テックウインドの「CLIDE W10A」は、本体の背面にタッチパッドを搭載したユニークなWindowsタブレットだ。価格.com最安価格は35,419円(2016年1月4日時点)。背面にタッチパッドがあると、Windowsタブレットの使い勝手はどうなるのだろうか。実際に試してみた。
本体の背面にタッチパッドを搭載するCLIDE W10A。10.1型液晶ディスプレイを備えるWindowsタブレットだ。価格.com最安価格は35,419円(2016年1月4日時点)
タブレット端末は、スマートフォンのように画面をタッチして操作するのが基本だ。直感的に操作できる半面、快適に利用するにはタッチ操作に適した基本ソフト(OS)が欠かせない。アップルの「iOS」やグーグルの「Android」は、タッチ操作に特化したスマートフォン向けのOSなので、タブレット端末との相性が良い。それに対して、キーボードとマウスによる操作が主のWindowsは、タッチ操作だけではどうしても使いにくい場面がある。Windowsタブレットを使っていて、「タッチパッドやマウスがあれば」と思った回数は数えきれないほどだ。
その問題を解消すべく、CLIDE W10Aでは本体の背面にタッチパッドを搭載。ノートパソコンのタッチパッドと同じように、指先でマウスのカーソルを移動できる。気になる使い勝手だが、これが意外と使いやすい。特にソファに座ってくつろぎながらネットをチェックするときには便利だ。その理由は、タッチ操作よりも手を動かさなくてすむため。タブレット端末は、スマートフォンよりも画面が広いため、どうしても腕を動かす距離が大きくなる。それに対して指の動きだけで操作できるCLIDE W10Aは、腕を動かす必要がほとんどないのだ。
背面のタッチパッドは、3本指で下から上にスライドすると有効になり、逆に上から下にスライドすると無効になる仕組みだ。誤操作が心配な場合は無効にしておくといいだろう。カーソルの移動速度は調整できる。注意点は、横画面の状態でしか使えないこと。縦画面の場合は動作しない。また、タッチパッドを見ながら使えないので、どこまでがタッチパッドなのかわかりにくく、上手に使いこなすには慣れが必要になる。
本体背面の左側(正面から見ると右側)にタッチパッドを搭載。両手で持った状態だと、右手で操作することになる
タッチパッドは正方形なので、横方向にカーソルを移動する場合、何度か指を離して操作する必要がある。タッチパッドの枠は印刷されているが、触ってもどこからがタッチパッドなのかがわかりにくいのが難点。便利だが使いこなすには慣れが必要だ
続いてタッチパッド以外の部分を見ていこう。本体サイズは、257(幅)×171(奥行)×7.5(高さ)mm、重量は約610g。10型前後のディスプレイを備えたWindowsタブレットとしては平均的なサイズだが、重量は少し重い部類に入る。両手なら問題ないが、片手で長時間使うのには向かない。カバンに収納して持ち歩くのには苦労しないサイズと重さだ。
ディスプレイには、10.1型のIPS液晶ディスプレイを搭載する。視野角が170度と広く、色味も自然だ。明るさは控えめだが、室内で利用するのには問題ないレベルだ。ディスプレイで特筆すべき点は、1920×1200と解像度が高いこと。この価格帯でWUXGAのディスプレイを搭載するモデルは珍しい。CPUにはクアッドコアの「Atom Z3735F」(1.33GHz-1.83GHz)を搭載。メモリーは2GB、ストレージは64GBだ。基本スペックは価格相応だが、ストレージが多めで、空容量が47.8GBもあった。インターネットの利用や、ネット動画の視聴は快適にこなせる。負荷の高いゲームなどには向かないが、2台目、3台目のサブノートとしてライトな用途には問題なく使えるだろう。試用していて気になったのがバッテリー駆動時間。カタログスペックは約4時間(HD動画再生)と短めで、実際に利用していても、みるみるバッテリーが減っていく。付属のACアダプターは小型で持ち歩きしやすいが、バッテリー駆動時間を重視する人には向いていない。
外部インターフェイスは左側面に配置されている。フルサイズのUSB2.0を搭載するのが嬉しいところだ。映像出力は、miniHDMI出力で専用のケーブルか変換アダプターが必要となる。カードリーダーはmicroSDカードスロットで、最大128GBのカードが利用できる。カードリーダーはカバー付きで見た目がすっきりしている。
コンパクトなACアダプターが付属する。充電時間は約5時間30分
外部インターフェイスには、microUSB 2.0、USB 2.0、miniHDMI出力、マイク入力兼ヘッドホン出力、microSDカードスロットを搭載
CLIDE W10Aには、専用のキーボードが付属する。マウスコンピューターの人気モデル「WN891」に付属しているキーボードとよく似たものだ。キーボードの裏側を折り畳むとスタンドになり、本体を保護するカバーにもなる。本体の角度は変えられないが、専用キーボードならではの一体感がある。ただし、本体とキーボードを合わせた重量は実測で900gもあり、少々重い。また、電源を入れた状態でカバーを閉じても、リープに移行する機能や、分離するとタブレットモードへ自動的に切り替わる機能もない、簡易的なものだ。
キーボードは、Enterキーが細長く、英語配列のように見える。キー配列は、左側のTabキーやShiftキーが大きく、バランスが良くない。キーピッチは実測で16〜17mmと少々窮屈だ。タッチパッドは左右のクリックボタンが独立したタイプで使いやすい。使い勝手に満点は付けられないが、価格を考えれば、がっかりするほど悪いものではない。
付属するキーボード兼カバー。本体と接続すると利用できる仕組みで、充電は不要だ。分離しては利用できない
キーピッチは実測で16〜17mm。横方向、縦方向ともに窮屈だ。左側のキーが大きくバランスが悪い
裏側を折り畳むとスタンドとして利用できる
CLIDE W10Aは、背面にタッチパッドを搭載した珍しいWindowsタブレットだ。“変わり種”と思うかもしれないが、実際に利用してみると、このタッチパッドが意外と便利だった。年末年始ということで、ベッドで横になりながら使ってみたのだが、画面をタッチするのが面倒な動作に感じるほど使いやすかった。もちろん、3万円台の手ごろな価格も魅力だ。キーボードも付いてくることを考えるとコストパフォーマンスは悪くない。コンパクトなサブノートを探している人にも注目してほしい1台だ。