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大型家電は今買っておくべき? テレビは? スマホは?

【特別寄稿コラム】10/1消費税増税の前に買っておくべきもの、そうでないもの

10月1日の消費税増税が目前に迫ってきた。前回、5年前の増税(5%→8%)時に比べると、いわゆる駆け込み需要的な大きな混乱はなさそうだが、一部では、大型家電製品などを中心にちょっとした駆け込み需要的な動きも起こっており、多少なりとも、消費動向に影響を与えそうな状況になっている。しかし、こうした製品は、本当に増税前に買ったほうがお得なのだろうか。増税後に買ったほうがむしろお得になったりはしないのだろうか。本稿では、今買うべきものと、そうでないものを、価格.comのデータなども参考に、考察してみたい。

10月1日より消費税率が8%→10%に。2%のアップ、そのインパクトとは?

ご承知の通り、2019年10月1日より、消費税率が従来の8%から10%へと引き上げられる。これまでより2%の税率アップとなるわけだが、この2%という税率がそのまま支払い額のアップに結びつくわけではない。確かにモノの価格が変化しないのであれば、この2%は純粋に支払い金額にプラスされ、支出を増やすことになるが、実際には、多くの製品の価格は毎日変動しており、その変動の中で製品価格の2%という額は、ほぼ誤差の範囲内として内包されてしまうという見方もできる。

たとえば、定価1,000円の製品を購入するとして、消費税率8%であれば支払いは1,080円だが、10%になれば1,100円になり、税率アップ分の20円を余計に払うことになる。しかし、この製品が20円割り引き販売されて980円で売られたとすれば、10%の消費税率でも支払いは1,078円となり、むしろ2円安くなる。つまり、最終的な支払い額の総額で見れば、消費税率が多少上がったとしても、必ずしも製品価格が値上がりするとは限らないのだ。

そう考えると、増税前に買ったほうがいいのは、「あまり値動きしないようなもの」にほぼ限られる。たとえば、宝飾品、ブランド品などの価格統制が厳しい高級品、自動車、薬品のたぐい、エステやレッスンなど各種サービスのチケット、保険などのサービスなどが、これに当たる。また、食品は、後述する軽減税率の対象なので基本的に買いためる必要はないが、お酒は対象にならないため、今回の駆け込み需要の対象になっている。ただ、ワインやウイスキーなどの輸入酒は為替の変動も受けるし、将来的に価格が下落しないとは言い切れないので、長い目で見れば、今急いで購入する必要はあまりない。

逆に言うと、それ以外のものは、あえて今あわてて駆け込み購入する必要はない。特に、家電製品に関しては、その傾向が顕著だ。以下、その理由を明らかにしていこう。

基本的には下落の一途をたどる家電製品の価格推移。型落ちモデルは今が買い時

家電製品というのは、毎年毎年モデルチェンジが繰り返される、比較的販売スパンの短い製品ジャンルだ。製品のバリューがあるのは基本的に1年間で、売り出し後から徐々にそのバリューは下がっていく。そのため、新製品が発売されてから1年以内に売り切ってしまいたいというのが、メーカーやショップの基本的な考え方となる。

価格.comに登録されている家電製品の価格推移を見ていると、製品ジャンルによっても異なるが、売り出し後から2割程度、一気に価格が下がり、その後、およそ3か月くらいまでの間に3割程度価格が下落するケースが多い。その後はゆっくりと価格は下がっていき、発売から約1年後の販売最終段階になると、売り出し時の価格から4割〜5割程度まで下がるものもある。要は、型落ちになる寸前くらいの時期を狙って購入するのが、その製品をいちばん安く買えるチャンスということになる。このあたりは、価格.comをよく利用しているユーザーならよくご存じのことだろう。

こうした傾向を頭に入れながら考えると、この秋に多く発売される新モデルを購入するのであれば、消費税増税のいかんに関わらず、もう少し時期をおいたほうが安く買えるのは間違いない。つまり、家電製品の新モデルについては、今は買い時とは言えない。

日立の冷蔵庫「真空チルド R-XG51J」の価格推移グラフ。家電製品の価格は一般的にはこのように1年かけて徐々に下がっていき、最終的には、売り出し時よりも4割〜5割程度まで下がって終売となるケースが多い

では、型落ちとなった旧モデルはどうか。実は今回の消費税増税では、10月に施行されるというタイミングが、家電製品の多くで新モデルが発売されるタイミングに当たるため、判断を難しくさせている。従来通り、型落ちモデルを狙うのであれば、消費税増税のいかんに関わらず、底値に近くなっている今が買い時。消費税が上がる前の9月中に購入しておいたほうが、増税分の2%分も無駄にせず購入できるということになる。

今一部で起こっている、大型家電の駆け込み需要は、まさにこの旧モデルが底値に入れたタイミングがこの時期重なったために起こっているものだ。具体的には、価格が高く、製品のモデルチェンジがこの時期に当たっている大型テレビ、ドラム式洗濯機、冷蔵庫といったあたりのジャンルの旧モデルが多く買われており、なかにはすでに在庫薄で値上がりに転じているものも見られる。もし、こうした製品を狙っているのであれば、9月中の購入が賢明だろう。

大型テレビ2モデルの価格推移。左のソニー「BRAVIA KJ-55A9G」は6月発売で、まだ発売から3か月程度であるため、最安価格もまだ下がりきっていない。これに対して、1月発売のパナソニック「VIERA TH-49GX850」はすでに半年以降が経過しているため、最安価格もかなり下げて底値に近い状況だが、すでに在庫薄で価格は上昇気味だ

ただ、この時期にモデルチェンジを迎えない家電製品に関しては、この限りではない。たとえば、掃除機、縦型洗濯機、一部の大型テレビ、パソコンなどは、モデルチェンジの時期がこの時期ではないというものも多い。つまり、製品としてまだバリューが高めである(=販売価格が高め)ので、10月以降もまだ価格下落の伸びしろは大きく、今後2%以上の価格下落は十分にありうる。こうした製品の場合、今あせって駆け込む必要はない。むしろ、今は見送ったほうがトクをしやすい。

チェックすべきなのは、製品の発売タイミングがいつであるか。そして、型落ちとなる旧モデルを狙うのであれば、その価格推移がどうなっているかだ。価格.comの製品詳細ページなどでよく確認し、底値に入ってきていると思えば9月のうちに買っておくのもいいだろうし、まだ下がると思えば、様子見するというのも賢明な方法だと思う。

同じ洗濯機でも、ドラム式洗濯機と縦型洗濯機ではモデルチェンジの時期が異なる。左のドラム式洗濯機、日立「ヒートリサイクル 風アイロン ビッグドラム BD-SX110CL」は2018年11月発売なので、そろそろモデルチェンジとなり、価格もほぼ底値。これに対して右の縦型洗濯機、日立「ビートウォッシュ BW-V80E」は2019年6月発売で、まだ価格が下がりきっていない。型落ちモデルはすでに在庫薄で価格も上昇気味だ

10月1日より実施される、キャッシュレス還元施策にも注目

今回の消費税率引き上げがややわかりづらいのは、「軽減税率」が導入され、食品(外食除く)と新聞は従来の8%に税率がとどめられていることと、9か月間限定のキャッシュレス決済によるポイント還元が始まることによって、実際の税率アップによる影響がなかなか見えづらくなってきていることが原因のひとつにある。このあたりの詳細については、別途、解説記事をまとめたので参照していただきたい。

・複雑すぎる軽減税率をわかりやすく解説。超難解な「8%」と「10%」の線引きとは?
https://kakakumag.com/money/?id=14349

・これならわかる!「キャッシュレス・消費者還元事業」の直前"集中解説"
https://kakakumag.com/money/?id=14329

なかでも、注目したいのは、2019年10月〜2020年6月までの9か月間の期間限定で実施される「キャッシュレス・消費者還元事業」(以下、キャッシュレス還元施策)の動向だ。このキャッシュレス還元施策では、対象となる中小規模の事業者(小売店)でキャッシュレス決済することで、5%(ないしは2%)のポイント還元が受けられる。対象となる事業者は、この原稿を執筆している段階でもまだすべては網羅できてはいないが、たとえば、価格.comと契約している店舗の中にも、条件に該当するショップは多い。こうしたお店で、クレジットカードなどのキャッシュレス決済で製品を購入すると、最大5%のポイント還元が受けられることになる。

となると、仮に同じ販売価格の製品を10月1日以降に購入したとしても、消費税アップ分の2%は相殺され、むしろ3%安く買えるということになる。よほど在庫薄で今買っておかないと販売価格が大きく上昇してしまいそうなものを除けば、あまり急いで駆け込む必要はないと言うのは、この還元施策も10月1日以降に始まるからだ。

経済産業省が推進する「キャッシュレス・消費者還元事業」。10月以降は、右のキャッシュレスマークが掲示されているお店でキャッシュレス決済で購買すると、5%(ないしは2%)のポイント還元が受けられる

ただ、これはあくまでもクレジットカードなどのキャッシュレス決済に限った話なので、現金振り込みや代引きなどの方法で製品を購入する際には適用されない。一般的に、クレジットカード対応のショップの販売価格は、現金決済のみのショップの販売価格より若干高めに設定されることが多いので、その価格差も十分に加味したうえで、条件のいいショップを選ぶとよいだろう。

このほか、エアコンや冷蔵庫、給湯器などの環境負荷が比較的高い製品については、東京都が実施する「東京ゼロエミポイント」などの独自のポイント還元も受けられる。やや手続きは煩雑になるが、これらの製品の購入を考えているのであれば、9月中に購入するよりも、むしろ10月以降に購入したほうが、全般的にはトクになることが多いと言えそうだ。
・東京都民限定!東京ゼロエミポイント 特集
https://kakaku.com/article/sp/zeroemi/

スマートフォンは、10月以降、端末割引が制限される点に注意。来年の5G対応も考慮すべき

なお、消費増税とは直接関係ないが、10月1日以降、スマートフォンをめぐる状況にも変化が起こる。端末の料金と通信費とを完全に分離する、いわゆる「分離プラン」が10月1日以降完全適用されるためで、従来あったような「通信費2年縛りでスマホ本体が半額になる」といった大幅な割引が見込めなくなる。また、管轄する総務省からは「本体価格の割引は2万円程度が限度」というコメントも出ており、本体価格の大幅な値引き販売も今後見込めなくなりそうだ。これに対して携帯キャリア各社は、これに代わる「新・半額サポート」プランを発表しているが、基本的には、今後スマートフォンの端末価格はあまり下がらないであろうことが予想される。価格競争の激しいSIMフリー端末については、多くの家電製品と同じく販売価格のゆるやかな下落が望めるが、通信キャリアが販売する端末については、販売価格が高止まりするだろう。となれば、スマートフォンを買い換えるのであれば、消費税が8%の9月中のほうが、ある意味おトクと言える。

ただ難しいのは、来年2020年より、日本国内でもいよいよ5Gの通信サービスが開始されるということだ。来年からは5G対応スマホが各社から続々と発売されると見られ、5Gによる高速通信などを早めに利用したいのであれば、今はまだ「待ち」ということになる。もちろん、5Gの対応エリアはそうすぐに全国を網羅するわけではないので、しばらくは様子見ということで、4Gの現行機種も購入してもいいのだが、せっかく端末を買い換えるのであれば、やはり5Gに対応した最新モデルを購入したいというニーズは多いだろう。もし、早急にスマートフォンを買い換える必要がないのであれば、消費税増税云々よりも、来年以降に出てくる5G対応端末を見てから考えるほうがよさそうだ。

来年2020年の春から、日本でも次世代通信規格「5G」の商用サービスが開始される。これに先だって、今年中にもさまざまなプレサービスが開始される予定。ただし、5G対応のスマートフォン端末は、国内ではまだほとんどない。対応端末を購入するのであれば、来年まで待ったほうがよさそうだ

まとめ:実はほとんどの製品は、増税前に駆け込んで購入する必要性は薄い

以上、10月1日の消費税増税前後で、さまざまな製品の販売価格がどのように変化するのかを見ながら、9月中に買うべきものと、買わなくていいものを考察してきた。総じて言うなら、家電製品を含むほとんどの製品は、今あわてて購入する必要はなく、10月1日以降に購入したほうが、むしろ安く買えるものも多いということだ。

消費税増税の10月1日まですでに10日を切ってきたが、あわてて製品を購入して後で後悔しないように、本稿を含むさまざまな情報を総合して勘案しつつ、お買い物を楽しんでいただければと思う。

鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

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