Huawei「MediaPad T2 7.0 Pro」
すでにお伝えしてきているように、タブレット端末の人気は、すでに頭打ちの状態にあり、ここ数年ではむしろやや下がり気味だ。特に勢いを失っているのは、かつて注目を集めていたAndroidタブレットである。しかし、そんなAndroidタブレットで、久々に大きな注目を集めている製品がある。それが、Huaweiが7月8日に発売したばかりの7インチタブレット「MediaPad T2 7.0 Pro」である。その人気の高まりを「価格.comトレンドサーチ」のデータで詳しく見てみよう。
Huawei「MediaPad T2 7.0 Pro」は、 1920×1200ドットのフルHD解像度に対応した7インチ液晶を搭載するAndroidタブレット。CPUは、クアルコムのオクタコアプロセッサー「Snapdragon 615(MSM8939)」で、メモリーは2GB、ストレージは16GBとなっている。大きな特徴としては、LTEに対応したSIMフリー製品となっており、市販のSIMカードを挿せば、ネットワーク対応製品として使える点。音声通話にも対応している。なお、バッテリーは4,360mAhの大容量。このほか、指紋認証機能を備えており、ロック解除などがスムーズに行えるようになっている。Huaweiオンラインストアでの販売価格は26,978円(税込)。
図1:「MediaPad T2 7.0 Pro LTEモデル SIMフリー」の売れ筋・注目ランキング推移
本製品は2016年6月16日に発表され、7月8日から発売が開始されたばかりだが、7月13日時点ですでに、価格.comの「タブレットPC」カテゴリーの売れ筋ランキング、注目ランキングのいずれでも1位の座を獲得している(図1)。このことからもわかるように、本機は製品発表からわずか1か月程度の間に急激に人気を得てきた。低迷を続けるタブレット端末市場の中では、久々に登場した高注目製品と言っていいだろう。
図2:「タブレットPC」カテゴリーにおける人気5製品の売れ筋ランキング推移(過去3か月)
図2は、「タブレットPC」カテゴリーにおける人気5製品の売れ筋ランキング推移を示したものだが、これを見ると、本製品が1位になっているのと同じように、本製品と同時期に発表・発売された姉妹モデル、Huawei「MediaPad T2 10.0 Pro」も5位にランクインしているのがわかる。こちらは10.1インチの比較的大きな液晶画面を備えるのが特徴で、その他の機能は「MediaPad T2 7.0 Pro」と共通する部分が多い。なお、こちらはLTEなどの通信には対応しないWi-Fiモデルとなる。このほか、NECから2015年10月15日に発売された「LAVIE Tab W TW508/CAS PC-TW508CAS」も、ここへ来て、急激に人気を集めている7インチAndroidタブレットだ。
図3:「タブレットPC」カテゴリーにおける人気5製品のアクセス数推移(過去3か月)
図3は「タブレットPC」カテゴリーにおける人気5製品のアクセス数推移を示したものだが、こちらも同様に、Huaweiの「MediaPad T2 10.0 Pro」および「MediaPad T2 10.0 Pro」のアクセスが急激に伸びていることがわかる。前述のNEC「LAVIE Tab W TW508/CAS PC-TW508CAS」の人気はやや収束気味だが、これまで首位の座を守ってきたASUS「TransBook T100HA」の人気が再燃したのと合わせて、Huaweiの新モデル2機種が注目度の点ではベスト3を形成している。この結果、「タブレットPC」カテゴリー自体のアクセスも若干上がっているが(図4)、その大きな原動力となったのは、Huaweiであることは、図5のメーカー別アクセス推移を見ても明らかだ。この結果、現状で、Huaweiは、ASUS、アップルに次ぐ第3位のアクセスシェアとなっており、「P9」「P9 lite」が好調なスマートフォンだけでなく、タブレット市場でもその存在感を大いに示している。
図4:「タブレットPC」カテゴリーのアクセス数推移(過去3か月)
図5:「タブレットPC」カテゴリーにおけるメーカー別アクセス数推移(過去3か月)
図6:「MediaPad T2 7.0 Pro LTEモデル SIMフリー」のユーザー評価(2016年7月13日時点)
では、なぜ、Huawei「MediaPad T2 7.0 Pro」が、発売からすぐにここまでの圧倒的な人気を得るに至ったのだろうか。その理由を探ってみよう。図6は、本製品のユーザーレビュー評価を示したもの(2016年7月13日時点)。これを見ると、総合で4.74(レビュワー数7名)という高得点を出しているのがわかる。これは、今年2月に「スマートフォン」カテゴリーで一躍人気を博した、同社の「GR5」の発売当初の状況によく似ている。各項目を見てみると、「付属ソフト」以外はすべてカテゴリー平均以上。特に評価が高いのは「バッテリ」(4.70)、「携帯性」(4.56)、「デザイン」(4.44)といったところだ。
バッテリーについては、4,360mAhの大容量バッテリーを搭載するだけあり、複数のレビュワーから、かなり長時間持つという評価がなされている。また、携帯性やデザインについては、「Nexus7よりも若干細いのでジーンズの後ろポケットに収まり好印象です」「厚みは若干気になりますが、携帯に支障が出ないレベルだと思います」「ベゼルが狭くてよい、手にすっぽり収まるサイズが使いやすい」など、こちらも十分好印象だ。
肝心のパフォーマンスについては、「アプリを開くときのみ、多少のラグはあるもののアプリ起動中やホームに戻るなどの動作はサクサク」「サクサクではないですが、ストレスはないです」「ブラウジングはキビキビ動きますが若干カクつく感じがあります」といったように、必ずしも何のストレスもないというわけではないようだが、必要にして十分な性能といった印象だ。
それよりも、搭載される指紋認証機能の評価が高く、「指紋認証は非常にスムーズでストレスを感じません」「指紋認証機能を使えば、シューマッハばりの速さで立ち上がりますので度肝を抜かれました」「指紋認証がすごい使いやすいです。パターンだろうがPINだろうがパスワードだろうが、登録した指紋認証で素早くロック解除できるので、画面ロックの煩わしさが全くありません」など、この機能に対する評価がかなり高い。Huaweiは、同社製のスマートフォンでも積極的にこの指紋認証機能を搭載しているメーカーだが、本機においても、その利便性は高く評価されているようだ。
図7:「タブレットPC」カテゴリーにおける人気5製品の最安価格推移(過去3か月)
そして、これだけの機能を比較的薄くて軽量なボディに詰め込みながらも、その価格が安いのが本製品の大きな魅力となっている。図7は、「タブレットPC」カテゴリーにおける人気5製品の最安価格推移を示したものだが、本製品の2016年7月13日時点の最安価格は、24,273円と、25,000円をわずかに下回る価格で推移している。この価格は、一般的なSIMフリースマートフォンとして考えても十分安いもので、7インチの大画面を備えたタブレット(ファビュレット)として考えると、かなりの高コストパフォーマンスと言えそうだ。なお、兄弟モデルの「MediaPad T2 10.0 Pro」についても、ほぼ同じ最安価格となっており、こちらもかなりの高コスパと言っていい。
しばらくの間、これといった人気モデルが出なかったAndroidタブレットだが、今回、Huaweiから発売されたこの2機種は、現在のタブレットユーザーが期待する性能を、かなり安い価格で提供したことから、急激な人気を呼んでいると言ってよさそうだ。Huaweiについては、スマートフォン市場でも、その出来のよさ、完成度の高さ、コストパフォーマンスの高さなどから評価を上げているが、これまではあまり本腰ではなかったように見える国内のタブレット市場でも、一定の評価を得ることとなるだろう。
価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。