日本HPは2016年8月31日、マイクロソフトの「Windows 10 Mobile」を搭載したSIMフリースマートフォン「HP Elite x3」を9月5日に発売すると発表した。同社のオンラインストアでの直販価格は77,800円(税別)。5.96型の有機ELディスプレイを搭載したスマホで、別売りの「HP Elite x3ノートドック」と組み合わせることでノートパソコンのように利用できる。SIMフリーだが、KDDIのネットワークと相互接続性テストを実施しており、auのVoLTEやキャリアアグリゲーション、「WiMAX 2+」に対応。KDDIでは法人向けスマホとして、HP Elite x3を取り扱う。
5.96型の有機ELディスプレイを搭載するHP Elite x3。OSにはWindows 10のスマホ向けエディションであるWindows 10 Mobileを採用する
HP Elite x3は、今年2016年2月の通信関連見本市「Mobile World Congress 2016」で発表されたWindows 10 Mobile搭載のSIMフリースマホ。5.96型(1440×2560)の有機ELディスプレイを備えており、スマホとタブレットの中間のデバイスである、ファブレットに分類してもいいだろう。実物はかなり存在感があり、片手だけで操作するのは難しい大きさだった。プロセッサーにはクアルコムの「Snapdragon 820」を採用。メモリー(RAM)は4GB、ストレージ(ROM)は64GBと、Windows 10 Mobile搭載のスマホとしてはハイスペックなのが特徴だ。Android搭載スマホと比べても見劣りしない。
ボディはIP67水準の防塵・防水仕様で、米軍調達基準(MIL-STD 810G)もクリア。指紋センサーと虹彩認証カメラを搭載しており、セキュリティも充実している。OSの改ざんを防ぐセキュアブートや、データをハードェアで暗号化する機能も備える。カメラは背面が1600万画素(F値2.2)、前面が800万画素。Bang&Olufsenブランドのステレオスピーカーやノイズリダクション機能を搭載し、「Skype for Business」などビデオ通話を快適にこなせるという。
対応バンドは、4G(FDD-LTE)がバンド1/3/5/7/8/19/20/26/28、TDD-LTEがバンド38/39/40/41。SIMカードスロットはnano SIMのシングル。無線LANはIEEE802.11a/b/g/n/acに準拠、Bluetooth 4.0+LE、NFCなどをサポートする。外部インターフェイスはUSB 3.0 Type-C、ヘッドホン/マイク兼用ジャックを搭載。Micro SDメモリーカードスロットも備える。バッテリー容量は4150mAhで、WPC(Qi)/PMAの無線充電にも対応。バッテリー駆動時間は、スタンバイが500時間、ビデオ再生が13時間、Webブラウジングが14時間。本体サイズは83.5(幅)×161.8(高さ)×7.8(厚さ)mm、重量が194g。
IP67水準の防塵・防水仕様のボディ。背面に指紋センサーを搭載するほか、前面に虹彩認証カメラを備える
Bang & Olufsenブランドのステレオスピーカーを搭載。タッチパネルにはコーニングの「ゴリラガラス4」を採用する
HP Elite x3にはさまざまなオプション品が用意されている。なかでもユニークなのが、HP Elite x3ノートドックだ。一見すると薄型のノートパソコンにしか見えないが、単体ではパソコンとして動作せず、HP Elite x3と有線/無線で接続すると、ノートパソコンのように利用できる。Windows 10 Mobileの「Continuum」を利用したもので、処理はスマホ側で実施し、HP Elite x3ノートドックが表示や入力といった役割を果たす。12.5型のフルHDディスプレイとフルサイズのキーボードを備えており、使い勝手はノートパソコンそのもの。マウスももちろん利用できる。有線で接続した場合は、HP Elite x3の充電も可能だ。パソコンとして10時間、スマホとして14時間利用できる。USB Type-Cを3ポート、Micro HDMI、ヘッドホン端子なども備える。重量は約1.07kg。直販価格は49,800円(税別)。発売は9月下旬の予定だ。
このほか、有線LANやUSBポートなどを備える「HP Elite x3デスクドック」をラインアップ。HP Elite x3の急速充電に対応する。直販価格は12,000円(税別)で、9月下旬に発売する。
HP Elite x3ノートドック。Continuumを利用し、有線/無線で接続してOfficeなどを利用できる。x86アプリケーションを利用できる仮想アプリケーションクラウドサービス「HP Workspace」を有料で提供する
HP Elite x3デスクドック
HP Elite x3のターゲットは、マイクロソフトのWindowsやOfficeに慣れ親しんでいるビジネスパーソンだ。同じWindows 10 Mobileを搭載したVAIOのVAIO Phone Bizに近い。8月31日に都内で開催された説明会では、米HPのバイスプレジデント モビリティ・プロダクト・マネージメント、パーソナルシステムズのキース・ハーツフィールド氏がHP Elite x3の狙いや背景を説明。「片手で使えるスマホが身近なミレニアム世代が会社で仕事をするようになっている。そのような人たちのニーズに応えられるのが、まったく新しいカテゴリーのデバイスであるHP Elite 3」とした。いっぽう、使い慣れたキーボードとマウスで仕事をしたいというビジネスパーソンも少なくない。HP Elite x3は、そのようなニーズにも、HP Elite x3ノートドックやHP Elite x3デスクドックを使えば応えられる万能デバイスでもある。