久しぶりの帰省で、親が痩せていた、物忘れが増えたと感じた経験はありませんか? 高齢の親の変化に気づいたら、見守りを考える時期かもしれません。とはいえ、本格的な見守りサービスは毎月のコストもそれなりにかかり、いきなりは手を出しにくいもの。もっと手軽に、日々の暮らしぶりをそっと確認する手段はないものか。そこで紹介したいのが、身近なスマートホーム機器を使った見守りです。
今回紹介するのは、スマートプラグ、スマートLED電球、スマートリモコン、ネットワークカメラ(見守りカメラ)の4製品。いずれも工事不要、初期費用のみで導入でき、基本的に無料で使えます(カメラはクラウドストレージを使用する場合のみ有料)
親がスマホを使いこなせるなら、毎日LINEでひと言やり取りすれば済む話。スマートホーム機器が生きるのは、それが難しい場合です。今回は、最新機器の操作に不慣れな親を、本人の手を煩わせずに見守る想定で、導入が手軽で安価なこと、実家にWi-Fi環境さえあれば月額料金がかからないこと、そして親がいつもどおり暮らすだけで様子が伝わることを条件に、4つの製品を選びました。実際に設定してみてわかった把握できることや活用例とあわせて紹介します。
なお、大前提として見守りは親のプライバシーに深く関わります。どんな機器を、どこに、何の目的で置くのか。きちんと説明し、同意を得たうえで導入しましょう。また、この記事で紹介するのは見守りのエントリー向けとして導入の手軽さに軸足を置いた方法がメインとなっており、その分得られる情報の対象・内容・方法が限定的である点には注意が必要です。
導入自体はどれも簡単です。製品を購入したら実家に設置してWi-Fiに接続し、アプリのナビゲーションに沿って本体をセットアップするだけ。帰省のタイミングで一度に対応できますし、導入が済めば遠隔地からスマホアプリで状況を確認できるようになります。なお、以下の4製品はそれぞれ単体でも使用できますが、予算に余裕があればスマートハブなどの関連製品と組み合わせて使うと、見守りの穴を小さくできます。
コンセントと家電の間に挿し込み、その家電の電源を遠隔でオンオフできるのがスマートプラグです。本来は、操作がシンプルな照明器具などをリモート操作するのに用いますが、今回使いたいのはこの製品に備わる「電力モニタリング機能」。つないだ家電の電力消費量が見られるので、親が毎日使う家電に挿しておけば、電力が動く=生活しているという手がかりが得られるわけです。
アプリではリアルタイムの消費電力を数値で表示するほか、グラフで使用量の推移も確認可能。たとえばテレビに挿すと、待機電源で20W以下だった電力が電源が入った瞬間に90W程度まで上昇。テレビをつけたことがひと目で判別できました。
接続した家電のリアルタイムの消費電力を数値で確認できるだけでなく、2つのグラフで電力使用量の推移も把握できます。後から確認する際にも便利
注意点は2つ。まず、挿せる家電が限られます。電気ストーブや電気ケトルなど発熱系の家電は遠隔操作が禁じられており、電子レンジのような高消費電力の家電にも向きません。現実的には、毎日使うテレビや照明器具、サーキュレーターや空気清浄機あたりが対象になります。次に、電力の増減をトリガーにした通知の自動化設定はできないこと。自動化のトリガーにできるのはスマートプラグ本体の電源ボタンのオン・オフだけです。親がリモコンでテレビをつけても通知は来ないので、テレビがついたかどうかは、アプリを開いて確認する必要があります。
次に紹介するのは、1600万色に対応するスマートLED電球。E26口金で、普段の電球と交換して使用します。見守り用のスマートLEDにはSIMを内蔵してWi-Fi不要で使用できるものもありますが、月額料金がかかるなどの難点があります。いっぽう、こちらの製品はWi-Fiで接続でき利用料はかかりません。
見守りの手がかりは、アプリ上でこの電球が「オンライン(点灯中)」か「オフライン(消灯中)」かを確認できる点。これを見れば、大まかに安否を推測できます。
アプリ上で電球がオンラインか(点灯中か)オフラインか(消灯中か)を確認できます
ただし、見守り手段としては限定的なので活用には注意が必要です。親が壁スイッチで点灯・消灯した際、その切り替わりを通知のトリガーにはできません(実際に試しても通知は届きませんでした)。履歴も残らないため、見守る側がアプリを開いてその瞬間のオンライン・オフラインを目視する必要があります。
それをふまえた活用方法としては、日中でも長時間つける可能性が高い仕事部屋や書斎、あるいは決まった時間に使うキッチンなどに設置するのがよさそうです。なお、通信状況の表示は最大5分程度のタイムラグがあります。また、別売りのスマートボタンやハブと連携すれば、通知などによる把握の利便性を向上できますが、追加の機器購入と連携の設定が必要になります。
本製品は、小石のようなデザインが目を引くスマートリモコン。赤外線リモコンで操作する家電を、スマホから遠隔操作できるようにしたり、スマートホーム製品を登録して操作したりできます。注目したのは6月に実装された「エアコンのリモコン操作をアプリ側に反映する」機能です。これまでのスマートリモコンでは、赤外線リモコンとアプリ側のリモコンが独立しており、片方を操作するともう片方とエアコン本体の設定にズレが生じてしまっていました。
しかし、新機能では親が手元の純正リモコンでエアコンを操作すると、それに合わせて子どものアプリの表示も変わるように。実際に試してみましたが、赤外線リモコンでオン・オフや温度変更をすると、アプリ側の表示もきちんと追随し、オフにした際には通知も届きました。これを利用することで「操作があった=親が活動している」を離れた場所からチェックできます。
親がリモコンで操作すると、子のアプリにも運転状況が反映されます
赤外線リモコンでエアコンをオフにすると、スマホに通知も届きます
ただし、通知には機種による癖があります。「冷房」「暖房」ボタンが電源オンを兼ねるタイプのリモコンでは、そのボタンで運転を始めても「オン」の通知はできないようでした。ただ、温湿度センサーを内蔵しているため、室温の変化を見れば「エアコンがついたようだ」と推測できますし、節電を自動で行う「オートエコ機能」をオンにしておけば、運転内容を自動調整した履歴からも稼働を読み取れます。そのほかの懸念点としては、過ごしやすい気温の春や秋など、エアコンを使わない季節に親の安否が確認できなくなることが挙げられます。
内蔵の温湿度センサーなどを見れば室温を確認でき、エアコン稼働の間接的な手がかりになります
なお、エアコンの登録は、リモコンを本体に向けてボタンを押すだけの自動登録が基本ですが、手動でメーカー名や型番を選んで登録することもできます。
最後に紹介するのは、しっかり見守りたい人向けの見守りカメラ。4K(800万画素)の高画質と18倍のデジタルズーム機能を備えた屋内向けの製品です。ほかの3製品が生活の状況から間接的に親の安否を推測するのに対し、映像で直接顔色や動きを確認できるのが決定的な違い。また、マイク・スピーカーを内蔵し、双方向通話にも対応しています。双方向通話は、1秒ほどのわずかな遅延はあるものの会話は十分成立。ノイズも気にならないため、ちょっとした呼びかけなどに使えます。
スマホからいつでもライブ映像を確認できるほか、microSDや有料プランを使えば録画を遡って過去の出来事も詳細に確認できます
いっぽう、映像を撮る以上、親のプライバシーへの配慮が最も問われ、親が拒否する可能性も高くなります。レンズを物理的に隠す「プライバシーモード」(アプリから設定)や、指定エリアを映さなくする「プライバシーゾーン」を設定できますが、それでも常に見られる抵抗感は残るもの。滞在頻度の少ない場所に設置するなど、親の意向を汲みながらも見守りを実現するための工夫が必要になります。なお、AIを使った検知機能も充実していますが、高齢者の見守り目的では、こうした高度な検知よりもケガや食事内容など、細かい部分を見逃さない画質のよさも重視すべきポイントです。