蝶の羽のうねりとくびれの形状をファンに応用した扇風機や、イルカの尾びれと表面のシワをパルセーターに再現した洗濯機など、生物の生態からヒントを得た「ネイチャーテクノロジー」を家電に採用しているシャープから、“きのこ”を模した布団乾燥機「UD-AF1」が誕生。きのこによって温風が遠くまで届くようになったといいます。説明会で見てきた、きのこの正体とは!?
UD-AF1は2017年10月19日発売予定で、市場想定価格は22,000円前後
近年、布団乾燥機におけるトレンドは、本体と一体化された吹出口やホースを布団に差し込むだけで使える「マットレス仕様」。筆者も実際に使ったことがありますが、一度体験すると二度とマットを利用するタイプには戻れないほど手軽です。しかし、マットレスタイプは布団全体に温風が届きにくいという課題がありました。布団全面に広げたマットに温風を送る従来ながらの方法のほうが、寝具の端まで温めやすいのは間違いありません。そこで、シャープは風に乗せて胞子を遠くまで飛ばす、きのこに注目。きのこの流体制御形状を吹出口のアタッチメントに応用することで、マットを使わなくても布団の端まで温風を届けられるようにしたといいます。
天面のピンク色の部分がUD-AF1のウリである「きのこアタッチメント」。ホースを伸ばすと床面最大1mの高さ(本体の高さ含む)となるので、ベッドにも十分対応します
吹出口は布団の中央にセット。アタッチメントの形がきのこっぽいのですが、温風を遠くまで届ける秘密はその内部にあります
スケルトンにしたアタッチメントを見てみると、中にも小さなきのこが複数配置されていました。中央から温風が放出され、この小さなきのこの傘に沿って風が流れます。流路の面積をゆるやかに拡大させつつ、吹出口を絞る設計にすることで力強い風に変換しているのだそう
吹出風速にはあえてムラを持たせ、強弱の異なる風を放出することで、風速の速い個所がその速度を維持できるようにしているといいます
そんなアタッチメントから放出される温風の流れは、下の動画で確認できます。後方からは温風が出ませんが、自然と温風が循環するので問題なのだそう。
また、きのこアタッチメントは掛け布団を持ち上げることで空間も作ります。これにより、温風が吹出口付近に留まるといった現象を低減
従来の吹出口に装着されていたアタッチメントと温めの効果を比べると、きのこアタッチメントのほうが広範囲を熱っしていることがわかります。このサーモビューアはダブルサイズの布団での調査なので、きのこアタッチメントであれば問題なさそう
実際に、どれほど温風が届くのかをシングルサイズの布団で確かめてみました。布団の隅に数か所40℃以上の温度で色が変化するシールを貼り、温風の届き具合をチェック。また、UD-AF1は温風とともにプラズマクラスターイオンも放出するため、消臭効果も期待できます。今回は、吹出口近くに汗臭のするガーゼをセットし、ニオイが消えるのかも調査してみました。
温風が届いたことをチェックするためのシールは、全部で7か所貼られています
かけ布団をかけて、乾燥スタート!
乾燥運転は本来60分運転しますが、今回は時間の関係で20分でストップしました
シールの色を見てみると、温風が届きにくい足もとのほうに貼られたシールの色も濃くなっていました。温度が高くなるほどシールの色が赤に近づくので、高温になったことは明らか。ムラがないとは言えませんが、60分フルで運転すれば、色が薄めの部分ももっと高温になるものと思われます。また、汗臭をつけたガーゼは嗅いでも無臭! バッチ消臭されました
UD-AF1には布団を乾燥させるだけでなく、寒い時期に足もとだけを温めるモードやダニ対策モード、衣類の消臭を行うモードも用意されています。上で紹介したように、プラズマクラスターイオンが温風とともに放出されるので、枕の消臭にもうってつけ。なお、汗臭、加齢臭、カビ臭、生渇き臭、タバコ臭、おねしょ臭に効果が発揮されるとのこと。また、付属のアタッチメントを利用すれば、靴の消臭もできます。
ホースを収納した状態で吹出口の角度を変えれば、空気浄化や衣類乾燥も行えます。角度は2段階で変更可能
布団乾燥時の消費電力は500W(60Hz)ですが、空気浄化モードでは23W。5時間使用したとしても約3円なので、消臭なら電気代をさほど気にせず利用しても安心です
本体背面に収納されている靴用のアタッチメントを利用すれば、スニーカーやブーツの乾燥、消臭も可能。ただし、皮や合皮製の靴は変形の恐れがあるので、温風は禁止されています(消臭だけを行いましょう)