ドイツ・ベルリンで2015年9月4日(現地時間)に開幕した欧州最大のコンシューマーエレクトロニクスショー「IFA 2015」。毎年1月に米国・ラスベガスで開催される「CES」と並ぶ世界最大規模のエレクトロニクスショーには、世界中から1645社・団体が参加した。スマートフォンやパソコン、テレビ、オーディオ機器、ウェアラブル端末など、幅広い製品群の新モデルが発表された。ここでは、IFA 2015に合わせて発表された新製品や新技術の中から、特に注目度の高いものを紹介していこう。
ソニーは、IFA 2015に合わせて新型スマートフォン「Xperia Z5」シリーズを発表した。デザインは現行の「Xperia Z4(海外ではZ3+)」を踏襲しつつ、カメラ機能を大幅に強化したほか、新たに指紋センサーも搭載した。最上位機種の「Xperia Z5 Premium」にスマートフォンとして世界で初めて4Kディスプレイを搭載したのも大きなトピックスだ。小さな画面に4K解像が必要かどうかは、ここでは議論しないが、テレビやカメラで4Kに力を入れる同社だけに、スマートフォンの4K化を他社に先駆けて実現したのには並々ならぬ意気込みが感じられる。
Xperia Z5 Premium
4Kと並ぶもう1つの柱であるハイレゾ関連では、「ウォークマンZX」シリーズの最新機種「NW-ZX100HN」を発表。ハイレゾ音源を約45時間連続再生できるスタミナが特徴だ。ハイレゾ対応のノイズキャンセリングイヤホンが付属する。ヘッドホンの新シリーズ「h.ear on」なども発表した。
Seed Acceleration Program(新規事業創出プログラム)の「wena wrist(ウェア リスト)」にも注目したい。クラウドファンディングで生まれた腕時計型デバイスだ。ほかの腕時計型デバイスと違うのは、バンド部に機能が搭載されていること。機能としては、電子マネー機能、通知機能、ログ機能が内蔵されている。有名ブランドの時計とのコラボなど、今までにない展開が期待される。
NW-ZX100HN
h.ear on
wena wrist
パナソニックは、AV機器から白物家電、美容機器まで幅広い製品群を披露した。注目は、欧州で10月から発売する65型の有機ELテレビ「TX-65CZ950」。ハリウッドで活躍するカラーリストによるチューニングや、プラズマテレビの開発で培った色再現技術を駆使し、究極の高画質を実現したという。もちろん、4K対応だ。
TX-65CZ950
東芝は12.5型の4Kディスプレイを搭載したノートパソコン「Satellite Radius 12」を発表した。ヒンジが360度回転して、タブレットとしても利用できる2in1タイプだ。同社は15.6型ノートパソコンで、すでに4K解像度のモデルを発売しているが、今回はより小型のモバイルノートで4Kを実現した。解像度は3840×2160で画素ピッチは362ppi。CPUにはインテルの「第6世代Core i7プロセッサー」を搭載する。ストレージはM.2 SATA SSDで、容量は最大512GB。メモリーはオンボードの8GBという仕様だ。バッテリー駆動時間は約6時間。フルHD解像度のモデルもラインアップし、こちらはバッテリー駆動時間が約8時間。本体サイズは299.5(幅)×209(奥行)×15.4(高さ)mm、重量は1.32kg。
Satellite Radius 12
レノボはインテルの「第6世代Coreプロセッサー」を搭載したパソコンや、昨年グーグルから買収したMotorola Mobilityの新型の腕時計型デバイスなど、多くの新製品を披露した。その中でも、IFA 2015の「スタープロダクト」(注目製品)として紹介しているのが、「YOGA TAB 3 PRO 10」だ。2560×1600の10型ディスプレイを備えたAndroidタブレットで、最大70型の大画面投写が可能なプロジェクター機能を内蔵する。JBLのスピーカーや「Dolby Atmos」など、サウンド面も充実。Netflixにも対応する。
円形ディスプレイを搭載した腕時計型デバイス「MOTO 360」の新モデルも発表。一回り小さなモデルが追加されたほか、GPSを内蔵したスポーツモデルも用意した。初代モデルは日本で発売されていないが、アップルの「Apple Watch」の登場で、国内でも腕時計型デバイスの認知度が高まっている。日本で発売されれば面白い存在になりそうだ。
YOGA TAB 3 PRO 10
新しいMOTO 360
ASUSは、モバイル機器やウェアラブル端末、さらに最新のゲーミングデバイス「ROG」の最新モデルを披露。日本で発表済みの「ZenPad 10」「ZenPad S 8.0」などのほかに、未発表の「VivoStick PC」も発表した。薄型テレビのHDMIポートに接続して利用する、日本で人気のスティック型パソコンだ。本体サイズは137.9(幅)×34.0(奥行)×14.9(高さ)mm、重量は68g。スティック型パソコンとしては大きいが、フルサイズのUSBポートを2基搭載しており、拡張性が高いのが特徴だ。OSには「Windows 10」を採用する。搭載するCPUは公開されていないが、2GBのメモリーを内蔵していることが発表されている。
腕時計型デバイス「ZenWatch(ゼンウォッチ)」の最新モデル「ZenWatch 2」は、ケースの幅が49cmと45cmの2つのサイズを用意。カラーが3色に増え、18種類のストラップを用意し、よりユーザーの好みに応じて選べるようになった。プラットフォームには、アップルの「iOS」に対応した最新の「Android Wear」を採用し、iPhoneと組み合わせて利用できるようになった。
VivoStick PC
ZenWatch 2
リコーは全天球イメージをワンショットで撮影できる「RICOH THETA(リコー・シータ)」の上位モデル「RICOH THETA S」を出展。イメージセンサーの大型化と画像処理の強化により、静止画で約1400万画素に相当する高精細な画像での全天球撮影を実現した。動画は、フルHD相当(1920×1080)の30fpsの全天球動画撮影に対応。最大25分間の動画を撮影できる。さらに、専用アプリを使うことで、スマートフォンやタブレットで簡単に動画を作成できるようにして利便性を高めた。
使い勝手の面では、Wi-Fi接続したスマートフォンやタブレットでのライブビュー表示をサポート。静止画撮影時のみだが、仕上がりを見ながら撮影できるようになった。ストレージ容量は約8GBで、最高画質(Lサイズ)の静止画を約1600枚保存できる。外部インターフェイスはmicroUSBとmicro HDMIを搭載。本体サイズは44(幅)×130(高さ)×17.9〜22.9(奥行)mm。重量は約125g。ボディカラーはブラック。日本でも10月下旬に発売する。価格はオープンで、市場想定価格は4万円台前半の見込みだ。
RICOH THETA S
サムスンは、腕時計型デバイスの新モデル「Gears S2」を発表。ディスプレイを従来モデルの四角形から円形に変更したのが大きな特徴だ。ディスプレイは1.2型のタッチパネル付きの有機EL。円形のデザインを活かして、ベゼルを回すことで操作ができる。3G対応モデルであれば、単体での音声通話が可能だ。OSには「Tizen」をベースにしたプラットフォームを採用する。各種センサーやWi-Fi、Bluetooth、GPS(3G対応モデルのみ)を搭載。NFC機能も備える。
通常モデルのほか、革製のバンドが付属する「Gear S2 classic」を用意。カラーはシルバーとダークグレーの2色。本体サイズと重量は、Gear S2が42.3×49.8×11.4mm/47g、Gear S2 classicが39.9×43.6×11.4mm/42g。3G対応モデルは44.0×51.8×13.4mm/51g。
Gear S2
アクセサリーは、イタリア人デザイナーのAlessandro Mendini氏が手がけた