スタンダードモデルの「Apple Watch Series 10」(以下、「Series 10」)と廉価モデルの「Apple Watch SE」(以下、「SE」)。もちろん、これら2つのApple Watchに機能の差はありますが、使い方によってはその差が気にならないことも多いです。今回は「SEで十分かもしれない」というスタンスから、「SE」の長所・短所をチェックしていきましょう。
※記事中の価格はすべて税込表記です。
Apple Watchの廉価モデル「Apple Watch SE(第2世代)」、価格.com最安価格30,279円(2025年6月26日時点)、2024年9月20日発売
「Series 10」のメーカー公式価格が59,800円〜に対し、廉価モデルの「SE」のメーカー公式価格は34,800円〜と25,000円の差があります。この差は結構大きくて、完全ワイヤレスイヤホン「AirPods 4」が買える予算が捻出できると考えると、かなり魅力的に感じられます。
写真は「SE」の大きいほうの44mmモデル。ケースカラーは「ミッドナイト」
腕に装着したときのデザインは、「Series 10」と「SE」で大きく差がない印象です。ほかの人から見て、「Series 10」を着けているのか「SE」なのかを外観だけで見分けることは難しいでしょう。
左が「Series 10」、右が「SE」
「SE」は「常時表示ディスプレイ」に非対応なので、腕を動かしたり、指でタッチしたりしないと画面は黒くスリープした状態になります。しかし、Apple Watchは、黒くスリープしている画面でも格好いいので、デザイン的には「SE」でもまったく気になりません。
Apple Watchは画面が消えていても格好いいんです
要するに、「SEを選んだら外観がダサいかも?」みたいな心配はまったく不要。安くて見た目はほぼ変わらないんです。
「Series 10」じゃないと使えない代表的な機能は、以下のヘルスケア関連の機能群です。
・心電図(心房細動のチェック)
・睡眠時無呼吸の通知(寝ている間に呼吸が止まっていないかのチェック)
・血中酸素ウェルネス(十分な酸素が身体に巡っているかどうかのチェック)
・皮膚温の測定(体調変化の兆しの可視化や、女性の周期予測の精度アップ)
これらは、普段から健康管理への関心が高い “上級者向け”の機能という印象。心房細動のチェックなども、万が一に備えたお守り的な役割と言えます。ここを重視するかどうかは、人によって判断が分かれるところでしょう。
いっぽう、そこまで健康管理にこだわらないのであれば、「SE」に搭載されている機能でこと足りるでしょう。たとえば、日々の心拍数や活動量(≒消費カロリー)の測定、ジョギングやウォーキングの測定、睡眠データを記録するといった機能は利用できます。そのため、運動のモチベーションアップや、睡眠習慣の管理と改善を目的に購入を検討するのであれば、「SE」を選んで困ることはありません。
「SE」の活動量の測定画面。赤いリングがグルっと一周すると目標達成となります
「SE」でもジョギングやウォーキングなど、さまざまなワークアウトの測定が可能です
睡眠データの画面。健康管理の基本である運動習慣と睡眠リズムの改善を目的にするなら「SE」でも十分です
「SE」のバッテリー持続時間は、メーカー公称値によると、通常使用で最大18時間とされています。要するに相当ヘビーな使い方をしたり、充電を忘れたりしなければ、起きている間は丸一日持つということです。当然、一日1回の充電は必須ですが、バッテリー持ちで困ることはそこまでありません。
また、GPSを使用して屋外でワークアウトを測定した場合のバッテリー持続時間は、最大6時間です。フルマラソンの初心者が目標にするタイムが6時間前後なのでギリギリ対応。ですが、本気で挑むウルトラマラソンやトライアスロン、1泊2日の登山に使うには心許ないですね。日々の5〜10km程度のジョギングならしっかりカバーできるので、大部分の人は困ることはないはずです。
普段使いであれば、バッテリー持ちはそこまで気にならないでしょう
ただし、「SE」が高速充電に対応していないことは理解しておきましょう。「あれっ、充電が足りなかった」と気づいて充電器にセットしても、少し充電に時間がかかります。とはいえ、約1.5時間の充電で0%→80%までの充電が可能、約2.5時間の充電で0→100%の充電が可能ですので、就寝時に充電器にセットしておいたり、朝夕のこまめな充電管理を心掛けたり、と生活サイクルにあった充電管理ができれば、スムーズに使用できるはずです。
iPhoneユーザーがスマートウォッチを探すときに、Apple Watchの「Series10」と「SE」どっちにしたらよいだろうかと悩んだら以下のポイントを確認してみましょう。
(1)常時表示ディスプレイは非対応
(2)高度なヘルスケア機能が搭載されていない
(3)通常使用でのバッテリー持ち時間は18時間
この3つに納得できれば、「Series10」より2.5万円安い「SE」を選択するのは大アリでしょう。