創業100周年を迎えるにあたり、エアコン、ロボット掃除機の新モデルを続々と発表したパナソニックから、ドラム式洗濯乾燥機「NA-VX9800」も登場。エアコン、ロボット掃除機同様に意義のあるスマートフォンとの連携機能を搭載しているほか、洗剤や柔軟剤の計量をしなくて済む、業界初の自動投入機能を装備しました。その詳細をお伝えします。
容量(洗濯/乾燥)11kg/6kgの「NA-VX9800」は、2017年10月1日発売予定。市場想定価格は38万円です
洗濯から乾燥までを1度に済ませたい人にとって、洗濯機を選ぶなら乾燥能力が高いドラム式が優位。パナソニックの調査によると、ドラム式ユーザーの半数が共働きで、その大半が買い替え時にもドラム式を選んでいるのだそう。洗濯から乾燥までできるドラム式は、洗濯物を干す手間がないので忙しい人に重宝されています。そんな、人の手をほぼわずらわせることのないドラム式ですが、今回発表されたNA-VX9800は、洗剤と柔軟剤の投入も洗濯機におまかせできる「液体洗剤・柔軟剤自動投入」機能が搭載されました。液体洗剤と柔軟剤をあらかじめタンクに入れておけば、洗濯量や洗濯コースに適した分量の洗剤・柔軟剤が洗濯のたびに計量され、洗剤ケースに自動で投入されます。
本体天面に自動投入タンクがあります。容量は洗剤側が約870mlで、柔軟剤側が約580ml。なお、自動投入できる洗剤は液体のみです
実は、パナソニックは自動投入機能を搭載した縦型洗濯機を1999から2011年まで展開していました。しかし、当時採用していた、空気圧で洗剤をタンクから出す「エアポンプ」方式では投入する洗剤の適正量にバラつきが出てしまっていたといいます。その原因は、液体洗剤の粘度。液体洗剤にはいろいろな種類があり、銘柄により粘度が異なるだけでなく、温度によっても変化します。下の動画は同じ銘柄の洗剤ですが、高温では水のようにサラサラになり(右側)、低温でははちみつのようにドロドロに。これほど粘度が異なる洗剤を通年で適正量投入するのは、エアポンプ方式では限界だったそうです。
そこで、2018年度モデルはピストンを引くと洗剤や柔軟剤を吸引して、押すと吐出する「ピストンポンプ」方式を採用。モーターで駆動しますが、注射器のようなものだとイメージすればいいでしょう。この方式を採用したことにより、異なる粘度の洗剤を1年中安定して適量投入できるようになりました。洗剤や柔軟剤を投入した後には給水が始まるので、経路に残った洗剤と柔軟剤が混じることもありません(下の動画参照)。
自動投入のために搭載されているピストンポンプ。ピストンはモーターで稼働します。洗剤タンクと柔軟剤タンクには逆流入を防ぐ弁が付いているので、タンクの中に水などが入り込むことはありません
上の動画は、液体洗剤(青色)と柔軟剤(赤色)の投入を連続で行ったもの。液体洗剤が投入された後、給水がスタートし、透明な水になるまで経路に水が流れていることがわかります。
タンクに入れた洗剤や柔軟剤は1か月ほど放置しても問題ないそう。ただ、残量が少なくなった状態で放置すると乾燥してしまう可能性があるので、補充を忘れないようにしましょう(残量が少なくなったらお知らせしてくれます)。また、投入後に水で経路が洗い流されますが、清掃したくなった時にお手入れできる機能も搭載。タンクを取り出して水洗いし、キレイになったタンクをもとの場所に戻してお湯(約40℃)を注ぎ、スタートボタンを押せば自動投入で使用される経路のお手入れができます。
管などの接続もないので、タンクの取り出しは簡単!
手入れの方法を覚えていなくても、やり方がモニターに表示されるので困ることはないでしょう
そして、ドラム式洗濯機にもスマートフォンとの連携機能が搭載されています。外出先から洗濯をスタートできたり、洗濯終了の時刻を連絡してもらえる機能を利用可能。たとえば、洗濯機が使いこなせない家族に洗濯物だけは投入するように指示しておけば、旅行先からでも洗濯できます。また、運転終了時間を設定して洗濯の予約することもできるので、乾燥でふっくらとした洗濯物を帰宅と同時に身にまとうことも!
「遠隔」ボタンを押すと、スマートフォンから操作できるようになります
帰宅時間にあわせて洗濯が終了するように設定できるだけでなく、予定変更もいつでも行えます
また、「液体洗剤・柔軟剤自動投入」に関する設定が、スマートフォンを使えばより簡単に行えます。自動投入を利用する際には、事前に水30Lあたりにどれだけの量の洗剤や柔軟剤が必要かを入力しなければなりません。通常はパッケージに記載されている分量を設定するのですが、スマートフォンのアプリを使えば銘柄を選択するだけで簡単に設定完了!
スマートフォンを利用しない場合、洗剤や柔軟剤のラベルを見て手動で適正量を設定しなければなりません
アプリを使えば、自分が使う洗剤や柔軟剤の銘柄を指定して送信するだけで、洗濯機にその情報が登録されます
洗濯性能については従来同様で、洗剤ケースで泡立てた「泡水」を投入して洗う「泡洗浄」や、温水で酵素を活性化させ、がんこな汚れにも効果を発揮する「温水泡洗浄」も搭載。これら基本の洗浄に加え、2018年度モデルには「ナノイーX」を放出することで花粉を抑制する「花粉ケアコース」、予約や遠隔操作で洗濯物を槽に入れたまま放置しておく際に不快臭が抑えられる「洗濯かごモード」が新たに追加されました。
「温水泡洗浄」のひとつ、40℃の温水でつけ置き洗いする「約40℃つけおきコース」は黄ばみも落とすほどの洗浄力を発揮。タバスコや醤油、コーヒーの染みがキレイに取れたほか、襟元の皮脂汚れ(黄ばみ)も白くなりました
空気清浄機にも搭載される「ナノイーX」が洗濯機に搭載されるのは、本製品が初めて。従来の「ナノイー」よりも、ニオイの原因物質を分解するOHラジカルが10倍も多いので、脱臭に高い効果を発揮します
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいます。