レビュー

スマホ&タブレットでこそ威力を発揮! 11ac 4×4の「WXR-2533DHP」の実力は?

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バッファローの「WXR-2533DHP」は、データ転送速度が最大1733Mbps(規格値)の無線LANルーター。同社調べだが、実効スループットは約1258Mbpsで、ギガビット・イーサネットよりも速い。無線LANルーターは、見た目がスッキリしていてコンパクトなアンテナ内蔵式が主流だが、本モデルは広い部屋や一軒家で他の階へ電波を飛ばすのに有利な外付けアンテナを採用。トイレや浴室、無線LANルーターから遠い部屋など、電波が届きにくい場所でも、高速で安定した通信が期待できる。どれだけ電波が届くのか試してみた。

WXR-2533DHP

WXR-2533DHP

アンテナの干渉を防ぐための大型ボディ

まずは本体を見ていきたい。本体サイズは316(幅)×57(奥行き)×161(高さ)mmもあり、無線LANルーターとしては大型だ。4本のアンテナの間隔を広げて干渉を防ぐため、これだけ大きなボディとなっている。このアンテナ設計は特許出願中だという。設置方法は、横置きと縦置きのほか、壁掛けも可能。外部インターフェイスと操作ボタンは、両側面に配置されており、どの置き方でも使いやすい。本体はかなり大型なので、設置場所には注意が必要だ。

スペック面では、最新のIEEE802.11ac(5GHz帯)と4×4 MIMOで、最大1733Mbps(規格値)のデータ転送速度を実現。同社調べだが、実効スループットは約1258Mbpsも出ているという。ただし、11acの4×4 MIMOに対応した子機は2015年11月4日時点では存在しておらず、最大速度で接続できるのは、同機種同士での中継接続のみだ。CPUには、1.4GHzで動作するデュアルコアCPUを搭載。2.4GHz帯と5GHz帯の通信用の補助チップも搭載しており、メインCPUの負荷が高くなった場合でも、無線通信のスピードが落ちることがないように配慮されている。

左がWXR-2533DHP、右が3本のアンテナを搭載する「WXR-1750DHP」。電波干渉を防ぐため、アンテナの間隔を取っているため、かなり大型のボディとなっている

外部インターフェイスは両側面に搭載。右側面には、LAN端子×4、WAN端子×1、電源ボタン、DCコネクターを備える。左側面には、「AOSS」ボタン、「ゲストポート」用のGUESTボタン、モードスイッチ、オート/マニュアルスイッチ、USB3.0端子×2を搭載する

SSIDや暗号化キーが書かれたセットアップカードが付属する。設定時にカードを参照できるのは便利だ。設定が完了すれば、本体の裏側にセットしておける

トイレや浴室でのインターネットがより快適に

では実際に電波がどこまで届くのか試していきたい。筆者の自宅は2LDK(約50平米)で、広くはないが、電波の届きにくい場所がある。スマホやタブレット端末をよく利用するトイレと浴室だ。まったく電波が届かないことはないが、「YouTube」では画質が落ちたり、なかなか再生されなかったりする。Webページの読み込みに時間がかかるときもあり、そんなときは、無線LANをオフにしてLTEに切り替えて使っている。

テストでは、IEEE802.11ac対応の「iPhone 6 Plus」(最大433Mbps)を使い、5GHz帯で接続した。家の中では、どこでも問題なく接続できる。速度の低下も見られない。筆者の自宅はマンションの3階なのだが、普段利用しているアンテナ内蔵式の無線LANルーターでは届かない1階でも電波が届いていた。肝心のトイレだが、通信速度を測定するアプリ「SPEEDTEST」で速度を測ったところ、下りが3.42Mbpsから33.54Mbpsへアップした。何度か試したが、結果は大きく変わず安定している。浴室でも同じく、速度アップを確認できた。これだけの速度が出ているので、YouTubeも快適に楽しめるし、LTEに切り替える必要もなさそうだ。

セットアップカードの裏面には、「QRsetup」アプリ(無料、iOS/Android)で読み取るためのQRコードが印刷されている。これをスマホなどで読み取れば、暗号化キーを入力せずに無線LANの設定ができる

QRsetupの画面。インターネットの初期設定もこのアプリで済む。対応機器と簡単に接続できる「AOSS」と「WPS」にも対応。「StationRadar」アプリ(無料、iOS/Android)を使えば、「ゲストポート」のオン・オフといった設定もできる。無線LANの設定にパソコンは必要ない

電波の届きにくいトイレで測定した結果。左が他社製のアンテナ内蔵式ルーター(IEEE802.11ac対応、2×2)、右がWXR-2533DHPの結果

可動式アンテナのメリットは、家の形状に合わせて、アンテナの向きや角度を変えることで、より高速で安定した無線LAN環境を構築できること。同社では、「利用環境別アンテナ設置ガイド」をPDFファイルで公開している(下写真)。推奨例として、「同じ階の隅まで電波を届ける」「異なる階にも電波を届ける(家の中央付近に設置する)」「異なる階にも電波を届ける(家の隅に設置したり壁掛けする)」「本製品を中継器として使用する場合」の4つがある。なお、今回は、「同じ階の隅まで電波を届ける」の設定で試した。

また、4本のアンテナは、家中いろいろなスタイルで使うスマホやタブレット端末との相性がいい。同社によると、2×2の「WZR-600DHP3」と比較して、スマホの角度を変えても高速な通信速度を維持できているという。

可動式アンテナのパフォーマンスを最大限に発揮できるように、利用環境別アンテナ設置ガイド(PDF)を用意。印刷して、ガイドに従ってアンテナの向きと角度を調整する

このほか、同社の無線LANルーターの最上位機種らしく、豊富な機能を搭載する。複数の端末が同時に通信しても速度低下を抑える「MU-MIMO」や、スマホとの通信を安定・高速化する「ビームフォーミング」に対応(どちらも対応する子機が必要)。家庭内ネットワークへの接続を許可せずに、インターネット接続だけを利用可能にする「ゲストポート」機能なども備える。USB3.0ポートを2基備えており、外付けHDDを接続することでNASとして接続することも可能だ。有線LANは、WAN×1、LAN×4で、いずれも1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-Tに対応する。

スピードよりもつながりやすさがウリ

無線LANルーターで接続する機器といえば、一昔前ではノートパソコンがメインだったが、今ではスマホやタブレット端末など、いわゆるスマートデバイスのほうが増えている。筆者も、自宅ではパソコンよりもスマホを使う時間のほうが長くなっている。スマホの場合はLTEなどで通信できるが、データ通信容量に制限があるので、高速で安定した通信ができる無線LANルーターが欠かせない。その点、WXR-2533DHPは、可動式アンテナにより、家中隅々まで高速で安定した無線LAN環境を構築できるので心強い。1733Mbpsという最大データ転送速度はインパクトがあるが、実はスピードよりもつながりやすさがウリで、スマートデバイスを家の中で快適に使いたい人向けの無線LANルーターと言える。

WXR-2533DHPの価格.com最安価格は19,077円(2015年11月4日時点)。売れ筋ランキングでは12位に入っている(同)。無線LANルーターとしては高価な部類に入るが、パフォーマンスを重視するユーザーから支持されているようだ。広い家や戸建てではない人には不要かもしれないが、電波が届きにくい場所がある人なら、導入を検討してみてもいいだろう。ボディが大きすぎて設置が難しい人は、3本の可動式アンテナを採用する兄弟モデル「WXR-1750DHP」を検討してみるといいだろう。

三浦善弘(編集部)
Writer / Editor
三浦善弘(編集部)
出版社で月刊誌やWebメディアの編集・記者を経験し、2013年にカカクコム入社。「価格.comマガジン」にて、PCやスマートフォン分野を担当。取材歴は20年以上。現在は「価格.comマガジン」全体を統括する。
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