラリオ EW-056A」で、右が「PIXUS TS3730」。給紙トレイと排紙トレイを本体に収めた状態だと、「カラリオ EW-056A」のほうが幅と奥行きが少し小さいです

左が「カラリオ EW-056A」で、右が「PIXUS TS3730」。給紙トレイと排紙トレイを本体に収めた状態だと、「カラリオ EW-056A」のほうが幅と奥行きが少し小さいです

使用時も「カラリオ EW-056A」のほうがコンパクト

背面の給紙トレイを引き出してA4用紙をセットすると、「カラリオ EW-056A」の奥行きは約540mmになります

背面の給紙トレイを引き出してA4用紙をセットすると、「カラリオ EW-056A」の奥行きは約540mmになります

「PIXUS TS3730」の使用時の奥行きは約610mmです

「PIXUS TS3730」の使用時の奥行きは約610mmです

両モデルの重量は約4.0kgで同じですが、サイズ感は収納時、使用時(A4用紙セット状態)とも「カラリオ EW-056A」のほうがコンパクトです。使用時の奥行きを見ると、「カラリオ EW-056A」は約540mm、「PIXUS TS3730」は約610mmで少し差があります。これは背面の「給紙トレイの角度の違い」が大きいです。「カラリオ EW-056A」はより鋭角に用紙をセットできるようになっているため、その分奥行きが抑えられるのです。

なお、複合機の設置には、原稿台カバーを開くために本体上部に空きスペースが必要なことを覚えておきましょう。両モデルとも、原稿台カバーを完全に開くには少なくとも高さ方向に410〜420mm程度の空きスペースが求められます。

複合機ですので、原稿台カバーを開くために高さ方向に空きスペースが必要です

複合機ですので、原稿台カバーを開くために高さ方向に空きスペースが必要です

外観デザインに目を向けると、両モデルとも比較的シンプルな造形なので、インテリアの雰囲気を損ねずに設置できると思います。違いとして押さえておきたいのは本体カラーのバリエーション。「カラリオ EW-056A」はホワイトのみですが、「PIXUS TS3730」はホワイトとブラックの2色が用意されています。好みにあわせて「ブラックを選択できる」のは見逃せないポイントです。

「PIXUS TS3730」はブラックボディも選べる

「PIXUS TS3730」はホワイトとブラックのカラーバリエーションが用意されています

「PIXUS TS3730」はホワイトとブラックのカラーバリエーションが用意されています

比較7 操作性

・「PIXUS TS3730」はモノクロ液晶を搭載。ボタンも多い
・「カラリオ EW-056A」は必要最小限の操作性

プリンター本体の操作性では、液晶モニターの有無が大きな違いです。「カラリオ EW-056A」は液晶非搭載ですが、「PIXUS TS3730」は1.5型のモノクロ液晶を搭載しています。簡易的なモニターではあるものの、ネットワーク通信の状態をアイコンで表示するほか、用紙セットの状況、用紙サイズ、コピー部数、エラーコードなども確認できます。

加えて、「PIXUS TS3730」は、モノクロコピー/カラーコピーボタンのほかに、Wi-Fi/無線ダイレクトを切り替える「ワイヤレスセレクトボタン」、ネットワーク設定情報を印刷する「インフォメーションボタン」や、設定メニュー選択用の「セットアップボタン」、用紙サイズを切り替える「用紙選択ボタン」など、ボタン類が豊富に用意されているのも特徴。最近のプリンターはパソコンやスマートフォンのアプリから操作が行えるとはいえ、モニターを見ながらプリンター本体でできることが多いのは、やはり便利です。

「PIXUS TS3730」の操作部

1.5型のモノクロ液晶を搭載する「PIXUS TS3730」。用紙サイズ、コピー部数などを確認しながら操作できます

1.5型のモノクロ液晶を搭載する「PIXUS TS3730」。用紙サイズ、コピー部数などを確認しながら操作できます

いっぽうの「カラリオ EW-056A」は、必要最小限の操作性にとどめている印象。モノクロ/カラーコピーボタンなどは用意されているものの、いくつかの操作は複数のボタンを組み合わせて行う必要があります。プリンターの状態確認を含めてひと通りのことはできますが、プリンター本体であれこれ操作したい場合は(特に初期設定時やエラー確認時)、ややストレスを感じるかもしれません。

「カラリオ EW-056A」の操作部

「カラリオ EW-056A」はシンプルな操作性を採用。ボタンを組み合わせて行う操作もあって慣れが必要です

「カラリオ EW-056A」はシンプルな操作性を採用。ボタンを組み合わせて行う操作もあって慣れが必要です

操作性ではもう1点、操作パネルの位置にも注目してください。「カラリオ EW-056A」は前面、「PIXUS TS3730」は上面左側に配置されています。いずれもパネルは固定式なので、プリンターを設置した高さが高い場合は「カラリオ EW-056A」のほうが、低い場合は「PIXUS TS3730」のほうが操作しやすいと感じることでしょう。

「カラリオ EW-056A」は位置が高い場合に操作しやすい

「カラリオ EW-056A」は前面に操作パネルがあるため、プリンターの位置が高い場合にボタンを押しやすいです

「カラリオ EW-056A」は前面に操作パネルがあるため、プリンターの位置が高い場合にボタンを押しやすいです

位置が低い場合に操作しやすい「PIXUS TS3730」

「PIXUS TS3730」は上面からの操作になります。プリンターの位置が比較的低い場合に扱いやすいです

「PIXUS TS3730」は上面からの操作になります。プリンターの位置が比較的低い場合に扱いやすいです

比較8 メンテナンス性

・両モデルともひと通りのメンテナンスが可能
・インク交換の仕方が異なる

エプソンとキヤノンのプリンターだけあって、両モデルともエントリーモデルながらメンテナンス性はしっかりと確保されています。ノズルチェックパターンの印刷や、プリントヘッドのクリーニング、プリントヘッドの位置調整、給紙ローラーのクリーニングなどの作業が可能です。

細かい点になりますが、違いとしてはインクカートリッジの交換の仕方があげられます。「カラリオ EW-056A」は、本体上部のユニットを上に開いてからインクカートリッジ挿入部を交換位置に動かして作業する仕組み。一般的なプリンターでよく見られる構造です。

本体上部を開く「カラリオ EW-056A」

「カラリオ EW-056A」は上部ユニットを開いてインクカートリッジの交換を行います

「カラリオ EW-056A」は上部ユニットを開いてインクカートリッジの交換を行います

いっぽうの「PIXUS TS3730」は、本体前面の排紙位置にあるカバーを開いてインクカートリッジを取り替える仕組みです。実際に両モデルで作業してみましたが、どちらがわかりやすいかといえば、「カラリオ EW-056A」に軍配が上がります。「PIXUS TS3730」は本体の奥を覗き込みながらの作業になるため少し慣れが必要だと感じました。

前面からアクセスする「PIXUS TS3730」

「PIXUS TS3730」は前面カバーを開いての交換。本体奥の狭いところでの作業なので若干窮屈な感じがします

「PIXUS TS3730」は前面カバーを開いての交換。本体奥の狭いところでの作業なので若干窮屈な感じがします

比較9 無線機能

・「PIXUS TS3730」は5GHz帯のWi-Fiに対応
・「カラリオ EW-056A」は2.4GHz帯のみ

無線機能は、両モデルで利用できるWi-Fiの周波数帯に違いがあります。「カラリオ EW-056A」は2.4GHz帯にとどまるいっぽうで、「PIXUS TS3730」は2.4GHz帯/5GHz帯の両方に対応しています。

5GHz帯のメリットは、電子レンジやBluetoothとの干渉がなく、より高速かつ安定した通信が可能なこと。両モデルともパソコン/スマートフォンとプリンターを直接接続できるWi-Fi Directや、ボタンを押すだけでWi-Fi接続ができるAOSS/WPSに対応しているので、使い勝手に大きな差はないのですが、5GHz帯を選択できるのは違いとして知っておいてほしいです。

なお、Wi-Fi接続の設定は少しクセがあります。「カラリオ EW-056A」は2.4GHz帯のみの対応のため、設定に使用するパソコン/スマホも2.4GHz帯で接続していないと、ネットワーク設定を認識してくれない仕様です。いっぽうの「PIXUS TS3730」は、パソコンからの設定だと、Wi-Fiルーターに接続している状態によって自動的にネットワーク設定が認識されます。こちらも2.4GHz帯の場合は2.4GHz、5GHzの場合は5GHzが自動的に認識されます。

比較10 付加機能

「カラリオ EW-056A」の付加機能
・スマートスピーカー(Amazon Alexa)からの音声プリント
・メールプリント
・リモートプリントドライバー
・黒だけでモード/黒インクセーブモード
・自動電源オフ

「PIXUS TS3730」の付加機能
・スマートスピーカー(Amazon Alexa)からの音声プリント
・自動変倍コピー
・フチなしコピー
・自動電源オン/オフ

両モデルとも低価格なエントリーモデルということで、基本機能以外の付加機能はそれほど充実していません。

少し注目してほしいのが自動電源オン/オフ。「カラリオ EW-056A」は設定した時間が経過したら自動的に電源が切れる機能が用意されています。「PIXUS TS3730」はそれに加えて、印刷データが送られてきたり、パソコンからスキャンの指示が行われたりしたりしたときに、自動的にプリンターの電源をオンにする機能を利用できます。

「PIXUS TS3730」は自動電源オン機能を搭載。プリンタードライバー上で設定できます。プリンター本体からも設定可能です

「PIXUS TS3730」は自動電源オン機能を搭載。プリンタードライバー上で設定できます。プリンター本体からも設定可能です

比較11 アプリの機能性

両モデルとも、メーカーが用意しているパソコン/スマートフォンの専用アプリを使ってワイヤレスでプリンターを操作できます。アプリからのプリント以外にも、スキャン、コピー、セットアップなども可能で機能性に大きな差はありません。細かい使い勝手は変わりますが、アプリを使ってプリンターをフル活用できるのは同じです。

エプソンのアプリ

エプソンはパソコン用に「Epson Photo+」、スマートフォン用に「Epson Smart Panel」というアプリを用意しています。パソコン用の「Epson Photo+」は写真や年賀状などのプリントアプリ。スキャン時は「Epson Scan 2」というアプリを利用します。

パソコンアプリ「Epson Photo+」

写真や年賀状、はがき、挨拶状、証明写真など多彩な印刷に対応。テンプレートも数多く用意されています

写真や年賀状、はがき、挨拶状、証明写真など多彩な印刷に対応。テンプレートも数多く用意されています

スマートフォンアプリ「Epson Smart Panel」

スマートフォンからのダイレクトプリント、本体操作、メンテナンス、初期セットアップなどが行えるアプリです

スマートフォンからのダイレクトプリント、本体操作、メンテナンス、初期セットアップなどが行えるアプリです

キヤノンのアプリ

キヤノンはパソコン用、スマートフォン用ともに「Canon PRINT」という名称でアプリを用意しています。クラウドサービスと連携する機能を備えるのがユニークな点です。

パソコンアプリ「Canon PRINT」

写真印刷だけでなく文書印刷、スキャンにも対応。Google Drive、OneDrive、boxなどのクラウドサービスと同期できる機能も用意されています

写真印刷だけでなく文書印刷、スキャンにも対応。Google Drive、OneDrive、boxなどのクラウドサービスと同期できる機能も用意されています

スマートフォンアプリ「Canon PRINT」

パソコン用アプリと同じインターフェイスを採用。スマートフォンで書類を撮影・補正してそのままプリントできる「スマホコピー」機能も利用できます

パソコン用アプリと同じインターフェイスを採用。スマートフォンで書類を撮影・補正してそのままプリントできる「スマホコピー」機能も利用できます

【まとめ】どちらも「ちょっと使いのプリンター」として満足できる

以上、11項目にわたって「カラリオ EW-056A」と「PIXUS TS3730」の違いを見てきました。大まかに言えば、両モデルの特徴は以下のようにまとめられます。

「カラリオ EW-056A」特徴まとめ
・文書印刷が高品位
・スキャン/コピーが得意
・設置性にすぐれる

「PIXUS TS3730」特徴まとめ
・写真印刷が高品位
・液晶付きで操作性にすぐれる
・5GHz帯対応など機能性が高い

こうした特徴からすると、どちらかといえば「カラリオ EW-056A」は仕事用に向いていて、「PIXUS TS3730」は家庭用として使いやすいと言えるでしょう。どちらを選んでも、「ちょっと使いのプリンター」として満足できると思います。

なお、価格.comでは、「PIXUS TS3730」の旧モデル「PIXUS TS3530」(2022年3月発売)をまだ購入できます。コピーは新モデルのほうが充実していますが、逆にスキャナーは旧モデルのほうが若干高機能。基本性能は変わらないので、より安くプリンターを手に入れたいのなら、この旧モデルにも注目してください。

真柄利行(編集部)
Writer / Editor
真柄利行(編集部)
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣とこだわりを持っています。フォトグラファーとしても活動中。パソコンに関する経験も豊富で、パソコン本体だけでなく、Wi-Fiルーターやマウス、キーボードなど周辺機器の記事も手掛けています。
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