レビュー

レノボ「Yoga Tab Plus」はペン入力&独自AI対応の格安・大画面タブレット!

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レノボのタブレットは豊富なラインアップを誇るが、なかでも「Yoga Tab Plus」は高性能かつ大画面が特徴のモデル。性能を考えれば直販で約9万円という価格はかなり安い。そんな製品のレビューをお届けしよう。

レノボ「Yoga Tab Plus」。2025年1月8日発売。直販価格は税込で89,980円

レノボ「Yoga Tab Plus」。2025年1月8日発売。直販価格は税込で89,980円

※本記事中の価格は税込で統一している。

モバイルPCに近い大画面ディスプレイを採用

「Yoga Tab Plus」の本体サイズは291.0(幅)×188.3(高さ)×6.7(厚さ)mmで、重量は約640gだ。直接競合するわけではないが、アップルの「iPad Air」や「iPad Pro」といった13インチクラスのタブレットにサイズは近いが、重量はおよそ1割重い。

搭載する液晶ディスプレイ「PureSight Pro」は約12.7インチの大画面で、2944×1840の3K表示や、最大144Hzのリフレッシュレート、DCI-P3比100%の色域をカバーする。なお、輝度は900nitsなので屋外で使うならもう少し明るさがほしい。

大画面のディスプレイはモバイルPCに近いサイズ感で高精細なため、写真や動画の表示、映画や、見開きでマンガを閲覧するような使い方との相性はとてもよい。また、ゲームにおいても迫力のある表示が可能だ。

画面周辺のベゼル幅はそれほど細くはない。だが、幅はある程度あったほうが誤タッチを起こしにくいので、これくらいが適当だろう

画面周辺のベゼル幅はそれほど細くはない。だが、幅はある程度あったほうが誤タッチを起こしにくいので、これくらいが適当だろう

背面はカメラ部の出っ張ったバーデザインが特徴的。バーが長辺をほぼカバーしているので、直接机に置いても安定する

背面はカメラ部の出っ張ったバーデザインが特徴的。バーが長辺をほぼカバーしているので、直接机に置いても安定する

ディスプレイとともに見逃せないのは、4つのウーハーと2つのツイーターを備えたスピーカーの存在だ。Harman Kardonブランドのプレミアムオーディオで、左右に2つずつのスピーカーが配置されている。大音量にしても音も割れず、よく響くので映画視聴やゲームの迫力が増す。なお、ヘッドホン端子は非搭載だ。

背面のカメラは、約1300万画素のAFカメラと約200万画素のマクロカメラを搭載するデュアルカメラだ。ただ、どちらものカメラもスペックは低めなので、写真を楽しむというよりもメモを記録するためのものだろう。

ペンを同梱。オプションのキーボード付きカバーは魅力的

本機のような大画面のハイエンドタブレットは、周辺機器のラインアップも製品を選ぶ際の重要な要素だ。

本機には手書きペン「Lenovo Tab Pen Pro」が付属する。さらに、今回は用意できなかったがキーボード付きカバー「Lenovo 2-in-1 Keyboard Pack for Lenovo Yoga Tab Plus」も用意されている。こちらのキーボードはトラックパッドも備えているうえに、日本語配列に対応。しかも、直販価格は14,850円とそこまで高くない。Androidタブレットでもキーボード付きカバーは増えているが、その多くが海外版のままのアルファベット配列だ。そのため、音引きやカギ括弧などの日本語特有の入力がわかりにくいことが多い。しかし、このキーボードはそうした点で使いやすそうだ。

イラストアプリとして「Clip Studio」がプリインストールされている

イラストアプリとして「Clip Studio」がプリインストールされている

プリインストールされるアプリとしてオフィス製品としては広く見かける「WPS Office」に加えて、画像編集の「Adobe Express」や、写真の現像などに使う「Lightroom」がプリインストールされているのがユニーク。こうした点からは、業務用途やクリエイター用途を意識した本機の性格がうかがえる。

モバイルPCのように使う場合、強力な画面分割機能が印象的だ。アプリを4つまで同時起動できるほか、さらにフローティングウィンドウでの起動もできるので、複数のアプリを切り替えながら作業するマルチタスク処理もスムーズに行える。

画面の分割表示。フローティングウィンドウを含めて5つのアプリまで同時起動できる

画面の分割表示。フローティングウィンドウを含めて5つのアプリまで同時起動できる

Android標準のUIではあるが、アプリ起動中は下から上にスワイプするとタスクバーが表示されるので、素早くアプリを切り替えられる

Android標準のUIではあるが、アプリ起動中は下から上にスワイプするとタスクバーが表示されるので、素早くアプリを切り替えられる

こうした周辺機器やアプリから、本機はモバイルPCのように使うことが想定されていることがわかる。ビジネスツールやクリエイティブ用途としても使い回しできるタブレットと言えよう。

同梱のペン「Lenovo Tab Pen Pro」は手書きの書き味を再現できる

同梱のペン「Lenovo Tab Pen Pro」をさらに詳しく見てみよう。ペン自体は、手になじむ太さと適度な重さがあり、マグネットで本体上部に収納・充電が同時に行える。ペン上にボタンはないが、タッチオペレーションを使ったジェスチャー操作が可能。人さし指でタップするとボタンを押した状態に、上下に指をスワイプするとスライド操作になる。

太さと重さがしっかりと確保された「Lenovo Tab Pen Pro」は手によくなじむ

太さと重さがしっかりと確保された「Lenovo Tab Pen Pro」は手によくなじむ

手書き入力中にダブルタップすると消しゴムモードに切り替わる。このほか、スライドショー表示中にスワイプすると次ページ異動、音楽・動画再生中にダブルタップで再生・一時停止、カメラ起動中にダブルタップで撮影、スワイプでカメラ切り替え、といった操作が可能だ。

ペンの書き味を変える「手書きフィードバック」機能も搭載されている。これは、音とバイブレーションを組み合わせてペンの書き味を再現するもの。ボールペン、蛍光ペン、鉛筆、万年筆の4種類が用意されている。鉛筆を選んでみたが、ペンが紙とこすれている感覚が再現されていて、なかなか面白かった。これを使えばペーパーライクフィルムを画面に貼る必要もなさそうだ。

手書きフィードバックの設定。振動と音の組み合わせでそれらしい書き味を再現する

手書きフィードバックの設定。振動と音の組み合わせでそれらしい書き味を再現する

また、画面の隅にペン用のツールがポップアップするスタイラスツールボックス機能が用意されている。画面上の一部を選択してスクリーンショットを撮る「部分スクリーンショット」やかこって検索、メモアプリの新規メモ画面を起動するなどの機能をスムーズに実行できる。

画面全体のスクリーンショットを撮って手書きメモを書き込む「Easy Jot機能」も便利だった。ただし、最初に起動した際の説明がなぜか中国語だったので、日本語化は徹底してほしかった。

ペン対応アプリとしては標準のメモアプリに加え、「Clip Studio」、メモアプリの「Nebo」、手書きの数式を計算してくれる「MyScript Calculator 2」もプリインストールされている。なお、こうしたアプリでなくても、Webブラウザーなどのテキスト入力欄に手書きで書き込みをすると自動的にテキスト変換する機能もあり、常に手書き入力が行える。変換精度も良好だった。

手書きの数式を計算してくれる「MyScript Calculator 2」もプリインストールされている

手書きの数式を計算してくれる「MyScript Calculator 2」もプリインストールされている

大画面とハイエンドチップセットを組み合わせているのが特徴

基本性能を見てみよう。搭載されるSoCは「Snapdragon 8 Gen3」で、メモリーは16GB、ストレージは256GB。メモリーカードスロットは非搭載なのでストレージの増設は行えない。OSはAndroid 14で、2回のOSバージョンアップと、4年間のセキュリティパッチが提供される予定だ。

いくつかのベンチマークアプリを実行し、処理性能に迫った。

AnTuTuベンチマーク(バージョン10.X)

総合スコアは1910309となった。同アプリにおける「Snapdragon 8 Gen3」搭載機のスコアの上限はおおむね220万ほど。本機はSoCの最高性能を引き出せているわけではないが、不満な結果ではない

総合スコアは1910309となった。同アプリにおける「Snapdragon 8 Gen3」搭載機のスコアの上限はおおむね220万ほど。本機はSoCの最高性能を引き出せているわけではないが、不満な結果ではない

3DMark (Wild Life Extreme)

グラフィック性能専門のベンチマークアプリ「3DMark (Wild Life Extreme)」のスコアは4638。なお、「REDMAGIC Novaゲーミングタブレット」の同アプリのスコアは5400ほど

グラフィック性能専門のベンチマークアプリ「3DMark (Wild Life Extreme)」のスコアは4638。なお、「REDMAGIC Novaゲーミングタブレット」の同アプリのスコアは5400ほど

いずれのアプリも「Snapdragon 8 Gen 3」搭載機としては1〜2割ほど低めの結果となっているが、実際の動作で差を感じることは多くないだろう。

なお、「Snapdragon 8 Gen 3」を搭載するタブレットは、本機のほかに8インチクラスのゲーミングタブレット「Lenovo Legion Tab(8.8", 3)」や、10インチクラスの「REDMAGIC 「REDMAGIC NOVAゲーミングタブレット」(厳密にはクロックアップSoCを採用)がある。これら2機種は、ゲーム用途を想定したより高度な冷却システムを備えている点が本機と異なる。そのため、高負荷の状態が長時間続いた場合の処理落ちの頻度で違いが現れる可能性は考えられる。

レノボ独自のAI機能「Lenovo AI Now」は日本語対応が待たれる

流行のAI機能では、レノボ独自の「Lenovo AI Now」アプリを搭載する。これは「ナレッジベースの構築を支援するAIエージェント」とされており、本機に保存したPDF、Word、PowerPointといったドキュメントを読み込ませると、それらを参照した知識が構築され、質問に答えてくれるものだ。

端末内のファイルを読み込ませることでパーソナルなAIアシスタントを作成できる「Lenovo AI Now」。参照するファイルはGoogleドライブなどからも読み込める

端末内のファイルを読み込ませることでパーソナルなAIアシスタントを作成できる「Lenovo AI Now」。参照するファイルはGoogleドライブなどからも読み込める

似たようなサービスとしてはGoogleの「NotebookLM」がある。いずれも、端末内のデータを参照するため所有者に特化した回答が得られる点が特徴だ。また、それ以外の情報は参照しないので回答に余計なノイズは発生しないのもメリットである。たとえば、特定業務に必要なファイルを読み込ませておけば、その資料を要約したり、その資料から得られる新たな視点を提案してもらったり、といった使い方ができる。「Lenovo AI Now」はローカルで処理を行う点も特徴。ただし、現時点では英語のみの対応で、読み込ませるデータは英語である必要がある。将来的には日本語にも対応する予定のため、アップデートに期待したい。

このほかのAI機能として、ビデオ視聴時などの音声をリアルタイムで字幕表示する「AI字幕」機能を搭載する。面白いのは、動画だけでなく、タブレット内で再生される音声はすべて字幕表示できる点だ。なお、マイクからの読み込みも可能なので、周囲の音声をそのまま字幕表示して、そのデータをそのままファイルに保存できる。

音声録音のレコーダーアプリもあるが、文字起こしには対応していない。また、「自分で描いた絵をイラスト化してくれる」といったAI機能も搭載されてはいない。こうした点でやや物足りないが、AI関連の機能は過渡期なので、今後のアップデートを含めて進化を期待したい。

日本語音声を変換。やはり滑舌がよくはっきりした話し方だと認識精度は上がる

日本語音声を変換。やはり滑舌がよくはっきりした話し方だと認識精度は上がる

【まとめ】モバイルPCとタブレットのいいとこ取りができる

最近はハイエンドAndroidタブレットの選択肢が増えている。値上がりの進む「iPad Air」「iPad Pro」の代わりとして本機を検討している人もいるだろう。本機は、大画面とハイパフォーマンス、そして同梱のペンやオプションのキーボードがそろっており、「iPad」そのものではなくても、より近いユースケースに対応できそうだ。ビジネスからクリエイティブ、ゲームからエンタメと、モバイルPCとタブレット両方の用途で快適に使うことができるだろう。

小山安博
Writer
小山安博
編集者からライターに転身。PC、デジカメ、スマホ、セキュリティ、決済などのジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。
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田中 巧(編集部)
Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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