2015年はApple Watchの登場で、にわかにスマートウォッチ市場が盛り上がった年だった。ところが前評判が高すぎたせいか、Apple Watchに対する評価はさえない。いわく、何に使っていいのかわからない、時計として使いにくい、今まで立ってたのに1時間ごとに立ちましょうと言われる等々。
いっぽうAndroid Wareの方は、いろんなメーカーが参入していることもあり、ハードウェアとしての面白さがある。AppleとGoogle、実際に両方のスマートウォッチを購入し、使い比べてみたが、通知される情報の多彩さからしても、Googleに軍配があがる。
そんな中、丸型ディスプレイの元祖とも言えるモトローラのMoto 360から、第二世代のスマートウォッチが登場した。「Moto 360 2nd Gen」がそれだ。初代はすでにご紹介しているが、第二世代はまだ日本で発売されていない。Googleストアでは近日発売となっているので、まもなく発売されるのだろう。今回はCES取材で渡米した際に立ち寄ったBestBuyで売られていたので、会期中に購入して現地で使ってみた。
米国滞在中に購入したMoto 360 2nd Gen
2nd Genは、大きく分けて4種類ある。1つは初代の同じ46mmモデル。それから一回り小さい42mmサイズは、男性用と女性用で2モデルある。男女の違いは、ベルトの幅だ。4つ目はスポーツ用にMoto 360 Sportというモデルがある。今回購入したのは、42mmサイズの男性用で、299ドルであった。
小型モデルを購入したのは、価格がリーズナブルだったこともあるが、そのサイズ感が気に入ったからだ。初代もそうだが、46mmというサイズは、時計としてはいささか大仰すぎるのである。その大きさゆえに、スマートウォッチを知らない人からは、まるで若者向けの安っぽいオモチャ時計のように見られる。したがってフォーマルな場には、ちょっとそぐわないのだ。
愛用中の初代(左)と比較
店頭にはいくつかカラーバリエーションがあったが、シックで目立たないスタイルということで、ブラックモデルを購入した。
ブラックモデルは、ベルトも黒い革製で、時計としても落ち着いた印象だ。盤面も丸型なので、時計として違和感がない点がApple Watchとの歴然とした差である。また重量も軽く、腕を振っても遠心力で落ちてくることもない。
ベルトは一般の時計のように取り付け部が出っ張っているので、取り替えやすくなった。初代はサイズのでかさをカバーするためか、ベルト取り付け部が本体下にあったので、交換は難しい作業だった。
ベルト取り付け部の構造が変わり、交換しやすくなった
本体サイズが小さい分、バッテリーは300mAhと、初代の320mAhから多少減っている。ただ省電力になっているようで、電池の持ちは初代よりも半日ぐらい長い印象だ。
初代も2ndも、ソフトウェア的な機能は何も変わらない。OSは同じだし、アプリは同じスマホから流し込むわけだから、ペアリングしてしばらく待っていれば、設定なども含めてすべて同じものが導入される。
操作面で大きく違うのが動作のパフォーマンスだ。初代はプロセッサがTI製OMAP3のシングルコアだったが、2ndはクアルコム製Snapdragon400のクアッドコアになっている。
この差は歴然で、初代はウォッチフェイスやユーティリティをたくさん入れていたせいもあるかもしれないが、常に動作が一拍遅れだった。最初からそんなもんだと思って使っていたので遅いのに気がつかなかったのだが、2ndのスピードを体験してしまうと、もう初代を使う気にはなれない。
画面サイズは一回り小さくなったが、元々メッセージなどの文字表示では、周囲に余白があった。2ndではその余白が詰まった程度で、読みづらくはない。液晶バックライトは、初代が多少青みがかった白だったのに対し、2ndはややアンバーな表示になっている。白の表示は初代の方が清涼感があった。
盤面が一回り小さくなっても、視認性は問題ない
日本向けにも発売が予定されていることもあり、規制情報には技適マークの表示もある。ただ具体的な認可番号が入っておらず、まだダミーとなっている。
技適マークはまだダミー表示
初代はスマートウォッチのスタンダードと言われた名作であったが、2ndはさらに洗練され、時計としても違和感がなくなった。日本での発売が楽しみだ。
AV機器評論家/コラムニスト。デジタル機器、放送、ITなどのメディアを独自の視点で分析するコラムで人気。メルマガ「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」も配信中。