Googleの最新スマートフォン「Pixel 11」が登場しました。最新プロセッサーを搭載するなど着実なアップデートが施されています。いっぽうで、気になる存在なのが前モデルの「Pixel 10」。最安モデルは「Pixel 10」のほうが安いため、どちらを購入すべきか悩んでいる人は少なくないはずです。
左が「Pixel 10」で、右が「Pixel 11」。「Pixel 11」は、先代の「Pixel 10」から基本的なデザインを踏襲しています
Googleストアで通常価格を見てみると、「Pixel 11」が136,800円〜、「Pixel 10」が128,900円(期間限定の割引適用時118,900円)〜で、確かに「Pixel 10」のほうが安いです。しかし、これは最小容量の違いによるもの(「Pixel 11」は256GB、「Pixel 10」は128GB)。256GBモデルで揃えて比較すると、「Pixel 10」は143,900円(期間限定の割引適用時133,900円)となり、ほぼ同等か、むしろ「Pixel 11」のほうが少し安い価格設定になっています。
というわけで今回は、「どちらを選ぶべきか?」という視点で、両モデルのスペックをチェック。カメラ画質やパフォーマンスを比較し、実際の使い勝手やクオリティーにどのぐらいの差があるのかを検証していきます。
※本記事中の価格表記は2026年8月25日時点のものです。すべて税込です。
まずは「Pixel 11」と「Pixel 10」の差分を見ていきましょう。下記にまとめました。
Googleストアの通常価格は2026年8月25日時点(税込)
上記以外のスペックはほぼ共通で、特にディスプレイは両モデルとも6.3インチのActua OLEDを採用しており、解像度は1080×2424ドット、リフレッシュレートは60〜120Hzとまったく同じです。ボディサイズも152.8(高さ)×72(幅)×8.6(厚さ)mmと同一なので、正面からは見分けがつかないですね。
いっぽう、重量は204gから197gへと7g軽量化されています。後述しますが、「Pixel 11」はバッテリー容量がわずかに増えているにもかかわらず、軽くなっているのです。筐体の素材や保護ガラスもほぼ同じなので、いったいどこで7g削ったのでしょう?
「Pixel 10」(左)と「Pixel 11」(右)。本体サイズはどちらも152.8(高さ)×72(幅)×8.6(厚さ)mm
「Pixel 10」が203.5g、「Pixel 11」が197.5gと実測重量でも後者が軽いことが証明されました
「Pixel 11」の最も大きな進化点はプロセッサーで、「Google Tensor G5」から「Google Tensor G6」へ世代交代しました。メモリー容量はどちらも12GBですが、ストレージ構成は「Pixel 10」の128GB、256GBから、「Pixel 11」では256GB、512GBへと変更されています。バッテリー容量(標準)は4970mAhから4985mAhへと微増し、ワイヤレス充電は最大15Wから25Wへ高速化されました。
スペックを総括すると、「Pixel 11」は外観を前モデルからほぼ継承しつつ、プロセッサー、ストレージ、カメラ、充電性能などが着実にアップデートしたモデルと言えます。
背面カメラは両モデルとも48MP広角、13MP超広角、10.8MP望遠(光学5倍)の3眼構成。ただし、「Pixel 11」では48MP広角カメラのイメージセンサーが1/2型から1/1.56型へ大型化し、光感度が56%向上したと謳われています。そのほかのカメラについては、少なくともスペック上の変更はありません。
広角カメラ
Pixel 11 48MP(F1.70、85度、1/1.56型)
Pixel 10 48MP(F1.70、82度、1/2型)
超広角カメラ
ともに13MP(F2.2、120度、1/3.1型)
望遠カメラ
ともに10.8MP(F3.1、光学5倍、1/3.2型、OIS対応)
インカメラ(参考)
ともに10.5MP(F2.2、95度、AF対応)
それでは、両モデルの背面カメラで同じ被写体を撮影した写真を見ていきましょう。
まず、超広角カメラですが、実写の結果からは解像感や色再現に大きな差は感じられません。空の階調や木々の描写を細かく見比べれば違いはあるものの、一見して新旧を見分けられるほどではありません。なお、撮影時は雲の動きによって環境光が刻一刻と変化していました。以降の作例についても、露出や色味の違いには、環境光の変化による影響も含まれている可能性があります。
広角カメラの1倍も昼間では画質差は小さいですね。ただし、「Pixel 11」のほうが画角はわずかに広いため、それを知っていれば見分けることは可能です。とはいえ、片方だけを見せられた場合、どちらで撮影したのかを判別するのは、かなり難しいと思います。少なくとも私には絶対ムリですね。
広角カメラの2倍でも傾向は同じ。「Pixel 11」は広角センサーが大型化されていますが、十分な光量を得られる昼間では、今回の作例を見るかぎり、その効果は限定的なようです。
光学5倍での望遠撮影も両モデルで画質はほぼ同等です。望遠カメラの基本スペックに大きな変更がない以上、光学5倍では差はほとんど出ないようです。
違いがようやく出るのが望遠カメラの最大ズーム倍率。「Pixel 10」の最大20倍に対して、「Pixel 11」は最大30倍までズームが可能です(※いずれも超解像ズーム)。両者の望遠カメラは画素数、光学倍率、F値、画角のすべてが同じなので、この差は「Tensor G6」を含む画像処理の進化によるものと考えられます。
鮮やかな黄色の車体と緑の背景という、色味の差が出やすい被写体でも試してみましたが、両モデルともほぼ同じ傾向で、実車に近い色味で撮影できました。少なくとも今回の作例を見るかぎり、露出やホワイトバランスはどちらも適切です。
暗所では違いがかなりわかりやすく現れました。「Pixel 10」は部屋全体を明るく写しているものの、ディスプレイの明るい部分は白飛びしています。いっぽう、「Pixel 11」はディスプレイの階調を比較的残しつつ、暗部のディテールもしっかり確認できます。また、「Pixel 10」より青みは強めですが、ダイナミックレンジは「Pixel 11」のほうが広く感じられますね。
この1枚だけで、広角カメラのセンサー大型化による効果と断定することはできませんが、少なくとも今回の暗所撮影では、「Pixel 11」のほうが明部から暗部までバランスよく記録できています。
パフォーマンスについては、計測時の上振れ、下振れの影響を抑えるため、すべてのベンチマークを3回ずつ実行しています。下記には3回分の計測画面も掲載し、比較には平均値を使用しました。
まずは「Geekbench 7」のCPUテストから見ていきましょう。3回平均では「Pixel 11」が「Pixel 10」に対して、Single-Coreで約20.2%、Multi-Coreで約22.4%高いスコアを記録しています。
ただし、「Pixel 10」のSingle-Coreは初回のみ1815で、2回目と3回目は2010となりました。ブレ幅がちょっと大きいですね。それでもMulti-Coreでは約22%の差があるわけですから、少なくとも「Geekbench 7」の結果からは、「Tensor G6」のCPU性能がしっかり底上げされていると読み取れます。
左から1回目、2回目、3回目 ※以下同
次はGPU性能を見ていきます。まずは「Geekbench 7」のGPUテストです。3回平均は「Pixel 11」が6693、「Pixel 10」が4176で、「Pixel 11」が約60.3%上回っています。3回のスコアは、「Pixel 11」が6652〜6715、「Pixel 10」が4171〜4182と安定していますね。
今度は「3DMark」の「Steel Nomad Light」です。3回平均は「Pixel 11」が1223、「Pixel 10」が1015で、「Pixel 11」が約20.5%高くなりました。こちらも「Pixel 11」は1221〜1227、「Pixel 10」は1014〜1018とほとんどぶれていません。「Geekbench 7」とは性能向上率に差があるものの、性格の異なる両テストで「Pixel 11」が上回ったことは興味深い結果です。
最も大きな性能向上を示したのはAI性能です。「Geekbench AI 1.7.0」をTensorFlow Lite、NNAPIの設定で実行したところ、Single Precisionは「Pixel 11」が約46.5%高く、Half Precisionは約5.9倍、Quantizedは約2.4倍に達しています。
昨今のスマホではオンデバイスAIの処理能力が重視されています。今回のベンチマーク結果を見るかぎり、「Tensor G6」ではCPUやGPU以上に、NPUを含むAI処理系の強化に力が入れられていることがうかがえます。
最後に、総合ベンチマーク「AnTuTu Benchmark V11.1.5」のスコアを見てみましょう。総合スコアの平均は「Pixel 11」が1933364、「Pixel 10」が1552514で、約24.5%向上しています。各項目を見ると、CPUが約5.0%、MEMが約26.5%、UXが約7.9%向上。GPUは180487から435052へと約2.4倍伸びています。
ただし、これだけで「Tensor G6」のGPUが2.4倍高速になったとは言えません。前述のとおり、「Geekbench 7」のGPUテストでは約60.3%、3DMarkのSteel Nomad Lightでは約20.5%の向上にとどまっています。
とはいえ、今回実施したGPU系ベンチマークでは、いずれも「Pixel 11」が「Pixel 10」を上回りました。Googleは「Tensor G6」のGPU性能向上率を公表していませんが、最も差の小さかった「Steel Nomad Light」でも約20%上回っています。少なくとも2割程度のGPU性能向上を実現している可能性は高そうです。
「Pixel 11」は見た目こそ「Pixel 10」と大きく変わりませんが、実際には暗所撮影や処理性能などで着実な進化が見られました。また、「Tensor G6」では、CPU、GPU、AI処理性能のすべてが向上していることも確認できました。
しかし、昨今のスマホの1世代差は、ユーザー体験に直結するほど劇的なものではありません。よほどの新しもの好きでも、3年おきに買い替えるぐらいで十分だと筆者は考えます。
とはいえ、新規購入の場合、256GB同士では「Pixel 11」のほうが安いという点は見逃せません。Googleストア以外で「Pixel 10」が大幅に値下がりしている、あるいは「Pixel 10」のカラーのほうが好みといった理由がないかぎり、基本的には「Pixel 11」を選ぶのがマストだと思います。