レビュー

リード毎秒2GB! サムスンのNVMe対応PCIe SSD「950 PRO」レビュー

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ベンチマーク結果

ここからは、各種ベンチマークプログラムを使用し、950 PROの512GBモデルと256GBモデルの実力をチェックしていこう。本来ならCPUとダイレクトに接続できるX99環境でのベンチマークが望ましいが、コンシューマー用途という点も踏まえて、今回はZ170 Expressチップセット環境で計測している。

また、事前に専用ドライバーとOS標準ドライバーでスコアを計測。現時点では専用ドライバーのほうがパフォーマンスが安定しているため、ベンチマークテストではすべて専用ドライバーにて計測を行った。

ちなみに、OSをインストールしたシステムドライブ(SATA SSD)を別途用意し、950 PROはセカンダリードライブとして接続している。なお、検証PC環境は以下の通りとなる。

検証環境

検証環境

まずは、定番ベンチマークプログラム「Crystal DiskMark v5.0.3」(作者:ひよひよ氏)を使い、ストレージの転送速度を計測してみた。今回は、テストサイズ「100MiB」「1GiB」「2GiB」「4GiB」「8GiB」「16GiB」「32GiB」のそれぞれで、ランダムデータと0fillの両方でテストを実施。テスト回数は5回を選択した。キュー数は32・スレッド数は4(以下、Q32T4)。なお、テストサイズ、データ長の違いにより、大きな差は出なかったため、今回は1GiBの結果のみを掲載する。

いずれの容量もシーケンシャル転送速度は読み書きともに公称値より若干上回った。その差は5%以下であるためわずかだが、それでも現行最速と言える性能を叩き出している。

続いて4Kランダム性能も見ていく。はじめにキュー数32・スレッド数1(以下、Q32T1)で試したときの512GBモデルは、リードが800MB/s前後、ライトが400MB/s台と、最新世代のSATA SSDに比べてリードは倍近くスコアを伸ばしている。いっぽう、ライトはそこそこアップした程度にとどまった。次にQ32T4で試してみるとリードはさらに伸び、1200〜1300MB/sをマーク。SATA SSDの3倍ほどの性能に達している。さらにライトは410MB/s〜430MB/sとやや停滞気味の印象だが、決して遅くないスピードを記録した。

950 PRO 512GBモデルの結果。赤枠で囲んだところが、4Kランダムのキュー数とスレッド数を変更したところ。左Q32T4で、右がQ32T1。ライトはほぼ同じだが、リードは大幅にアップしている

950 PROの256GBモデルの結果。ライトに関しては512GBモデルとほぼ同じ傾向となった。リードは30%〜40%ほどアップしている

なお、CrystalDiskMarkのテストでは、比較対象として同社製SSDのAHCIベースのPCIe SSD「XP941」の256GBモデルと、SATA SSD「850 PRO」の256GBモデルを使用して、性能の違いについて検証してみた。その結果をまとめたのがグラフ1だ。

左がXP941、右が850 PROの結果

左がXP941、右が850 PROの結果

それを見る限り、950 PROシリーズ共通のスピード特性として、ひとつ挙げられるのが、リードの大幅向上だろう。特に、シーケンシャルアクセス(Q32T1)、4Kランダムアクセス(Q32T1)、シングルスレッドによるシーケンシャルアクセス(Seq)は、前世代を大きく引き離している。さらに、マルチキューの4Kランダムアクセスはスレッド数1でテストしているため、Q32T4に変更すればより差を付けることができる。

いっぽう、ライトの特性は少し変わっている。950 PRO 512GBモデルのみシーケンシャルアクセスが大幅に向上しているものの、ランダムアクセスに関してはやや控えめな動き。4Kランダム(Q32T1)は、かろうじて一歩リードしている状態だが、950 PROの256GBモデルでは、850 PROの256GBモデルに逆転されている。僅差だが気になる傾向だ。また、シーケンシャルアクセスについても、XP941の256GBモデルと950 PROの256GBモデルで、100MB/sほどしか開いていない。

グラフ1

グラフ1

ちなみに、シングルキュー&スレッドの4Kリード/ライトは、950 PROの2モデルで同一の性能を示している。前世代のXP941と比べてみると、リードについては少し上がったと言えるだろう。逆にライトは前世代のおよそ倍になっており、大幅に上がっている。

続いて、ブロックサイズ別のシーケンシャルアクセスを調べられる、「ATTO Disk Benchmark」の結果を見てみよう。ブロックサイズ4KBでSATA SSDのパフォーマンスを軽く超えており、小さなサイズでもかなり高速にアクセスしていることがわかる。32KBを境にピークに到達するが、以降は安定したスピードを出している。最大転送速度は、256GBモデルと512GBモデルいずれも公称値を上回った。

左が950 PRO 256GBモデル、右が同512GBモデル

左が950 PRO 256GBモデル、右が同512GBモデル

次に、SSD専用ベンチマークプログラム「AS SSD Benchmark」を実行した。このテストでは公称値には及ばなかったもののスコアは良好だ。

特に4Kテストを並列に実行できる4K-64Thrdでは、512GBモデルは、リード1113.56MB/s(285,072IOPS)、ライト354.78MB/s(90,823IOPS)と、いずれも公称値(リード30万IOPSとライト10万IOPS)通りの性能を見せている。これは、256GBモデルでも同様の傾向だ。総合スコアは2742で、この数値は最新のSATA SSDの2倍以上の差を付けている。

950 PRO 512GBモデル

950 PRO 512GBモデル

950 PRO 256GBモデル

950 PRO 256GBモデル

ファイルコピーを模した「Copy-Benchmark」では意外な結果になった。大きなファイルを想定した「ISO」、大小さまざまなファイルを想定した「Game」、小さなファイルを想定した「Program」のそれぞれで、思いのほか低めのスコアが出ている。試しにメモリーを減らしてチェックしたところ、スコアがさらに落ちたので、メモリーの容量を増やせば伸びるかもしれない。

また、圧縮しにくいランダムデータから徐々に圧縮しやすい均質なデータに変えながら、圧縮率別の転送速度の違いをテストする「Compression Benchmark」では、データの構造に関係なくほぼ一定となっていた。

上が950 PRO 512GBモデル、下が950 PRO 256GBモデル。

上が950 PRO 512GBモデル、下が950 PRO 256GBモデル。

950 PRO 512GBモデルのCompression Benchmarkの結果

950 PRO 512GBモデルのCompression Benchmarkの結果

950 PRO 256GBモデルのCompression Benchmark

950 PRO 256GBモデルのCompression Benchmark

最後にFuturemarkの総合ベンチマークソフト「PCMark 8」に用意されている「Storage」テストを実行した。アプリケーションをシミュレートしてディスクの性能を測るテストだ。最新のSATA SSDであればスコアは4000台が普通だが、結果を見てみると、全体の性能を示す総合スコアは、950 PRO 512GBモデルが5107(Storage bandwidthは758.88MB/s)、同 256GBモデルが5100(同 bandwidthは681.63MB/s)と5000を突破。さらにbandwidthの数値もSATA SSDのおよそ3倍の性能を実現している。

950 PRO 512GBモデルのPCMark8の結果

950 PRO 512GBモデルのPCMark8の結果

950 PRO 256GBモデルのPCMark8の結果

950 PRO 256GBモデルのPCMark8の結果

まとめ

950 PROシリーズは、圧倒的な読み出し速度と、小さなサイズでも高速に書き込みできるのが特徴のSSDだ。決まったファイルを頻繁に読み出す環境、たとえば、バーチャルマシンなどの仮想化環境やヘビーなゲームソフトの読み込みを高速化させるのに有効だと思われる。また高解像度の写真を取り込み、まとめて編集したりするのにも適しているだろう。

気になるのは、512GBモデルでは読み書きどちらも高速だが、256GBモデルでは前世代のモデルに部分的に負けているところがあること。XP941シリーズの256GBモデル以上を使用しているユーザーであれば、ライトに関しては大幅なパフォーマンスアップは実感できないだろう。ともあれ850 PROシリーズゆずりのV-NANDが使用されているため、耐久性の面では安心感がある。製品保証期間も5年と長めで、高速でかつ高耐久なSSDとして希少な存在だ。

市場想定価格は、512GBモデルが58,000円(税込)、256GBモデルが34,000円(税込)。SATA SSDに比べればもちろん高価だが、その性能は2倍〜3倍近くなっており、コストパフォーマンスは決して悪くない。ほとんどがバルク品だったこれまでのNVMe対応PCIe SSDにはなかった、サポートを受けられるのも嬉しいところだ。

銭袋秀明(編集部)
Writer
銭袋秀明(編集部)
編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!
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