Googleの新型スマートフォン「Pixel 11」「Pixel 11 Pro」「Pixel 11 Pro XL」の3機種は、いずれも最新プロセッサー「Google Tensor G6」を搭載し、処理性能が大きく向上したのが魅力です。本記事では、これら3機種の実機を使って、サイズやディスプレイ、バッテリー、処理性能、カメラの違いを徹底比較。何を重視して選ぶとよいのかをまとめます。
左から「Pixel 11」「Pixel 11 Pro」「Pixel 11 Pro XL」。「Pixel 11」と「Pixel 11 Pro」はどちらも6.3インチディスプレイを搭載。「Pixel 11 Pro XL」は6.8インチです
まずは、「Pixel 11」「Pixel 11 Pro」「Pixel 11 Pro XL」の主なスペックの違いを見ていきましょう。
Pixel 11
152.8×72×8.6mm/197g
Pixel 11 Pro
152.7×71.9×8.4mm/204g
Pixel 11 Pro XL
162.7×76.5×8.5mm/226g
本体のサイズ感を比較すると、スタンダードモデルの「Pixel 11」とプロモデルの下位機種「Pixel 11 Pro」の携帯性はほとんど変わりません。縦横は0.1mm、奥行きは0.2mmしか違わず、重量差は7gしかありません。少なくともコンパクトさや軽さを理由に「Pixel 11」を選ぶメリットはほぼないと言えます。
いっぽう、ググっと大きく、重いのがプロモデルの上位機種「Pixel 11 Pro XL」です。「Pixel 11 Pro」と比較すると、約10mm長く、約4.6mm幅広く、22g重くなっています。「Pro」と「Pro XL」については、6.3インチの携帯性を取るか、6.8インチの大画面を取るかという選択になるわけです。
左が「Pixel 11」、右が「Pixel 11 Pro」。サイズはほぼ同じで、重量差も7gにとどまります
ディスプレイは下記のとおり、画面サイズ、解像度、リフレッシュレート、ピーク輝度に明確な差があります。
Pixel 11
6.3インチOLED(1080×2424ドット、60〜120Hz、3000nits)
Pixel 11 Pro
6.3インチLTPO OLED(1280×2856ドット、1〜120Hz、3600nits)
Pixel 11 Pro XL
6.8インチLTPO OLED(1344×2992ドット、1〜120Hz、3600nits)
Pro系のほうが解像度が高く、リフレッシュレートを1Hzまで下げられるので省電力面で有利なうえ、ピーク輝度が高いので直射日光下でも見やすくなります。ただ、実際に使ってみた感想としては、数値上の差を体感することはなかなか難しいというのが正直なところ。言い換えれば、「Pixel 11」の3000nitsも十分明るいんですね。画面サイズはともかく、ディスプレイに関するほかのスペックはあまり気にする必要はないと筆者は考えます。
「Pixel 11」は60〜120HzのOLED、「Pixel 11 Pro」「Pixel 11 Pro XL」は1〜120HzのLTPO OLEDを採用しています
Pixel 11
256GBモデル:12GB
512GBモデル:12GB
Pixel 11 Pro/Pixel 11 Pro XL
256GBモデル:12GB
512GBモデル:16GB
1TBモデル:16GB
メモリー容量についてはちょっとややこしいのでご注意。「Pixel 11」は256GBモデル、512GBモデルともに12GBメモリーを搭載していますが、「Pixel 11 Pro」と「Pixel 11 Pro XL」は256GBモデルが12GBメモリーで、512GB/1TBモデルが16GBメモリーを搭載しています。シンプルに言えば、高負荷なゲームをプレイしながら動画を配信したり、複数の重いアプリを頻繁に切り替えるような用途に使うのであれば、「Pro」モデルの512GB、1TBモデルを選択するべき、と覚えておきましょう。
Pixel 11
4985mAh
Pixel 11 Pro
4850mAh
Pixel 11 Pro XL
5115mAh
バッテリー容量は、実は「Pixel 11」のほうが「Pixel 11 Pro」より135mAh大容量です。これはあくまでも推測ですが、ハイスペックなカメラを搭載している「Pixel 11 Pro」よりも「Pixel 11」のほうが内部スペースに余裕があり、そのぶん大容量のバッテリーを搭載している可能性があります。
とはいえ、公称バッテリー駆動時間は3機種とも30時間以上です。急速充電は「Pixel 11」と「Pixel 11 Pro」が約30分で最大55%。「Pixel 11 Pro XL」は45W以上の対応充電器を利用することで約30分で最大75%まで充電可能です。
「Pixel 11 Pro XL」は大きく重くなっているいっぽうで、シリーズ最大容量のバッテリーを搭載し、より高速に充電できるわけですね。
※3機種の最大の違いであるカメラについては本記事の後半で詳しくレビューします。
「Pixel 11」「Pixel 11 Pro」「Pixel 11 Pro XL」の3機種はすべてプロセッサーに「Google Tensor G6」を採用しています。
念のため性能差があるかベンチマークソフト「AnTuTu Benchmark V11.1.5」を複数回実行し、最も高い総合スコアで比較すると、「Pixel 11」が189万3235、「Pixel 11 Pro」が176万7620、「Pixel 11 Pro XL」が200万3129と大きくばらつきました。またベンチマーク中に、検証した複数の端末でフリーズが発生することもありました。
端末側とベンチマークソフトのどちらに原因があるのか不明ですが、「AnTuTu Benchmark V11.1.5」と現時点の「Pixel 11シリーズ」のソフトウェア環境との間で、なんらかの相性問題が発生している可能性があります。そのため今回の結果をもって、「Pixel 11 Pro XL」が最も高速、「Pixel 11 Pro」が最も遅い……といった順位付けをするのは適切ではなさそうです。今回のスコアはあくまでも参考値として捉えてください。
「AnTuTu Benchmark V11.1.5」を複数回実施。スコアの変動が大きく、計測中に複数回フリーズが発生したため、今回は参考値として掲載します
いっぽう、旧世代の「Tensor G5」搭載機と比較すると、興味深い結果が得られました。同じく「AnTuTu Benchmark V11.1.5」を「Pixel 10」と「Pixel 10 Pro Fold」で実行し、両機種で最も高い総合スコアを記録した回のGPUスコアを見ると、「Pixel 10」が17万9616、「Pixel 10 Pro Fold」が18万1470でした。
これに対して「Tensor G6」搭載の「Pixel 11シリーズ」では、「Pixel 11」が43万8949、「Pixel 11 Pro」が44万3724、「Pixel 11 Pro XL」が44万190です。つまり、「Tensor G6」搭載機は「Tensor G5」搭載機の約2.4倍のGPUスコアを記録したことになります。
ただし、今回のベンチマークスコアだけで「Tensor G6」のGPU性能が大きく向上したと判断するのは早計です。そもそもGoogleが公式に発表している「Tensor G6」の進化点は、主にCPU、TPU、ISPです。「Tensor G5」と比較してWebブラウジングを25%高速化し、アプリの起動速度を15%向上。TPUの計算能力は50%高められ、オンデバイスAI処理を最大3.5倍高速に実行しつつ、エネルギー消費量を最大3.5分の1に抑えると謳っています。またISPもアップグレードされています。しかしGPUについては、Googleは具体的な性能向上率を公表していません。
なお、今回計測した「Pixel 10」ではストレージの空き容量が22%となっており、「AnTuTu Benchmark」からストレージ性能が低下する旨の警告が表示されています。そのため総合スコア、MEM、UXについては、「Tensor G5」と「Tensor G6」の直接比較からは除外しました。また、CPUについても計測条件が完全には揃っていないため、今回は比較対象としていません。GPUスコアへの影響についても不明なので、今回の約2.4倍という結果も参考値として捉えるべきでしょう。
本記事執筆時点では「Geekbench 7」や「3DMark」などをGoogle Playから通常の方法でインストールできないため、これ以上の検証はできません。すでに「Pixel 11シリーズ」で「3DMark」などを実行した結果も公開されていますが、そのインストール方法や測定条件までは確認できていません。筆者としては、レビュー用端末にGoogle Play以外の経路から入手したベンチマークソフトを導入することは避けたいと考えています。
なお、「Pixel 11シリーズ」発売後には「Pixel 11」と「Pixel 10」を比較する記事を予定しています。その時点でこれらのベンチマークをGoogle Playから通常の方法で利用できるようになっていれば、続報記事でGPU性能について改めて検証したいと思います。
「AnTuTu Benchmark V11.1.5」のGPUスコア
「Tensor G5」搭載の「Pixel 10」と「Pixel 10 Pro Fold」ではGPUスコアが約18万、「Tensor G6」搭載の「Pixel 11シリーズ」では約44万を記録(※ベンチマーク環境に不安定な挙動が見られたため、あくまでも参考値として捉えてください)
3機種の違いが最も明確なのはカメラです。
「Pixel 11」は48MP広角、13MPウルトラワイド、10.8MPの5倍望遠カメラを搭載。「Pixel 11 Pro」と「Pixel 11 Pro XL」は50MP広角、48MPウルトラワイド、48MPの5倍望遠カメラを搭載します。望遠カメラのイメージセンサーのサイズも「Pixel 11」の1/3.2型に対して、Pro系は1/1.95型と大きいです。最大ズーム倍率は「Pixel 11」が30倍、Pro系が120倍となります。
さて、実際に同じ風景を1倍で撮影した写真を全体表示で比較すると3機種に大きな違いは見当たりませんし、どれで撮ったのか正直判別できません。通常のスナップ撮影を中心に利用するのなら、「Pixel 11」でも十分、いや十二分な画質が得られます。
いっぽう、5倍では差が現れます。以下に掲載する比較写真で送電鉄塔や電線などの細い構造物を拡大すると、「Pixel 11」より「Pixel 11 Pro」と「Pixel 11 Pro XL」のほうが細部は明瞭です。いずれも光学5倍の望遠カメラという点では同じですが、10.8MPと48MPという画素数や、イメージセンサーサイズなどの差が、5倍の領域からは現れてくるわけです。
ただ、大画面で拡大するとわかる……という程度の違いなので、5〜10倍程度で撮れればいいというのであれば、「Pixel 11」でも十分実用的に使えるでしょう。なお、「Pixel 11 Pro」と「Pixel 11 Pro XL」はカメラ構成が共通なので、今回、そして以降のテストでも違いは確認できませんでした。
前述のとおり、最大ズーム倍率にも大きな差があります。「Pixel 11」は最大30倍までの超解像ズーム、「Pixel 11 Pro」と「Pixel 11 Pro XL」は、生成AIを活用した最大120倍の「超解像ズーム Pro」に対応しています。
今回Pro系で「超解像ズーム Pro」の120倍ズームにて撮影したところ、「COVER」と「original」の2つのファイルが作成され、COVERのファイルで構造物の輪郭や細部がよりクリアに記録されました。ただし、「超解像ズーム Pro」は30倍を超えるズーム領域では生成AI処理が加わっており、実際の被写体とは異なる画像が生成される可能性があることを踏まえて利用する必要があります。
10倍ズームぐらいまでの望遠撮影が欲しくて、6.3インチのスマートフォンとして快適に利用できればよいのなら「Pixel 11」が最も手ごろです。より高性能なウルトラワイドカメラ、最大120倍ズーム、LTPO OLED、さらに512GB以上のストレージを選んで16GBメモリーを活用したいというのなら「Pixel 11 Pro」が有力候補です。それに加えて6.8インチの大画面に魅力を感じるのであれば、自動的に「Pixel 11 Pro XL」があなたの手に収まることになります。
結論としては、「Pixel 11」は普段使い、「Pixel 11 Pro」はカメラ、「Pixel 11 Pro XL」は大画面を重視して選べば、満足度の高い買い物となるはずです。